2007年12月27日
自動車業界今年最大の話題となったGT-Rに試乗してきた。 試乗についてはGT-RのHPにて募集してたのに当選。 週末のみで6人/日しか乗れないということなので、そこはラッキーだったのだろう。 後で本社ギャラリーの人に聞いたら、6人/日の募集に千人もの応募があったとか。 ・・・ってことは約150倍の倍率(第一回目の募集期間でこの倍率だから2回目以降の期間の各日はさらに高くなってるだろう。)に当選したことになる。 この勢いで宝くじも当たってくれるといいのだが。。。
当選したのは12月23日(日)の午後3時半からの試乗。 試乗の案内が届いたのは7日(金)。 試乗まで2週間以上あるが、試乗案内には本社ギャラリーに集合で試乗時間は30分程度とのことなので、おそらく銀座界隈を軽く流す程度と予想し、その中で何ができるか、どこに絞って何を感じるかということの計画をした。 それもあって1速、そして2速でどのくらいの速度になるのかが気になり理論最高速を計算したり。。。
ただ超高回転エンジンでないにも関わらず、0-100km/hが3.6秒(メーカ公表値)というデータからTurboを効かせたときの吹け上りが尋常ではないことや、筑波のファーストトライアルが1分3秒というの映像からも、100-200km/hの高速域は言うまでもなく速いのだろうとも予想できる。 気になるのはそのフィーリング。 そして速さばがりがいろんなメディアで取り上げられてが、街乗りではどうなのか、そしてマルチパフォーマンススーパーカーと呼ばれるように、誰でも、どこでも、どんな時でも愉しめるという面においてはどうなのか、等というところに主眼を置いて試乗することを考えた。
また、試乗する数日前に仕事で銀座に行く機会があったので、仕事後に日産本社ギャラリーに寄り、GT-Rを運転するときに何か設定することがあるのかを聞きに行き、取扱説明書のセットアップスイッチの部分を抜粋してコピーしてもらった。 その取扱説明書はこちら。
そして体調を万全に整えて(笑)当日を迎えた。
日産本社ギャラリーには1時間ほど前に着き、改めてセットアップスイッチをどういう順番で使うかの復習。 30分ほど待ったところで目の前に現れたGT-R。
「わ」ナンバーのGT-R。← 日産本社ギャラリーの試乗車は全て日産レンタカー扱いとのこと。(わずか走行400kmの個体だった。)
今まで屋内でしか見たことがなかったので屋外で見るのはこれが初めて。(この試乗の後で銀座で1台、ウチの近所で1台走ってるのを見た。) 他の日産車(以前に試乗したV36スカイラインやZ)と比べると異様にデカく、そして分厚く見える。
AstonMartinと同じようなドアオープナーを開け、シートに座り、自分のポジションを決めエンジンスタート。
意外にもアイドリングは静か。 ただトランスアクスルということもあり、センタートンネルから後席のさらに後方くらいからグィ~ンという音が車内に響く。
まずは、ギアをAモードのノーマルモード、ダンパーのセッティングをCONF(コンフォートモード)にしてスタート。 ちょっと余談だが、VWのDSGと同じように、ギアを走行モードに入れると半クラ状態になり、クリーピングがあるのでブレーキを踏んでいないとズルズルと前へ進んでいく。
助手席には銀座界隈の道路を知り尽くしたGT-R試乗専門のスタッフが同乗し、試乗コースを案内してくれた。 基本的には日産本社から晴海の客船ターミナルまでを往復するルートらしいのだけど、スタッフの心遣い?なのか、午後の通行量が少ないところをメインにGT-Rの加速を十分に堪能できるルートに。(折り返し場所は同じ晴海の客船ターミナル前だけど、そこへ行くルートを変更してもらい、往復距離にして通常ルートの約3.5倍ほどに。)
はじめの3kmくらいは、あえてターボを利かさないように4千rpmくらいでギアチェンジするようにした。 トランスアクスルによってギアのガシャガシャ音が後方から聞こえるのには、慣れるまで違和感があるけど、乗り心地は悪くない。 しかし、CONFモード脚とはいえ、ランフラットタイヤ、そして築地界隈の凹凸を低速で拾う量はかなり多いので、ドライバーは良しとしても、助手席にクルマのことをあまり好きでない、もしくは興味がない人を乗せるとクレームが出る硬さではないかと。 またターボをほとんど利かさなくても、3.8Lという余裕の排気量から車重はそんなにも気にならない。
交差点で停まったときに、ギアをMモードのRモード、ダンパーもRモード、VDC-RもRモードに設定。

そして・・・
GT-Rのフル加速に近い状態をどう言葉で表現すると伝わるのか分からないけど、点と点をワープしてるような感覚・・・とでも言おうか。 そしてターボが効いてから身体にかかるGは、ジェットコースターの最も高いところからほぼ垂直に下降したときに腹がよじれるような(実際にはよじれないけど)感じかもしれない。 60.0kg・mのトルクは、シートに押し付けられるというより、後ろから思いっ切り引っ張られてるよう。
そんな強引な加速をするも、V36スカイラインクーペのような加速中のエンジンの振動はほとんど感じない。 とても安定している。 且つ、ホントに1740kgも車重があるのか? というくらい車重をほとんど感じない。 おそらくクルマの重さに対して圧倒的にパワーが勝ってることもあるのでしょう。
2速に入れてもその加速の強引さは変わらない。 ギアがMモードのRモードということもあり、日産が公表している0.2秒でシフトチェンジというのもとても早く、人間にはとてもできない技というのが分かる。
ブレーキも必要十分以上に効く。 試乗中、広い場所で一度だけフルブレーキングに近いことをさせてもらったけど、気持ち悪くなりそうなくらいに逆Gがかかる。 しかし、そんなブレーキングをしても姿勢を全く乱さずに停まるのは、ホントに関心。
RモードのダンパーはCONFモードのときの乗り心地とは全く別物。 とにかく硬い。 でも決して路面を離そうとしないところは素晴らしい。 どんな状況でもトラクションをかけようとしてるので安心して踏んでいけそうな気がするだけでなく、スタビリティも素晴らしい!
