前回からの続きです。
鞆の浦を後にして、次に向かうは呉市、初めて訪れる街です。
実は自宅を出る時、呉まで行くかどうかまでは決めていませんでした。東方面からだと高速が直通しているわけではなく、少し時間がかかりそうでしたので、宿泊の予定も立てていない今回の行程ではちょっと厳しそうと思ったからです。
呉まで行かない場合は、久しぶりに尾道散策と尾道ラーメン三昧かな?とも思っていたのですが・・・鞆の浦の駐車場を出る時には、ナビの目的地はしっかりと呉の駅前にセットしていました。
やはり、行ったことの無い街に行きたい、ということと、みん友さんである
TMKさんの
こちらの
ブログ が気になっていたからです。
舞鶴、横須賀、門司、そして呉など、明治以降、日本の近代化とともに交通や軍事の要衝として発達してきた港町には、独自の雰囲気があり、そして「近代化遺産」の宝庫でもあります。
その意味でも、呉はずっと行きたい街の1つでした。
沼隈半島の快走路を走り、尾道の市街地を通過した後は山陽道~そしてまだ新しい東広島呉道路を使って呉市内へ。鞆の浦から2時間弱の道のりです。
駅前の駐車場に車をとめて街歩き開始。
まずは徒歩で大和ミュージアムと「てつのくじら」を巡った後は、持参の折りたたみ自転車で繁華街から少し先の郊外まで足を延ばす予定でいきます。
呉の街は思ったよりも大きく、駅前も賑わっていました。そんな駅の観光案内所で地図をもらってから、「大和ミュージアム」(トップ写真)へ。
「大和ミュージアム」は開館以来、一大観光拠点となって、訪れる人も多いと聞きます。
入場料500円を払って中へ。
驚いたのは、展示されている情報量が思ったよりもかなり多く、しかも非常に興味深い内容だったこと。
戦艦大和そのものだけではなく、明治以降、ここに至るまでの技術的な背景や、戦後の技術力の発展の基礎となったことが、詳しく、そして分かりやすく解説されています。
1つ1つじっくりと見て回るとすぐに1日経ってしまうのではないでしょうか。もう少し時間に余裕を持ってくるべきだった、と少し反省。
その中で、印象的だったのは、今も海底に沈む大和の状態を再現した模型。大きく2つに折れた船体と、細かく散らばっている小さな部品まで、その位置が忠実に再現されています。さらには、最後の出撃に向かった乗組員の方たちの手紙や遺品も心を打たれました。
そして、シンボルである戦艦大和の模型が出迎えてくれます。

噂にたがわぬ大きさです。
こちらは実物のゼロ戦。

翼の材質が、布に塗料を塗られたもの、ということで、非常にデリケートな素材です。やはり、ギリギリまで軽量化されていたのですね。
それにしても、いつまでいても興味が尽きません。少し駆け足気味での見学になってしまったのが残念です。次回はもっとじっくりと見ることができるよう、時間に余裕をもって訪れることにします。
大和ミュージアムを出たところで昼食にします。ミュージアムの入り口付近にあった看板で気になっていたお店へ。
お目当ては「海軍カレー」、そう、やはり海軍の街といえばカレーでしょう。
海上自衛隊では、今でも毎週金曜日の昼食は全国一斉にカレーを食べるそうです。そしてこの日はその金曜日ではありませんか・・・。

海軍カレー。上に載っているのはやはり海軍ゆかりの呉名物「肉ジャガ」のコロッケ。
金曜日だと「カレー曜日」ということで飲み物もサービスで付いてきます。
以前、横須賀で食べた「海軍カレー」と比べると、スパイスがほどよく効いていてこちらの方が一般的なカレーに近い感じです。普通のカレーとしたら美味しいのですが、ちょっと変わった風味を楽しむのなら横須賀のが良いかも。
肉ジャガコロッケは熱々で、こちらも美味しかったです。舞鶴でもやはり名物の「肉ジャガコロッケ」を食べましたが、呉の方がややあっさりした感じでしょうか。
再び散策開始。
次に向かうは「てつのくじら館」正式には「海上自衛隊呉史料館」です。

