
その2 からの続き、今回の完結編です。
飫肥の街歩きを満喫後は、再び宮崎に戻ります。
ここから宮崎まで乗る列車は、特急「海幸山幸」。いわゆるD&S(デザイン&ストーリー)列車と呼ばれる観光列車です。
時刻表サイトで行程を調べていて、時間的にちょうど良いのがこの列車でした。最初は、単なる臨時の快速列車か何かだと思いながら行程に組み入れていたのですが、よくよく調べると種別は特急、とのことで、直前に慌てて特急券と指定席券をネットで購入します。
他の列車でも指定席券を前売りで購入するつもりでしたので、今回の為にJR九州のネット予約会員になっています。
飫肥駅に着いたのは発車30分前。静かな駅舎で、他にも同じ列車に乗るらしき乗客数人と共に、待つともなく待ちます。
発車時間が近づくと、駅員さんの案内でホームへ。

ホームに佇んで待ちます。
(列車が来る方向と反対方向を見ていました。今回は、他でも反対方向に歩き出したり、と、方向感覚がどこかおかしくなっています(笑))
程なくして、軽やかなメロディがホームに流れると同時に2両編成の列車が姿を現しました。

臨時特急「海幸山幸」です。
乗り込むと、女性の乗務員さんが笑顔でお出迎え。

車内は、座席から床まで木目調が粋な雰囲気。

こちらのベンチシートは、自由席になっています。
海の見える進行方向右手の席に座ります。ネット予約だと座席も選ぶことができますので、予めこの席を予約していました。
車内は3〜4割程度の乗客でしょうか。
ディーゼル音を響かせて発車します。
列車が発車してからも、件の女性乗務員さんは、グッズの販売から切符の検札、そして案内放送まで、大忙しで立ち回っています。さらには、乗車記念のポストカードも乗車全員に配っていたり、と、これでもう少し乗客が多くなったら…と心配になってきます。

いただいたポストカード。裏面には記念スタンプを押すことができます。
そして、案内放送でも色々なことを教えてくれました。
たとえば、途中の北郷駅から次の伊比井駅間は、九州で一番長く直線区間が続き、途中の3千mほどのトンネルも、入った瞬間から出口の明かりがずっと見ることができるてだんだん大きくなってくる、など、他の列車だったら聞かなかったお話を聞くことができます。

伊比井駅を通過すると、目の前に日向灘が。まさに絶景絶景。

その先の海ぞいで、列車は一旦停車します。
案内放送によりますと、「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状岩が広がっている名所。
百万年単位の海水の侵食が、武骨ながら美しい景観を形作っていました。
車内では、「運だめしゲーム」が始まる、とのこと。乗務員さんが持つ5枚のカードから当たりを引くと、記念品が貰える、とのことで、乗客一人ひとり巡回し始めて…いやはや、獅子奮迅の活躍です。
で、私は、というと…

見事に外れ。JR九州特製アメ玉をひとつ、いただきました(笑)
青島駅あたりから、乗り込んで来る乗客も多くなります。
特急列車、ということを知らずに乗る乗客も多く、運だめしゲームを終えた乗務員さん、今度は検札と特急料金の精算に大忙しでした。
行きと同じように、宮崎空港の滑走路をかすめるように通ると、すぐに南宮崎、そして終着駅の宮崎駅に到着します。

こうして、「海幸山幸」で過ごす楽しい1時間が過ぎていきました。
宮崎駅に到着したのはちょうどお昼過ぎ、ということで昼食にします。
何を食べるかは、最初から決めていました。

やはり、チキン南蛮!
駅周辺は、チキン南蛮がメニューに供される食事処は多いです。
最近は全国的にも知られてきていて、自宅近くの近くのスーパーのお惣菜でもよく見かけますが、ここで本場の味をしっかり味わっておくことにします。
いよいよ、宮崎を去る時が来ました。
今回は、宮崎市の他は飫肥の街しか行けませんでしたが、今度は日南海岸や高千穂峡あたりを、ドライブで訪れてみたいです。

