
3月10日(土)、少し久しぶりの街歩きに行ってきました。
今回の目的地は、神奈川県の横須賀市です。
どんな街歩きでも好きな私ですが、とりわけ好きなのは明治~昭和に発展した街です。
建物や様々な施設に欧米の文化が取り入れられた近代化遺産が並ぶレトロな街並みは、個人的に非常に魅かれるものがあったりします。
そんな街には横浜を、門司、舞鶴など色々とありますが、今回訪れる横須賀も、そんな雰囲気を持った街のひとつということで、前から散策してみたい街の1つでした。
夜0時に自宅を出発。目的地までは、都内や神奈川県方面に遠征する時のいつものパターンになります。
東名高速をのんびりと走り、御殿場の先、いつもの鮎沢PAで仮眠。
アラームをかけていなかったこともあり、気が付いたのは朝の9時30分をまわっていました。
予定より少し遅めですが、それでもいつものように「豚汁定食」をいただいた後、再スタート。
いつもの平塚駅近くの駐車場に車を停めて、更にはいつものように湘南モノレール~江ノ電と乗り継ぎ、鎌倉まで来たところでようやくいつものパターンが終わり、横須賀線の下り電車に乗ります。
横須賀駅に到着する頃には、もう12時をまわっていました。
昼食も後回しにして散策を開始します。
お天気は、雨、風ともに強くて肌寒い、というあまり良くないコンディション。海辺らしい風の強さに傘も満足に差せません。

ヴェルニー公園。
横須賀駅の目の前から、海沿いに伸びている公園で、目の前から横須賀港を一望できます。
今も海上自衛隊の母港となっているだけあって、護衛艦や潜水艦などが普通に停泊しています。舞鶴でも見ましたが、私にとっては非常に珍しい光景です。
公園をしばらく散策します。さすがに、この雨風では歩く人も少なく、その数少ない人達も傘を飛ばされそうになるのを必死に押さえて歩いています。

逸見波止場衛門。
横須賀港の入り口警備の詰所の建物がそのまま残っていました。このように、明治~大正の頃の建造物がさりげなく残っているのがいいです。

海軍の碑と、戦艦沖島、山城、長門の碑。
横須賀は、いわば旧海軍とともに発展した街ということを感じさせてくれます。
そんな歴史のある横須賀港を遊覧できる「軍港めぐり」という遊覧船が運航されています。ちょっと興味があったのですが、

やはり、悪天候のため欠航でした。
ここからは、市街地の方へ向かいます。
国道16号線が真ん中を走っていて、海側が米軍基地や三笠公園、反対側が京急の横須賀中央駅を中心とする市街地です。
その市街地までの道すがらに、有名な「ドブ板通り」がありました。
横須賀に駐留する米軍関係の人達の利用する飲食店などが軒を並べていた通りは、やがていわゆる「スカジャン」やミリタリー関連の雑貨店なども登場して、少し異国に紛れ込んだような雰囲気を感じる通りになっています。

16号線沿い。看板も英語表記が目立ちます。

こちらは本町通り側。
いわゆる「スカジャン」は、ここ横須賀が発祥ですが、私の学生時代にも流行していて、友人とわざわざここ横須賀まで、旅行を兼ねて買いに来たことがあります。
道行く人は外国人の姿も多くみかけます。米軍基地ちかくの通り沿いでは、基地の人達が集まって清掃活動をしていました。
ここからは横須賀中央駅に足を向けます。
このあたりは、今までと雰囲気が変わり、首都圏の近郊都市らしい繁華街が続きます。

横須賀中央駅へ続く「三笠ショッピングプラザ」。さまざまなお店が並んでいます。

京急の横須賀中央駅。静かなJRの横須賀駅とは対照的に、こちらは人も多く賑わっています。

千日通り。
いよいよ、三笠公園に向かいます。
大河ドラマ「坂の上の雲」をずっと見ていた私にとって、今回の目的の1つが、戦艦三笠の見学でした。
駅から三笠公園に向かう途中、米軍の横須賀基地前を通りました。基地の内外を多くの人やクルマが行き交っています。さすがに、正面の写真を撮ることはできません。
ちなみに米軍基地の中にも、旧日本海軍が使用していた建物を現在もまだ使っていたりと、近代遺産がたくさん残されているようです。そこまでは見ることができないのがちょっと残念。

三笠公園の道すがら。正面が横須賀基地の入り口方面になります。周囲には大学などがあって閑静な雰囲気です。
そんな静かな道をぷらぷら歩くと、やがて戦艦三笠の雄姿が現れました。

目の前には東郷元帥の像。
今は周りをコンクリートで固められていますが、こうして見ると、今にも勇ましく出航していきそうな感じです。
入場料を払って中へ。
艦内は配管などもむき出して武骨な感じですが、それがまた艦船らしいです。あちこちに配備された大小様々の砲室や30cmもの厚さの鉄壁に守られた操舵室など、やはり戦艦ですね。

