想像力豊かな変態野郎の妄想ライティングの季節がやってまいりました。
今回はオイル漏れです。
[はじめに]
先日の袖森のオイル漏れ事件がありました。
パーツ揃えたり、手順調べたり、諸々あって本日ようやく修理しました。
漏れた箇所は結局上のオイルパンとブロックの間から漏れてました。
ブロックとのボルトがほぼ全周にわたって緩んでいたのでコルクが痩せたか、ボルトが緩んだのかでカパカパになって漏れたものと推測します。
流石にOHしてから9年経つので漏れても仕方ないと思いつつ、ガスケットはどこも切れておらず、しかも綺麗に剥がせたのでなんとなくトルク管理が濃厚かもしれません。
しかもスリーボンドの1215が塗られていたので締め付けトルクのシビアさが出たのではないでしょうか?
今回は色々調べて乾かない青いボンド、ハイロマーを使ってみました。
[潤滑油]
この後に及んで潤滑油の性能要件をツラツラ書くつもりはありませんが、そもそも潤滑油全般に金属が回転しようが擦り付けようが、春夏秋冬どんなときでも執拗に金属に纏わり付いて油膜を維持しなければならない基本性能についてのみ、少し触れたいと思います。
(これが無いと変態感が出ないので少々お付き合い下さい)
ソリューションの一つはネバネバ纏わりつく増ちょう材に油を閉じ込めて塗り込み、樹脂の蓋で埃や水を防いで劣化や流れ出さなくするという手法です。いわゆるグリースです。
ボールジョイント、ユニバーサルジョイント、ベアリングに使いますね。ゴムのジャバラや樹脂の蓋が付いてますよね。
もう一つはねっとりさせる増粘剤を油に混ぜ(混ぜないのも今はある?)、さらに部屋の中に閉じ込めて部屋の中で循環させ続けて掛け流しの油にするという手法です。
エンジンやミッション、デフなどのオイルがそうですね。
ミッションやデフはかけ流すポンプがありませんが、半分オイルに浸かった歯車が回ると粘度を上げた油によって求心力で勝手に吸い上げ纏わりつきながら循環します。
前者は蓋自体が合成ゴムや樹脂なのと、増ちょう材の粘度が高いのでかしめるだけで蓋ができますが、後者は金属の蓋と金属の器なので、ガスケットと呼ばれる潰れて密着させる部材を蓋と器に挟み込んで漏れ出る事を防ぎます。
[コルクガスケットは漏れやすいのか?]
さっそく私が導いた結論です。
「他のガスケットと比べて漏れやすいことは確か。ただし、適切な非硬化性の液体ガスケットを極力薄く均等に伸ばして添付し、規定トルクによって締結、どこまでも締まっていくコルクガスケットでの増し締めはかえって短命にする。」
E30海苔には切実な問題。
そうなんです。E30のM3エンジンであるS14型の純正オイルパンガスケットは昔のビートルやミニのエンジンによく使われていたコルク製なんです。
私の車に付いていたのもこれです。先日、盛大にしかも突然に漏れ出しました。
かつてはGr.Nの純正パーツで紙ガスケットも有りましたが、今や廃盤だそうで、残念ながら私の車には着いていませんでした。
ちなみに現代のレシプロエンジンのオイルパンガスケットは液体ガスケットだけなんだそうです。
[ガスケットはボンド、紙、コルクの順で漏れにくいのでは?]
Gr.N紙ガスケット、純正コルクの順でいいと考察します。
液体ガスケットだけのパターンはE30に限っては私はNGと判断しました。
まず、オイルパンがアルミであるという事。
歪みやすいし、工作精度の問題がありそうで、それなりに肉盛りしないとダメだと思っています。
次にガスケットが前提の設計であるという事。
国産車の場合、肉盛りする場所にはボンドを流し込む溝があるんです。つまりゴムのOリングと何ら変わらないと言う事です。
最後に塗りに濃淡が出るので、私のような不器用な人間には部分部分で漏れる原因を作ってしまうという事。
もちろん、世の中には固形ガスケット仕様のオイルパンを液体ガスケットだけで付けられる器用な方もいらっしゃいます。
[なぜ、無い紙ガスケットに思いを馳せるのか?]
もうコルクガスケットしか売って無いんだから別に深く考えずコルクのそれを着けりゃいいじゃんと言われるとそれまでなんですが、旧車の、しかもコルクガスケットは漏れるって言うのが都市伝説です。
特にグループⅣかⅤの化学合成オイルの場合。
まあ、都市伝説はまことしやかなのでさておき、純正コルクガスケット、結構捩れた状態で出荷されるんです、経験上。
なので、オイルパンにガイドすらないので取り付け時にズレて大変なんです。
では、しっかりコルクガスケットの位置決めできたと過程して、コルクガスケットは漏れやすいのか?
