始まる前は「オリンピックなんて感動の押し売りは嫌だ」とほざいていた私ですが・・・・
カーリング面白いですねえ。頭脳ゲームですねえ。
スノーボード面白いですねえ。カッコいいですねえ。
フィギュア面白いですねえ。羽生の演技、音楽と一体になっていましたねえ。
ジャンプ回転も良いんですが、演技と音楽が一体になっていましてねえ。
と、結局テレビ見ています。だらしないなあ・・・
では本題。
長男君はもうすぐ高校生ですが、世の中で様々な人と会話すると
・高校の授業忘れちゃった。覚えていない。
・高校の授業が難しいから嫌い
・大体学校の勉強って何の役に立つの?
等々、まあ高校の授業については皆さん、不満タラタラですな。
まあ、元々勉強嫌いというのもあるのでしょうが(私も強制的にする勉強は大嫌い)、「これは世の中の何々に役に立つ」等と面白おかしく教える先生がいない・・ということでもあるんです。
そこで、<学校の勉強も役に立つシリーズ>ってのを連載しようと思います。
第一回目は「モル凝固点降下」であります。
「なんじゃそりゃ」という方も多いと思いますが、クルマ関係では良く使われる原理です。
この原理が、現在最も使われているのは「融雪塩」です。
多くの場合、塩化カルシウムというのをバラまきますね。
これ「水に不純物が混じると、氷り難い」という原理の応用です。
何で氷り難くなるかというと・・・
①水は温度が下がると分子の活動が鈍る。
②0℃付近になると、活動をやめて、隣の分子と手をつなぎたくなる=氷る。
③ここに不純物が混じると、手をつなぐ邪魔をする=氷り難くなる。
で、これを式にすると
ΔT=Km (ΔT=氷る温度の低下、K=定数、m=不純物の質量モル濃度)
となります。
簡単に言えば「不純物が多い程、氷り難くなる」という事です。
この不純物は溶質(この場合は水)に溶ける・・ということが前提になります。
で、融雪塩をバラまくと、水に不純物が混じり、道路が氷り難くなるということになります。
ところで、融雪塩って塩化カルシウムが多く使われますね。
本当は塩化ナトリウム(食塩)でも良いわけです。
水に溶けるんだったら、砂糖でもアルコールでも良いわけです。
但し食塩の材料は岩塩や海水ですから、こちらの方が値段が安い。
更に言えば、塩化カルシウムは
2NaCl+CaCO3→CaCl2+Na2CO3
と塩化カルシウムと炭酸カルシウムを反応させて作っています。
この点でも、塩化ナトリウム(食塩)をバラまいた方が値段が安い・・・と言うことができます。
更に言えば、塩化カルシウムは1㎏当りの不純物の量が少ないんです。

同じ1㎏をバラまくとすれば、塩化ナトリウムの方が不純物(イオン数)が多く、凝固点降下作用が大きいことがわかります。
ところが、「水溶液の最低凝固点及び濃度」を見ると、塩化カルシウム水溶液は「重量濃度が32%の時、-51℃まで凍らない」となっています。
つまり、クルマが走行可能な地域だったら、塩化カルシウムをバラまいておけばOKということになります。
この塩化カルシウムが-51℃まで凍らない・・・は大学レベルの説明が必要になるので、ここでは省略します(つまり私も判らない・・・と言いう事)。
但し、塩化カルシウムも万能ではありませんで、重量濃度が32%以上になると、凝固点降下作用が落ちる=水が凍りやすくなる・・になるので、バラまき過ぎはダメなんです。
ここで、冷却水(LLC)を自分で交換したことがある人は「そういえばLLCも濃度が高すぎるのはだめなんだ」と思い出しますね。
LLCの主成分はエチレングリコール。
これも水に溶け、適度な濃度であれば冷却水は0℃以下になっても氷りません。
但し、濃度が薄いと氷り易くなり、高すぎても氷り易くなります。
なのでLLC濃度は30~50%と決められています。
もう一つ「モル沸点上昇」という現象もあります。
これ、不純物が多いと沸点が上がる・・・という原理で、式はモル凝固点降下と同じです。
エチレングリコールを添加することで、「冷却水は100℃でも沸騰しない・・・」に使われています。
シリンダーブロック、トランスミッションケース、ホイールに使われる「アルミニウム」を精製する時にも、モル凝固点降下が使われます。
アルミニウムはボーキサイト(泥みたいなもの)を水酸化ナトリウムで処理して、酸化アルミニウム(Al2O3)を取り出した後、熱で溶かして電気分解してアルミニウムを精製します。
酸化アルミニウムの凝固点は1200℃と大変高いのですが、ここに不純物(氷晶石)を混ぜると、凝固点が800℃に低下し、エネルギー費が節約できる・・・にも応用されています。
こんな風に、学校で習った原理ってアチコチで使われているんですよ。
なので高校行ったら、ちゃんと勉強してね。長男君。
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Posted at
2018/02/17 22:12:04