福井県を走る、第三セクター鉄道の
『えちぜん鉄道』。
京阪グループ『京福電気鉄道福井支社』の路線を引き継ぎ、福井-勝山間27.8kmの勝山永平寺線と、福井口-三国港間25.2kmの2路線を運行しています。
全線単線、軌間1067㎜、架線電圧は直流600V。
乗り鉄したのは、2018年12月15日土曜日の朝。
前夜は、会社の忘年会で芦原温泉にお泊り宴会。
帰りは、同僚のクルマの相乗りを丁重に辞退して、えちぜん鉄道『あわら湯のまち駅』から三国芦原線に乗車します。せっかくなので、すぐに福井には向かわず、一旦終着の三国港(みくにみなと)駅を目指します。
室内は、背もたれが直角なクロスシートとロングシートが並ぶ、どこか懐かしい雰囲気…!
ここは、国鉄金津駅(今の芦原温泉駅)から延びていた、国鉄三国線の終着駅。
国鉄三国線は廃止されましたが、京福電気鉄道福井支社が芦原(あわら湯のまち)-三国港間を譲り受け、電化してて延伸開業しました。
行き止まりの線路が郷愁を誘う…。
えちぜん鉄道Mc7000形。
両開き3扉のこの電車。えちてつでは、2両編成より長くつなぐことは無いので、正面貫通扉に幌座がありません。
上部中央の前照灯と尾灯はLEDになり、前面は今風なマスクになっていますが・・・。
元を糺せば、国鉄が製造しJR東海に承継された『119系近郊型電車』なのでした。
台車は国鉄式コイルバネDT21のままですが、駆動と制御は交流同期モータのVVVF制御に換装されています。
119系が登場したのは1982年。国鉄が慢性赤字にあえいでいた頃・・・。
119系は主に飯田線で使用されましたが、「するがシャトル」として静岡都市圏の東海道本線で運行されたことも!?
JR東海塗装の119系。(Wikipediaから)
両開き3扉、裾絞りなしの車体と正面デザインは、国鉄が地方路線用に開発した105系電車に類似しています。
その後、JR東日本が165系の足回りに新製車体を組み合わせて製造した107系は、似たデザインですが、側窓が大型1枚窓になっていました。(Wikipediaから)
105系の座席はロングシートなので、車両形式2桁目が「0」の通勤型であるのに対し、セミクロスシートを採用した119系は、形式2桁目が近郊型を表す「1」になっています。
これらローカル線向け新造車や改造車は、短編成化して車両運用を合理化するため、制御系は国鉄が得意としていた2両一組のMM’ユニット方式をやめて、1M方式を採用。
水色に白ラインの塗装は、1982年国鉄119系登場時のスタイル。(Wikipediaから)
話を戻して…、三国港駅です。
駅に戻ってMc7000形に乗り込みます。
ドア上部の路線図には「えちぜん鉄道」の全駅を表示。
三国港駅を発車すると、レンガ積みの跨線橋をくぐります。
のどかな単線を走って芦原温泉街方向へ。次は、初めに乗車した「あわら湯のまち駅」です。
いかにも「国鉄然」とした直角シートですが、モケットは「えちぜん鉄道」のEマーク入りに交換されています。
「大関駅」で、京福電鉄から引き継いだMc5000 形5001とすれ違い。
Mc5000形は、京福電鉄福井支社が増備した電車。2両作られたものの、5002形は京福電鉄福井支社が運行停止命令を受け第三セクター化するきっかけとなった、京福電鉄正面衝突事故で廃車に。
残った5001形1両がえちぜん鉄道に引き継がれ、現在も使用されています。
車体は新造、台車、モータ、冷房装置は、豊橋鉄道1900形の機器を流用。
「鷲塚針原駅」で、福井鉄道乗り入れ直通急行用のL形、通称「キーボ」に遭遇。
福井鉄道との相互直通には、路面電車対応の低床車が使用されるため、鷲塚針原-田原町間の駅には、高床ホームと低床ホームが併設されています。
L形「キーボ」は2両連接の、新潟トランシス製のLRV(Light Rail Vehicle)。
富山ライトレール、熊本電鉄熊本市内線、万葉線、岡山電軌そして福井鉄道に兄弟車があります。
これは、えちぜん鉄道福井口車庫に滞留中のL形。