漏れやすいと思います。
厳密にいうと、『紙より弾力があるため締め付けトルク以上に締められ、規定トルクで締めたとしても経年の圧縮で弾力を失い、もともと厚みが薄いのにだんだんと痩せるので、結果的にボルト軸力は不安定、コルク密度も不安定、圧着圧力も不安定だから』だと思います。
実際、私の車の漏れた箇所付近のボルトは緩々でした。
振動が多いエンジンなので、ボルトが緩んできた可能性は否めません。
どうせ、手ルク締め付けなんだと思うので、きちんと規定トルクでで締め付けたかどうかも今はわかるすべも有りません。
締め付けトルクは完璧だったとしても、痩せたかどうかも測定する方法が無いのでわかりません。
でも、緩んでいるだけなのなら、コルクは漏れる説が存在する理由に納得がいきません。
[頻繁に増し締めすれば解決するのでは?]
駄目だと思います。
でも緩ければ何度かは締め付けトルクを規定に合わせる必要はあるのではないかと推測しますが、上のオイルパンは下を外さないと締め付けできない場所がいっぱいあるので、現実的ではないですね。
そもそも、コルクガスケットのオイルパッキンは、適度に潰してコルク密度を上げて止めるということなんだそうです。
ワインボトルのコルクもかなり圧縮されて栓されてますよね?
増し締めしてはならない理由は、段々コルクガスケットが薄くなって増し締めした際に隙間が開く箇所ができたり、プスッと切れてしまったりするんだそうです。
段々と湿ってきたところに断続的に圧縮されるし、薄く繊維の少ないコルク紙は切れやすいという、至極自然な成り行きかと。
ちなみにこのボルトはM6 強度区分8.8なので、約10Nmが締め付けトルクになります。
要するに10Nmの軸力で締め付けた圧力で新品コルクガスケットが潰れる程度がいちばん漏れない密度ってことになるかなという考察です。
[液体ガスケットも塗ればいいのでは?]
塗るのか塗らないのかは賛否両論あります。
専門店の方々にお聞きしましたが、液体ガスケット併用する派とコルクだけ派に別れました。
みんカラ徘徊すると、他の国産、輸入車問わず、コルクガスケットのみで付けてるのは少数派で、私もかつては液体ガスケットで名を馳せたTB製のシリコーン液体ガスケット1215を薄っすら塗るのが正解だと思ってました。
ワーゲン海苔?店?の方のブログを拝見すると、塗らないが正解だとおっしゃってます。
間違えてもシリコーン系液体ガスケットは塗るべからず、はじめはいいけど後でダダ漏れるって言ってます。
別に1215が駄目な製品ってわけではありませんよ。むしろ良い製品だと思います。
なぜ故コルクガスケットには駄目なんだろうと考えた結果、シリコーン系液体ガスケットは硬化しても固くは無いので、前述の”適正に潰す”ことができず、ボルトの軸力が不安定に締まって漏れるんだと推測します。
もちろん、シリコーンはコルクを侵すのではないかな?ということもあり得ると思います。
何も塗らないのは専門店の意見からそれはそれで漏れるということも考察しました。
現に私の車には1215が塗ってあって、8年漏れずに持ちこたえましたから。
何も塗らないと、位置決めが難しく、ズレたり切れたりしてしまうからではないかなと。
前述のワーゲンブログでも刷毛で塗る乾かないボンドを塗ると仰ってます。
[結論]
コルクガスケットは確かに漏れやすいが適切な取り付け方法によって妥協できるレベルまで持っていける。
1:非硬化性の液体ガスケットを極力薄く均等に伸ばして塗って組み付ける
2:組み付け時はトルクレンチできっちり10Nmでボルト締結
3:トルクレンチは1回目の測定を使い、2度がけはしない
4:それでも漏れるときは漏れるのでその時は潔く諦める
塗る塗らない問題は軸力がきちんと出て適正な密度まで潰せる範囲で薄っすら非硬化性の液体ガスケット塗ることがメリットがデメリットを上回るのでは無いかと結論付けました。
1:きちんと位置決めしてコルクガスケットを取り付けられる事
2:ガスケットと金属との境界面の微量な隙間を埋められる事
3:コルクへのオイル浸透を緩やかにするコーティング効果が期待できる事
浸透を遅らせる件は紙ガスケットでもまったく同じ論法で塗った方がいいと言う理屈が成り立ちます。
紙の方が良いのは変わりありませんからね。
[最後に]
この理論による施工は2019/7/14の事です。
正しい事が証明されるのは10年後(2029年)です。
サーキット前提で運用します。
私の稚拙な脳みその憶測で考察しています。
ですので、決して参考になさらないようお願いいたします。
ここ、違うよ!これが正解!などのコメントはどしどしお願いします。笑
非硬化ボンドは整備手帳で紹介します。