通勤ラッシュを数える事2日間、
ようやく夏の夢から目覚めた気がします。
平均で10秒程速いラップを刻める戦闘力のマシン、
工場長が熟成してきたクサラを託して頂き、
口火を切った僕たちの今年の夏。
去年より周回数を増やすには
とにかくラップタイムを速くするのが一番効果的です。
その代わりリスクも増えました。
・車両ナレッジの不足
・熱量の多いエンジン
・車内の暑さとドライバーの消耗
・良くはない燃費想定
・駆動系やタイヤの負担
・昨今の荒れた天候
チーム組織もそれに応じて準備
・筑波1000の試乗
・熱線反射フィルムのルーフ加工
・唯一開く助手席窓の導風ダクト
・想定燃費を細分化した給油作戦
・優しくて速い乗り方イメトレ
・ドライ〜レインの5戦略化
僕もフィジカル面の強化目的をメインに毎日5kmを一時間で歩くトレーニングを一ヶ月間続け、
今回最も柔軟性が問われる予実燃費マネジメントをひたすらシミュレーションして臨みました。
本番当日、時刻は7:55。
この一年間の成果を発揮するスタートが静かに切らる5分前。
スタートドライバーは作戦参謀のカっちゃん。
グリッドは57、グーパンチでカっちゃんと別れます。
8:00
スタートしました。
まずは燃費実績とペースアップを最優先にしたので、
ポジション確認は3時間後から見る事にしました。
8:40
マージン取って若干多めに走ってもらい、ピットインカウントを始めよう。
僕らはサインボードでL3→L2→L1→Pinというカウントダウンが出るんですが、
どうやら勘違いしていたようで、カっちゃん、L1でピットインしてきます。
でも、その前からクルーが準備に入っているので何事もなくスルー。
この件はもう一度周知徹底します。
そしてダブル参謀のもう傍らのトールさん
↓
天才マメちゃん
↓
もうすぐ還暦アスリートのダンナ
と繋いできてます。
この4スティント、どの状況下でもシミュレーションで弾き出した
給油→無給油→給油の方程式通り遂行。ペースは平均2"50付近。
予定の2"45から5秒遅れですが、タイヤ作りもあるのでまずまずだと思ってました。
時刻は10:30
慎重なのか気温が低いからなのかとにかく燃費が思いの外良い傾向。
ポジションも54で下げ止まった様子。
と、ここでCarol Racing Wfcの総代表、よしともさんから
ペースアップの指示というか劇が飛びます。
燃料とタイヤを少し使ってもイイからと。
現在の空気圧状況を伝え、相談の上、
そのままの状態でフセさん→僕で攻めなさい
という事になりました。
時刻は11:30。
フセさん頑張ってます。そして僕のスティントが来ました。
とにかく去年の結果から課題だったインラップからのペース作りに没頭しました。
3周目に2"48、そこから2"44の間で安定したペース維持に奮闘中。
課題解決と総代表の期待には何とか答えられたと思いたい。
しかし、車内が暑い。
エンジン熱対策でヒーター全開なんです。
それは去年とて変わらないのですが、今年の車両は助手席しか窓開かないんです。
ムギ氏が苦心の末、会心の作品だっ!バッチリだって言ってたのに
風すら感じないじゃないか〜!(なんてね)
テストや午前中の早い時は涼しかったのに、12:00辺りはもはや夏真っ盛り(笑)。
雨想定と視界不良から網を辞めた事が裏目に。仕方ありません。
でも、L3が中々出てこないなぁと思う程、暑いの辛いのなんのって。
僕のスティントは結果、15周でバトンタッチのPin指示。
さあ、ようやく暑さから解放されます。
ピットロードに入りました。ここで大切な仕事を忘れてはなりません。
・制限速度40km/hの維持
・ブロアファンの停止
・次のドライバーへの配慮
・ガスメーター読み
・油断できません。
ピット停止と同時にベルトリリース、降車、と同時に立ちくらみ(笑)。
うわぁ、こりゃヤベェ、フィジカルトレーニングしたのに全然足りね〜。
やっぱテニス復活させるか。
ここでポジションは43辺り。まずまず堅調。
ドライバーはムギ12号車代表。
快調に走ってた矢先、余りの荒れたレース展開に長期のSC。
そう、今年はモラルハザードというか、マナーが余り良く無いらしく、
主催者側からたまらずクールダウンSCの怒りの場内放送。
確かに僕のスティントも黄旗が結構目立ってました。
この激暑の中、低速走行を強いられるムギさん大変そうです。
SC解除を待たずしてPin指示。
時刻は13:00。
ポジションはなんと38。
次のドライバー、ワタルさんでようやく折り返しの中、
このポジション推移はかなり順調。
ピット到着。降車。
あれ?なんか様子がおかしい。
あ、ガレージに入れる様子。
どうした?左フロントをメカニックのトミさんがしきりに確認しています。
どうやらドラシャ折れたみたい。
急いでトラックまでドラシャをメンバーが取りに走ります。
ああ、もっと優しく走るべきだったか?今でも判断できません。
僕ら#12のメンバーはクルマに触る事を禁止しています。
触ってもいい方向には持っていけないし。
ただ見守ります。孤軍奮闘してドラシャ外しの最中、
#13の僕の親友、せ〜じさんがトミさんのサポートに入ります。
何とかドライブシャフトが外れ、スペアパーツに付替え、また問題が発生。
どうもサイズが違うらしい。
トミさん、必死に電話しています。
恐らく工場長と連携頂いてたんだと思います。
お忙しい中、ほんとに頭が下がります。
トミさん、結局、アウターレースを分解し、
ボールとシャフトをニコイチする作戦に打って出た様子です。
でも、中々外れないみたいです。
APRのハタさんが神のハンマーでアウターレースが外れました。
ありがとうございました。
ドラシャを汗だくでグリスとオイルまみれになりながら
懸命に復旧作業にあたったトミさんを見ながら、
僕に何ができるか思い出しました。
復旧時刻想定のスケジュール変更ができるじゃないか。
ダブル参謀のカっちゃんとトールさんと三人で方針会議。
スティント削るか?均等割するか?
