
豪雪地帯として著名な長野県小谷村(おたりむら)にある、道の駅小谷(おたり)。
長野県の北方に位置し、温泉もあります。
新潟県と長野県の境からほど近い事もあり「県境はもう越えるorもう越えたしちょっと休憩するか」という気分になります。
この道の駅から、少し北に目を向けると、スノーシェッド(雪除け)の下寺洞門が見えます。
赤く塗ったところは、元は国道148号線です。
雰囲気は「古くて使われなくなったんだろうな」という年季を感じられますが、妙なところに壁があったり…よく見ると真ん中が途切れているように見えます。
少し動いてみましょう。
赤く囲んだ部分がぽっかりと。
そして
水色の矢印が指している所だけ、土が盛り上がっているようです。
何かありますね、これは。
登ってみます。
この下寺洞門のある旧国道148号線は、現国道148号線から見ると大分低い位置にあります。
登って、やっと現国道の路肩に停めている86が見えます。
後から思いましたが、道の駅小谷に停めればよかったね。
ていうか、86じゃない方がいいんじゃねって。SUVにしろって。
え、じゃあCH-Rの4駆にしようかな……。
ウインカーピロピロするし……。
登ったら、下寺洞門の中が見えるわけですが……
手前の覆工が、向かって左側の脚の失って沈没しています。
土が盛っているように見えた正体はコレです。
破壊されたように見えます。豪雪地帯という事で物凄い雪の重みによるものでしょうか。はたまた落石なのか。
倒れているものの、入ろうと思えば中に入れそうです。
入らなくても反対側を撮影すればよかったのに、見ていませんでした。
結構高いんだもん…。今、車が通るトンネルの屋根の上にいるのよ?
今、南から来ましたが北はどうなっているのか見てみましょう。
豪雪地帯故、除雪車の倉庫となっているようです。
扁額も在り。
表札みたいですね。
倉庫の裏側。
右の舗装路が現国道です。
繰り返してしまいますが、この下寺洞門が国道のスノーシェッドでした。
この下寺洞門が壊れた原因は水害です。
先日触れました現:
国界橋は、
1995年に起きた7.11水害により流失した橋を架けなおしたものでしたが、この小谷もまた姫川の氾濫という危機に晒されていました。
住民10,000人以上が避難し、インフラの復旧に数年を費やす事となりました。
どのような様子だったのか
、山さ行かねが様のレポートより転載させて頂きます。
出典は「7.11 北小谷豪雨災害記録誌」と「小谷村梅雨前線豪雨災害の記録」より
1995年7月11日の翌日の写真です。「下寺洞門倒壊前」と名前が付いています。
当時、この下寺洞門のすぐ隣を姫川が走っていました。
赤い〇のついている箇所で、既に下寺洞門の流失が始まっています。
丁度、カーブのあるあたりですね。今と写真を比べてみましょう。
現在は川を埋め立てて、現在の国道を施工しているわけですが、当時のすさまじさが分かります。
時間が少し進み、別角度からの写真です。
写真の名前は残念ながら「下寺洞門倒壊」となっています。
ついに氾濫に呑み込まれ、屋根が傾き流失しています。
今回、
赤い矢印の所が登ったところになります。
ピンク色の所はどうなってしまったのでしょうか。
改めて見ると、現在はこのようになっています。
ピンク色の部分の屋根達はどこへ行ったか分かりませんが、撤去されたものと思われます。
ここらへんが川だったとは、資料が無ければ見当つきませんね。
脚だけになってしまった箇所は、相当の長さがあります。
水害がピークを越えた際の写真と思われます。
赤と
ピンクは、上記で解説した個所と同じ色で囲っています。
氾濫が落ち着いても、姫川が相当近くにあるのが分かります。
現在の国道が高台に作られているのも分かります。
では
黄色で囲った箇所は、なんでしょう?
黄色い囲みは、現在のココとなります。
生き残った正面の洞門の一部は復旧の妨げになるの判断されたのか、撤去されたようです。写真ではまだキレイに見えますが。
何故、この「脚」だけ残したのか、分かりません。
道の駅小谷に寄ると、下寺洞門は気軽にご覧になれます。
当たり前ですが、シャッターがある所に入るとかはダメですよ。
やろうと思えば、車と洞門を一緒に撮影する事も可能でしょう(と、後から気づいた)。
7.11水害で被害を受けたところを回るツアーを国土交通省で行ったりもしているようですが、20年以上前の水害の凄まじさを自由に手に触れて観察出来る事も貴重と思います。
通常は、被災した施設は撤去したり触れないようにロープが張られたりしますが、ここは当時のままですから…。
また、この下寺洞門を詳細にレポートしている「
山さ行かねが」様のサイトもご参照下さい。
こちらのサイトを見て、私も実際に視てみたいと思って来たクチですので……。
行ったけど記事にする程の成果の無かった、隣の中土地区の写真を使う機会が無さそうなので、最後は長野県道330号奉納中土停車場線での撮影で…。
上の覆工は現国道148号線です。
今知ったんですが、この県道330号線は
水仙街道と呼ばれており、4月上旬~中旬にはキレイな水仙で埋まるそうです。
なんだ、ここ行ったの4月15日だから丁度見ごろだったじゃないか。
私は、水仙街道に入る手前で国道148号線に乗って、次の目的地に移動してしまいました。
この時、既に16時40分だったから仕方ないね……。
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廃道 | 日記
Posted at
2017/05/06 11:36:20