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2020年05月30日

ドラマ『路ルウ』台湾Express 700Tの走行音は700系と同じでしたが...。

ドラマ『路ルウ』台湾Express 700Tの走行音は700系と同じでしたが...。



吉田修一原作の長編小説
『路(ルウ)』




NHKと台湾公共電視台PTSの共同制作でドラマ化。

脚本は、「篤姫」も手掛けた川渕久美子。 
全3話、5月30日(土)が最終回でした。
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「プロジェクトX」的な、技術秘話とか苦労話が中心…、ではなく、

それに関わる、あるいは絡み合う人間模様を描いたドラマ。


なので、60分×3話では、ちょっと話を盛り過ぎの感があり、それぞれの背景が十分に伝えきれておらず、消化不良気味なのが残念…。

この物話のボリュームだと、10話くらいでないと描けないのでは。


という話は、またあとで触れることにして。



スラブ軌条の高架線を走る台湾高鐡 700T。
台湾高速鐵道、略して台湾高鐵。

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その走行音は、日本の700系とそっくりでした。

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最終回にもJR東海の700系が登場します。

帰国した春香を乗せて、富士山をバックに富士川鉄橋を渡る700系のぞみ。

有名な撮影スポットです
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トラブル続きで開業予定が遅れたことをマスコミにすっぱ抜かれる場面。

ニュース画面に700Tの先頭車がボンネット開放して連結器を見せる貴重な姿が!

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元々は、フランス、ドイツを中心とするヨーロッパのシステムを導入するはずだった台湾高鐡。車両もTGVベースになるはずでした。

1998年ドイツの新幹線ICEが脱線転覆事故を起こしたこと、そして1999年に台湾大地震が発生したことを契機に、台湾高鉄は運転コアシステムを日本式新幹線方式に切替えることに計画変更。

コアシステム=電化、信号制御システム&車両は日本方式、レールは日本製(新日鉄)、分岐器はドイツ製、通信設備はフランス式という混合システムとなりました。


ドラマでは、台湾高鐡プロジェクトマネージャーのドイツ人副総経理ジャックバルトと日本の技術コーディネータ安西が激しくぶつかる場面が何度かありますが、そうした背景がわからないので、見ている人には理解し辛かったと思われます。


例えば、1話に登場する、乗務員扉とその窓の開閉にかかわる議論の衝突。

700Tには乗務員扉がありません。また、日本では新幹線でも駅出発時に車掌が乗務員室の窓から顔を出して安全確認をするのが普通ですが、台湾プロジェクトでは必要ない、と一蹴されてしまいます。


乗務員扉の無い台湾高鐡700Tと、JR西日本700系7000番台RAILSTAR。
モータ出力は700Tが285kw、700系は275kw。

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台湾高鐡の総延長距離348.5km、駅数12駅は、

九州新幹線博多-鹿児島中央間の268.9km、12駅と規模的には近いです。

最急勾配35‰も同じ。

ちなみに日本の新幹線の中では、在来線扱いの山形新幹線38‰を除くと最も急な勾配。

最高速度は台湾高鉄が300km/hに対し、九州新幹線は整備新幹線法に基づき260km/h。


運行コアシステムは、実際の集中制御室が良く再現されています。
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実際のシステム。

日本信号や京三製作所などの鉄道関連メーカが納入。

Taoyuan ⇒ 台北桃園にあるのですね。

サブシステムはTainan ⇒ 台南、Zuoying ⇒ 左営 に設置。


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台北に近い、燕巣車両工場の場面です。

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コチラは北陸新幹線白山総合車両所、何となく雰囲気が似ています。

(☞北陸新幹線『白山総合車両所見学会』に行ってきた!)

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さて、盛り過ぎというか消化不良なのが、
主人公 春香と台湾人建築士 劉人豪(エリック)との恋バナ。

学生時代の旅行中の出会いから8年ぶりに再会するも、春香は「婚約者がいるの」と伝え、エリックは「好きな人とは友達にはなれない」と、別れを告げるのですが…。

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そもそも、東京の商社『大井商事』(モデルは三井商事ですね)から、台湾のプロジェクト会社に出向を命じられた春香が、現地でどんな業務をしているのか、あまり詳しく描かれていません。

位置づけとしては技術コーディネーターもしくはそのアシスタントのはず…。


プロジェクト仲介の商社が相手法人と打合せるときは、大抵単独ではなく関連するメーカや建設会社のエンジニアを伴うと思われるのですが、ドラマのように技術打合せが商社主体で進められるのも不自然です。

そして、

一時帰国した春香が、名古屋のホテルマンを勤める婚約者繁之に婚約指輪を返し、別れを告げる場面…。

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うーん、何とも罪作りな…。

意識のすれ違いみたいなのは何となくわかるものの、場面展開が唐突なので、これも共感を得にくい描き方に…。

この辺り、このドラマの評価が極端に分かれるところで、春香の評価も両極端。

「春香はエリックと結ばれて欲しい」という声がある反面、「三股掛けた悪女」とか「繁之さんかわいそう」とか...。

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波瑠さんの表情は、なんとも刹那的なんですけどね。

うーん、罪作りな。

小説では、婚約解消された繁之さんはうつ病になるらしいのですが…。
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恋バナに振るなら、韓流ドラマのようにズルズルドロドロにしないと、海外ロケドラマではバランスが取れません。

やはり60分×3話では、背景を描き切れないんですね。



そして、マスコミすっぱ抜かれ事件の責任を取らされ、台湾高鉄を追われた運行管理副責任者のレスター ワンが、開業遅れを挽回するため、再びプロジェクトに戻ってくる場面。

これもちょっと唐突でした。

マスコミの信頼を回復するため、台湾高鐡プロジェクトは、レスターワンの提案で、1ヵ月間の本番ダイヤ無事故試運転を決行。
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この1ヵ月無事故試運転は実際に行われたエピソードですが、それまでに至るトラブルや事故について触れられていないので、その必要性が伝えきれていないのが残念。

"なんでそんなことしなきゃいけないの?"というのが要る訳です。


トライ最終日の最終列車に、板橋駅から副総経理バルトと、春香の上司山尾が乗り込みます。指令所のモニターに映る二人。

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商務車(Business Class)ですね。
日本のグリーン車、シートピッチ1160mm。

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座席表示も日本式。

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700系のグリーン車。

シートピッチ1160mmは700Tも、700系も同じです。

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700系0番台普通車と、700Tの標準車の座席です。

コチラもシートピッチは同じで、100系以来の1060mm。

3-2配置も一緒です。

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試運転最終105列車が板橋駅を発車。

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途中、鳥との衝突が伝えられますが、異常なしとして、列車はそのまま走行を続けます。

航空管制と同じ用語「バードストライク」なんですね。

実際、台湾新幹線の開業前後は、地上を300km/hで走る新幹線に慣れない鳥の群れが相当衝突したというエピソードがあります。

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試運転105列車は終点の左営駅へ。

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左営駅に到着、ホームに停車した試運転105列車。
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無事、1ヵ月無事故試運転を終え、歓声を上げる運行管理者やプロジェクト関係者。

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ホームに降り立ったバルトと安西が、わだかまりを越え握手します。
なんだ、安西も試運転列車に乗ってたんですねー。

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議論がかみ合わない場面では、もう少し欧州側の主張や理念も伝えてほしかった。

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そしてエンディングへ。
開業後間もない、台湾高鐵 板橋駅。

エリックが尊敬する台湾生まれの日本人建築家、ガンに侵され余命短い葉山勝一郎を、春香が台湾新幹線に初めて案内する場面(ややこしい)。

は、話が日本の台湾統治まで及び複雑なのでここでは割愛...。


これもまた、背景が深くて盛り過ぎな訳ですが。
ちなみに、この改札機はフランス式です。
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ここで、これまた唐突に春香は、日本の建設会社に就職し台湾に一時帰国したエリックと再会。

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エンディングの巻き過ぎストーリー感が漂いますが…。葉山に促され、春香はエリックと新幹線に乗車します。

葉山はチケットを買い直し、別の座席へ。
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車内で「台湾に残って仕事を続ける」と、エリックに伝える春香。
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「また離れ離れだね」と、自身は日本で働くエリックの寂しげな表情。
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でも「僕たちは運命なんだ」と、お互いの想いを伝える二人。

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うーん、なんだか無理無理ハッピーエンドに持って行った気もします。


エンディングで、初めて出会った13年前、学生時代の旅行を回想するシーン。

春香がエリックに宿泊するホテルの場所を尋ねて、
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案内してもらったその翌日、屋台レストランで偶然の再会。
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エリックはスクーターで春香を観光案内します。
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この場面は、
「ローマの休日」のイメージなんでしょうねー…。
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やっぱり、背景描写が圧倒的に不足しているのが残念。

「プロジェクトX」にするのか、
「韓流恋バナ」にするのか、

どっちつかずで中途半端なんだなー。

とはいえ、台湾高鐡とJR東海全面協力の、日台合作ドラマ。

意欲的なのは感じます。

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巷の評価は賛否両論のようですが、私はアラ探し的にも楽しめました。



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ブログ一覧 | 鉄学 | 日記
Posted at 2020/06/01 06:39:36

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この記事へのコメント

2020年5月31日 22:31
素晴らしい解説お見事!
実は私自身、某捷運の開業遅れに仕事の影響を受けたので、台湾の鉄道がとても安全に慎重なのは分かります。また台鉄とは独立した高鐵の経営環境も特殊です。さらに技術的指向や運転保安に対する日欧のポリシーの差(良し悪しではなく)もあります。なのでそれを描かないと、一般視聴者には登場人物の葛藤の意味が伝わらないなと思いながら見てました。でもまあ台湾らしい風景が随所に出てきて楽しく見れましたので、満足です。
コメントへの返答
2020年5月31日 23:00
ありがとうございます<(^^;)
台湾で関連するお仕事をされていたのですね!? 私、台湾に出張するまで台湾鉄路局と台湾高鐡が別会社ということを理解していませんでした。在来線乗り換えや駅構造にもいろいろ制約があったようですね。
白熱した議論は欧州、台湾と日本の鉄道文化のぶつかり合いですから、確かにそれをきちんと描かないと。ドラマでは日本が一方的に正しいと主張しているようで気になりました。
とはいえ、面白かったのでその分残念なところが余計に目に付いた訳ですが。せっかくの台日合作なので、丁寧にじっくり描いてほしかったと思います。
(^^)b
2020年6月1日 6:24
おはようございます(^^)。
いろんな事情をご存知なので全体的な構成がわかるんですね。
素晴らしい❗️
結局、1、2話を見逃してしまったので最終回も見送りました。
今後の再放送に期待です😊。
コメントへの返答
2020年6月1日 6:49
おはようございます(^^)/
原作を読んだ訳ではないのですが、建設や開業のエピソードが事実に基づいて描かれており、台湾高鐵やJR東海も全面協力して制作されているだけに、惜しい!と思っちゃいました。飛行機モノや病院モノのドラマ、映画は多いけど、鉄道ものは少ないので、余計に気になるんですね。
でも、トータルでは面白かったですよ♪
次回再放送のときは、是非!
(^^)b
2020年6月1日 13:14
いやぁ、なかなか奥の深い解説に感謝ですよ。こりゃ…見りゃ良かったなぁ(汗) いゃ、どうも字幕入りのドラマってのは抵抗がありまして…老眼かなぁ?!

台湾、いいですね!大陸とはまったく違う文化ですもん…行きたいですよ、いつかは。台湾には、いつまでもこのままであって欲しいと願うばかりです。
コメントへの返答
2020年6月1日 17:27
ありがとうございます。自分が駐在員ということもあり、ハマっちゃいました。
あー、惜しい。ドラマはほぼ日本語で展開し、時々字幕付き英語と中国語なのですんなり見られました。また再放送すると思うので是非!
調べたところ、台湾ロケは昨年12月頃の2カ月間。コロナ禍が騒がれ、脚本を圧縮し3話にまとめたとのこと。撮影を完結するギリギリの判断で確信犯的な盛り過ぎだったのですね。
台湾の俳優陣も素敵でしたし、主役の波瑠さんの才女と悪女ぶりも良かった…。
仕事する女性には弱いんです。
<(^^;)

プロフィール

「@essay@ さん、はい。Web版と朝刊3ページに写真が掲載されました。インタビュー記事が無いのが残念ですが…。」
何シテル?   05/06 22:41
柴犬のLEN吉、本名「レン」永遠の12才です。 クルマでお出かけするのが大好き。 イベントで見掛けたら、声を掛けてください。 (^^)/
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