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ヤマモトFのブログ一覧

2017年02月15日 イイね!

日本における「若者のクルマ離れ」とかいうものの原因、やっぱりスマホなんじゃないか仮説

※本記事ははてなブログからの転載です

新幹線のライバルとはなんぞや

 大学時代(2005年くらい。もう10年以上前だ、歳を取ったものだ)、私の大変頭の切れる先輩が、某「新幹線で大半の利益を稼ぎ出しつつあとは徹底的にコストダウンしヲタから嫌われてる鉄道会社」の入社選考を受けた際、面接にてこんな質問をされたと言っていた。

「新幹線のライバルは、なんだと思いますか。」

 普通に考えたら飛行機か高速バスだ。いや、それでは当たり前すぎるしどんなアホでも最低限そのくらいの回答はできる。天下の大企業にはそれでは認めてもらえないだろう。フランスのTGVか((2017年の今なら中国か))。いやヲタを最も嫌い、ヲタも最も嫌う逆相思相愛状態の鉄道会社にその答えは最悪だし、あの会社のメイン稼業は輸送であって輸出ではない。悩む私を尻目に先輩は得意そうに、こう回答したんだ、と言った。

「ITの進歩です。」

…今考えても、限りなくベストに近い良い答えだと思う。その企業の主力商品の提供価値や主要ニーズ((余談だけど、アホ学生だった私は東海道新幹線の主要顧客はなんとなく旅行者だと平気で思ってて、実はほぼサラリーマンで埋め尽くされてることは想像できていなかった、アホですね。))の本質をとらえつつ、奇抜過ぎないけど突っ込んで聞いてみたくなるレベルの意外性・未来への展望も含んだ広い視野・そして以上を含む「この場で望ましい回答」を瞬時に理解し的確に回答できる瞬発力など、面接の回答で期待される要素をたっぷり含んでいる。

 果たして10年後の現在、通信技術の進歩で拠点間を結んだテレビ会議はガンガン普及しもはや当たり前になり、さらには在宅勤務を無限に認める企業まで現れ、「わざわざ移動して面と向かって話し合う」ことの価値は、儀礼的要素を除いてはかつてに比べて相当低下している(それでもその会社は高い乗車率を維持しているみたいだけど)。



あれ?クルマもそうじゃね?

 で、ここからが本題。この話、実はクルマもおんなじなんじゃないか、と思ったわけです。若い世代からクルマというアイテムが求心力を失いつつあるのも、実は「ITの進歩」、もっと具体的に言えば「携帯電話〜スマートフォンの普及」が原因なのでは、と。
 スゲー当たり前でありがちなことを言ってると思った人、気持ちはわかるけどちょっと待ってほしい。さも既定の事実のように語られる「若者のクルマ離れ」において、最も原因として挙げられがちなのが「携帯・スマートフォンの普及」であることは私もよくわかっている。しかし、その理由が「携帯/スマホの維持にお金がかかるので、クルマまでお金が回せない」というよくある話、これはいち要因としてはアリだけど、クリティカルに正解ではない気がしている。
 「給料が低い」「新車が高いから買えない」、これもよく語られる原因だし間違ってはいないと思う。しかし車の寿命はここ20年くらいでかなり伸び、装備もどんどん充実している。いま世の中には、20年前の新車よりはるかに安全で快適に使える中古車が、(所得水準の低下分も加味した上でも)20年前の新車より余裕でお求めやすいお値段でゴロゴロしている。高い高い言われる保険料も車両保険をかけなければ実はそんなに高くない(そして安価な中古車に車両保険を掛ける必要性は薄い)。実際、(駐車場代の差以上に)所得水準の低い地方部の、さらに所得水準の低い高卒ヤンキーな若い人も、ガンガン軽自動車を乗り回している。ただしそれはお金をかける対象ではないし、冷蔵庫や洗濯機と同じような生活必需品として、だけど。
 つまり、いまだってクルマを買おうと思ったら恐らく買えるのだ。でも買わない、というか興味が無い、ということは、その「必要性」そのものが揺らいだと考えた方がいい。



