
7月19日(土)
なかなか進まない実家の片づけ…。
閉じこもって作業するのも息が詰まり、
午後、久しぶりの富山地鉄乗り鉄へ⁉
富山地方鉄道は、先期まで6年連続の赤字を計上。
市内電車はまだ好調なのですが、路線バスは運転手不足で減便が発表され、乗客減が著しい鉄道線は沿線自治体と存続問題が協議される状況にあります。
昭和55年、1980年の富山地鉄時刻表です。
45年前ですが、勢いがありましたねー。
鉄道営業キロ100km以上を誇り、1時間ヘッドで特急電車を運転。
列車種別は、特急扱いの国鉄直通列車ほか自社線内特急に加えて、急行、準急があり、区間運転も多数。電鉄富山駅からは本線と立山線併せて、1時間に4本から6本が発車する高頻度運転を展開。
路線は電鉄富山駅から一駅の稲荷町までのみ複線(構造上は関ヶ原の垂井線と似た単線並列)ですが、あとは単線なのによくこれだけの列車を捌いていたと思います。
国鉄直通乗り入れも積極的でした。
大阪、名古屋から宇奈月温泉と立山まで国鉄から475系とキハ58系が乗り入れ、名鉄からは当時類まれな三社直通運転を実施した急行「北アルプス」キハ8000系が新鵜沼連絡線を辿り、国鉄高山線経由で地鉄線へ。
のちに特急に格上げされ『名鉄車による国鉄特急』としても有名になりました。
大型時刻表の私鉄欄にも直通乗り入れ列車が掲載されています。
1979年5月日本交通公社時刻表から
大阪からの『立山』は475系または457系の3両、『うなづき』はキハ58+キハ28の2両。
地鉄線は勾配区間が続くので、抑速ブレーキ付の475系または457系限定で、471系と473系は入線できませんでした。
名古屋から『むろどう』はキハ58+キハ28+キハ58の3両、『北アルプス』はキハ8000系3両。大阪発の『立山』は475または457系3両です。
ディーゼル車3両の場合、勾配対策でDMH17Hのダブルエンジン車が必ず2両入ります。キハ8000系の場合、キハ8200✕2両+キハ8000またはキハ8200+キハ8050+キハ8000など。
立山行の『むろどう』と『立山5号』は朝着の夜行列車でした。これは北アルプスへの登山客輸送のための列車であると想像できます。
1979年5月日本交通公社時刻表高山本線上りのページです。
特筆すべきは急行『のりくら10号』。
富山で立山からの『むろどう』3両と宇奈月温泉からの『うなづき』2両を併結。
推定10両編成中の5両が乗り入れ列車という豪華な!? 組み合わせ。

特急『北アルプス』の指定席マークには四角い枠が⁉
これは指定席がマルスに入力されていないので、
『全国のみどりの窓口では発券できず、沿線停車駅で購入してください』
という意味で、時刻表の懐かしい表示です。
名古屋近郊は当然名鉄線を走るため、東海道新幹線からの乗り継ぎ割引対象にもなりませんでした。他の地域からは利用しにくかった列車でした。
国鉄富山駅1番線に停車中のキハ8000系『北アルプス』、
特急格上げ後1980年頃の写真ですね。1番線には電鉄富山駅から地鉄線内乗客のための専用通路があり地鉄改札を抜けたあと国鉄ホームから乗り入れ列車に乗車していました。
この左方向に直流1.5KV⇔交流20KVデッドセクションを有する地鉄連絡線があります。
(Wikipediaから)
立山駅滞泊中の間合い運用で、立山-寺田-宇奈月温泉を結んだ地鉄『アルペン特急』寺田駅 (Wikipediaから)

ちなみに、パノラマカー譲りのミュージックホーン(パパラ~,パパラ~,パ~ン♪)は、国鉄線では封印されていましたが、地鉄の運転士は線内で結構鳴らしまくっていました。
国鉄時代の乗り入れは、1983年に一旦中止。
JR民営化されて1990年から直通運転復活後は、キハ65系リゾート特急を皮切りに、485系スーパー雷鳥、681系サンダーバードが乗り入れていました。
485系はクハ+モハ+クモハの2M1Tですが、681系付属編成はクハ+モハ+クハの1M2Tなので、モータ出力190kW✕4(のちに245kW✕4に換装)のハイパワーとはいえ、勾配線区では負担が大きかったと聞きます。
しかし1999年、北陸新幹線工事の影響で富山駅の渡り線とデッドセクションが撤去され再び廃止。
☞北陸の私鉄 北陸の駅『立山駅』から
左から立山駅電留線で休む、
JR西日本681系(付属編成3両)、富山地鉄16010系モハ16011+モハ16012、富山地鉄14720系クハ172+モハ14722
これまでも、西武レッドアローや京阪3000系の入線など、話題に事欠かなかった富山地方鉄道…。
しかし北陸新幹線開通後は通し乗車客の減少から、コロナ禍と前後して優等列車を減便…。
