• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2023年07月01日

「電子コンパック」の始祖 三菱電機 R30-SX (昭和43年)

重ねてとなりますが、第二回扇風機展「HOLIDAY'S presents 菊菱工廠コレクションVOL.2」は無事終了いたしました。
ありがとうございました。



今回も普段通りのレストア記事となりますが、毛色を変えて割と近年の機種を直してみました。

私の集めている扇風機は戦前の物が多く、特に最近は戦前機のジャンク修理ばかりが続いておりました。
それがようやくひと段落つきましたので、気分を変えて一気に近代的な機種へ飛んでみたいと思った次第。
今年の夏の実用も兼ねまして。


という事で、今回の題材はこちら。



「こんな感じの持ってる」という方も結構おられるかもしれません。
懐かしいレトロな扇風機、というイメージでもメジャーなスタイルではないでしょうか。
夏のCMにもよく出てくる系統です。

機種名はR30-SX。種別は「30cmお座敷扇」。
三菱電機の昭和43年製です。

集めている方によっては純粋にこのタイプが好き、という場合もございましょうが、それだけではウチには来ない訳で…



何と新しき機体か。いや、普段が古すぎるだけですって。
これでも55年も経っているわけで。

さて、この扇風機には押しボタンやシーソー式といった物理スイッチがありません。
以前の記事でも紹介しておりますが、「電子スイッチ」というタッチ式スイッチを使ったハイテクマシンなのです。
トランジスタでタッチ検出をしているため、内部にはプリント基板が組まれています。

写真右側のメッキプレートがタッチスイッチとなっており、触れるだけで1速→2速→3速→OFFと順に切り替わります。
その動作はシーケンシャルミッションやロータリミッションとも似ており、ステッピングリレーの賑やかな音も「メカ感」を演出してくれます。
風量設定は数字の大きさに比例して強くなる、現代と同じ並び。



そしてこれも被りますが、スイッチのある蓋を開けるとタイマーが出てきます。
単なる目隠しデザインではなく…





専用ハーネスを取り付けてリモコン化できちゃいます。
首振り切り替えは本体のダイヤルで行う必要がありますが、電源・風量・タイマーはリモコンから操作可能。
はっきり言って無駄かもしれませんが、面白い機能なのは事実です。
そして動作中は、左下にあるアンバーのランプが出力に合わせて点灯します。
これもまた当時の高級仕様を物語る魅力的なポイント。


…というのが本機の特徴ですが、タイトル通り「電子コンパック」シリーズの一号機でもあります。
そもそも電子の付かない「コンパック」というシリーズは、昭和40年から展開されたとの事です。
例の「三菱扇風機 型名順 販売年度一覧表」から探せば、同年発売の機種は13種。
その内ネットから拾えた情報としては、D30-F3が初代コンパックの一台のようです。

その新たな展開として電子制御を盛り込んだのが、この電子コンパックだったと思われます。
なお…今日コンパックと聞いて思い出されるのは扇風機よりはPCでしょう。あれは無関係です。
こちらのコンパックの名称は今でも生きており、本家三菱電機では換気扇に、グループ企業のソーワテクニカでは工場扇にその名が付いています。

ところで、昨今ネオクラという表現の定着した1980年代の車では、主にハイソカーとも呼ばれる車種にて電子制御が流行しました。
燃料噴射や駆動系、サスの制御といった走行性能に関わる面から、オートエアコンやシートポジション記憶、デジタルメータと言った快適装備系まで。
家電における電子制御の流行は車より一足早かったようで、本機は扇風機におけるハイソ系の一つとも言えましょう。
蓋の左端にあるメッキの陽刻も「Super Deluxe COMPAC」ですし。

そして本機は、同社の扇風機として旧設計を採用した最後の世代のようです。
基台やモートルケースが金属製となっており、翌年発売の後継機種・R30-X2ではプラ製に一新されています。
なので電子コンパックとしては唯一の金属筐体仕様。
プラ製は白が多く黄ばむのが定番で、モートルケースもガサガサになる個体が多数です。
塗装が剥げるのは仕方ないにしても、素材が劣化しにくいという点では初代SXが頭抜けています。