そして動力性能や制動性能以上に感動したのがハンドリングの正確さ。 BMWとかM3とかの比じゃないだろうと思う。
トランスアクスルでギアの音が後ろから聞こえるけど、このレイアウトの恩恵はステアリングを切ると同時にノーズがスッとシャープに入っていくので、驚くくらいに気持ちイイ。 しかも、全くアンダーステアを感じずに、狙ったライン通りにコーナーを抜けていくことができる。 今回の試乗でも、多少の横Gをかけるようなちょっと無理?な速度でコーナーに入っていくのだけど、そんなこともお構いなしかの如く、GT-Rは涼しい顔してコーナーを抜けていってしまう。 いい例えではないとは思うけど、Lotus ELISEのよう。
そこに路面を離さない脚と、ターボを利かせたときのワープをするような加速が加わるのだから、正直、今まで乗ったクルマとは、あらゆる意味で、走る、曲がる、止まるが全く別次元に感じた。 そしてクルマそのものが持つポテンシャルの高さがとても高次元で融合されていて、それを自然に感じさせるところはスゴイ。
試乗前に理論最高速を計算し、GT-Rは5,000~6,400rpmを使うのが真骨頂と書いたけど、下の回転を4,000rpm付近のターボが効いてるところからと修正したい。 その領域を愉しめるように試乗してたけど、ホントに愉しい! 3速でも同じ領域まで使ってしまった。。。
他に気付いたところとしては、いつもものように2速ギアにして低~中回転域を使いアクセルを爪先で3~5回/秒の早さで数mm踏んだり離したり・・・は、V36スカイラインクーペほど敏感ではないけど、半テンポまでいかないくらいの遅れを感じる。 まぁ、許せる範囲でしょう。
乗る前から大きいと感じてた車体は、乗ってみても大きく感じます。 ここは乗ると実寸より小さく感じる欧州車みたいになってくれると嬉しいでしょう。 また車内からはCピラー部、そしてリアウィンドウの高さもあまりないので後方視界(特に左後方から接近してくる車両など)は、ほとんど死角の中に入ってしまうので、より注意が必要かもしれません。
それと、まだGT-Rそのものが全国的に納車が始まって間もない時期の都心での試乗(晴海方面で人やクルマが少ないということはあるけど)ということもあり、交差点で停まってるとき、そして歩行者からもとても注目度が高い。
今回の試乗で唯一?残念だった?のが、23日(日)の天気が3日前までは曇/雨だったのだが、当日朝に雨が上ってしまい、天気が急速に回復したことによって路面が完全ドライになってしまったこと。 なので“どんな時でも”ということで弱ウェット、もしくはウェットで踏めるか?・・・ということを期待してたのだけど、それが試せなかったのは心残りかも。 また、セットアップスイッチのダンパーセッティングをノーマルとかしたけど、CONFモードとの差が自分には分かり難かったのが本音。
しかし、そういうのは別としても、日産が提唱している誰でも、どこでも、どんな時でも愉しめるマルチパフォーマンススーパーカーというのは、自分のような運転が下手な人間でも、かなり愉しませてくれるので、相応に当たってると思う。
“スーパーカー”という言葉で、Ferrariやランボルギーニ、または他のスーパーカーと比較しがちになってしまうけど、個人的には“マルチパフォーマンス”という枕詞が付いた別のカテゴリやジャンルのクルマではないかと思います。 そしてこのジャンルにはまだGT-Rしかないのかもしれないけど、このジャンルが育っていくことを、そして国産のホントの意味でのスポーツカーが再び熱い市場になることを切に望みたい。
【関連過去ログ】
■GT-R全色に触れてきた
■GT-Rはタイムアタック仕様
Posted at 2007/12/27 01:16:30 | |
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