浮浪者が歩いていました。
街角では盲目の少女がお花を売っています。
少女の前に高級車が止まりました。
バム! いかにも高級なドアの開閉音、
盲目の少女にもそれがすぐにわかりました。
そこへ偶然通りかかった浮浪者を少女は降りてきたお金持ちと勘違いしました。
お花はいかがですか? どうぞ胸におつけなさいな、
少女は浮浪者の胸ポケットにお花を挿してあげました。
仕方なしに浮浪者はなけなしのコインを少女の手に握らせてあげました。
少女は浮浪者を白馬の騎士のように思いました。
浮浪者は少女に恋をしました。
浮浪者はお金持ちを装ってお花を買うために一生懸命仕事をしました。
毎日お花を買ってはコインを手に握らせてあげました。
手術をすれば目が見えるようになることを知って大金がほしくなりました。
浮浪者はとうとう犯罪に手を染めて大金を得ました。
迫る捜査の網を逃れ、なんとか大金を少女に渡す事ができました。
長い刑期を終え、浮浪者はまた街を歩いていました。
街角の大きなフラワーショップのウインド越しに、
目が見えるようになって見違えるような経営者になったレディが見えました。
レディも外に立っている乞食を見ました。
あら、乞食さん、お花好きなのね?
いいのよ、ほら、お持ちなさいな、
コインもあげましょうね、遠慮しなくていいのよ、ほら、お持ちなさいな、
そう言って無理やり浮浪者の手に握らせようとしてハっとしました。
胸にお花を挿してみました。
顔を触ってみました。
そしてレディは静かに言いました。
『 You? 』
オフ会に出かけたり、メル友さんに会ったりするとき、
この 『 You? 』 のドキドキがたまりませんね。
手も握られず、顔も触られず、イキナシ 『 地蔵さんですね! 』
とバレてしまう吾輩はどうしたらいいのでしょうか。
Posted at 2008/09/12 16:07:10 | |
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