本機はその後に続く電子コンパックシリーズの初代な訳ですが、二代目以降には続かなかった要素もいくつかあります。
それをまとめると以下のようになります。

・金属製を主とした旧設計構造
 
・出力インジケータの色がアンバー統一
 (以降は信号機カラー)

・シリーズ中のリモコン仕様機の内、
 唯一のタイマー+タッチスイッチ式リモコン
 (以降はタイマー無し+物理ボタンのみとなった模様)


という事で、レストアに参りましょう。
この年代のお座敷扇は整備性が良くない印象ですが…コンパックはどうでしょうか。
これまでは偶然にも、日立や東芝、八欧(ゼネラル)、松下に三洋といった「三菱以外」ばかりでした。



まずはセオリー通りにファンを外しましょう。
早速ガードまで外れていますが、分解収納が前提の設計なので至極簡単です。
金属製のモートルカバーなので無地プラより劣化に強い。

ファンのロックは現在も定番のセンターロック式。
しかし左ネジ採用のメーカが多い中、三菱は右ネジです。
そしてハブピンでの位置決めはなく、ファン内蔵のテーパシャンクでグリップします。
なかなか凝った造りなんですよ。

続いてモートルカバーを外しますが、首振りアームが引っ掛かるので先にそちらを外しましょう。
更に前段階として、首振りカムとアームを結ぶビスを取るべく…左右どちらかに振り向かせます。
首振り設定を最大の120度として手で揺すればOK。



こんな風に、くりぬいた穴からカムが出ておりアームが引っ掛かります。



外しました。
内部は長年の内に飛び散ったオイルとホコリで汚れております。



モートル側です。
この年代に良く見られる、アルミ缶入りのケミコンを背負っています。



そして噴いています。臭いがすると思えばこのパラフィン故か。
噴いておらずとも交換するのですが、汚れを拭いたら一緒に印字まで消えてしまいました。
何という罠。



持っててよかった部品取り機。
慎重に拭き取ったところ、容量は4μFと判明。
ギア・シャフトの油分で印字が浮いてしまうようです。



続いてモートルケースを開けますが…60年代お座敷扇系はこれが厄介な事が多い。
何せモートル配線が長く、かつ首の伸縮機構を通っていてグリスまみれなのが定番なのです。

…と思えば、三菱はモートル側に半田箇所が。
親切設計。



配線にナンバリングして半田を取れば、次は首振りカム。
この機種は少々凝った首振り機能が付いているので、アームが2本あります。
1本は先ほどのカバー外しで取れていますが、もう一本はカムを外さないと取れませぬ。



という事でケースが開きました。
まぁ年式相当のホコリです。見慣れたもんで。



そしてサクッとモートルが分離しました。
正直、こんな風にスッキリ取れるとは思っておらず、「戦前型も含めて、三菱が一番良いな」と思った瞬間でした。
戦前の三菱はダイカスト部品が弱い時期がありましたが、それ以外は整備性も良く、漆塗装も優秀なので手入れが楽しいんです。





今回はお座敷扇という事で、全バラはしないでレストアを進めます。
首の伸縮機構は物によって分解しずらく、無理をすると却って調子を崩しかねません。
後は余程劣化やオイル汚れが気にならない限り、簡単な清掃と注油で済ませた方が楽と言うのも事実です。
まぁ、機能の維持に古い油や汚れが影響しないなら、という事です。

で、本機は上手くモートルが分離できましたので、先にモートルとギア関係を清掃します。



いきなり済んでしまった写真ですが、清掃完了。
機構的には戦前の乙型と同じ、メジャーなカウンターギア式。
この時代以降はギアにもプラ化の波が押し寄せ、まずはクラッチ付きヘリカルギアが先んじたようです。
以前もう少し新しい東芝の機種を直した際(修理依頼品)も同様でした。

そして鉄球の嵌る箇所はギア・シャフト共に縦溝になっており、板バネを広げずにスライドさせて装着できます。
組み立てしやすいよう工夫されている、という事かと。

切り替えがダイヤル式なので、ノブ式のようにシャフトの上下位置を固定させる必要が無いのも理由でしょう。
首振り機構の動作自体は常にONで、カムとアーム、角度調整バーの関係で実際の動作を決めているからです。
賢いのう。