クルマの提供していた価値はなんだったか

 では、かつてのわかいひとにとっての「クルマの必要性」、つまりクルマがかつての若い人々の間でどう機能していたかというと、ちょっと妄想入るけど恐らく「移動」と「パーソナルな空間の提供」だ。

 「移動」という機能は、クルマの根本的な提供価値であり、まぁ当たり前と言えば当たり前だ。大事なのは、「なんでサラリーマンがわざわざ新幹線に乗って行ったり来たりするのか」と同様、「なんで移動してたのか」ということだ。
 それは、移動しないと、恋人や仲間や友人とリアルタイムなコミュニケーションを取れなかったからだ。当時は免許なしで遠くの人とリアルタイムに話すツールは、電話くらいしかなかった。しかし電話は基本的に共有のものであり、実家暮らしなら家族の目を気にしなければならなかった。今ならLINEでほいほいっとできる1対1やグループでのコミュニケーションは、同じ場にいなければ成立しなかったのだ。ところが移動手段として公に存在する公共交通機関は、いまと同じくらいかそれ以上に貧弱で、なにより時間も場所もある程度制限されてしまう。ここに、「移動」へのニーズ、しかも「パーソナルで自由にどこでも行ける移動手段」のニーズが発生する。つまりクルマである。

 そしてもう一つ重要なのが「1対1、もしくはグループで周囲を気にせず話せるパーソナルな空間の提供」だ。これもリアルタイム連絡手段が共有の固定電話しかなかったことと本質は一緒だ。カラオケボックスも漫喫も今ほどわんさか存在しない。いきなりラブホは…まぁだいたいダメであろう。とにかく、プライベートにリアルタイムコミュニケーションする手段がメチャクチャ乏しかったのだ。
 80年代後半〜90年前後に若い人たちがこぞって借金して買い求め、とにかくバカ売れした2人乗りクーペ「日産シルビア」や「ホンダプレリュード」が、一体何と呼ばれていたか、リルタイム世代のアラフィフ以上の人や歴史に詳しい車好きならすぐわかるだろう。そのものずばり「デートカー」だ。ここでクルマの「周囲から隔絶された空間の提供」という価値がフルに発揮される。クルマに拘ったりだいたいみんな詳しかったりしたのも、「デートで使うから」である。かっこいい服を着てみたり、ちょっと小洒落たメシ屋を用意するのと同じ感覚である。カッコつける対象だったのだ。

 しかし今は、ご存知の通り気になるアノ子とのちょっと人には聞かせられないやりとりや、仲間内の秘匿なやりとりは、通話も含め極論LINEだけあればこと足りてしまう。あれ??クルマ、いらねぇじゃん。



日産シルビア(S13型)。いまでこそキモヲタ走り屋気取り御用達の同車も、現役当時はリア充がイチャイチャする用途がメインでした。


ホンダプレリュード。助手席を倒すレバーが運転席側にあるという驚異の実用性で大人気に(なんの実用かはお察しください)。



クルマが負けたのは、コミュニケーション手段を取られたから

 まとめると、クルマが若者(の心)から離れたのは、「コミュニケーション手段としての価値がスマホに置き換わり、皆無になった」からだ。
 若い人、特にヒマな独身者の間で、今も昔も強く持たれている「コミュニケーションへの欲求」の発散を、かつては実はクルマがメチャクチャ強く担っていて、「クルマに求められるものの本質」もそこにあった。しかし、今はそこを根こそぎスマホがもってってしまった。もはや別にクルマなどなくてもイチャイチャできるし内輪でキャッキャすることもできる、ということである。

 つまり、いくらカッコいいスポーツカーを出してみたり、社長が自らレースしてみたり、若者()に媚びたクルマを出してみたり、残価設定ローンなどで買いやすくしてみたところで、釣れるのは一部の既にクルマヲタの人かこれからクルマヲタになる人のみであって、その他のわかいひとのマジョリティには「生活必需品として必要なもの」もしくは「オタク的なもの」の領域を出ず、心の中の真ん中に近いとこにクルマは来っこないのだ。