日本海海戦の時の、将官たちの立ち位置が記されたプレートです。
艦内の展示も色々とあって、時間が過ぎていくのも忘れてしまいます。
去年の夏、松山で「坂の上の雲ミュージアム」を訪れたのですが、こちらと同じように興味深く見入ってしまいました。
ここで感心したこと。艦内には、当時の会議室や東郷元帥の公室をはじめとする士官室がありますが、どの部屋もクラシカルで味のある調度品が使われていたこと。レトロ調のインテリアなどが好きな人なら喜びそうです。武骨な艦内の中で、この区画は気品に溢れていました。
三笠でかなり時間を費やしました。時はすでに16時前。ここの売店でお土産を買い求めた後、遅い昼食を摂るために再び市街に戻ります。
横須賀で地元グルメといえば、海軍カレーかネイビーバーガーか・・・どちらにしようか迷いながら歩いていると、「海軍カレー本舗」というお店が目に入りました。1階はお土産物屋さんで、2階がレストランで海軍カレーをはじめとした各種カレーがいただける、とのこと。さすがに1人で2種類は食べられないので、ネービーバーガーは次の機会にして海軍カレーをいただくことに。
注文をして待っていると、それまで穏やかなクラシックが流れていた店内スピーカーからいきなり
「ドカ~ン!!」という大砲の音が響き渡ります。「なんだなんだ

」
びっくりしていると、次に流れたのは「軍艦マーチ」、これも大ボリュームです。
すると、店員さんが大きな皿にてんこ盛りのカレーライスとカツ、サラダを載せて現れ、隣のテーブルのお客さんの前に置きました。
これは何だ?と思ってメニューを確認すると、「
横須賀海軍チキンカツビックカレー砲」なるもの。
何でもライスが3人分、カツはチキンカツで、大きさは三笠の主砲の径と同じ30.5cmのサイズ。
これだけでも十分メガ盛りなのに、メニューによるとさらにライス大盛りもできるとのこと。店員さんが「大盛りです」と言っていましたが、確かに写真で見るよりもさらにライスが山盛りになっています。
そのお客さん(1人だけです)、特に驚いた様子もなく黙って食べ始めました。
私ならとてもじゃないけど注文できないこのカレー、たまたまこうして実物を見る事が出来たのは良かったです。せっかくなので、写真も撮りたかったのですが、さすがに他人が食べているものを撮るわけにはいきませんでした
そうこうするうちに、私の注文した「よこすか海軍カレー スペシャルビーフが運ばれてきました。
隣のメガ盛りとは比べるべくもなく、普通サイズの皿に上品にライスが盛られています。
そういえば、いつのまにか店内の音楽も、また穏やかなクラシック音楽に戻っていました。

海軍カレーには牛乳がついてきます。これは、元来、海軍で出されていたカレーに必ず牛乳がついていたことに由来するようです。
ルーはどちらかというと甘口ですが、ビーフも野菜が口の中でトロリととろけて、カレーとライスに自然に馴染んでいきます。大変美味しくいただきました。
余談ですが、今でも海上自衛隊では、毎週金曜日の昼食は全国一斉、カレーライスが供されるとのこと。
先日、たまたまあるラジオを聴いていたら、一斉に供される海上自衛隊のカレーですが、作るのは各部隊毎に作られるので、味付けなどに微妙に個性が出るようです。ですので、ここの部隊のカレーライスが美味しい、という評判の所もあるようで、そういうのを食べ比べられたらいいですね。
ここから、JRの横須賀駅に戻ります。
再び、ドブ板通りとヴェルニー公園を通って戻る頃には、あれだけ激しかった雨風も止んでいました。

JR横須賀駅。もともと重要な軍港ということで鉄道も早くから整備され、駅舎も歴史のある建物です。

駅舎からまっすぐに伸びるホーム。左側の線路はここで行き止まりになっています。
昔から構造自体は変わっていないようで、作りは違いますがどこか門司港駅と共通した空気が流れています。電車を待つ間、ホームに佇んでいると、ここからも港に停泊する艦船の堂々たる雄姿が見渡せました。
京急の横須賀中央駅とは対照的に、人も少なく静かな雰囲気の中ですが、私はこちらの雰囲気の方が好きです。
ということで、港、異国情緒、グルメ、そして近代の歴史にふれることができる横須賀は私の期待通りの街の表情を見せてくれました。
こうしてまた1つ、思い入れのある街が増えました。
最後に・・・
帰りの道、夜の箱根は雪が激しく降っていました。

(クルマを停めて撮影しています)
今回の遠征、プリウスαの満タン法による燃費は20.16km/L。メーター表示は21.7km/Lでした。
ここまで、つたない長文で失礼しました。