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2017年06月10日

真空管ラジオのメンテナンス~ナショナル UA-645

前回に引き続き、ラジオのメンテ記録です。
機種はナショナルのUA-645、ケミコンの印字からすると、昭和32年製のようです。


シャーシの清掃とバリコンのブッシュ交換、PL配線交換が済んでいますので、いよいよシャーシ内のコンデンサ交換に入ります。
なお、自己流が含まれますのでご了承ください。

早速写真です。


交換前です。
プリント基板が登場する以前のものですので、空中配線となっています。
主に使われているコンデンサは、当時の定番であるペパコンことペーパーコンデンサ。
文字通り、誘電体に紙を使っており、チューブラ型(横型)がほとんどです。古ラジオでは表面のパラフィンにチリが集まり、表示が見えないのが多いです。当時モノのペパコンは、とりあえず交換してしまいます。
また、交換するのはシャーシ内だけではなく、シャーシ上に立っているケミコンも対象です。


こちらです。
主に電源の整流部に使う容量大きめのコンデンサで、この機種では1つの缶に5個のコンデンサが合わさっています。

この時代あたり以降のケミコンは品質がかなり上がったと言われ、再生の手順を踏めばまだまだ使えるものも多いらしいですが…まだ安全弁の付く前の世代ですので、壊れる時は爆発する恐れがあります。
耳を悪くするほどの大音響らしく、キャビネットから出した状態ですと破片が飛んできます。経験はありませんが、お話を聞くと結構恐ろしいですよ…

ということで、パッカーンとやってしまう前に交換します。
外観のため既存のケミコンは配線だけ外して残し、個別の電解コンデンサに置き換えます。




交換後です。
元のペパコンは500WV(Working Voltage)でしたので、630V耐圧のフィルムコンデンサや1kV耐圧のセラミックコンデンサを使いました。高耐圧のコンデンサは、あまり選択肢がありません。

また、大きい電解コンデンサはぎりぎり立てられず、寝かせて配置となりました。
更にナショナル機は他と違い、ケミコンや真空管ソケットはリベット止め、IFTは缶のツメを曲げて固定していますので、ビスやビス穴がほとんどありません。今回はいい場所に穴がありましたので、そこへステーを留めてラグ板を支えています。
ラグ板は片側を錫メッキ線で渡らせて共通アースとして、ステーとビスでシャーシにアースする仕組みです。
導通が不安な時は、渡りの線をそのままアースポイントまで引っ張ります。



コンデンサが終わりましたので、後はキャビネットですが…かなりきれいなので、あまり手を入れる必要はありませんでした。
ダイヤル針とマジックアイのガーニッシュを磨き、マジックアイ消灯ボタンの汚れを落とした程度です。それと木部の磨きを少し。


プラ製のパネル兼ダイヤルを外したところです。針が酸化しています。他社製のガーニッシュ等もそうなのですが、この時代あたりになるとクリア塗装がされているので、酷い酸化には至っていません。


クリアを落として磨いてみました。明るさが大分違いますが、それは撮り方の問題…
自分のだとシリコンスプレーやオイルを塗って終了になるのですが、せっかくなのでクリアを塗りました。オイル等より輝きが続くはず。


こちらはマジックアイの消灯スイッチボタン。白プラですが、黄ばみがついています。


磨きました。同じく白プラ製のつまみはきれいでしたので、そのままとしました。

今回は元々の状態が良く受信も出来ていたので、シャーシのメンテからすぐにキャビネットに取り掛かりましたが、配線チェックと動作確認を先にするのが正攻法かと思います。

キャビネットも終わりましたので、いよいよ動作確認。緊張の一瞬。




ひとまず成功。無事動きました。
モードはMW、891kCのNHKを受信中。あえてkC。
音量調整にガリ無し、トーン切替もOKです。ダイヤルもほぼずれていない様子。
カーテンレールにアンテナ線を引っ掛けた状態ですと、マジックアイはこんな感じです。


新品に換わった状態でお預かりしましたので、とても明るいです。新品の6E5、いいですねぇ…

SWは…環境か放送のタイミングか、どのラジオでも聴けたためしが無い…動作はしている様子でした。



次はフォノ入力のテストですが…

真空管時代のラジオには、フォノ入力端子を備えているものが多くありました。戦前のカセドラル型から、本機より後のトランスレス機まで、端子も棒端子差込みにスプリング内蔵、ネジ式まで様々。
PU(Pick Up)の刻印の通り、レコードプレーヤから入力して、ラジオをアンプ付きスピーカとして使うための端子です。
それが同じアナログ音声ということで、イヤホンジャックからでも使えるのです。




この端子です。裏蓋には、レコードのピックアップの絵が描いてあります。

という事でPC音声を入力してテストです。
曲は…ようこそジャパリパークへ(with かばん)。サンドスター成分抜くって前回書いたのに。
続いて大空ドリーマーとじゃぱりまんがり。即ちJapari Cafe。






マジックアイは使わないので消灯しました。またフォノ入力モードでは、MW・SWの表示灯は両方消灯となります。
3枚目の写真はフォノ動作中のキャビネット内。真空管のヒータとPLの光。

更に他の数曲を合わせて30分ほど鳴らしましたが、特に問題ありませんでした。
フォノ入力でJapari Cafeを聴いたというのも、他にないんじゃないかと思います。真空管オーディオで、というのならありそうです。

ところで…大空ドリーマーを何度か聴いていて気づいたのですが、あれってペンギンが育つ過程を歌っているのですね。1番が雛から巣立つまで、2番が成鳥の求愛行動で…あと、擬音・擬態語が全部Pで始まっているとか。
気づいているヒトは結構いて、Wikiとかにも書いてあるのでしょう。あえて見ないでおこう。

とはいえ、まさかこのラジオも、整備後のテスト音声がアニソンだとは思わなかったでしょう(笑)
いやいや、流行歌という意味では、ラジオに最も期待された部類の曲かもしれません。テレビが無いか、まだ普及前段階だった時代、ラジオは流行や時事を知る手段の花形だったはず。
ナナオラの七欧電機やテレビアンの山中電機といった、ラジオ黎明期からの専門大手メーカもありました。
懐メロに限らず、意外な曲を真空管ラジオで聴いてみるのも面白いと思います。
フォノ入力でも、さながら放送を受信しているような音声で聴こえてきますよ。
更にこだわるなら、AMトランスミッタを使ってみるとか…


ということで、久々のラジオ修理はとてもスムーズに終わりました。やっぱりたーのしー ! ですね。ラジオにしても扇風機にしても、なんらかの動作をするものは直していて面白いです。
うちのラジオ達も、たまには動かしてやらないと。
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Posted at 2017/06/10 20:01:39

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