
折を見てまとめておきたいと思っていたうちのビートの音響について解説します。

ホンダビートは標準で左右ドアの2スピーカー構成です。
無限オプションでダッシュボード上に設置するスピーカーユニットと背面コンソールにサブウーファーを取り付けることができました。
当方のビートはオプションは何も装着されておらずドアスピーカーのみです。
最近の車って標準グレードはほとんどが4スピーカー以上でそれなりの音は出るので2スピーカーと聞けば「どうせ安い音しか出ないんでしょ」と思われることでしょう。

以前にも書いたことがあると思いますが私はこのビートを走るオーディオルームとして購入しています。
自分で セッティングしたオーディオというのは他人が聞いて良い音に聞こえるかどうかって不安になると思います。当方のビートは前オーナーがオーディオにこだわりを持って熟成させた状態でした。よって私が良い音だと感じているのは自画自賛ではなく間接的、つまり客観的な評価なのです。

私が手を加えたのはヘッドユニットだけです。カロッツェリアをケンウッドに換装したのみです。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2627111/car/2196158/5315628/note.aspx
スピーカー構成は購入当時から全く変わっていません。
ツースピーカーとは言ってますが正確にはコアキシャル2Wayなので2(4)スピーカーですかねw

そのスピーカーはホンダギャザズ。社外品に変えようと思ったことはありません。音の良し悪しは社外品、メーカー、ブランドではなく自分の耳で忖度なしの判断力が求められます。
★ここからはなぜ音が良いのかを考察していきます。
ビートは2ドアなので4ドアより音響的に有利です。つまり大きなドアをエンクロージャーとして扱えるので音の広がりに有利です。
そこに前のオーナーが施した徹底的なデッドニング!!

これでもかというぐらい隙間を塞ぎ吸音材と防振材を多用してあります。

小さなサービスホールまで塞いでいるのはもちろん、部分ごとに吸音材が貼り付けられています。

ハーネスや内張りとの緩衝でビビリ音が出そうなところは徹底的に対策されています。

ドアの窓ガラスにもビビリ対策が施されてあります。

極めつけはこれw
ドアのウェザーストリップが窓ガラスと当たってビビリ音が出ないようにクッション材が貼られてます。正直、ここまでやってるとは・・脱帽です(汗)

前オーナーはビートのエンジン音より室内の快適性を重視する人だったのでエンジンのメンテハッチがある後方スペースに何重もの防音材を敷き込んでエンジン音を抑えています。
これも音楽鑑賞のために良い影響を与えています。
★2スピーカーでどうして良い音が出せるのか

ABCトリオに乗った人はわかると思いますが、運転ポジションが一般的な車とは全く違います。
ビートはエンジンが後ろにあるためダッシュボードの下に足を差し込む形で乗車します。
つまりペダル位置がものすごく深いんです。

助手席側を見ると奥行きの深さがよく分かります。
ところで、スマホの音を無電力で増幅するスタンドケースをご存知でしょうか?

これはケース内の反響を利用して音を増幅させているんですが、ビートの足元の深さは同じように増幅効果を生んでいます。

ビートのスピーカーはちょうど足元の反響させやすい位置にあるのです!
なら、ロングノーズのカプチーノの足元はもっと深くてさらに良い音が出そうですが・・

残念なことにドアではなく車体側にスピーカーがついてるんですよね。
ドアというエンクロジャーを使えないのは致命的でビートとの決定的な差です。おそらくカプチーノにデッドニングをしてもビートのような音響は得られません。
デッドニングされたドアというのはルームスピーカーで言う密閉型に相当するもので、バスレフ型に比べ低音に強いとされています。
こと低音域に関しては何年も前に実験していますのでこちらを御一読ください。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2627111/car/2196158/4211670/note.aspx
ビートの車体が音響に優れている利点はもう一つあります。

ソフトトップのオープンカーであるということ。
カーオーディオを構築する上で一番厄介なのは反射音です。
通常の車であればルーフの鉄板と窓ガラスで音は跳ね返ってきます。定員の多い車では座席も音に悪影響を与えます。
ビートは2人乗りで座席後方は壁、
ほぼ前席だけの狭い車内空間です。狭いということはオーディオにとっては好都合でヘッドユニット内蔵のアンプで十分な音量が得られます。
そして天井は布なので音はすり抜けもしくは吸収され反射される音はわずかです。
★私は5.1chシステムで何台ものサブウーファーを使いあらゆるセッティングを試したことがあるのでノウハウはよく分かっています。結局は室内の空気を動かすエネルギーがどれだけ必要かってことです。広い部屋ほど大出力アンプが必要、車も同じことです。
極論を言うと、ヘッドホンに何百ワットも必要ありませんよね、空間が耳の周辺だけですから。
そしてヘッドホンはサラウンド型を除いては2スピーカーですよね。
うちのビートはまさにこの理論なんです。
最近ではドルビーアトモスの登場でさらに多スピーカー化が進んでいますが、スピーカーが増えると反射音だけでなくスピーカー同士の干渉も多くなって距離やディレイタイムのセッティングは難しくなります。
そこにサブウーファーを使う場合いわゆる低音かぶりというのを起こしますしスピーカー同士のつながりのセッティングがシビアになります。車でいくつものスピーカーを使ってる人は底なし沼かと・・
★まとめます。
狭い車内、足元に音響増幅装置がある、密閉されたドアによるハリのある低音、反射音の少ない空間、アンプやイコライザーを別体で引き回してないので伝送ロスや回り込み、電力不足の心配がない。
これが2スピーカー低出力でも高音質が得られている秘密です。
このビートはかれこれ10年以上所有してますが、走りもしないのに乗り込んで音響に没頭してしまい、気がつけば2時間とか今でもあるんで困ったものです(笑)