2017年時点で買える最も美しい日本車ことマツダロードスターRF。ふつくしい。もしかして「メチャクチャ美しい」という「別の価値」を、ヲタ以外にも提供できるのではという希望の星。

 ここを解消するか別の価値を提示するかしない限り、このままクルマのポジションはジリ貧になるばかりな気がしている。それは、不幸にしてクルマやその運転やそれがある生活に楽しさを見出してしまい、クルマヲタになってしまった僕のような人間にとって、あんまりいいことじゃないし、もちろん自動車会社の国内部門やその周辺業界にとってもいいことではない。だが、それを変革する提案は、まだほとんど出てきていない。
 ではどうやって解決するか? 2017年におけるクルマを所有することの提供価値はなんなのか?それは、長くなるのでまた今度。
Posted at 2017/02/15 23:06:20 | コメント(1) | トラックバック(1) | クルマ
2015年10月05日 イイね!

Car-Meというサイトのディーゼルエンジンについての記事が凄い(悪い意味で)

凄い。

何が凄いって前回の記事のPVです。
1週間位で2500PVいただくという、自分としてはありがたさしかない感じになりました。
まだのかたでディーゼルエンジンについてやVWの問題について興味のあるかたは是非下記をご一読ください。

VW問題とディーゼルエンジンについての基礎的な話
https://minkara.carview.co.jp/userid/2390648/blog/36524578/


さてそんな記事を書いたという宣伝はおいといて、タイトルの件ですよ。

凄い。

前回のわたしの記事を踏まえたうえで御覧ください。



今だからこそ振り返る!VWとマツダのディーゼルエンジンは何が違う? -CarMe
http://car-me.jp/articles/3093/




…読みましたか?
ふつうに「なるほど〜」とか思ってしまった方はもっかい前回の私の記事を読んできてください!!
…とか言いたいところだけどそれ以前の問題だよ!!!

というわけでどこが凄いのかわかりきってるものをさらに指摘して追い打ちをかけるという性格の悪い記事です。性格の悪い方のみお読みください。




◆ここが凄い1 (理論がわかってないとかそういうレベル以前に)思い切り矛盾してる

1ページ目で「軽油を早く燃焼させるとNOxが発生し、ゆっくり燃焼させるとPMが発生します」

と書いておきながら、2ページ目で舌の根も乾かぬうちに

「これにより燃焼速度を高めることができるため、NOxを制御しやすくなります。」

ってオイ!!!!燃焼速度高めたらNOxが発生するんじゃなかったのかよ!!!!

…原理がわかってないとかそういうレベルですらないぞこれは…!!
(燃焼速度を速くするとNOxが出るという表現についても言いたいことは山程ありますがたぶんこの記事書いている人にとってはどうでもいいことだと思いますので割愛)


ついでにもうひとつ、VWエンジンの紹介のところで

「シリンダー内に燃料を直接噴射し、圧縮した空気に点火しパワーを出し、ターボを追加することで吸気量を増やし、パワーを押し上げるのです。これにより燃焼速度を高めることができるため、NOxを制御しやすくなります。」

って書いておきながら、マツダの紹介のところで

「圧縮を下げると、当然パワーとトルクは落ちます。そこで、近年進化の著しいターボ制御技術を用いて過給します。これにより、パワーも十分に保てるディーゼルエンジンが生まれます。」

と書いてあるんですが、あれ、アナタの理論だともしかしてマツダもターボ使ってるし圧縮比下げなくてもNOx抑制できるんじゃないんですかね…とかは、「速く燃焼させるとNOxが発生する」って言ってるしきっと気のせいなので置いときます。



◆ここが凄い2 あまりにも基礎的なことがわかってない

一方で排ガス内のPMは浄化する必要がありますよね。浄化装置にはいくつか種類があります。メルセデスなどが採用しているのは、尿素SCRと言う浄化装置を使ったもの。排ガスに専用の浄化液を吹きかけて浄化。」

