
仕事がら、ほぼ毎日インターネットを通じて、自動車はもちろん色々な業種の企業が発表するニュースリリースには目を通しています。
余談ですが、元来は報道関係者用に向けて発信されていたリリースも、今では各企業がインターネットを通じて広く公開するようになりました。おかげで各社の伝えたい内容をダイレクトにユーザーも確認することが出来るわけですが、一方ではかなり以前から特に自動車メディアの分野で言われていた「リリース丸写し記事」の存在も明らかなものとなり、さすがに最近では紙媒体もインターネット媒体も各社が発表したものをまずは「プレスリリース」としてそのまま紹介するようになりました。
しかしながら、そんなリリースを参照しながら、媒体が掲載する新車紹介記事は、未だにリリースそのままに近いものが少なくありません。俗に「先生」と呼ばれるような方々のインプレッション記事も、リリースに書かれている内容やスペック数値の羅列が大半を占めるというものも散見されるのは、とても残念な限りです。
閑話休題。
さて、この日は
ソニー株式会社が7月20日に発売を予定している新製品についての情報が目に留まりました。
●オールラウンドカセット 「HF」シリーズ
期待の新製品、それはカセットテープです。
この「カセットテープ」という響きに、懐かしさを覚えたのは私だけではないでしょう。
平成も24年になり、今やデジタル音楽プレーヤーが花盛りの時代。音楽はデジタルデータとしてプレーヤーに入れて持ち歩くことが、ごく当たり前のことになりました。自動車の世界でも近年はポータブル音楽プレーヤーと連携できるオーディオの普及が進み、小型車や軽自動車でも接続可能な設定を有する車種が大半を占めています。
一方でカセットテープはデジタル化の波に押されるかたちで、一般的な音楽の録音・再生需要は減少の一途をたどりました。今や自動車用のオーディオでもカセットテープの再生機能を有するものは少なく、新車標準装備されているのは
トヨタ・
センチュリーの「センチュリー・シアターサウンドシステム」ぐらいではないかと思えたりもします。
ちなみに数年前まではメーカーオプションとして残されていたケースもあり、ウチの社用車1号機としても使っている初代の
日産・
フーガでは、助手席前のグローブボックス内に据えつけるタイプのカセットデッキがオプションカタログに用意されていたものです。
さて、こうして音楽用としては需要がほぼ皆無になりつつあるカセットテープですが、現在も根強い需要があるようでメーカーの数は限られるものの、販売は続いています。ただし、往年の高級仕様であったハイポジションやクロームテープ、メタルテープなどは既に姿を消しており、もっともスタンダードなノーマルポジションのみが生き残っているという状態。今回、新製品を発売することになった
ソニー株式会社も、一時は生産を終了して流通在庫のみで対応していたそうですが、ここに来て一定の需要があると判断されたのか、新製品の投入に至るようです。
私自身もその昔はカセットテープに多くの音楽を録音してため込んでいました。最大でテープの本数は300本近くになったと思いますが、もちろんその中には
ソニー株式会社の製品も多く含まれていました。当時、カセットテープには商品ヒエラルキーがしっかり存在しており、同社の場合は例えばベーシックグレードから順にCHF/BHF/AHFといった名称で3種類のノーマルポジションテープがありました。
さらに色々なバリエーションがあり、録音時間もごく短いものでは10分や15分、一般的なところでは30分/46分/60分/90分といったラインナップで、音楽録音では46分と60分が主役だったように思います。
今回のリリースを見て驚いたのは、今も「HFシリーズ」という名称が引き継がれていること。
その昔は長距離ドライブのお伴と言えばカセットテープ、自動車用CDプレーヤーが十万円以上した時代の話です。ケースにお気に入りのテープを何本も入れて出かけたことが懐かしく思い出されますね。ちなみにまだCDプレーヤーすら普及が進んでいなかった当時、レンタル店ではCDソフトに加えて、有料でポータブルCDプレーヤーの貸出も行っていました。これをセットで借りて、せっせと借りてきたCDアルバムをカセットテープなどに録音していたというわけです。
ちなみに掲載した写真は170系トヨタ・クラウンのオーディオ。1999年から2003年にかけて生産された同型式の場合、まだカセットデッキが新車純正装着されていたのです。
Posted at 2012/07/19 01:19:14 | |
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