大分行き「にちりん」に乗り込みます。
車内は1〜2割ほどの乗車率でしょうか。途中、乗客の入れ替わりはあるも、乗車率は終点までほぼ変わりませんでした。
宮崎を出ると、しばらくは基本的に海ぞいを走ります。延岡を過ぎてからは山あいに。
乗客の少ない車内は、走行音の他は無音。少し眠くなってきますが、この先、大分県に入ったところで通過する、1日3本しか停車しない秘境駅、「宗太郎駅」の通過は見ておきたくて、頑張って窓の外を見続けていました。
山に張り付いていますが、立派なホームを備えている宗太郎駅を通過。あっという間でしたが、それでもローカル駅の風情は感じることができました。
さらに、その次の重岡駅では、ホームに立っている人達が列車に向かって手を振ってくれています。
そういえば、先ほどの「海幸山幸」でも、沿線から手を振ってくれる人が結構いました。このあたりは、鉄道旅ならでは、です。
佐伯、津久見、そして以前に街歩きを楽しんだ臼杵と停車し、夜のとばりがおり始めた頃、

終点の大分駅に到着。
ここでは乗り換え時間を30分ほど取っているので、何か食事を調達しようと改札を出ます。
大分駅構内は、まさに都会の雰囲気でした。
駅構内は土産や惣菜、お菓子などのお店が集まる大きな商業施設があり、真っ直ぐ歩けないくらいどこも行列ができています。全国チェーンのお店も多く、大袈裟ではなく都会のターミナル駅そのもの、の雑踏でした。

大分駅。以前訪れた時は駅舎が改装中でした。
駅弁などが有れば、それを買ってこの後の車内で、とも思ったのですが、広過ぎてすぐには見つからず、そのうちに発車時間も迫ってきて、結局、飲み物ひとつ買っただけでホームに戻ります。
なんか、久しぶりに人の多さに圧倒された感、でした。

乗り込んだ博多行き特急「ソニック」も乗客は少なめ。
さっきの「にちりん」とは1クラス上の高速で駆け抜けていきます。
別府市内の灯りが見えた、と思ったらもう宇佐の駅。
福岡県に入り、門司の臨海地域の近くを通って、小倉駅のホームに滑り込んだのは19時30分頃でした。
新幹線と特急列車でしたが、結果的に九州をぐるっと一周したことに…!
さっき大分駅で食いっぱぐれた夕飯を求めてコンコースに出るも、お目当ての「玄海うどん」はすでに営業終了。駅弁のお店を覗くも、全て完売。改札を出ても、めぼしい所は満員か閉店しています。
再び駅に入り、確か、ホームにかしわうどんの立ち食いがあったはず、と思うも、すでに終わっているだろうなあ、とあまり期待せずにいたのですが、念のため、と探し当ててホームに下りると…

ちゃんと営業していました!

小倉駅のかしわうどん、久しぶりです。
結局、九州滞在中の食事は、「おび天」以外はすべて、鶏肉系とうどんのみ、でした。
今回の「かしわうどん」は、まさにそれを象徴付ける一杯です(笑)
本来なら小倉で一泊してもよかったのですが、翌日は大晦日の買い出しがあるので、結局朝には帰路につかないといけない、ということと、また世の中では少し感染が増えている現状、なるべく空いた車内で行きたい、ということもあって、最終の新幹線で帰ることにします。

最終「のぞみ」の発車時間が迫ってきました。
車内はやはり、1割程度の乗車率。今回、行きの新幹線以外は比較的余裕のある車内で過ごすことができました。
今回の旅をもって、沖縄県以外の46都道府県の都道府県庁所在都市の街歩きができました。足かけ10数年での達成です。
沖縄と北海道は嫁と一緒じゃないと許可が出ませんので、全都道府県制覇はもう少し後になりそうです。
ただ、長年訪問していない都市や、まだ泊まったことの無い都市もあります。今後は2回目の訪問や宿泊で、またあちこち巡っていきたいと思いました。
静かな車内で、ブログUPに向けて早速、今回の旅の写真整理をスマホで行います。こうして見ていると、とても1泊2日とは思えない、濃密な旅の記録がここに残っていました。