その福井鉄道が所有する相互直通急行用乗り入れ車両は、新潟トランシス製最大の3車体連接F1000形。相互直通ですが、乗入れする車両の規格は両社で統一されていないのでした。
こうした例は珍しいのですが、ほかには阪神なんば線があります。阪神なんば線は、近鉄が20m級4扉車、阪神が18m級3扉車で相互乗り入れをしています。
福井鉄道との接続駅『田原町』駅に到着。
列車後部から見えるポイントが、えちぜん鉄道と福井鉄道の接続部です。
左は、福井鉄道880形。
田原町駅に停車。隣の福井鉄道ホームには、元名鉄美濃町線用モ880形を譲渡された880形が停車中。
名鉄美濃町線時代のモ880形 (Wikipediaから)
えちぜん鉄道の車庫がある「福井口駅」。向かいは、Mc7000形の勝山行。
終点『福井駅』に到着。
隣は、Mc6100形の三国港行。
えちぜん鉄道Mc6000形、Mc6100形は、元愛知環状鉄道の100形と300形。
愛知環状鉄道が、JR東海313系と共通設計の2000形を導入したことで、余剰となった片運転台の100形と両運転台の300形を無償で譲り受け、片運転台の100形は両運転台に改造されました。
えちぜん鉄道では、単行または2両編成で使用され、貫通扉には幌座と貫通幌が装備されています。
また、制御方式は抵抗制御ですが、ボルスタレスのエアサス台車を履いています。
メカ的にMc7000形と対照的なのが面白い。
(Wikipediaから)
えちぜん鉄道には、京福電鉄から引き継いだ元阪神電鉄の車両もありました。
これは、並行カルダン駆動のMc2200形。(Wikipediaから)
元は阪神電鉄赤胴車3301形。両運転台なので武庫川支線で運用されていました。
阪神は標準軌1435㎜なので、台車は京福入線時に国鉄型DT21に換装されています。
(Wikipediaから)
釣り掛け駆動、片運転台2両編成のMc2100形。(Wikipediaから)
元は、阪神普通列車用青胴車、通称「ジェットカー」の5231形。
これは阪神5231形の後継車5260形。(Wikipediaから)
えちぜん鉄道、福井口-福井間は、北陸新幹線工事の一環として、昨年新設高架区間として開業。
それまでは、先に出来上がっていた北陸新幹線用高架橋を借用して、暫定高架区間で運行していました。
新幹線開業前に列車を走らせた例としては、過去にも、阪急電鉄京都線が、開業前の東海道新幹線高架区間を間借りして、上牧-大山崎間の高架化工事をしたことが挙げられます。
えちぜん鉄道福井駅です。
左は、高架橋のみ先に出来上がり、えちてつが間借りしていた、北陸新幹線の高架橋。
昨年11月、タレント横澤夏子が主演し、えちてつアテンダントの業務を描く「えちてつ物語」が公開され、11月18日に観てきました。
夢破れ、故郷に戻った主人公が、えちてつのアテンダントとなり成長する姿を描いたストーリーですが…。この手の映画やドラマにありがちの、いかにも地元の観光案内を、といった演出が目立ったのが残念。
その点、偶然にも、ほぼ同じ時期に公開された、
有村架純主演『かぞくいろ -RAILWAYS 私たちの出発-』
は、シリーズに共通する、風光明媚な沿線風景を描くも、観光地やご当地モノをクローズアップすることもない、自然な演出に好感が持てました。
舞台は南九州の第三セクター『肥薩おれんじ鉄道』。
まあ、シングルマザー役の有村架純が鉄道の運転士を目指し、気動車を運転すること自体、結構唐突でハチャメチャな展開ではありますが。
あっ、ストーリーは辛辣で真面目でしたよ。じわっと、ほんわかと、させられる内容でした。
会社サボって見に行っただけの価値あり・・・。
シリーズ前作は2012年公開、富山地方鉄道が舞台の、
『RAYLWAYS2 - 愛を伝えられない大人たちへ-』
これも、良かったな~。
こうして、ローカル鉄道に関心が集まるのは、いいことではあります。
f(^_^)
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