まず、大方針を総代表との間で決定しました。
ワタルさんはフルスティント、残りは全員で均等割。
時刻は14:00。
そこからは作業の進捗具合から残り時間が分かるので、
まずは燃費実績の集計に入ります。
更にドライバー交代の効率から給油必須なピット作業を決めます。
状況を見て15:00には復旧完了と予測。
そこから弾き出した答えは残り9スティント、給油4回、ガソリン残量5ℓ。
時刻は15:00。
ワタルさんが乗り込みます。
想定の1分遅れでピットアウトしていきました。
歓声と拍手が自然に湧き上がります。
僕も込み上げるものがあります。
諦めたら何も始まりません。
僕ももっと強い意志が必要です。
皆さんに一番大事な事を教えられました。
ありがとうございます。
ここからは皆でもう一つの今年の課題、個人技を磨く事に取り組みます。
そう、攻めるんです。
16:20
トールさんどんどんタイム詰めてきます。ついに2"42が出ます。
16:50
マメちゃんにバトンタッチ。更に2"41が出ます。速え〜。
ここからは運行管理をカっちゃんに引継ぎ僕の出番を待ちます。
17:25
ダンナにスイッチ。相変わらず毛の生えた心臓。超マイペースです。
しかももうすぐ還暦とは思えないアスリートな身体作り。
適齢期な可愛らしい娘さん二人もいます。
こういうじーさんにならねば。(こりゃ失敬)
ピット内は常に確認しまくるカリベさん。
本当に助かります。
僕はカリベさんのおかげて作戦ボックスに座って
戦況と戦略立てに集中できました。
17:55
フセさん、大きい身体をクサラにねじ込みます。
身体がデカくて唯一Fベルトなる特別長い腰ベルトを差し替えて乗ります。
みんなと合わないんです。そして一番タフです。
群馬から浅草までチャリンコ圏内だそうです。
もてぎの帰りなんか一睡もしないで運転して帰ったんではないでしょうか?
そして何で身体のデカい人は106をこぞって愛車にするんでしょうか?謎です。
18:30
僕のスティントです。頑張って攻めます、いや、攻めてる気になってます。
最速は2"43付近だったと思います。遅い。
だいぶ涼しくて内圧も調整したのに。
ウーン、ほぼ満タンだからか?
いや、そんな事は無いな。スキル不足だな。
ちなみに僕のところで給油は最後。
あとはムギさん、ワタルさん、頼んだよ。
そしてまた、奥で死んでました、僕は。
さて、19:00に戻りましょう。
僕のスティントももうすぐ終わりが迫ってます。
ホームストレートで去年の課題、サインボードが全く読めない件が見事に解決しています。
くっきり読める。
ボードを照らすライトの角度と光度とタイミングがバッチリですぐ位置も特定できます。
ハルタさん、マキコさん、ありがとうございます。
ずっと暑い中、サイン出しまくってもらいました。
ドライバー全員、安心したコミュニケーションできました。
さて、ピットインしてムギさんにバトンタッチ。
ムギさん、どうもまたSCに引っかかった様子。
僕は奥で死んでましたからあんまり様子が分かりません。
今年は不完全燃焼だったんじゃない?ムギさん。
さあ、時刻は19:59。
最終走者のワタルさんにバトンタッチしています。
快走してます。フィナーレを迎える時刻となりました。
一度は危うかった完走も、ほんと皆さんのご尽力の賜物でここまでこぎ着けました。
何だかここまで助けられながら来れた感謝の気持ち、嬉しさ、終わってしまう寂しさと
マシンを壊してしまった自分たちへの悔しさが同時にやってきた複雑な思いの中、
チェッカーを迎えます。一度は70まで落ちたポジションも59まであげられました。
本当に皆様ありがとうございました。
今年は確実に組織力は上がっている実感と結果を手繰り寄せられなかった歯痒い気持ち、
更なる個人パフォーマンス向上、
車両やコースナレッジの向上課題、
もてぎにいるみんなが同志なんだ、助け合って一つのゴールに向かっているんだ、
そしてこれがレースなんだという唯一無二の体験と教えが僕たちの今年の夏でした。
Carol Racing Wfc#12,13の皆さま
同じピットでご協力頂きました6チームの方々、
idlers事務局、レーススタッフの方々、エントラントのチームの全ての方々
素晴らしい体験と教えをありがとうございます。
感謝の気持ちをこの場を借りて述べさせて頂きます。
そして休養日の明けた7/30、僕は仕事帰りに麻布の心光院に向かいました。
去年の同じ日。それは去年の12耐のあくる日です。
その日の夕方、レースの結果と僕の休養を待つかのように私の父は他界しました。
そう、命日です。
だから、今年も父へ今年のレースを報告しにきました。
また来年も乗せて頂けるよう、努力していこう。
気持ちを新たに切り替え、来年に向けた所信表明してきました。
来年には今日よりも強い自分を手に入れたい。