この話は佐々木某君から聞いた話である。
この画像の標識を作るにあたり、デザインを公募したところ、
当時まだ画学生だった有名デザイナーのYT画伯の作品が入選した。
氏はデザインするにあたり、スケッチブックを持って適役の親子を探して街に出た。
すると向うからソフト帽をかぶった紳士が小学校へ入学するか、しないか、ほどの
女の子と手をつなぎ歩いて来るのが目に留まった。
ごく普通の日常的なお父さんと娘さんである。
まさに適役、とばかり早速交渉し了解を得てデッサンを済ませた。
後日御礼をします、と言ったのだが父親の方が固辞したため、
女の子に住所を聞いてメモしておいたのである。
数日後、作品を完成させ聞いておいた住所を尋ねてみると
お葬式の最中である。
どちらが亡くなられたのですか、と訊いてみれば
なんと、あの女の子の葬儀であった。
事情を聞いて腰をぬかす。
父親だと思っていたソフト帽の紳士は誘拐犯で、
女の子は殺害されてしまった、と言う。
自責の念に駆られた画伯は作品の返却を要求したのだが、
著作権の移行を理由に拒否されてしまう。
その後、画伯の作品が採用され、現在に至るそうである。
つらつらとこの標識を眺めて観るに、
やはり女の子は男から逃れようとして腰が引けているように見えるではないか。
どうかみなさん、この標識を見かけたら女の子の冥福を祈りつつ
心の中で合掌してあげて下さい。
昭和40年代のある日の出来事である。
Posted at 2007/11/19 17:08:43 | |
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