ちなみにこの頃になると、モートルケースやギアボックスはアルミダイキャストになります。
モートル自体の小型化も進んで、普段戦前機ばかり扱っているとかなり軽量に感じます。
そしてエンドベルとギアボックスが一体というのも特徴。
このエンドベルの大きな隙間を通して配線されているのが定番でして、配線は基台内部からしか取外しできなかったりする。
外そうとすれば首の伸縮機構からバラさないと…となる場合もあります。
なので得てして「お座敷扇のレストアは面倒」となるのです。

さて、油汚れの頑固さについても戦前の比ではなく、サクサクとパーツクリーナで拭き掃除完了。
続いて基台側、内部の手入れに入ります。



まずは裏蓋外しから。
脚も奇麗に残っております。



開きました。
電源コードが繋がっているので外しますが、ここにも一工夫されています。
コードリール内蔵なのです。
「コード巻き」と称されていますが、使う上では地味に便利。
特に平行線の捻じれが許せない身としては、まっすぐなまま収納できるのが何より嬉しい。
純粋に邪魔にならないという点でも良い機能です。
正に収納を考えたコンパックならでは。
しかし…



こうなっている個体多し。
プラグが交換されているんです。
というのも、本機のオリジナルプラグはこちら。



またも部品取り機様々。Terimakasih. Sama-sama. いやそっちじゃない。
この時代に出てきた、今では一般的な一体成型プラグの走りです。
今と違うのは断線対策処理の有無でして、プラグからいきなり平行線が出ています。
なので付け根に負荷がかかって断線するのがオチ…という事で、交換されている個体が多いのです。

ここで問題なのは、本機やその他コンパックシリーズは「このサイズのプラグありきで収納される寸法」になっている事。
交換プラグは得てしてゴロっと大き目なので、こうしてプラグだけ飛び出した不格好になりがち。
まぁ一応、これ以前の世代にはもっと小さい組立プラグがありましたから、それを使えば収納はできるのですが…

とはいえ、せっかくオリジナルが手に入ったわけですから交換してしまいます。
…リールはバラしたくありませんが…



だがバラす。
まずはリールを固定しているプラピンを外しましょう。
プラピンを留めているEリングはMOPARマークみたいな形。





はい。リールの中はこうなっています。
便利グッズとして売っているコードリールと殆ど同じ構造です。
紐で目印兼抜け止め(だと思います)してある箇所の直後(リール側)がドラムのスリットに挟まり、あとは写真の通りに巻けば大丈夫。
コードは既に各部で癖づいているので、正直にその通り戻せば問題無し。

ですが予想通り、この手の組み戻しは何度かトライ&エラーになります。
どうしても内部でコードが重なってしまい、うまく平面で巻いてくれません。
とはいえ無事済んだのでOKです。

回転で擦れる所には少々グリスでも塗っておこうか。
あるいはプラなので下手に何もしない方が今後の為か…
油脂類と樹脂は、相性次第で劣化を促進させてしまうのでご注意を。







機構部分は大方済みましたので、次はメッキの再生と参りましょう。
この時代の扇風機の特徴として挙げられるのがメッキパーツ。
各部に加飾がなされ、高級感を演出しています。
それが経年により点錆や曇りに覆われておりますので、上手い事落としに係るのです。
メッキパーツが輝くと一気に奇麗度が上がります。

ところで一口にメッキと申しましても色々ございます。
大体この60年代終わり頃までは質が良く、今なら車のエンブレムやグリル等のように、銅箔をベースにした分厚いタイプとなっています。
そもそもベースが金属パーツなのが多かったのも理由かもしれません。

その後コストダウンの時代に入ると、プラモにも似た樹脂に直接アルミか何かを蒸着したタイプとなり、膜厚がかなり薄くなります。
劣化で下地が見えてしまっている物も多く、そうなるともう塗装するか、業者に出して再メッキしてもらうしかありません。

電子コンパックシリーズなら、この初代SXもファンガード中央のガーニッシュは膜厚の薄いタイプ。
酸洗いは避けた方が良い。
その他の部分も厚めながらしっかり銅箔が付いたものかは微妙ですので、注意しつつ進めるべきかと予想しました。

