駿河台は三千石の大久保彦左の肝いりで広い世間の隅々にあれが名人上手だと師匠譲りの大ノミ小ノミ左手ブキなるそのために誰が言ったか人呼んであいつが左前で男前の伊助どん。

こよなく晴れた青空を哀しと想ふ切なさよ、

なんて日だ！　と絶叫した伊助です、こんにちは。


遊び惚けて練習不足、先週から少しも進歩しなかったので、

ただでへ、今日はおなかが痛くて休みます状態だったのに、

ボクはつよいお兄ちゃんだから、とガンバってレッスンに行こうとしたら

出発間際に突然ブチっと４弦が切れました。


おおこれはお休みしなさいという天啓だと思ったのですけれど、

いやいやボクはつよいお兄ちゃんだから、とまた気を取り直して

結婚式の吹き出物にもらったＡｍａｚｏｎ価格７０００円のギターと交換しておうちを出ました。

練習不足の上に愛用のギターじゃないという圧倒的不利な状態になってしまいました。


重い足を引きずりながら駅の改札の前まで来ますってえと、

ない！　文無しでも電車に乗れる魔法のカードがない！！　お財布ごと無い！！

おおそうだよ、

帰りに焼き鳥買おうと貯金を切り崩して８００円用意して、そいつをお財布に入れたとき、

お財布ごとテーブルの上に忘れたんだ・・・

おなかを空かせたウサギたち、ボクはウサギの係なんだ、

かあさん待っててすぐ帰る、ウチへと続くその道をあわててボクは駆け出した、

でも駅に帰ってきたときは４時１９分発宝塚行き普通電車はもう出発したあとでした。


レッスンが始まったら課題曲どころじゃなかったです。

左手のフォームをテッテ的に直されました。

あと２項でアルハンブラ・・・　どころではありません。

いちばん最初にページに戻されてしまいました。


あのねぇ、あなたねぇ、左手の主役は小指なのよ！

人差し指なんかどうだっていいんだから！

先生のおっしゃるように小指に集中しておりますと手首が逆に反っくり返ってしまいます。

手首がそっくり反えらぬよう注意しておりますと今度は親指が棹から離れてしまいます。

親指が棹から離れぬよう注意しておりますと小指を忘れてまた人差し指が主役になってございます。


己のブキを呪いましたのですけれど、長嶋監督のリハビリのご苦労を偲びまするに、

オレは五体やや満足の身だ、なんのこれしき！　

ボクはつよいお兄ちゃんだ！　と思ってがんばりましたのです。

辛かったです。


あんまり辛いものだから明日は王子公園へ行ってきます。

迷わず成仏できるよう、ちゃんと地図も描きました。

酔っぱらったら地図なんかまるで関係ないんですけれど。


ほな、せっちゃん、さいなら。

にいちゃんどこ行くん？

え・え・と・こ♪

ええとこってどこなん？

ええとこはええとこや、節子も大人になったらわかるわ！