…うん、まぁ正直よく見かける間違いだよね。PMはDPFで浄化、NOxはNOx吸蔵還元触媒か尿素SCRで浄化っていうのが常識だと思ってるのは技術者と一部ヲタくらいなもんだよね。

でもねまがりなりにも運営会社がある商用サイトに記名で記事書いてるひとがこんな基礎的なこともわかってないってどうなの(涙)それお金もらってるんだったら僕が3倍位の価格で10倍正確な記事書きますよ(涙)


というわけでこの人(記名記事っぽいけど名は伏せる)、こういう記事を書こうと思ったらまず理解していないといけない根本的な部分(だと僕が思ってるもの)についての理解すらあやふやなまま、記事っぽい何かに仕立てて(しかももしかしたらコレでいくらかお金をもらって)いるというわけです。

自動車ライターといったらガッチガチに理論的で理系感バリバリな人(もしくは貴族)がやるというのが一般的だと思っていた、雑誌とか言う旧世代メディアに慣れ親しんでいた旧世代マンとしては、こんなレベルでプロぶって記事を発表していいんだ!!!しかも記名で!!!!と驚くばかりです。

まったく凄い世の中になったものです。




◆ここが凄い3 出典を明記すれば画像引用し放題と思ってるっぽい

いやこれ推測ですけどね。画像に引用元が書いてあるんですが、それがどう見ても個人ブログなんですよね。でもこの写真(写真やってるひとはわかると思うけど)たぶんシロウトが簡単に撮った写真ではないんですよね(ライティングとか超完璧だしたぶんめちゃくちゃレタッチしてる)。しかも元ブログの人、たぶんBMWオーナーでVWは持ってないんですよね。つまり恐らくメーカー公式かそれに準ずるプロの仕業のものを引用してるんですよね。

それを「出典:(URL)」って書けば持ってきてオッケーって、商用サイトでやる度胸凄まじいものがあります。いやこれCarMeさんの記事ぜんぶに言えることなんですけど。こんな多岐に渡る出典に、ぜんぶいちいちメールとかで使用許諾してるんですかね? もし万が一その作業をぜんぶしてるとして、その人に著作権がない画像もその人がオッケーしたらつかってオッケーっていうことなんですかね??

…まぁ推測で物を言ってるにすぎないので、「これは全部著作者の許諾を得ています!あの素晴らしいプロみたいなTDIエンジンの写真もブログのひとが撮ったものと確認が取れていますし許諾を得ましたので一切問題ありません!!!!」って言うようでしたら全面的に謝罪してこの項は削除させていただきますのでご一報ください。


【10/6追記】運営会社のサイトを見ていたら、CarMeについて「自動車情報に特化したキュレーションメディア」と記されていました。…そうかキュレーションメディアって言えば無断で画像使っていいルールというものがこの世にあると思っている人がいることをすっかり忘れていました!!!すみません!!!!!

参考→ バイラル・キュレーションメディアの勝手な無断転載はどうして止まらないのか? -週刊アスキー

【追記ここまで】




上記の他にも「SKYACTIV-Dの革新を全く理解できてない(…というのは「ここが凄い1・2」からすれば何の驚きもないですけど)」「そもそも文章が壊滅的にヘタクソ」とか色々ありますけど、実は一番の驚きは下記です。


◆ここが凄い4 こんなレベルの記事にfacebookで1200イイネついてる



…Webの発達による記事の絶対量増加、それによるライター不足と記事の粗製濫造ってホント深刻なんですね、と思ってたけどそれでもこんだけイイネされるほどインターネットの裾野自体が広がってたんですね。はは。

というわけで業界の深淵を垣間見たところで、今日はこの辺で。



…今回も画像がない!!
Posted at 2015/10/06 00:03:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | VW問題 | 日記
2015年09月29日 イイね!

