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菊菱工廠のブログ一覧

2025年06月08日 イイね!

中身も伴った大型機 R.シュミット(ワーゲン商会扱い) 24型商館時計 明治22年頃

また懲りずに時計を買ってきました。
失敗するとウンザリするのに、少し経つとまた手を付けたくなる…
この「懲りない事」も、好きこそ物の…に繋がるのかなと感じつつ。


さて、今回の個体はこちらです。







またまたいつもの通り、商館時計。
もうそろそろ商館時計オタクと言えそう…まだ早いか。

入手次点で外観は奇麗。すぐ止まるものの、一応動作します。



機械がこちら。
ブレゲひげに石がシャトン留めとなっていて、高級機の予感がします。

と言いますか…ワーゲン商会扱いでブリッジに「WF」が刻印されているのは高級機らしいです。
あれ、シリアルも併記じゃないといけなかったっけ…



早速分解。
久しぶりにダイヤル裏の書き込みを発見。



…1027しか読めぬ。



大型機を買った時のお楽しみ、地板の直径測定です。
堂々の54㎜、24型。
51mmとかは偶に出てきますが、54㎜となるとかなりレアなんじゃないかと思います。





そこで思い出すのがこちら
以前、部品を補いつつ再生した個体で、同じくワーゲン商会の24型です。

…思い出すとか言ったのは嘘。狙いました。
実は今回の個体、こちらの上級グレード版と思われます。
商館とサイズだけでなく、機械も石の数以外が同じなんです。
それで状態も良さげとあって、2匹目のドジョウよろしく買ってきた次第。
少々値は張りましたが…
年代も同様、明治22年頃だと思います。

さて、商館時計に対してよく言われるのは「見せる時計なので大きさが第一で、中身はそれなり」という見方。
時計自体に詳しくないながら、純粋に高級さや出来の良さを求めると、そうなのかもしれません。

特にこのような超大型となると一層その傾向が…なんて思ってしまいがち。
まぁ、今にしてみればいずれも100年超えのアンティークですから、グレード云々よりも動くって事が一つの価値となりましょう。

ではこの個体の出来はどうなのかと言えば、中々のモノと思います。
シャトンやブレゲ巻きのひげから推測したものの…





裏面。からの香箱です。
残念ながら痕跡ですが、ジェネバ機構が付いています。
高級機種のポイントです。



ゼンマイは無事ながら…ちょっと短い感じ。
交換された際にジェネバ機構も外されたのでしょう。



そして全バラして数えれば、立派な17石機械でした。
ガンギ車のブリッジが伏石付きです。
商館時計で17石は中々ありません(と思います)。
いいとこ16石、15石なら結構良いんじゃない?な感覚です。



ナンバーズマッチもOK。



汚れもあまり溜まっておらず、洗浄していても目立って落ちている感は無し。
輪列は良く拭いたら光りました。
ザラ回しも問題無し。



テンプも元気よく振る。
「状態の良い時計」ってこういう事よね、と感じつつ。

緩急針を適当にセンター付近としたこの時点で、日差-30秒台。
慣らしが済んでケースに組んでも、結構良い精度で詰められそうです。

巻き上げの際、鼓車の押えバネが少々浮くようなので、そこの調整が要るかも。





ケースを磨いて組み立てて完成。
するとテンプの振りが弱々しく。
針を駆動する分の抵抗が増えたりしたせいか…

と思ったらセコンドがダイヤルに触れてました。
ちょっと浮かせて1日動かしたら良い感じに。
日差は概ね+60秒に調整。



ゼンマイが短いせいで駆動時間も少々短いながら、良い1個になりました。
1点惜しいのは、写真の通り竜頭の被せが一部剥がれている事でしょうか。
ボウもガタガタになっておらず、ちゃんと銀製のホールマークが入ってます。







最後は兄弟機と。
あちらは蓋が大きく開く状態なので、上手く重なりました。

状態もグレードもこちらが上とあって、先に入手の方は若干見劣り…はしません。
あちらはあちらで、足りない部品を補ったり、風防を自作したりした思い出の品。
共に日常ユースで一線を張ってもらいましょう。


さて…車の方はどうなってるでしょうか。
もう間もなく塗装が上がると思うのですが…
早く次の報告をしたいものですが、大人しく待とうと思います。
Posted at 2025/06/08 22:43:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | 時計他アンティーク系 | 趣味
2025年06月01日 イイね!

