伊助さんが弱冠二十歳のときであります。アメーバ赤痢とマラリアを併発いたしまして強制入院、ほかの患者さんたちに感染してはいけないからと、今は使っていない大きな旧館の病棟にたったひとりで寝かされておったのでありますのです。シッコがしたくなってトイレへ行ったのであります。病棟の一番端がトイレであります。その向こうは渡り廊下になってございまして新病棟へ繋がっておりましたのです。非常扉の窓から見ますと、渡り廊下の向こうのは小児科の診察室になっておるようで診察を待つ子供たちがたくさん見えたのでありますのです。シッコを終えてベッドに戻って気が付きました。あ、今は深夜だ・・・