VW問題とディーゼルエンジンについての基礎的な話

お久しぶりです。
コドモがちいさいとなかなかヒマのないもので、色々書きたいと思ってはいたのですがなんだか何もしないまま今に至ってしまいました。新型ロードスターに80kmくらい乗ったりした話とか書きたかったんですが完全にタイミングを失いましたね…。

さて現在巷を賑わすVW問題。毎日毎日よくもまぁこんな色々というようなことが出てきて大変ですねほんと…。
とりあえずマツダからは「まじめにやってます!」という声明が出たので、CX-3オーナーとして一応は一安心ではあります。

で、とりあえず現状や基本的な話について僕の理解をまとめてみました。今回の問題の理解の手助けになればと思います。マツダ(の、しかもディーゼルエンジン)オーナーなのでわりと自己擁護強めです(笑)。
…いや、なんというか色々知識不足のまま語ってたり間違ったことを言っているひとがいるような気がするという事例がついったーとかでわりと観られたので、ちょっと自分の理解をまとめてみようかと思った次第です)。




◆今回何が問題になったの?

・VWが、車が排ガス検査していると判断すると排ガス浄化機能をフル活動させ、そうでない通常走行時には浄化機能を弱めるプログラムを組んで量産車に搭載し、アメリカ・欧州の排ガス基準検査をパスし、世界で1100万台ほど販売していた。
・これはアメリカの法律で禁じられた行為で、「不正」どころか明確に「違法」。


◆なんでそんなことしたの?

・詳細は不明だけど、排ガスをクリーンにしようとすると実燃費が悪くなってパワーも落ちるのが一般的なので、それを避けるためという説や、アメリカの「20万キロ走った後も浄化性能を維持せよ」という基準に通せるほど耐久性に自信がなかったという説などがある。
・たしかにCX-3も200kmに1度位の頻度でDPF再生モードになり燃費が落ちるので、もし可能ならばEGR(燃焼済の排ガスを再度エンジン内に再導入して吸気内の酸素を薄くする装置)を弱くして酸素超過多にして燃やせばPMが出にくくなってDPF再生頻度が少なくなり燃費もパフォーマンスもアップするでしょうね。そのかわりNOxがだばだばになるけどね!(良い子は真似しないでね!!…って「マツダはNOx触媒ないから不正できない!」って言い切ってるヒト、上記の通りやろうと思えばたぶんカンタンに出来ますよ)
・…いずれにしてもVWはメーカー挙げてわざとやってるため企業として完全にアウト。


◆マツダとかBMWも欧州の基準を超える排ガスが検知されているとの一部報道もあるけど大丈夫?

・マツダのSKYACTIV-Dは欧州のEURO6・日本のポスト新長期規制という最新基準を、厳格に法令順守しながらクリアしています、だそうです(今回の声明)。
・BMWもVWのような違法プログラムの使用を否定しています。
・「実際に走行試験したら基準を12.6倍超えていた」という一部の報道は、「バンプ付きの上り坂」のような負荷の高い領域の話。排ガステストは(公平性を期すために)室内の試験場のローラーの上で実施されていて、決められた走行パターンで走行した時の平均値で判断している。
・よって、決められた走行パターンを超える高負荷時や、低負荷でも瞬間的に基準を超えることは当然ある。排ガステストを行う側もそれを想定して基準を厳しくしている。基準値を超えたから即有害、即死というものではない。
・たとえるなら、VWは「テストでカンニングした」その他は「テストは真面目に受けてクリアしたけど試験範囲外のことを聞かれても答えられなかった」という違いです。

・それをゴチャゴチャにして「VWが目立つけど他社もNOx出してるやないか!!アカンやろ!!!」っていうのは、ズルしないで国がこれクリアしたらオッケーだよーって言ってる基準をクリアしてる会社がちょっとかなり可哀想です。(アマチュアのひとはともかくプロまでこういうこと書くひとが一部にいて残念でなりません)
・ちなみにディーゼルの普及しているヨーロッパの空気が汚いのは事実ですが、あちらは日本と違いEURO3やらEURO4やらEURO5やらのザルに近い過去のユルユル基準の古いくるまがまだいっぱい走ってるという状況もあり(しかも一部VWとかいうメーカーはそれクリアするのすら不正してたそうで)、EURO6や日本のポスト新長期規制をクリアしたクルマまでダメっていうのは時期尚早な気がします。


◆マツダはなんでアメリカでディーゼルエンジン売らないの?

