富山駅北と岩瀬浜7.6kmを結ぶ、日本の新世代路面電車LRT
(Light Rail Transit)の草分け的存在。
今回は、Webページ『思いで鉄道探検団』さまのご協力をいただきながら、その歴史を辿ってみます。
郊外電車が路面区間に乗り入れる「トラムトレイン」と呼ばれる運行形態は、富山ライトレールが目新しい訳ではなく、広島電鉄、阪堺電軌、福井鉄道とえちぜん鉄道などで見られます。
これは福井鉄道と相互直通するえちぜん鉄道L形(ki-bo キーボ) (えちぜん鉄道 鷲塚針原駅)
富山ライトレールが話題となったのは、国鉄-JRの赤字ローカル線を、一部路面軌道を新設して、次世代都市交通に作り替えたこと。
前身は、1924年開業の「冨岩鉄道」
沿線は、工業地帯になっていて貨物支線も順次多数敷設され、通勤と貨物輸送に従事しました。
第二次大戦前に「富山電鉄」今の「富山地方鉄道」に吸収合併され、さらに戦時中に国有化。
「国鉄富山港線」となりました。
路線図です。黒い太線が富山ライトレールの今の路線。
岩瀬浜-富山駅北間に「停留所まで歩いて300m以内」をコンセプトに、富山港線時代に比べ4駅増設され、ほぼ600m間隔で13駅が設置されています。
点線は廃止された路線。このうち、富山から奥田中学校前は富山ライトレールの路面区間に置き換えられた区間ですが、それ以外の点線は工場への引き込み線を含む貨物支線です。
(赤丸〇は、本文写真の撮影場所)
線路と架線はここまで。
富山港線時代は、この奥、踏切を挟んで、白いミニバンが見える左側に緩くカーブして海岸の近くまで線路が延びていました。
2003年9月 岩瀬浜駅に停車するキハ120-344(思いで鉄道 富山港線の思い出から)
JR時代の富山港線末期、朝夕は475系の3両編成が30分毎、日中はキハ120が単行で1時間毎に走る閑散路線でした。
冨岩鉄道から国鉄を経てJRまで、富山港線は交流電化の北陸本線とは孤立して直流電化されていました。
国鉄時代は、スカイブルーに塗られた72系クハ79+クモハ73が走る旧型国電の通勤路線。
1982年2月 岩瀬浜駅停車中のクハ79922(富山港線の思い出から)
2003年9月 岩瀬浜駅(富山港線の思い出から)
同じ角度から見た、現在の岩瀬浜駅です。
線路の反対側は、バス停になっています。
『フィーダーバス』と呼ばれる乗り継ぎ路線バスと、駅ホームで対面乗り換えできる構造。
②東岩瀬駅です。
東岩瀬駅は、富山ライトレールで唯一国鉄時代の駅舎が残る駅。
今は待合室のほか、町の集会所として使われています。
③列車行き違い可能な大広田駅
大広田駅の反対側、岩瀬浜方向です。
富山港線時代の大広田駅は、左に曲がる道路と右の線路に挟まれた三角地帯にありました。
左に曲がる道路は・・・! 富山港に向かう貨物支線の廃線跡なのです。
④富山港展望台からみた富山港と岩瀬の街並み。
同じ角度で写された、1954年頃の富山港と富山港貨物駅。(Wikipediaから)
右に富山港線大広田駅から分岐した貨物線が見えます。
⑤大広田-蓮町間を走る富山ライトレールTLR0600。
私が子供の頃、富山港線にはまだ貨物列車が走っていました。
72系各駅停車の合間に、ワム, トラ, タキなど数量の貨車を牽いたDD13やDD15の姿が見えたのを覚えています。
⑥城川原駅です。
列車の行き違いができるほか、車両基地、運転指令所と富山ライトレール本社があります。
国鉄富山港線時代1972年8月の城川原駅(富山港線の思い出から)
スカイブルーのクモハ73+クハ79、戦時設計モハ63から改造編入された3段窓車。
同じ角度から見た、城川原駅の岩瀬浜方向です。
線路の配置は当時と大きくは変わりません。
同じ角度で見た、国鉄富山第一機関区城川原派出所(富山港線の思い出から)
国鉄富山港線には、クモハ73+クハ79のほか、予備車として、クモハ40076が配置されていました。
クモハ40076は3扉でしたが両運転台なので、クハ、クモハどちらの代用も可能で重宝されていました。
城川原派出所には、こじんまりとした検修庫がありました。(富山港線の思い出から)
同じ角度から見た、今の城川原車両基地。
国鉄時代の末期、富山港線には予備車のクモハ40076以外には、クハ79 920番台全金属車とクモハ73 更新改造車が集中配置されていました。(富山港線の思い出_から)
