伊助少年はやんちゃでゴンタだったのであります。やんちゃでゴンタ、だったのではありますけれど、ガキ大将ではありません。中途半端なガキ中佐、ぐらいだったでありましょう。なぜならば伊助は次男坊であるからであります。次男坊には総領の甚六たる長男の如きリーダーシップの才がないからであります。次男坊の分際で、上司にゴマをすりたおした結果、リーダーシップを発揮せねばならない役職に鎮座させられるようなことがサラリーマンの世界ではよくあること、才のない人間が人の上に立ってもろくな結果にはなりません。そこでサラリーマン氏は駅の本屋に飛び込んで、人を上手に使う方法が書いてある啓発本を買って読むハメになるのであります。そこにはこう書いてあるのです。『 みっつ叱ってひとつ褒め 』ですけれど、百万回怒鳴られても一回褒められるともう有頂天になって百万回怒鳴られたことをすっかり忘れてまた最初っから怒鳴られないといけない男、伊助です、こんにちは。『 やって見せ、言うて聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人は動かじ 』だから褒めたら伊助はうれしくなってそこで努力を止めてしまうから褒めるな!って、何回言えば理解するんだよ、と思います。先生は伊助のヘタな演奏をたいそう褒めて下さるのです。わたし、確信したわ! あなた、やれば出来る子よ!来週からもっとテンポを上げましょう!これぐらいのテンポで練習してちょうだい!と先生がデモ演奏して下さった速度は絶望的な速度であったのであります。ですから練習はあきらめて早速神戸で飲んだくれました。世界長再突入を試みました。土曜日は6時で閉店でした。シャッターが閉まっておりました。雨が強く降っておりました。絶望しました。ラーメンたろうへ行きました。女性客にウケるような店作りでした。伊助のようなアウトローおやじは肩身が狭かったです。絶望しました。褒められるとダメになる伊助ですけれど、絶望するとがぜんやる気が出てまいります。来週もあくなきB食探究を続けたいと思います。ではさようなら。