三つの青に染む

いよいよ完成が近づいて参りましたので、更新スパンも短くなります。
嬉しきかな。

今回は前回の続きで、2トーン+ストライプ塗装の様子をお届けします。








と言いつつ少々時が戻ります。
ドア内側の寄った写真をいただきました。

この車はシルバラードなので、車内から見える部分はほぼトリムパネルで隠れます。
それでもしっかり塗っていただいてます。素晴らしいお仕事。

なお1枚目、運転席側のドア縁にはコーションラベルがあり、車検にも必要との事でしっかりマスキングしてあります。
またGMフリント工場製の証「BUILT FLINT TOUGH」のステッカーも可能なら残したいとリクエストしましたので、よく見ると同様に養生してあるのがわかります。



テールゲート内も。
ここもトリムで覆われる箇所ですが塗装。
中央の蓋も別に塗装済み。



右端に見切れているのがテールゲート内の蓋。
トリムとこの蓋を外すと、ウインドウ昇降のメカ(パワーウインドウですが手動のグレードもあります)にアクセス可能。

しかしこう見ると、真っ黒だったとは思えませんね。
プラモやラジコンで塗装の経験があるからか、黒から淡色へ奇麗に仕上がるのを見ると嬉しくなります。
プラモで黒から淡色や明色に変える場合、面が出ていても一度サフを吹かないと、奇麗に発色してくれません。
無理して厚塗りすると、エッジだけ塗膜が薄くなって透けます。
なお、サフ以外にも中間色を挟む方法があるそうです。





そして3色目のライトニングブルーマイカが来ました。
ストライプ部のテープを剥がせば、先に塗っていたいすゞブルーの細い線が現れます。

後はフェンダー中央辺り(サイドモールの付く場所)から下をウォーターブルーで塗って完了となる筈。
メインの2色がメタリックなので、クリアも掛けるのでしょうか。
そうしたら研磨して塗装は完成…かな?
クリアの前にもある程度磨いたり…?
せいぜいアマの身なので、その辺は何とも言えません。

それにしても、濃淡共に良いブルー。
そろそろ塗装完了の姿を拝めるかも…
Posted at 2025/06/01 22:27:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 車(サバーバン) | クルマ
2025年05月25日 イイね!

最終調整と塗装

毎月恒例、サバーバンのレストア報告。
今月も進捗をいただきましたので、載せていきたいと思います。

今回はタイトルの通り、ボデー塗装前の詰めと一歩進んだ所までです。



まずはこちら。
ルーフとe/gフード、ワイパーカウルが完了しているのは以前と同じ。
ですが…よく見るとフロントウィンドウの縁から紐が。

これはウィンドウ脱着の途中でしょう。
ウェザストリップが黒々としているので、新品交換していただけたようです。

スクエアボディ世代(に限らずとは思います)は、フロントウィンドウ下部やAピラー付け根が腐るんです。
なので、予防・点検・補修等々で交換していただいたものと思います。
前車のパジェロもそうでしたが、この時代の車はウェザストリップ(Hゴム)でガラスを嵌め込む仕組みなので、劣化は結構怖い。
動画ですが、同車種で「ゴムの下が朽ちていた」というのを見た事があります。
そうするとダッシュとの間から浸水して…なんて悪夢が。

と、理由はともかく、後から頼むと時間も費用もかかる作業なので有難いです。



続いてフェンダーモール。
オーバーフェンダーを外してナロー戻しをするに当たり、失われていた純正モールを付けたいと希望していました。



そして微調整。
純正モールを着けるにあたっては調整が必要で、結果4か所作り直していただいたとの事。
妥協無しの仕上げ、有難いですね…
車種を問わず錆の出やすい箇所でもあるので、納車後もこまめに洗って奇麗にしておきたいところ。



これは多分右フロント。
既に奇麗に収まっています。
確かに、これらの調整は本塗りの前にやってしまうのがスマートですね。





これで塗装の準備は整いました。
いよいよ変身の時です。





待ちに待ったこの光景。
思い焦がれてここまで来たよ。

「見える所は全部塗る」ためのマスキング。
ドア内張りも外して、トリムの回り込む箇所までしっかり色が付くように。
既にサフは終わっています。

ちなみに、このスクエアボディ世代は全車種そうだと思うのですが、国産車と違って内張りとドアの間にスクリーン(ビニール)がありません。
外すとそのままドアの中、パワーウィンドウやドアロックのメカに触れます。
水滴の侵入はどうなんだろう? とは思うものの、アメリカだって乾燥地帯ばかりじゃないですので、これで大丈夫な造りなんでしょう。
いずれにせよ整備しやすいのは良い事です。



