生家、あるいは現住所付近の怪異を集めた。文体を出来るだけマネて色付けナシで淡々と書いてみた。第一話ウチのナミオが車にはねられて入院した折、付き添いのおばさんが2基あるエレベーターのうち、左のエレベーターには乗らない方がいいと言った。第二話小学生の折、掃除当番になった木島君が便所掃除をしていたらひとつだけ誰かが入っていて、ジャマだなあと思い、ノックしてみたという。ノックが返ってきたのでまだか?と問えばまだだ、と答える。しばらく待っても出る気配がなかったので上から覗くとだれも居なかった。第三話ウチのじいさんが入院した折、以前に入院していて死んだ老婆が夜な夜な休憩用のベンチに座っていると患者の間でうわさになった。そこでウチのばあさんが私が説教してやると一晩ベンチに座って待ったが何も現れなかった。第四話大阪夏の陣の戦死者を弔うために建てられた地蔵堂が痛んだため修理中、地蔵さんを家の中に入れていたら毎夜寝ている胸の上に乗ってきて早く戻してくれと懇願したという。第五話川崎君は近鉄南大阪線河堀口駅近くの踏切で猫が電車にはねられたのを目撃した。胴体からちぎれた頭がにゃーと鳴いたという。第六話JR阪和線美章園駅に米軍が原爆の模擬弾を投下した。多くの人命が失われたがすべて身元だけは判明した。しかし町内の寿司屋の娘だけはいまだ行方不明のまま。子供のころ、こんなお話を町内のおっさんたちが酔っぱらって話しているのを聞いてるときって楽しかったですよね。職場近くの川から堤防を越え、亀がどんどん道路に出てきています。なにか天変地異の前兆でありましょうか。