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菊菱工廠のブログ一覧

2022年11月09日 イイね!

過去のレストア記録 ~ 昭和30年頃 川崎電機 14吋扇風機

これまでレストアしてきた扇風機は、手放した物も含めると恐らく60台程になると思います。
現在手元にあるのは50台程度かと思いますが、学生時代に購入・整備した物もあり、みんカラを始める遥か前の物が多数です。

という事で、記事の充実を図る意味でも、これまでの整備を振り返って投稿したいと思います。
日付は迷いましたが、投稿は現在時間として、本文中に作業した年月を記載する事にします。


レストア振り返り企画の第九弾。
川崎電機の「14吋扇風機」です。
「AC. DESK FAN」と銘板にある以外、特に名前は無いようです。

こちらの入手は2020年7月14日。これ以降が今の家での手入れですね。







入手時の様子です。
普通に動くけどジャンク品扱いでの購入です。
羽根ガードの中央、プラ製エンブレムの上部に「リバーマーク」がある通り、川崎造船を出発点とする会社です。

元々は「オルビット型・川崎型」と称する扇風機で戦前に有名になりましたが、当時からイロモノ…もとい個性派だったようで、この頃にはすっかりマイナーブランドとなってしまったようです。
しかし一方で、川崎型の名を冠した鉄道車両用天井扇が有名になります。
本機は資料が無いので正式な製造年は不明ですが、各部の特長からすると昭和30年頃なんじゃないかなぁ…と思います。

そして、普段扱わないメーカなので少々観察してみました。
2、3枚目の写真がそれですが、首振り機能の切り替えが「つまみの締め具合」という簡易な機構。最早手抜きじゃないかい?
裏面を覗いてみると、まぁこちらは普通でしょうか。
色付きゴムブッシュが溶解→再硬化で崩壊しているのは、メーカを問わず当時モノの定番です。

しかしカムのビス穴が一つしかなく、首振り角度の調整はできないタイプです。
あと、アームとカムを結ぶビスが手回しタイプになっていますが…これはオリジナルなのかなぁ。











分解風景ですが、いきなり衝撃。パステルカラーの本体色に対するまさかのオキサイドレッド。
流石カワサキ…家電と言えどさび止めに抜かりないとは、機械屋ですね。ここだけやたら重厚感があります。

裏蓋はセオリー通りに壁掛け用のビス穴がありますが、何故か皿ビスで止めてありました。
作りが少々雑なので、もしかすると後から個人が作り直したのかもしれません。
スイッチ部は厚いベーク板を使ったシンプルな造り。
端子が全て現代的な圧着端子とビス止めになっているのも特徴でしょう。





マイクスタンド状態からの、モートル分離。
ここからは未知の「川崎の首振り機構」。慎重にバラしていきます。







ギアをバラして行くと、結果3枚目のような構成になっていました。
オキサイドレッドはまさかの上塗りでした…何でここだけこんな色にしたんだろ。
首振り機構の減速方法は色々とありますが、大方は遊星ギアかカウンターギアになっています。
しかしこちらは2段階にスクリューギアを使い、軸方向を2度変えています。珍しいタイプでしょう。
真鍮の大きい蓋があったり、モートル軸側のスクリューギアがロータと別体だったりするのは古いGE製にも似ている…ような気がする。



続いてプラ部品達。この時期はまだスイッチノブやエンブレム、プラグ程度でしたので、力のかからない小物が中心です。
電源コードが付いてこなかったので、何とか水色のビニル平行線を探してプラグも揃えました。プラグはナショナルです。





そして銘板。元からそれなりに奇麗だったので、大したビフォーアフターにはなりませんでした…



組み立て前になりますが、ここにも工夫点が見られました。
これはモートル下部の軸と軸受け、それのロックピンです。
戦前型ではこのロックピンは段付きビスとなっており、基台の外から取り付けするものでしたが、こちらは予めこの段階でモートルと組み、ピンを入れた状態で基台に取り付けます。
するとピンは左右を塞がれて抜けなくなり、ピンは軸の切り欠き部を通るのでモートルも抜けない…という事になります。
よく考えてあるなぁ。



という事で現在の姿…写真は今度開催の展示会、そのフライヤーです。
実は出展する内の一台なんです。右上に写っております。

本機はぱっと見た感じでは当時流行った形に添っていますが、羽根が14吋と言う半端なサイズだったり、首振り切り替えが捻りのない捻り(ネジ的な意味で)だったりと、苦戦してる感がにじみ出ています。

元々家電屋さんではない企業なのでそこまで力を入れなかった可能性もありますが、あまり日の目を見ずに消えてしまった機種という意味ではレアリティの高い奴だと思います。
かつてアルファロメオが軍用オフロード四駆を作ったら、オイルパンを無くすためにエンジンがドライサンプだった…何て事がありましたが、その逆というか、畑違いのはずが…という面白い機種ではないでしょうか。
Posted at 2022/11/09 22:03:37 | コメント(0) | トラックバック(0) | アンティーク家電 | 趣味

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