最後はストライプの塗りが完了したところで。
面積の大きい順に塗っていくものとばかり思っていましたが、逆順のようです。

確かに考えてみれば、マスキングテープの巾さえ合えば、細いストライプは先に色を付けてテープの巾で抜く…とする方が簡単に済みます。
今回は純正ストライプの「こんな感じ」という写真でオーダーしております。
細かい巾や位置はお任せしているので、テープ巾を合わせるというよりも、近いものを使う方なんでしょう。

またこの手順だと、ストライプが後から剥げてくるのも防げると思います。



以上、納車日が近づくのを感じられるご報告でした。
次回は恐らく、生まれ変わった(若しくはその途中の)姿をお見せできるかと思います。
Posted at 2025/05/25 21:32:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 車(サバーバン) | クルマ
2025年05月18日 イイね!

大型・逆回しの3FB コロン商会 商館時計 23型 明治25年頃

最近、時計は失敗続きで食傷気味でした。
連休中は久々の洗車やら家の整理やらで気分転換して、改めて取り組んでみました。





今回の個体はこちらです。



コロン商会の六芒星印。
以前、「商館時計なのに裏蓋がコジアケ」という個体を直しましたが、それと同じマークです。

機械は所謂スリーフィンガーブリッジのスタイルで、香箱周辺は鍵巻き兼用タイプ。
確かあっちもそうだった気がします。



今回のと…



以前の。
やはりそうでした。
それにしても…グラスバックがかなり曇っていますね。

年代推測に参りますと、恐らく裏蓋コジアケの方と同じでしょう。
となると明治25年頃かな…

それでは早速分解していきましょう。



機械取出しとダイヤルの取り外し。
修理歴等の記入は特に無し。
ダイヤルは端に欠けがある他は、目立つダメージは無いようです。

やたらと長針がきつく嵌っており、手違いで短針を折るミス。
凡ミス続きで早速やる気が削がれます。



この造りももしかして…



一緒ですね。
同じ工房で作られたサイズ違いなのでしょう。

この機械は(詳しい人曰く)少々珍しいらしく、時合わせの龍頭回しが普通と逆向きなんです。



裏面です。
ブリッジの他、輪列もあまり酸化しておらず奇麗です。
この時点で何とか動く状態(すぐ止まります)。



早速香箱まで飛ばしますが…
到着時に巻き上がっていたので緩めた際、またハジケさせてしまいました。
凡ミスの連続。
巻き上げが空回りするようになり…切ってしまったかと恐々開けてみると…



セーフ。
アーバの巻き付きが外れただけでした。
よく考えれば、テンプとアンクルだけ取ればザラ回しになるじゃないかと後で気づく。

しかもこの凡ミス、その同タイプでもやらかしていました。
学習しなさいと…



地板直径は51.82mm。23型となります。
嬉しい50mm超え。超大型です。



遅れ馳せながらナンバーズマッチ。



からの全バラ。
13石でした。



こちらは超音波洗浄後の濯ぎにて。
結構なゴミが入っていました。



組み立てに入ります。

地板は全面ペルラージュ仕様。
香箱にも一周ペルラージュが入っています。



ザラ回しです。
問題無さそう。



テンプを組んで24時間テストへ。
ガンギ車の回る瞬間を撮れました。

僅かにテンプが傾いて回るのは…もしかして天真曲がり?
しかし元気よく振っているので、そのままにします。
素人が下手に弄ると碌な事が無いとは学習しましたので…



機械が上手く行った感じなのでケースへ。
グラスバックのリムは定番の引っ掛け傷がありました。



適当に消しておきます。


ところで、今回はグラスバックの風防がかなり汚れていました。
機械は結構奇麗でしたが、過去一番位に曇りが酷いです。

これってガラス研磨剤でも全然落ちてくれないのですが…正体はどうも、オイルが長時間をかけてガラスをエッチングするらしいです。
本当かいなと思いますが、汚れじゃなくて凹凸だぞと言われると、硬度の高さ故に中々消えてくれないのも頷けます。
確かに爪も引っ掛かる(抵抗を感じます)し。