そしてちょっと意外だったのは、電子スイッチとして機能するタッチプレートも樹脂パーツのメッキ仕上げだった事。
これでも通電するんだ…と思いました。まぁ金属を蒸着しているので当然なのですが…

ファンガードともども処理後の写真は撮り忘れましたので、最後の仕上がり写真にまとめさせて頂きます。





こちらは型名の彫られている基台前端のガーニッシュ。
処理後の状態です。
メッキは綺麗になりましたが黒塗装が剥げており、目を惹く部分なのでしっかりと仕上げしたいところ。

上の写真で少々ボケているのはインジケータのネオンバルブ。
麦球とほぼ同じサイズと形ですが、内部構造が違います。
調べると一応まだ購入できるところはあるらしいですね。

昔はPL等の中によく入っていましたが、LEDに代わって久しい今日この頃。
70V程度から点灯するようなので、100Vが素直にかかっているのかな。
…隣に回路図あるんだから見ろっての(見たところそのようです)。
運転開始時に必ず点灯する「1」の箇所が最も煤けています。




こんな感じでどうでしょうかな。
黒部分は全体を重ね塗りしてみました。
良い具合の半艶になったかと。



さて、ここからは組み立てのパートとなります。
とはいっても少々の分解も入りつつ。

こちらは頸の付け根、モートルを受けるネックピースの部分です。
本機はダイヤル式の首振り角度切り替え機能がありますので、その可動部分が内部に組まれています。
現状油まみれですが、メッキの蓋を外すと…



スプリングが弾けて少々びっくり。
組み直す時に忘れそうなので写真を取りつつ進めましょう。





上手くネックピースだけ外れたので洗浄します(ビフォーです)。
残念ながら、白プラに染みた油の色までは落ちず。致し方なし。
黄ばみはそもそも出てしまいますので割り切りましょう。



部品をそれぞれ清掃して組み直しの図。
こうして押さえていないと弾けてしまいます(撮影直後に弾けた模様)。

後ろ側スプリングの入る部分は長ビスでテンション調整できるようになっており、どうやら切り替え具合の微調が効くようです。
ネックピースの変な切り欠きはドライバ穴だったのか。



どうにか蓋を閉めて完成。
ダイヤルは0度、首振りOFFの位置です。

2本のスプリングで両方からテンションを掛けるので、なかなか気を遣う作業です。
なお、基台の首振り切り替えノブで動くのは上に出っ張っている平板。



一方こちらはモートル裏とそのすぐ下に収まる変形カム。
第二の首振りアームに繋がっています。
このアームはギア側カムではなく、首振り動作によって受動的に左右に動きます。

両者を重ねると3段階の扇型になる事が分かり、ネックピース側の平板(バー)はその各段階に当たる位置に止まります。

つまり、扇型の溝はそのまま首振り角度になっていて「どこまで振らせるか」はバーの位置で決まるやり方です。
また、ギアボックスに繋がる方のカムにもセンターをずらす機構が入っており、どうやら首振り切り替え時に負荷を逃がしたり、振り角を自動調整するようです。

そして、ダイヤルを回して角度切り替えを行うと、平板の位置はこのように変化します。



40度



80度



120度


段々と前に行っているのがお分かりかと。
こういう仕組みってよく考えるよなぁ。

各部の油脂交換に加え、ワイヤの中もどうやらグリスが入っていたようなのでオイルを入れました。
スムーズに動くようになりましたので、シャキッと切り替わってくれる事でしょう。
ワイヤ式の首振り切り替えはちゃんと動作しないのが多いのです。

ここで少々心配なのは、スプリングのテンションが掛かりつつグリスに曝され、かつモートルも支えているネックピースの強度。
この部分もプラ製なので、割れてしまうと厄介だろうなぁ。
実際そうなっている個体もちらほらあるようです。
今のところ何とも無さそうなのが幸いです。



そろそろ裏蓋を閉じて真っ直ぐ立たせたいので、先にこちらを済ませます。
小さなプリント基板には、5球スーパーでもおなじみのぺパコン。
恐らく抜けているでしょうから、予防整備的な視点でも交換してしまいます。