・規制を通すだけでいいなら今すぐできるけど、そうすると「退屈な車はつくらない」と約束しているマツダ車として、性能面で満足できるものではなくなる為で、なんとかしようと努力中、とのこと。以下北米マツダCEOのインタビュー(英語)。
http://www.carscoops.com/2014/12/after-emissions-now-performance-causes.html
アメリカでのレース活動をわざわざディーゼルエンジンでやってる以上、売る気はあるんでしょうけど商品として満足行く商品力を魅力あるコストで実現するための技術が追いついてないということでしょう。
・というかアメリカでSKYACTIV-D発売できないとディーゼルエンジンでレースしてる活動費(=広告宣伝費)をガンガンドブに捨ててることになるわけで、まったく正直な会社ですね。


◆排ガス浄化ってそんなメンドいの?何をそんな浄化してんの?

・ディーゼルエンジンの排ガスで厳しく制限されているのは下記の2つ。
 1.NOx(窒素酸化物:光化学スモッグや酸性雨の原因となる)
 2.PM(粒子状物質:昔のディーゼルエンジンの黒煙の主成分)

で、ディーゼルエンジンの原理上、何も対策をしなければ上記2つがどうしても出てしまうため、上記それぞれに別の浄化方法を用意してやる必要があります。


ちなみにガソリンエンジンもNOxは出ますが、70年代終わりに登場した「三元触媒」というNOx・CO・HCを同時に除去するユメのような触媒がなんか全部解決しちゃって、それがほぼすべてのガソリン自動車に装着されるようになったのでおおむねオッケーとなりました。でもこれが排気中の酸素量が多いと使えない子のため、基本的に酸素多めに燃やすディーゼルエンジンでは使えなくて大変なのです(ガソリンエンジンでも、酸素も燃料もきっちり燃やしきる割合(理論空燃比)で燃やさないとコレが働かなくなるため、一時期流行ったリーンバーン(希薄燃焼:燃料薄めで酸素過多状態で燃やす=排ガス内に酸素多くて三元触媒使えない)が廃れました)


1.NOxの浄化方法

(1)尿素SCR
 排気中に尿素水を噴射して化学反応で別の物質に変える。定期的に尿素水の補給が必要・デカい・重い・高価という欠点がある。サイズが問題にならないトラックやトヨタの新型ランドクルーザーなどの大型車、メルセデス等高級車で採用。マツダもSKYACTIVになる前に欧州向けのCX-7(MZR-CDエンジン)で採用してた。

(2)NOx吸蔵還元触媒
 排気中のNOxを一旦吸着し、溜まってきたら燃料を多めに噴いて還元する。プラチナなどの貴金属をたくさん使うためメチャクチャ高価。(1)よりも小型のため小型車にも搭載できる。今回問題のVWはこの方式。その他、BMW・MINI、日産の先代エクストレイル、三菱デリカD:5/パジェロなどが採用。

…BMWなんかは排ガス浄化基準の最もキツいアメリカ向けには、(1)(2)両方積むという車両価格高いブランドでしか出来ないような力技でクリアしてるっぼいです。マツダやVWのような大衆車にはとうていムリな芸当ですね。

(3)マツダ方式
 エンジンの燃焼自体に様々な工夫をすることで、そもそものNOxの発生を抑制し、高価なNOx後処理装置なしで日本・欧州の規制をクリアできるだけの綺麗な排ガスを実現。メリットはコストの安さ・コンパクトさ・軽さ。178万円のコンパクトカーにディーゼルエンジンを載せて利益出せるのは(1)(2)を採用してるメーカーからしたら驚異的でしょう。他社が日本でディーゼルを売りたがらないのも恐らく主にコストが原因ではないでしょうか。
SKYACTIV-Dが何をやってそんな奇跡みたいなエンジンをつくったのかはこのへん参照のこと。
簡単にいえば「圧縮比下げたりたくさんEGRしたりでエンジン内の温度下げて燃料吹いてから着火までの時間を稼いだ上で、すごい高性能な燃料噴射装置(インジェクタ)使ったりピストン形状工夫したりして燃料と空気を混ざりやすくして、燃料と空気がちゃんと混ざってから火がつくようにしました」ということです。


…あんまり関係ないけど「SKYACTIVはデンソーの技術」とか書ききってる記事なんかも(プロ・アマ問わず)散見されますが、開発の話をまとめた本なんか読んでてもどうみても理論や設計はマツダがつくってるので、「共同開発」とは言えるかもだしデンソーの高性能なコモンレール&インジェクタが貢献してるのも事実なんでしょうけど、「デンソーの技術!!!」って言い切るのはいくらなんでも乱暴だと思いますよ。ぜんぶデンソーの技術だったら他メーカーからも同じものが出るはずだしね、ボルボとかモロにデンソー製インジェクタを謳ってるのにSKYACTIV-Dとは全然違うエンジンだしね。


2.PMの浄化方法

 ◆DPF(ディーゼルパーティキュレートフィルタ)で吸着。フィルタなので当然ほっといたら詰まるので、溜まってきたら燃料を多めに噴射して焼切る(DPF再生)。トラックみたいな大型車から小型車までほぼ全社全車この方式(違うのがあったら教えて下さい)。主な構成物はセラミックだけど、貴金属も使ったりしてけっこう高価。

…たまに「マツダのSKYACTIV-DはDPF無しで規制クリアしてる」とか書いてるヒトみかけますが、マツダSKYACTIV-DもDPFはついてますからね!!!!(まあそれも他社比でかなり小型なヤツなのでたぶんそんなに大量には出ないようになってるんでしょうけど。)



これだけとりあえず理解していれば(まぁこんなとこ見る人は理解していることでしょうけど)、VWのニュースがより深く理解できる、ハズです。
間違ってる所があればコメント等で指摘いただければ幸いです。

では今回はこれで。


…画像が1枚もない!ウオオオ!



(9/30追記:はてブのコメントで「NOxとPMがトレードオフの関係にあることが書いてないのでダメ」って書かれましたが、「高EGR下で燃料と空気をキレイに混ぜてから低温でゆっくり燃やす」マツダ式だと同時に減らせるという理解だったので敢えて書きませんでした。

確かに空気過多で高温で燃やせばPMは出にくくなるかわりにNOxだばだばになります。でもNOx出ないように低温でゆっくり燃やすとPMが増えるのは、空気が足りないまま燃料が蒸し焼きになって不完全燃焼しちゃうからで、高性能超高圧なインジェクタでメチャクチャ細かく噴霧してよく空気と混ぜればちゃんと完全燃焼する割合が増えてPMも同時にそれなりに減らせます。

もし完全にトレードオフならば、NOxが殆ど出ないスカイアクティブDのDPFは超大型になるはずですが、実際にはかなり小型な部類に入ります。そのへんがマツダによって既にブレイクスルーされてるので、「NOxとPMはトレードオフ」という表現は古いものになっている…という理解をマツダ技報などからしたのですが誤っていたらご指摘ください。

DPFののほうがどっちかといえば処理がカンタンだからなるべくNOxが出ないように低圧縮にするというディーゼルエンジン業界のトレンドの話は今回のVWとあんまり関係ない気がするし、それ書き出したらディーゼルエンジンのしくみから全部書かねばならなくなるしね…。)
Posted at 2015/09/29 23:48:40 | コメント(1) | トラックバック(0) | VW問題 | ニュース
2015年03月28日 イイね!