一応、磨いてみますが…何処まで消せるでしょうか。






という事で完成しました。
前面風防はかなり奇麗でしたので、特に磨きはしませんでした。

ケース裏面の摩耗も無く、外周の凹みの無し。
大型でありながら奇麗で良い感じです。

根元から折れた短針は鈑金ハンダで接合。
エポキシ系2種など試した結果、やはりこれが一番丈夫。
長針も穴を若干広げて無理なく取り付くようにしました。

それにしてもブレゲ針、カッコいいですよね…





過去に再生の個体と。
同じ六芒星マークのコロン商会で、機械はサイズ違いの同タイプ。
向きまで一緒(偶に左右対称のがあります)なので本当に兄弟機といった感じ。

左の若干大きい方が今回ので、やはり風防の曇りは取り切れませんでした。
もっと根気強く磨けばわかりませんが…これもまた歴史と捉えましょうか。


そろそろまた車の記事更新もしたい所ですが…まだネタがありません。
サバーバンの塗装は大分進んでいると思うので、続報が待ち遠しい限りです。
Posted at 2025/05/18 23:51:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 時計他アンティーク系 | 趣味
2025年05月05日 イイね!

キメラに見えて実は… 三菱電機 400mm(16吋)扇風機 昭和22年?

やって参りました扇風機ネタ。
車のSNSのはずが、すっかり当ブログの持ちネタと化しております。

今回入手しましたのはこちらです。



三菱電機の緑の奴。
戦前型ベースの戦後製造16吋です。
ファンがエトラ扇ではなく、戦前型と同タイプとなっています。

このスタイルは時たま目にするのですが、大抵は「戦後の本体+戦前のファンでオールペンorファン塗装」というものか、「戦前機のガードを戦後製に交換してオールペン」といったキメラ個体。
なので真偽はともかく「疑わしきは敬遠」で買い手が付きづらく、こちらも珍しく入札1件で終了…見た目のコンディションに対して少々値が張ったのもあるでしょうか。

オリジナルでこのスタイルが無かったのかと言えば、それは嘘であります。あれは嘘だ。
芝浦(東芝)であれば睡蓮を戦後も作っていたのでよく見かけますし、ナショナル・KDKでもたまに見かけます。
しかし三菱となると、戦前の時点からエトラ扇があったためか、戦後の個体はほぼエトラ扇の印象があります。
実際、この個体も初めて見たと思います。
一見すると上に書いた通り、ファンだけ戦前から移植したキメラのようですが…



ファンとガードその他が全く同じ色のオリジナル塗装で、しかもファンの素材はアルミ。
P剥げ部分の腐食からもわかります。
戦前型であれば真鍮か鉄、そうでなければベークライト(三菱ではマイカルタと呼称)なので、これが証拠と言えましょう。





更に言えば、戦後製造でありながら電線が布巻きというのが特徴です。
同社製で有名な12吋細目扇(エトラ扇)でもたまに現れますが、これまた他社にも例がありまして…



東芝のC-4706、後の「ひまわり」の原型ではないかと考えている個体です。
ひまわり(ADF-30R-1、ひまわりR-1)より戦前型睡蓮に近い設計で、より終戦直後に近い時期の製品と思われます。

これも今回の三菱と同様、カラー化・ガードのデザイン研究が行われた戦後の製造でありながら、ビニール電線が登場する以前のもの。
袋打ち電線とポニーキャッププラグが使われています。

では、それらの特徴から一体何が分かるのかと言うと…今回の三菱機も戦後直後の製造ではないか、という予想。

度々年代特定の裏付けとしております論文、「我が国における扇風機の機能,形態及び色彩の変遷」を見てみると…
1948年(昭和23年)のアサヒグラフに、同じガード・エンブレムのエトラ扇が広告として載っています。
その上の本文には、1982年発行の三菱電機社史からの引用として、「扇風機では昭和22年に業界にさきがけて若葉色を採用し、涼しさ、軽快さに加えて家電品としての親しみを出すなどその後の躍進への始動となった」という記述もあります。

エトラ扇の広告は「業界にさきがけて若葉色を採用」した翌年ですから、カラー化した際の機種はエトラ扇じゃなかったかもしれません。
知る限り、戦前のエトラ扇は12吋しかありませんでしたから、戦後復興の時期と言う点からも、16吋のエトラ扇はもう少し後の登場だったとも予想できます。
となると、今回入手した個体が正にそれかも…と考えらえれないでしょうか。

もしこの予想が合っているとすれば、三菱電機初のカラー仕上げ扇風機と言う事になります。
戦前にもパールホワイトやブラウンの展開はありましたが、インダストリアルデザインの意味を含むものとしては、各社とも戦後がスタートです。