実物の潜水艦がドーンと鎮座しています。
余談ですが、うちのクルマのナビにも・・・

しっかりと潜水艦が載っていました
こちらは入場無料。立派な史料館で、中では海上自衛隊の方やそのOBの方々が案内してくれます。
1フロアで、掃海艇で機雷除去という危険な作業に従事する海上自衛隊の活躍が紹介されています。
掃海艇の中を再現した展示や、普段、私達には馴染みの無い機雷の詳しい説明もあって、こちらも大和ミュージアムに負けずとも劣らない濃密な内容です。そして、あまり広く知られていない、このような自衛隊の地道な活動には本当に頭が下がる思いです。

こちらは3階フロア。潜水艦についての詳しい解説や、潜水艦の内部を模したベットや食堂などが展示されていました。ベットに横になってみましたが、これは狭い・・・。
次いで、実際の潜水艦の内部へ。

やはり、中は狭いです。

操縦室内。やや中腰状態じゃないと立っていられませんでした。
「てつのくじら館」を出る頃から、雨がポツポツと降ってきました。これは少し都合が悪い・・・できれば、街歩きが終わるまではもって欲しかったのですが、仕方ありません。
雨の中、海上自衛隊の基地へ向かいます。ここには、旧呉鎮守府庁舎の建物があり、ぜひとも見ておきたかったものです。

今は「海上自衛隊呉地方総監部庁舎」となっています。明治時代に建てられたレンガ造りの堂々たる建物です。
日曜日には内部も一般公開されていますが、この日はこのように外から撮るよりほかにありませんでした。
北に向かい、「入船山記念館」に向かいます。

「旧呉鎮守府司令長官官舎」をはじめとする明治期の建物が復元されていて、近代ロマンが好きな私には必見のスポットです。

旧呉海軍工廠にあった時計台。今でも正確な時を刻んでいました。

ちょっとだけ、明治時代に迷い込んだような・・・いかつい軍人さんが登場してもおかしくありません。
この頃から、雨がいっそう激しくなってきました。
あいにくと傘はクルマの中。一旦、傘を取りに駐車場まで戻ります。
戻る途中で通るのが、美術館通り。

入船山記念館と市立美術館の前を走っている、レンガ敷きの美しい通りです。
同じく美術館通り沿いには、「自衛隊音楽隊」も。

街の中に、自然に自衛隊が溶け込んでいます。今もここは、国防の重要拠点ですね。
クルマまで戻り、ここからは傘をさしての散歩となります。さすがにこの雨では、ということで自転車は諦めました。
ここからは市街地めぐり。市内は道路の幅が広く、オフィスビルや商業ビルも密集しています。

本通り。

市内を流れる川にかかる橋。このような橋がいくつもかかっています。

左手の洋服店のショーウィンドーには、海上自衛隊の制服でしょうか。こういうところも呉の街ならではです。
繁華街「れんが通り」へ。

呉市内随一のアーケード街で、お店も賑わっていました。その名の通り、路面に一面、レンガが敷き詰められています。
そのれんが通りの入り口に、気になるコーヒー店がありました。

「海軍さんの珈琲」。昴珈琲の本店です。コーヒー豆の小売、挽き売りをするお店で、店内にはコーヒーの良い香りとともにたくさんの種類のコーヒー豆がうず高く積まれています。
こちらで買い求めたお土産がこちら

「海軍さんの珈琲」と海軍カレーのセット。カレーにも良く合うコーヒーとのことで、味わうのが楽しみです。
以上で今回の街歩きは終了。クルマを停めてある駐車場に戻ります。

雨が降りしきる呉の駅前。
呉の街は期待以上で、まだまだ全然見足りないのですが、宿泊の予定はしていないのでさすがにそろそろ帰路につかないと、帰宅がどんどん遅くなってしまいます。
次は泊まりがけでゆっくり巡ってみようと思います。
17時に出発。帰路は、R185で三原までシーサイドドライブの後、尾道に立ち寄って尾道ラーメンの夕食。
福山から山陽道に乗ります。そのまま夜のうちに帰る予定だったのですが、途中のSAでちょっと仮眠のつもりがしっかりと寝てしまい、明け方に再出発。自宅着は朝の7時でした。

今回の総走行距離は1023.9km。車載の燃費は20.3km/Lでした。
やはり1000kmを超えると日帰りは厳しいですね。さすがに車中泊2泊は少々疲れました。
ということで、思わぬ長文になってしまいましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。