初給油、そしてCX-3実燃費というか燃料費

初給油、そしてCX-3実燃費というか燃料費さて我が家にやってきたマツダCX-3、納車直後に満タンにしてからまる1ヶ月、ようやく!!!初めて給油しました。


走行距離770kmに対し給油量が41.0L。というわけで実燃費の方は

18.78km/L

となりました。あ、クルマはCX-3 XD TouringのFFのATです。色はセラメタで、マツダの発表によればたぶん一番世の中に多いヤツですw(あ、受注1万台突破おめでとうございます、喜ばしいことです。迷ってる方はこちらの記事をみていただければと思います)


高速道路を走ってちょっと離れた大きな公園に繰り出してみたり街中を走ってスーパーをハシゴしたりパン屋さんに美味しいパンを買いに行ったりアイドリングでちょっと放置したり(こら)と、まぁ普通に土日中心に家族のお出かけに使った感じで、平均時速37km/h、感覚的には高速5:街中2:郊外路3くらいの割合な気がします。


ちなみに前回軽油を107円/Lで入れたので、

1kmあたり5.69円

で走った計算になります。
これがこれまでのロードスター様だと、同じようなシチュエーションだったらたぶん11.8km/Lで137円/Lくらいだったと思いますので、1kmあたり11.6円という計算になり、

ガチで燃料代が半分になりました。

なんということだ…!!


ちなみに走行可能距離の表示はあと35kmくらい残ってたので、高速中心ならあんまり頑張らなくても800kmくらいはラクショーで走れそうです。感触としては省燃費走行頑張ればたぶん1,000kmも狙えます。

正直燃費をいちばん重視してたわけではなく、4人乗れることとデザインといまのマツダのハンドリングが欲しくて買ったくるまで、そのへんの期待も十分以上に応えてくれた上に素晴らしいブレーキフィールとかもりもりトルクまでついてきてなんかもう走りはほぼOKでしょこれという感じなのに、その辺の燃費命カーと真っ向勝負できる燃料費を叩きだしてくれてびっくりしました。

イナカのほうの無料高速道路走ったら電車で動くよりはるかに速く安く旅ができる気がして可能性広がりすぎです。うはは。
Posted at 2015/03/28 23:43:29 | コメント(4) | トラックバック(0) | CX-3 | 日記
2015年03月22日 イイね!

CX-3にロードバイクを載せてみた

CX-3にロードバイクを載せてみたあれ…前輪外せばいけるかなとは思ってたけど………


前輪外さなくても載るぞロードバイク………





もちろんハッチも閉まります。




筆者はちなみに186cmの巨体ですのでこれより大きなロードバイクに乗ってるひとはなかなかいないかと思います。サドル引っかかってるのも同じ理由なので、まあ世の中のロードバイクの9割9分は載るんじゃないですかね。1台でよければ。

運転席も助手席ももちろん人乗れます。

CX-3意外と大丈夫伝説に新たな1ページが…!!



ちなみに自転車はフロントディレイラーの破損で修理行きです…花粉症のない人間にとってこんなにもベストなシーズンに………(涙
Posted at 2015/03/22 11:50:45 | コメント(2) | トラックバック(0)

プロフィール

「日本における「若者のクルマ離れ」とかいうものの原因、やっぱりスマホなんじゃないか仮説 http://cvw.jp/b/2390648/39323936/
何シテル?   02/15 23:06
CX-3への乗り換えを機にみんカラを始めてみました。たんなるマツダヲタなのでそのへんの想いを書いたりする気がします。
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Car-Meというサイトのディーゼルエンジンについての記事が凄い(悪い意味で) 
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CX-3がマジで「奇跡的」なプロダクトだと思うという話 
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CX-3にチャイルドシートとベビーカーを載せてみた 
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愛車一覧

マツダ CX-3 マツダ CX-3
やっとロードスターを降りてもいいかなと思える5人乗り国産車が出た気がします。1月中旬契約 ...
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私のカスタマイズ欲と人馬一体欲を一身に受けることとなったロードバイク。体重7.8kgの、 ...
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就職した勢いで買ってしまったクルマ。10ヶ月ほどで事故廃車し保険金でNC2 RSに乗り換 ...
マツダ ロードスター マツダ ロードスター
NC2を降りてCX-3に乗り換えました。素晴らしいクルマだったと思います。

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