こちらもラジオ修理でおなじみ、0.01μ/630Vのフィルムコン。
元が400WV(Working Voltage≒耐圧)なのでそうしましたが、まぁ明らかにオーバースペックですよね…
マージンが広いのは往々にして良い事ですが。
それこそラジオ用に元からあった規格品なので、シンプルに使っただけでしょう。

後はインジケータを戻し、コードリールからの線をハンダして蓋を閉めるだけ。
これでモートル周辺の組み立てに入れます。



とりあえず先にモートル本体を戻してしまいます。
こちらは先ほどの首振り角度調整バーと、モートル側カム(以下ストッパ)の噛み合い具合。
このように左右の振れ幅の異なる段階にバーが移動して調整となります。

奥に見える黄色っぽいプラの方は左右に動くようになっており、主に首振りOFF~正面を向いて停止までの間で役立つ機構のようです。
後はストッパの外側にバーが沿うシチュエーションとなった場合の逃げ方。
バーの前後位置はダイヤルで決まりますが、力を掛ければテンションスプリングで逃げる事ができます。
なので、ストッパの外側に沿ってしまった場合にも、正面へ戻る動作で一旦バーが後ろに逃げ、正しい位置に収まります。





こちらはギアボックスから繋がる首振りのカム。
下の写真の通り少々変わった造りで、アームの繋がるビス穴はカム内でスライドするようになっています。
上の写真で出っ張っている中にはスプリングが入っており、それでテンションが掛かっています。
スライドにある程度の抵抗を持たせるためです。





それがこのように組み合わさります。
先ほど首振りのストッパに繋がっていた第二のアームは上段で、常にセンターであり続けます。

一方で下段のアームは普通の首振りアームとして動くのですが、首振りOFFに設定すると角度調整バーはモートルケースの切り欠きに嵌って、モートルを正面へ固定しようとします(上の写真がその状態)。

するとカム内でビス穴のあるボスがスライドして力を逃がしつつ、ストッパにバーが当たらなくなって首振りが止まる…という流れです。
その中で角度調整バーやモートルの動きに合わせるべく、プラ製のストッパは左右の遊びを持たせてあるようです。

言葉にすると難解ですが、実際に動くのを見ると分かりやすいかもしれません。
動画を撮ってアップした方がよろしいか。
いずれにせよ良く考えてあります。



組立も大詰め、モートルの配線とコンデンサ交換をすれば終わったようなものです。
コンデンサは定番の角型ACコンですが、珍しく4μと少々大き目。
素直にビス止めは無理なようでしたので、ギアボックス上にインシュロックで留めました。
割と何とかなる場合が多いのですが、たまにこうして簡易固定となったり、オリジナル金具を要する事があります。

コンデンサの端子は車でおなじみの250ですが、スペースの関係上ハンダにて接続しました。
今後交換するものでもないので。





後はファンを戻せば完成。
下の写真はフロア扇モード。

ファン自体も痛みは無く、汚れを落とすだけで済みました。
これ位年代の進んだ機種になると、ユーザが手入れ上分解できる部分はツールレスで脱着できるので楽。
細かいP剥げもとりあえずタッチアップしときました。



ガーニッシュ近辺も綺麗に仕上がりました。
スリーダイヤと「MITSUBISHI ELECTRIC」は薄いメッキなので、剥げていない個体は少数と見えます。

金メッキ風に見えるのは、恐らくアイボリー系の樹脂が透けてきているからかと。
なお、ガーニッシュはプラのボスを焼き潰しで固定してありますので、外そうと思えば簡単です。
なので再生に当たって外すかどうかを迷いましたが、固定跡もできれば残したかったので敢えて非分解としました。
しかしガーニッシュの外周の際までガードのスポークが酸化していおり、その処置もしたい…

と言う訳でマスキングゾルを使いました。
保険的に塗っておくと安心ではないかと思います。

この個体のファンの色は薄青ですが、他にも紫と緑、濃い青があったようです。
今日多く見られるのはやっぱり濃い青。この時代の扇風機の定番イメージですものね。
しかしこの薄青も涼し気で、かつクラシカルで良い。
それもまた良し。という奴です。



