北海道到着の翌朝、子鉄には いきなりのクライマックス。
訪れたのは、宿から100kmにある
りくべつ鉄道の気動車が走る街。
単行の車両が ひっきりなしに行き交い、活気ある駅だ。
北見行きの快速列車が到着。いそいそと乗り込む子鉄。
別名「ふるさと銀河線」は、池田~北見間140kmを路線とする。
第三セクターとしては、かなり長い路線を持つ鉄道・・・だった。
実は この鉄道(旧 北海道ちほく高原鉄道・ふるさと銀河線)は、
2006年に廃止されており、現在は 営業運転を行っていない。
にも拘わらず、気動車がしきりに動いているのは...
日本では珍しい気動車の運転体験コースが開かれているから。
この方の詳細なレポートで存在を知り、ずっと気になっていた。
予約した時間よりも早めについたので、撮り鉄して遊んでいたら、
運転士さんの先生が声をかけて下さり、早めの教習を始めてくれた。
基本的な運転操作を教わりながら、陸別駅ホームを中心に運転。
駅構内を2往復(15分くらい)動かして、運転台交代も4回行う。
やってみると...これが かなりの難物。
加速はともかく、空気圧のブレーキ操作がとっても難しい。
それは、クルマのようにブレーキの効きを直接扱うのではなく、
ブレーキにかかる空気圧を加減すると言う調整方法だから。
言い換えると、クルマのブレーキを踏みこむ足の位置調整の際に、
「あと1cm下へ」などと 指示計を見ながら別人に指示する感じで、
指示計の値からは、制動力の効きを感覚的に理解することが難しい。
他の体験者さんが運転する車両を、こっそり撮ってみたモノ。
踏切の手前1mくらいで止ろうと思っても、大抵は行き過ぎる。
この日は、大人2回分を申し込んでいたので、奥さまも運転に挑戦。
線路の先にある赤い目印に目がけて、空気圧をかけてゆく。
「あーっ、早く早く!」と先生の焦る声が聞こえたと思ったら、
急ブレーキがかかって、目印を行きすぎて 柵の手前でやっと停止。
ここで奥様が「コワい・・・」と言いだして、私にバトンタッチ。
結局、一人で3.5往復分を運転し、最後には一発操作での停止に成功。
先生は、根室本線で特急おおぞらなどを運転されていたベテラン。
四苦八苦する私の脇で、奥さまと世間話で盛り上がっていた。(笑)
体験運転のほかに、同じコースによる乗車体験も運行されている。
子供が乗っていると、膝の前に入れてくれる親切な運転士さん。
本線脇の引き込み線を使って、自転車トロッコも体験できる。
清々しい空気を感じながら、金髪のメーテル車両の脇を過ぎる。
駅のホームには、銀髪のメーテルが描かれた車両も停まっていた。
残念ながら、かなり錆があり、車両維持が難しいものだと実感。
他には、除雪用のモーターカーや、保線の貨車なども残っていた。
りくべつ鉄道は、元々は 国鉄の網走本線として営業していたもので、
その歴史は古い。 こちらは明治43年の開業時に設置された転車台。
その後、国鉄民営化時の廃止対象路線となり、第三セクター化された。
乗車体験の車掌さんと話をしていたら、古い車庫に案内してくれた。
第三セクター化される前に、一時的にJR池北線となった路線。
その名残を、車庫の事務所のドア明示に見ることができた。
車庫内には、今も大切に、気動車が保管されていた。
いつか 再び 北見まで走る日を夢見て眠るかのごとく。