各駅停車ばかりの路線となるのに加え、度重なる値上げで運賃は日本の地方私鉄最高水準に達し、乗客離れに拍車がかかる悪循環…。
本線の富山-上市間は需要が見込めるものの、あいの風とやま鉄道と並行区間となる滑川-新魚津間は所要時間、運賃ともに富山地鉄に競争力がなく乗客が減り続けています。
北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅では富山地鉄新黒部駅と接続し乗り換えできますが、富山地鉄乗客の乗車キロが減りました。
過去の栄光を知る身としては、現状の凋落ぶりには信じがたく残念な思いが重なります。
今回、
少しでも地鉄増収に貢献したいという思いと、『地鉄の今、をこの目で確かめたい』という訳で、ミニ乗り鉄旅を思いつき実行に移すことにしました。
乗車前に『鉄道線・市内電車1日フリーきっぷ』を購入します。
これまでは、電鉄富山駅や西町の地鉄乗車券センターでチケット発券してもらいましたが、今はネットでも購入可能。 早速サイトで購入。
金額が3,400円なのは、地鉄の運賃が高く、電鉄富山-宇奈月温泉間で1,670円(往復3,340円)、電鉄富山-立山間1,280円(往復2,560円)かかることを踏まえた設定なのか、と。
自由席特急料金400円は含まれるので、特急に乗ればお得となるも本数が激減して利用しづらい面があるのも確か。
フリー乗車区間です。
富山港線(元富山ライトレール線)を含む市内電車線と、本線、立山線、不二越・上滝線の鉄道線全線に乗ることができます。
鉄道線は99.7km、市内電車線(軌道線)は8.6kmで、総延長108.3kmは地方鉄道最大規模を誇ります。
この6年間、少子化で通学客の減少に、コロナ禍が追い打ちをかけ観光客収入が激減。
ダイヤも特急など優等列車が減便され利用しにくくなったのに加え、地方私鉄としては最高額クラスの運賃がさらなる利用者減を招く状態に…。
その状況をこの目で探っていきます。
出発は、実家最寄りの『粟島(大阪屋ショップ前)駅』から。
T104形の岩瀬浜行がやって来ました。
三連休初日は、岩瀬の港町を訪ねる観光客が多く、車内は立ち客もあり混んでいます。
終点『岩瀬浜駅』までは乗らずに、2つ手前の『東岩瀬駅』で下車。
スマートフォンのアプリを立ち上げ、チケット『使用する』をタップすると、画面のチケット有効時間カウントが始まり使用可能に!?
これを降車時に運転士へ見せればOK。
『東岩瀬駅』には国鉄時代の駅舎が地域のコミュニティセンターとして残されています。
ここから、終点『岩瀬浜駅』まで歩いてみます。
立山連峰をバックに、岩瀬運河の船溜まりを渡る、折り返しのT104形を捉えます。
ここはそれなりに有名な撮影スポットで、映画『Railways』でも背景画に使われました。
正面三角の山は埋蔵金伝説で有名な鍬崎山、その左奥の台形の山が立山雄山。
左のギザギザの山は剣岳で、右のなだらかな稜線が薬師岳です。
3000m級の北アルプスから富山湾まで直線で30km程しかありません。
炎天下15分ほど歩いて『岩瀬浜駅』に到着
デ9000形セントラム9002号がやって来ました。
元富山ライトレールのTLR0600と共通設計、ボンバルディアのライセンスを受け新潟トランシスが製造のLRV。
2009年の市内線環状線延伸の際に増備されました。
折り返し、富山大学前行となります。富山港線は、南富山駅前行と富山大学前行が1時間に1本ずつ、その間を環状線直通が1本ずつ走り、日中15分ヘッドで運転されています。
地方都市の郊外線としては非常に便利。
運賃は一回の乗車で現金240円、ICカード220円。丸の内と中町(西町北)では乗り継ぎ券が発券され一乗車の料金で乗り換えできます。
(なぜか富山駅では乗り継ぎ券は配布されません。)
新幹線高架下の富山駅停留所を過ぎて、富山駅前のデルタ線分岐を新富町方向へ。
富山駅を出た市内電車は、新富町方向と地鉄ビル方向が手前で分岐して、平行に並び信号待ちする配線のため、直進車も左折車も先行電車に行く手を塞がれることなく出発できます。
この配線の設計者はなかなか賢いと思います。
丸の内に到着。ここで降車して大学前行デ9002を見送ります。
大学前方向から、ケーブルテレビ富山の広告電車デ7016南富山駅前行がやって来ました。
電停に戻り丸の内停留所から分岐点を俯瞰。
右が大学前方面。左が環状線。
環状線は左回りのみの一方通行なので、分岐線は左に1本の単線だけです。
元富山ライトレール車両の環状線TLR-0604に乗車。
グランドプラザ前方面へ、一方向の単線を走ります。
ここは、その昔環状線の西部線が走っていましたが1973年一旦廃止され、2009年に復活した区間。セントラムの愛称が付いています。
西町で左に曲がり、南富山からの路線に合流。
西町電停に停まっているのは、南富山駅前行のデ7015広告電車と新塗装デ7023。
中町(西町北)停留所で下車します。
後続のデ7020、大学前行に乗り換えます。

デ7000形は東京都電8000形を
モデルに作られた富山地鉄オリジナル。
車体前後の絞りがなく側面がフラットな分、幅広車体に見えます。
3連休の土曜日の大学前行車内。
結構な乗客ですねー。
後部運転台越しに『電鉄富山駅・エスタ前』を発車すると、次は『富山駅』電停。
デルタ線を右に曲がり、富山駅高架下停留所へ。
デルタ線から『富山駅』電停に進入。
対向列車と次々にすれ違う。これは新富町方向に向かう環状線TLR0600。
一番左の線路は地鉄ビル前方面に向かう分岐線で、両方向の電車が並んで信号待ちできます。
富山駅停留所に到着。
奥が岩瀬浜方向で、大学前行はここからスイッチバックします。
さて富山地鉄の鉄道線に乗るため、電鉄富山駅に向かいます。
富山地鉄乗車券センターで、無料配布の時刻表をGet⁉
本線ページを開くと、各駅停車ばかりとなっているのがわかります。
あいの風とやま鉄道並行区間を含む、上市-新魚津間関本数が1時間に1本へと削減され、優等列車は、新幹線に連絡する新黒部-宇奈月温泉間のエリア特急のみ…。
今日は、電鉄富山発15:00立山行普通327列車に乗車。
16:08立山駅に到着し、16:10発の特急TY2列車で折り返し。
特急TY2列車は立山黒部アルペンルートを下ってきた乗客を受けて富山まで運ぶ、休日運転の特急です。
さらに岩峅寺で乗り換え、16:40発上滝線630列車に乗車することにします。
電鉄富山駅に入場。
2番線に停車しているのは、15:00発の立山行普通327列車。
元西武5000系レッドアローの16010系第1編成が運用。
車内はロマンスシートは1〜2人で埋まっていて立ち客もあり、60から70%程度のそこそこ良好な乗車率。。
立山線に入る寺田あたりまでは下車客が続き、岩峅寺から常願寺川に沿って山間部に分け入っていきます。
終点、立山駅が近づきました。
国鉄・JR直通列車が休んでいた電留線に停まるのは、サッカーJ2リーグ『カターレ富山』のラッピング電車。
立山駅に入線。正面奥が立山ケーブルの駅になっています。
隣ホームに乗り換える特急TY2列車が停車中。
立山駅到着。乗客は皆、立山ケーブルに乗り換えていきます。
私は駅員にフリーチケットの画面を見せて、乗り換え時間2分の電鉄富山行特急TY2列車に乗車。
特急TY2列車は地鉄自社発注車14760系第1編成です。
発車間際の車内は立山黒部アルペンルートから乗り継いだ乗客で60%ほどの乗船率。転換クロスシートは1〜2人でほぼ埋まっています。
立山駅を定時発車。
電留線のカターレ富山ラッピング電車は14760系第4編成でした。
岩峅寺駅で特急を下車。
交換列車は元京阪3000系の10030系第1編成の立山行普通333列車。
上滝線ホームに向かうと、14760系第6編成の普通630列車電鉄富山行が待っていました。
ひまわりが咲く夏の風景を見ながら…。
南富山駅に到着。10030系岩峅寺行の普通629列車と交換して。
普通630列車を見送ります。
南富山駅は市内電車の乗換駅で、改札を挟みホームが並びます。
奥は市内電車の基地南富山検車区。
市内電車旧塗装を残す、デ7018に乗車します。
元 富山駅前電停、現 電鉄富山·エスタ前電停を過ぎて…。
富山駅が近づくと、マリエ富山前のバスターミナルに懐かしい塗装のバスが!?
1970~90年代にデザインされ標準だった地鉄バス旧塗装の青バス。
1台だけ復刻された、三菱ふそうバス製造 2012年式の LKG-MPLKG-MP37FKでした。
☞富山地鉄バス青バス復刻
富山駅電停で、富山港線T100に乗り換え。
買い物があるので、スーパー最寄りの下奥井駅で下車します。
岩瀬浜行T100を見送りました。
半日でしたが、久々の富山地方鉄道を堪能しました。
検証 効果金額です。
粟島(大阪屋ショップ前)→東岩瀬 220円
岩瀬浜→丸の内 220円
丸の内→中町(西町北) 220円
中町(西町北)→富山駅 220円
電鉄富山→立山 1,280円
立山→岩峅寺(特急料金) 400円
立山→岩峅寺→南富山 1,080円
南富山駅前→富山駅 220円
富山駅→下奥井 220円
合計 4,080円
丸の内で乗換券を貰ったとして、-220円となり、
合計 3,860円
1日フリーきっぷは3,400円ですから、元は取った格好ですね。
増収に貢献、というならば逆行してますが…。
頑張れ、富山地方鉄道!?
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