…ならば、三菱系初の扇風機(三菱造船MKW)・三菱電機初の扇風機(初号扇12吋)に加わる「第三の三菱初」がやってきた事になりますね。

では分解整備していきましょう。
状態は然して悪くないようですので、どこまで奇麗になるかでしょう。



いつものようにファンガードとファンから。
ですが一体型のガードなので、ファンとの分離は知恵の輪状態。
どうせファンの端は塗装が浮いているので、結構ガリガリに擦りながら外しましたが…
本来はどうしていたんだろうか。
先にファンを軸から外すのが正解なのか…

なお、今回の欠品はガード固定金具とビス1セットのみ。
鉄板から適当に作る予定。



配線を外すため裏面へ。
裏蓋は大変奇麗で、フェルト脚も完全に残っています。



碍盤です。
戦後製造らしく、白磁器の無垢にビス類は鉄製。
電線は端末仕上げとカレンダー処理から、オリジナルと見て間違いないでしょう。



取り出しました。
しかしこの個体は細かい塵が多い。



ここは収縮チューブで補修でしょうか。



マイクスタンドになりました。
基台に一本入っている縦線はP剥げ。
結構派手なのでタッチアップしたい所ですが、背面(モートル周辺)もそんな感じなので、いっそ味として受け入れるか悩みどころ。
黒だったら目立たないし、適当に塗ってもあまり間違いないのですが…



戦後製造の証拠の一つ。
戦前型ベースでありながら、脱着式のグリースカップがありません。

前後とも給油口の鉄球が無いのは…ただそうなっただけか。
或いは仕様なのかわかりません。



エンドベルとギアボックス。
油汚れが結構ですね。



モートルの中は意外と奇麗でした。
引き出し線の根元が解れているのはどう補修したものか。
素直に絶縁テープを巻くか、それとも工夫するか。



ネックの軸にはスナップリングが入ってました。
三菱の戦前型には無い特徴です。
その代わりとして、仰角の軸にビスが入れ子になる構造ではありません。
ここだけメッキなのも含めて戦後型によくある設計かと。
見た目をスッキリさせたという事かな。



ギアボックスを開けました。
グリスは少なく、周辺の汚れ具合からしても出て行ってしまった模様。

素材は鋳鉄からアルミダイキャストに代わっています。
基台はバランス保持のためか、引き続き鋳鉄のようです。
エンドベル共々、持つと思いの他軽くて変な感じ。



清掃しました。首振りカムはハンドプレスでピンを抜いて分解。



角度を変えて。



こちらは首振りアームとネックピース。
モートルを受けるベアリングの下には圧縮紙のシムが3枚。
これも戦前機には無いもので、改良点の一つでしょう。



碍盤にも塵が積もっています。
簡単に清掃すると…



驚きの白さ。
次は基台へ。



主に塵の除去でしょうか。
剥げを除けば塗装面自体は良好なようです。



軽く磨くとかなり奇麗になりました。
派手にガリ傷があるのはどうしましょうか…
この個体の塗装、銘板の凹部を含めて弱めのようです。
ちょっと引っ掛けたり圧を掛けるとパリッと行ってしまいます。
この1台が弱くなっているだけなのか、時期やメーカの特徴なのかは何とも言えません。



また、この個体で珍しいのがブッシュ。
色付きゴムブッシュは当時各社よく使っていましたが、今日まで無事なものは極めて稀。
驚く事に弾性が残っています。
電源コードの部分だけは溶けていたので交換しました。



モートル配線を戻します。
電源線は悩みましたが、外装が爪で引っ掻くと破けるレベルだったので交換。
せめてもと思い、東芝用の同色綿打ち(こちらは袋打ち)にしました。







という事で完成です。

P剥げが残念なのと、何となく納得行かない仕上がりになった点が複数あり、どうもやり切った感がありません。
金具も結局作る気が起きず放置。
いつか手を付ける日が来るかなぁ…
珍しい機種である事は確かだと思うので、ゆっくり過ごしてもらいましょうか。
ある日突然やる気が出て、色合わせしてタッチアップしたり…するかもしれません。
Posted at 2025/05/05 23:07:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | アンティーク家電 | 趣味

プロフィール

「中身も伴った大型機 R.シュミット(ワーゲン商会扱い) 24型商館時計 明治22年頃 http://cvw.jp/b/2115746/48476479/
何シテル?   06/08 22:43
菊菱工廠と申します。 「工廠」なんて言いましても、車いじりは飽くまで素人。 電装系なら結構自前でこなします。 ちょっとした金具作りなんかも。 ナ...
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