軽井沢のスキーバス転落事故。
死亡した乗客12人全員が前途ある大学生という事もあり
大変痛ましい事故になってしまいましたね。
事故原因の究明はまだ成されていませんが
大別してブレーキ故障など車両に起因するものか
運転手の体調急変による意識喪失かに絞られるのではないでしょうか?
私は現場の地理には詳しくありませんが
情報によると現場は登りのつづら折りを抜けて下り始めた場所との事。
一般道に降りて登りの区間はブレーキに異常があっても気付きにくく
下りで強くブレーキをかけようとして初めて異常に気づいて・・・
というケースも考えられない訳ではないようですが、
コレに関しては今後の事故車両の検分できっと明らかになる事でしょう。
もし検分の結果、事故車両には異常はみられないという事になれば
事故当時ハンドルを握っていた65歳の男性の運転ミスという事になります。
この方はイーエスピー社入社前の前職ではマイクロバスの運転を主にやっていた方で
大型バスの運転はイーエスピー社に入ってからまだ4回目の乗車だったとの事ですが・・・
それでも大型二種を取得してから十年以上の乗車経験があり
かつてはダンプの運転手も経験していたと、旧知の知人の情報もあります。
もちろんマイクロバスやダンプとは車両感覚の違いなどはあるでしょうが
そもそも現場状況からして、あんなスピードでコーナーに進入すること自体が異常。
仮にもベテランといっていい程のキャリアを持つプロドライバーが
慣れない車両で多数の人命を背負っているという自覚を持ちながら
度胸試しのようなコーナリングをするでしょうか?
やはり単純に経験不足による運転技術の未熟さが原因と言うよりも
運転手の体調に何らかの異変があったと考えるのが自然だと思います。
イーエスピー社の運行管理には様々な不備があった事がすでに明らかになっており
その事自体は大いに問題視されるべきですが・・・
仮に正しく健康チェックや運行管理が行われていたとして
突然の心臓疾患や脳溢血などを予測しきれるものなのでしょうか?
私がかつて勤めていた職場で一緒に勤めていた
40代の女性が突然の脳溢血で亡くなられた事があります。
前日まで一緒に働いていた職場の人間は私も含め
誰一人彼女の突然の死を予想する事は出来ませんでした。
またそれ以外にも瞬間的な居眠り「マイクロスリープ」に陥った可能性もあります。
寝落ちの原因は「マイクロスリープ」 。その症状と対応策は?
この場合、勤務状況が過密でなかったか?休憩がきちんと取られていたか?
などが問題になりますが、マイクロスリープが起こる条件は人それぞれ違うもの。
睡眠時無呼吸症候群、低酸素症、ナルコレプシー、過眠症などが原因の場合もあり
本人の自覚症状が無い場合、周囲がそれに気づくのは難しいでしょう。
かくいう私も
昨年の箱根ブチオフの帰路にこれに近い状態になりました。
幸い事故を起こす前に自覚することが出来て慌てて休憩を取り
事なきを得ましたが、一歩間違えば大惨事を巻き起こす所です。
・・・おそらく似たような経験は誰でも一度や二度はあるのでは?
じゃあどうすればいいのか?
今回の事故はたまたま悪い方に条件が重なった不幸な事故と考えるしかないのか?
・・・正直ここまで書いてみても私には答えが見いだせません。
ドライバーの健康管理により一層厳格なルールを適用し
高齢なドライバーや健康面に不安のあるドライバーは採用しないようにするのか?
しかしこれとて明確な線引きが可能とは思えません。
65歳でプロドライバーはもう無理だという事になったら
日本中でどれだけのプロドライバーが職にあぶれる事になるのか・・・
また、緊急自動ブレーキや自動運転技術などの促進による事故防止にも
期待が寄せられますが、仮に今回のバスにそれらが装備されていたとしても
現在の技術では今回のケースで転落を防げたかどうかは甚だ疑問ではあります。
(それでも無いよりは遥かにあった方が良いと思うので
私はとりわけ緊急自動ブレーキに関しては全車義務化を望みますが・・・)
もう一つ別の視点で言うと、今回何のアナウンスもなされなかったという
乗客のシートベルト装着の徹底というのも 即効性が高い安全対策として重要な事だと思います。
おそらく全員がシートベルトをしていたなら、死傷者の数は劇的に減っていた筈ですから・・・
多くの人命を預かる旅客自動車運送業の世界。
この様な痛ましい事故が少しでも世の中から無くなる事を祈ります。