80系300番台と同じく「旧型国電の完成形」と言われた近代化車両。
クハ79 920の外観は、片開き4扉であること以外、新性能電車の始祖101系と変わりません。
TLR0600が富山駅北へ向けて発車します。
⑦奥田中学校前駅
冨岩鉄道時代、この近くに「薬専校前停留場』がありましたが、国鉄時代に廃止。
富山ライトレールとなって奥田中学校前駅が新設されています。
私、中学一年生まで奥田中学校に通っておりまして、その後父親の仕事の関係で函館へ転校。
高校受験の時、再び富山に戻り、富山港線の72系旧国で通学していたのでした。
鉄むすめ「岩瀬ゆうこ」のイラストが見えます。
奥田中学校前駅の富山駅北方向です。
ここから90度曲がって道路に新設された路面区間となります。
富山港線時代は、この先に線路がありました。
今は、歩行者自転車専用道となっています。
TLR0600富山駅北行が来ました。
路面区間へ進入。
「奥田中学校前」から「インテック本社前」までの340mは、今年2018年に道路を拡幅し複線化されています。
右の白い路盤が今回複線化された線路。
「奥田中学校前」と「インテック本社前」の間、この「永楽町交差点」には新しい停留所が作られることになっています。
上の写真から交差点を挟んだ180度反対側。このあたりに「永楽町停留場」が作られる予定。
開業当初の永楽町交差点付近です。将来の複線化を見越して、八田橋付近と、奥田中学校前には、初めから分岐機が設置されていました。
(Wikipediaから)
ノンステップ、超低床車体がよくわかります。
牛島町交差点で曲がると、車道と歩道に挟まれた緑地帯の併用軌道を走ります。
何となくヨーロッパのトラムの雰囲気。
国鉄富山港線のホームは、北陸本線とは離れた専用の6番線でした。(富山港線の思い出から)
クモハ73は、同じように見えて、方向幕の有り無し、雨どいの有り無し、などのバリエーションがありました。
雪国富山ですが、富山港線の72系にはスノープラウは設置されていませんでした。
当時積雪1mくらいは当たり前。大丈夫だったのかなぁ?
JR富山港線末期は、北陸本線475系(457系)3両編成が使用されていました。
このため、渡り線に交流直流切替えの「デッドセクション」が設置されました。
富山駅は、富山地鉄との連絡線に加え富山港線の渡り線と、デッドセクションが2か所もある珍しい構造に。
また朝夕のラッシュに対応するため、クハの先頭にクハを増結し、クハ455+クハ455+モハ474+クモハ475という変則的な4両編成が走っていた頃もあります。
中央東線「アルプス」や飯田線でも165系の、クハ+クハ+モハ+クモハという編成が見られました。
現在、あいの風とやま鉄道の富山駅付近高架化工事が進められ、上り線は既に高架駅になっています。下り線は、2019年頃高架化完成の予定。
富山駅付近在来線の高架化が完了すると、富山ライトレールは富山駅北から延伸され、富山地方鉄道富山市内線と直結して相互直通運転を行うことになっています。
北陸新幹線高架下にある「富山駅停留場」です。新幹線に直結する路面電車は日本で初めて。
左は環状線セントラム9000形、右は3車体連接のサントラムT100形。
富山駅前には市内線のダブルクロスポイントとデルタ線が設置されています。
セントラム9000形と8000形。
市内線環状線の西町交差点を曲がる富山地鉄「セントラム9000形」。
富山ライトレールTLR0600と同じ設計の車両。
森雅志 富山市長が提言した「富山コンパクトCity構想」。
LRTなど次世代交通システムで結節して、都市機能を中心部に集約し利便性を向上しつつ、街全体の維持・管理コストの削減を図るもの。
その施策の一環として開業した富山ライトレールの成功事例に、全国自治体の注目が集まっています。
宇都宮市は、富山を参考にLRTの新設を決定。工事が開始されました。
福井では第三セクターえちぜん鉄道と地方私鉄福井鉄道(実態は市町村が出資する第三セクター)
をLRTで結ぶ、という全国初の取り組みが実施されました。
(画像ご協力)
Webページ『思いで鉄道探検団』さま
(ありがとうございました。)
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