操作部全景。
直線基調ながらまだ前時代の面影を残しており、同い年の二代目ダッジ チャージャーのような美しさとは思いませぬか。
私はあれの69年型にいつか乗ってみたいのですが…もう家が買える値段だもんなぁ。
機能部分が目隠しされたデザインというのも共通ですね。あちらはヒドゥンヘッドライトが有名です。



電子スイッチもこんなに綺麗になりました。



最初の写真にもある通り、欠品している個体の多いリモコンケーブルも揃ってます。
勿論清掃済み。
蓋にはマグネットが付いていて、不意な解放とスイッチ接触不良の防止になっていますが、相手方の鉄板が行方知れずとなっていました。
これは部品取り機から移植しています。

リモコンケーブルは旧設計のリモコン仕様機であるR30-X系にも付属するのですが、端子方向等に何種類かあるようです。
ピンアサインやピッチまで違うかは未確認ですが、意外と全く同じと言う機種は少ない様子。
形は違うけど流用可能というものも、もしかするとあるかもしれません。

ちなみに、蓋にある電子スイッチはリモコンの同スイッチへ接触通電している構造のため、蓋を開けてリモコン側へ触れても操作可能。
まぁ端子間の長さをケーブルの有無で変えているだけなので、操作できても何も不思議はないのですが…
そして運転中にリモコンを外すと停止します。

なお、ステッピングリレーに接点グリスを塗ったのですが、それが徒となってインジケータの消灯不良が起きました。
OFF状態でも1速ランプがぼんやり点灯し、3速にも入りずらい。
もしやと思い洗浄したところ復活しました。
やはりあれも使いどころに注意が必要です。
接点復活剤は尚の事で、基板のベークに染み込んで絶縁不良になったりします。





改めてリモコンモード。
割愛しましたがリモコンも分解清掃しています。
ケーブル引き出し部分には蓋に切り欠きがあります。







1速から3速のインジケータ点灯の様子。
現代のLEDには無い、趣や味の感じられる光です。



そして気づいた事がありました。
タイマユニットの取り外しには右端に見えるレバーを手前(矢印方向)へ引くのですが、これってリモコンケーブルにも使える機能なんですね。
ちゃんとコネクタ部分に当たるようになっていて、無理なく外せるよう工夫されています。
本当によく考えられてるなぁ。



はい。これで一応、梅雨明けや本格的に気温の上がる前に間に合った形になります。
本来…というか以前の予定ではゼネラル ハイクールの2台目を修理して使うつもりでしたが…
そちらがすっかりお蔵入りになってしまいました。
あれはファンガードの横グリルガーニッシュの面倒さが目に見えているので、どうもやる気が起きないのです。
機能的には普通の扇風機ですし。

まぁゆっくりやっていきましょう。
Pelan-Pelan saja, Bosku.
…ところで、あのラジコンも撮影したいですね…まだ室内しか走っていないし…
とはいえ、木枠の設計からしないと家から出せそうにないですが。なんて物作ってんだか。
ブログ一覧 | アンティーク家電 | 趣味
Posted at 2023/07/02 00:05:32

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

関連記事

ミストファン冷風機新調
MONSTERの移動運用記さん

オーム電機製 サーキュレーター と ...
揚げ職人VIPさん

4L 前期後期違い ドラムパネル
まちゃマックさん

アウトドア用充電式扇風機購入
clearboxさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「仕上げ進行中 vol.2 http://cvw.jp/b/2115746/48592454/
何シテル?   08/10 22:31
菊菱工廠と申します。 「工廠」なんて言いましても、車いじりは飽くまで素人。 電装系なら結構自前でこなします。 ちょっとした金具作りなんかも。 ナ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

愛車一覧

三菱 エクリプスクロス 三菱 エクリプスクロス
アウトランダーPHEVと迷った結果、偉大な先代、コルトプラスの跡を継ぐこととなりました。 ...
シボレー サバーバン シボレー サバーバン
Super Wagon, Texas Cadillac… それはアメリカで最も長く続くモ ...
三菱 コルトプラス 三菱 コルトプラス
家族の車です。 私が免許を取った際の練習にも活躍しました。よって、免許取得以前からの付き ...
三菱 パジェロ 三菱 パジェロ
荒野の山猫、パジェロの初代後期型でございます。 88年9月MC版、4D56 I/Cター ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation