
京都鉄道博物館編。
京都の旅の2日目、朝飯後早々に出撃。
主な行程は旅路編に書ききったので
鉄に要点を絞って書いていこうと思います。

まずこの扇形機関庫
これに感動
形式違いの機関車が、羽根休めとばかりに並んでいる姿
エモいですねぇ
それぞれの釜は車庫に入り、隣り合った同僚と何を話すのでしょうか。
それとも、会話はなく淡々とその日の運用をこなすのでしょうか…。
扇形機関庫って、実用性を追求した結果美しい形になっているのが素晴らしいですね。
機能美とはこのことだと思います。
扇形機関庫が好きな人は円筒分水も多分好きなはず。
さて、ここに置かれている蒸気釜達
何といってもこれを見に来たので、簡単にですが気になる釜たちを解説していきます。
この日のSLスチーム号、C56 160号機に乗車。
発売と同時に乗車券を確保し、待機場所に陣取ります。1両目の一番前に座る為です。
さすが師匠、乗り慣れています。

ナンバープレートが大きく見えるここが特等席ですよね。
あとは釜と客車の動きの違いとか。
C56は個人的に好きな形式のひとつです。
罐がデカイのはあんまり好きじゃないんですよね。
想像を絶する凄惨たる戦場を走った出征機関車も、多くがC56です。
「最も好きな鉄道車両は?」と聞かれたら、C56 44号機をあげます。(おそらく)
160号機は出征機関車ではありませんが、デフレクタ付の風体は大井川鉄道の44号機に似たものとなっています。
やっぱり火が入っている姿の方がかっこいいですよね。
(私は撮り鉄ではないので、爆煙至上主義者ではありません。念のため。)
片道約500mのゆっくりと後進し、やがて前進し停車場へ戻っていきます。
ありがとう、160号機。
次に見れるのは、いつになるかな。
続いてはC53 (正面写真撮り忘れました)
国産唯一の3気筒機。
個人的にこの形式、歪んだ愛情を注ぎまくりたい形式なのです。
それは3気筒機という物珍しさではありません。
C53は「3気筒蒸気の欠点を助長する欠陥設計の集合体」だからです。
ウィキペディアのC53の項目も、文中の大半が設計不良とそれの解説に割かれており
いかに当形式の設計が擁護出来ないものか察するものが有ります。
ダメな子ほど可愛い
日本で唯一の現存機がこのC53 45号機であり、展示方法も私のような乗り鉄向けに各駆動系統を覗き込むことが出来る為多くの写真を撮影しました。

中央シリンダーとそのシリンダロッド
第一動輪軸をかわすために7°ほどオフセットされて取り付けられています
この7°オフセットが様々な欠陥設計の遠因に…。
言い出すとキリがないので、この辺でやめましょう。
弁装置周りは見えませんが、動輪・車軸関係などはかなり細部まで見えますので
どうかC53を見るときはローアングルから嘗め回すようにご覧ください。
さて、次は9600です。
罐の立派さと、動輪径の小ささがいかにも貨物機という出立です。
設計は大正時代初期であり、8620と共に日本の蒸気の黎明期を担った名機ですが
動輪廻りの構造が謎めいているのがこの釜の見どころです。
9600と言えば左先行の武士道機関車と言われていること、第三動輪のカウンターウェイトが
半周いっぱいまで埋められており、バランシングに苦心しているのは既に
周知の事実かと思います。まず特有の左先行を見ていきましょう。
ややアングルが悪く申し訳ありませんが、右動輪に対して左動輪のクランクピンが
90°進んでいることが分かります。

左動輪

右動輪、進行方向に対し90°左が早い
国産の2気筒蒸気は9600以外は全て右先行ですが、大御所帯を誇った9600のみが
左先行というところがどうにも謎めいており、興味をそそります。
また、各動輪のカウンターウェイトをじっくり見てみると第三動輪のカウンターウェイトの肉厚が
明らかに厚く、連結棒に接触するギリギリのところまで厚くなっています。(一枚目矢印部)
隣の第四動輪のカウンターウェイトと肉厚を比較すると、その差は明らかです。
実に面白い
「あれ?吉田くんの侍ポーズってどっちの足を上げるんだっけ?」となった場合は
左先行武士道機関車9600を思い出すと、イメージしやすいかと思います。
さしずめ吉田機関車というところか。
(吉田戦車とかけていることに気付いてほしい)
イメージが足りていない例
京極スタンドの写真ではちゃんと左先行になっていただろ!いい加減にしろ!
やっぱり私は釜鉄ではなく乗り鉄のようです。
続きまして、D50です。
D51の陰に隠れている釜ですが、D51より好きな釜です。
D50は第一動輪軸重が14.99tであり、線路等級3級線(旧乙線)に入線可能な上限いっぱいに
設計されています。さらに詳しく見ると
第一動輪 14.99t
第二動輪 14.80t
第三動輪 14.79t
第四動輪 14.20t
と第四動輪へ軸重が少しずつ少なくなりながら、重心位置は軸距のほぼ中心である第二・第三動輪間に落とし込まれています。
機関車が前に進む際、後ろ側へ移る軸重を加味した巧みな設計となっています。
後継のD51はこの設計を踏襲していないばかりか、D51は第一動輪の軸重が最も軽く
第二・第三・第四動輪と徐々に重くなっていくというまるであべこべな設計となっています。
私がD50の方が好きなのは、機関車として筋の通った設計が見えるからですかね。
(D50も先台車の脱線癖等悪い部分もあるにはあるのですが)
D50の動輪群を見た際には、「あぁこれが軸重14.99tの第一動輪かぁ…。」と
物思いに耽ってみてはいかがでしょうか。

お目当てのハチロクこと8620にはそっぽ向かれていました。
立入禁止区域内に頭から入線。入換か、整備中か?
また来いということですね?(n回目)
蒸気釜ばかりで食傷気味なのでヂーゼル釜も。
こちらは館内に展示されています。

DD51
個人的に結構好きな釜です。震災の時はお世話になりました。
最近では西日本豪雨の迂回貨物でもDD51がかなり頑張っていたような。
腹下をじっくり眺められる半地下通路があり、B-2-B軸配置が堪能できます。
以上、
非常に簡単ではありますが乗り鉄による気になった釜解説でした。
次回予告
8620の島式先台車と、C53の第二動輪を見ていきたいと思います。
Next seachicken's HINT !
「カウンターウェイト」
クランクピンとカウンターウェイトの位置関係に注目
世間は夏休み&シンカリオン人気のようで、ちびっ子たち(20年前の俺ともいう)で
溢れていましたが、扇形機関庫は比較的人も少なく穏やかでした。
シンカリオンの劇中でもしっかり描写されてたんですがね。
結局釜の写真ばっかりじゃないか(呆れ)
多分自分は、釜鉄とか乗り鉄とかいう以前にただの迷列車ファンなんだと思います。
扇形機関庫は入換が結構行われているみたいなので、近いうちに再訪したいですね。
また釜見るつもりか…
おまけ
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