人口80万人余の福井県。
その規模の割には、県出資の第三セクター『えちぜん鉄道』と、沿線の越前市、鯖江市、福井市出資の『福井鉄道』の、JR以外に2つの鉄道事業者がある稀有な県。
福井市内の田原町駅は、両社が近接した乗換駅。
これまで線路はつながっていませんでしたが、今、それを接続して相互直通運転化する工事が行われています。
沿線には、大学、高校と病院がそこそこ並んでいることから、これまで田原町で乗り換えを強いられてきた学生や年配者の利便性が向上します。
開業予定は、3月27日
福井鉄道の路面区間から田原町駅へのアプローチ。
福井鉄道は、福井市『田原町』から鯖江市を経て越前市『越前武生』に至る21.4kmの路線『福武線』を有します。
このうち、福井市内は、軌道法による路面併用区間となっています。
福井鉄道の車両は、低床の路面電車型と高床の鉄道型に分けられます。
路面電車型には、廃止された名古屋鉄道岐阜市内線、揖斐・谷汲線、美濃町線から譲渡された770形、800形、880形。 新潟トランシス製の自社発注LRT F1000形。 イベント用として土佐電鉄から譲渡された、元ドイツシュツットガルト市電の735形(通称レトラム)があります。
高床型車両には、自社発注の前面2枚窓連接車200形、元名古屋市営地下鉄名城線1100形、1200形を台車換装し、パンタグラフ集電に改造した600形と610形があります。
現在は鉄道線の駅もすべて低床車対応で低く切り下げられたため、高床車の乗降時は車両に装備されているステップが開閉します。
工事中の田原町駅。手前は供用を開始した福井鉄道の折り返し線。
向かいが直通運転用に増設しているホーム。
一番奥にえちぜん鉄道が発着します。
軌陸車がバラスト敷設の真っ最中。
名鉄美濃町線から譲渡された880形。
2車体連接で、側面のユニット式2段窓が特徴的。
田原町駅西側にある『えちぜん鉄道』と『福井鉄道』の接続部。
既に連絡ポイントが敷設されています。
左が「えちぜん鉄道」、右が「福井鉄道」
えちぜん鉄道は、『福井駅』から『勝山駅』まで27.8kmを結ぶ『勝山永平寺線』と、途中『福井口駅』から分岐して『三国港駅』まで25.2kmを結ぶ『三国芦原線』を運行しています。
以前は、京福電鉄福井支社として長く営業してきましたが、2000年と2001年、立て続けに正面衝突事故を起こし、全線運行停止に追い込まれました。
京福電鉄は事業の継続が困難として路線廃止を表明。
運行休止中はバスで代替輸送したものの、国道、県道が慢性的な大渋滞となり、皮肉にも通勤通学の足としてバスが機能しないことを証明した社会実験となってしまいました。
この結果を重く見た福井県は、第3セクター方式で鉄道の存続を決定。
2002年に『えちぜん鉄道』が発足し、2003年営業運転が再開されました。
MC6101形
えちぜん鉄道発足に伴い、愛知環状鉄道から片運転台の100形2両と両運転台の300形12両を譲り受け、100形は両運転台化改造のうえMC6001形として、300形はMC6101形として投入されました。
日中は単行運転が多いのですが、朝夕は2両連結される運用もあります。
MC7000形
2013年と2014年、JR飯田線を走っていた119系を譲り受け、モータと制御装置をVVVFに換装。
シングルアームパンタを装備のうえ、MC7000形+TC7000形として12両が投入されました。
Mc+Tc(モハとクハ)の2両固定編成。
正面デザインも国鉄105系顔からえちぜん鉄道顔に改造され、イメージが変わりました。
側面と車内には国鉄近郊型の面影が残ります。
VVVF化されましたが、台車が元車のコイルばねDT21のままなのが残念。
京福電鉄時代は、南海や阪神(台車は交換)から譲渡された車両が主力。
えちぜん鉄道にも引き継がれましたが、MC7001形の増備で殆ど廃車されました。
引き継がれた唯一の現存車両は1両1形式の両運転台車MC5001形です。
(写真はWikipediaから)
えちぜん鉄道MC5001は、京福電鉄が最後に増備した両運転台車両5000形で、1999年に2両製造されました。
車体は阪神電鉄系列会社の武庫川車両工業製、台車や電装品は豊橋鉄道1900形の廃車発生品を流用。5002は前述の、2001年正面衝突事故で大破し廃車。5001のみがえちぜん鉄道に継承されました。
MC6001形、MC6101形、MC7001形、いずれも全長20m級の鉄道線用大型車のため、路面区間への乗り入れはできません。
このためえちぜん鉄道は、乗り入れ専用の新潟トランシス製LRTタイプ低床車両を既に増備しています。まだ営業運転には入っておらず、福井口車庫で眠っているとのこと。
工事前の田原町駅です。 (写真はWikipediaから)
接続予定部分ですが、線路はつながっていません。
工事前の田原町駅に停車中の福井鉄道200形(写真はWikipediaから、)
福井鉄道200形は自社発注の1960製で福鉄最古参車両。
日本車両製造の私鉄向け高性能電車群に類し、名古屋鉄道5000系、長野電鉄2000系、富士急行3100形、富山地鉄14770形、14780形が同世代の類似設計車両。
200形は3編成製造されました。
F1000の増備に伴い順次廃車される計画で、現在稼働しているのは1編成。
第一編成201-1+201-2はすでに解体されました。
200形は2車体連接であることが福井鉄道オリジナル設計となっています。
動力台車は、それぞれ運転台側台車となっており、連接部台車は無動力。
もう一つ、延伸工事が行われている福井駅前広場に移動します。
途中すれ違ったのは、福井鉄道770形、名鉄時代は岐阜市内線から揖斐・谷汲線への直通急行に使用されていました。
側面のHゴム固定窓が特徴。
770形の車内。 4編成8両あり、この車両はトリプルセブン777。
F1000形(通称フクラム)第二編成、新潟トランシス製のLRT。
富山ライトレール、万葉線、熊本電鉄、岡山電軌に同型車があります。
福井鉄道車は、系列唯一の3車体連接。
市内線停留所の改良工事も進められています。
今月から使用開始された「木田四ツ辻」停留所。
幅が拡大され屋根とベンチが設置されました
福井駅前停留所に停車する800形
800形は名鉄美濃町線で使用されていたVVVF制御の部分低床車。
クロスシートを装備していますが、単行のためラッシュを避けた日中と夜間の運転が主力。
福井駅前(通称ヒゲ線)の延伸区間。既に架線も張られています。
福井駅西口ロータリーに延伸され、工事中の福井駅前電停
工事が続く福井駅西口ロータリー
惜しいと思うのは、高岡の万葉線や富山市内線のように、駅ビル内に乗り入れるという発想までには至らなかったこと。
福井駅東口に高架線で発着するえちぜん鉄道ですが、例えば富山ライトレールと地鉄富山市内線の計画のように、福井駅の下をくぐらせて接続し、市内環状線を構成させる、という考え方もあったのでは?
軌道法事業者と鉄道法事業者の相互直通運転は全国初のケース、とのことです。
が、福井県の担当者はつい最近まで、鉄道事業の法律には軌道法と鉄道事業法があることを理解していなかった、という信じがたいエピソードも聞こえています。
利用者の立場に立った長期的な視点の施策が望まれますね。
(;^^)
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