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ダスティ・アッテンボローのブログ一覧

2011年07月26日 イイね!

( ^ω^)はあらゆるチート達と戦うようです 第1話

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:11:19.91 ID:ElBo9ml3O
『結局さ、最強の能力ってなんなの?』

『〇〇だろ。あれは反則』

『いや××じゃね?』

『××はねぇよアホすぎww最強は◇◇だろ。』

『いや◇◇は……』

『じゃあ、もうさ』


『実際に戦わせたらよくね?』


『おお、お前天才か?』


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:12:36.31 ID:ElBo9ml3O
『詳しいルールは?』

『【平面的存在《グラフ》】どもに、ランダムに能力を与えてやる。ランダムと言っても、使用者の基本スペックを考慮してあるがな。』

『ああ、女子供にゃチート能力がいきやすいように設定してあるとか?』

『そういう事』

『お、俺のオリジナル厨二能力とかも入れていい!?』

『好きにしろよ。なるべく楽しい戦いが見たいしな。じゃ、始めんぞ?』

『うはwwみwなwwwぎっwwてwwきwwwwたwwwwww』



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:13:38.51 ID:ElBo9ml3O





( ^ω^)はあらゆるチートと戦うようです







6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:15:30.10 ID:ElBo9ml3O
―――その時。


それはブーンが学校でドクオと喋りながらアホみたいなテンションになっていた時。
それはドクオが学校でブーンと喋りながらこいつのテンションきめぇと思っていた時。
それはヒッキーがまた手首を切っていた時。
それはモララーがお気に入りの缶コーヒーに口をつけた時。
それはギコが弟をとケンカしていた時。
それはフサギコが兄とケンカしていた時。
兄者と弟者がこのご時世なのにブラクラに悩まされていた時。
しぃが家出した時。渡辺が友達とハンバーガーを食べた時。
etc.
etc.

彼ら彼女らは、なんの前触れもなく別次元に飛ばされた。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:17:15.92 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「は!?」

至って平凡な高校生、ブーンの目の前には見知らぬ街があった。

大都市と言っても過言でないその町並みを、ブーンは遥か上から見下ろしていたのだった。


その場所は、見知らぬ学校の屋上だった。

(;^ω^)「な、何が起きたお!?僕は……?ど、ドクオー?」

確か自分は親友であるドクオと、たまに谷亮子がかわいく見える現象についてやたらと熱く喋っていたはずだ。

それが、いきなり校舎の上。


(;^ω^)「……」

ブーンはまだ落ち着かない脳内を動かし、状況把握とこれからの行動を考える。

( ^ω^)「とりあえずは、人を探して―――」

人を探してみるしかないか。そう、ブーンが言いかけた時

『ピンポンパンポーンwwwwwwwwあ、これやっぱ口で言うと恥ずかしいwwww』

唐突に、空から声が落ちてきた。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:19:29.29 ID:ElBo9ml3O
空から直接聞こえてくるようなそれ。

『あー、あー!マイクテース!!』

それは、どこかふざけた感じを思わせる男の声だった。
男は同じ調子で、言う。

『どーも!この仮想都市【VIP】に集められたみなさーん!!準備はいいよね?じゃ、今から

最強能力決定戦を開始しまーす!!』

(;^ω^)「は!?」

それは、全ての始まりが街に響いた瞬間だった。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:20:46.22 ID:ElBo9ml3O
『ルールは簡単!あなた達にはそれぞれ、いろんな強い能力を与えときました!』

『それを駆使して、周りの能力者を倒していって下さい!』

『そして、見事生き残った人にはなんと、願いをなんでも一つ叶えちゃうぞ☆というそういったベタな展開も用意してありまーす!!』

(;^ω^)「な………、え………?」

『ちなみに未だに能力に気付いてない人とか、能力の使い方がよくわからないって人いる?いるかも知んないね!』

『そこで、ちゃんと君たちの服のどこかにちゃあんと説明書とかつけといたからね!紳士のたしなみさ!』

(;^ω^)「……!」

探ってみれば、右ポケットに何やら変な感触があった。そこから、一枚の紙が出てくる。

『じゃ、またまた定時連絡するから、それが聞けるように頑張って生き残ってねー!』

空からの声はそこで途切れた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:23:10.04 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「『最強能力決定戦』…?んなアホな……」

ブーンは信じられないといった顔で、未だに声がした方を見上げる。
とは言えそこは、もはやただの空なのだけど。

とりあえずその言葉がホントなら、自分にも何か能力があるはずだ。

…そうだ、紙。
さっき言われた通りポケットを探せば、紙があったのだった。

はたして、自分の能力はなんなのだろう?体には何か変わったような感触はないけれど。
半信半疑のまま紙に書いてある内容を確認しようとして

見下ろしている町並み、そこから爆音が鳴り響き
すこし向こうに見える大きなビルが、派手に倒壊するのが見えた。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:26:00.80 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「なっ…!!」

すさまじい光景だった。
テレビの衝撃映像番組で見た事あるような、ド派手な音と肌に伝わる衝撃。

何が起きたかは知らない。だが、ブーンには一つ確信出来るらしい事がある。

あれは、自然に起きたものじゃない。かといって人間が引き起こせるレベルの倒壊でもない。

おそらく、能力だ。

どうやらこの戦いが、ホンモノであるという事なのだ。


そして、派手な音に気をとられ、ブーンは気付けなかった。

屋上の階段を、誰かが登ってきてるという事に。


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:30:42.03 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「もう嫌だお…。チクショウ、なんで、なんでこんな事に……。」

自分が何をした?
見事に瓦解したビルを眺めて、非現実な現実感に目を伏せたくなる。
考えこめど、出てくるのはネガティブな思考ばかりだった。
しかし、それでは始まらない。

( ^ω^)「…これから、どうしよう」

ようやくプラスに働き始めたブーンだったが

屋上のドアが古びていたのは幸いだったのだろうか。

ぎぎぎぎぃ……!と

屋上のドアが開いた。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:33:33.86 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)

(;^ω^)

立っていたのは、いかにも若手サラリーマン、といった顔の男だった。
彼は物静かにブーンの全身を見回し、そして呟いた。

( ・∀・)「少年漫画ってさ」

(;^ω^)「はい?」

( ・∀・)「少年漫画って、いいよね。まぁ僕の場合、ジャンプが大好きだったわけなんだが」

(;^ω^)「……はぁ。」

え、いきなり何こいつ。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:38:10.00 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「正義がある世界」

そのサラリーマン風の男は、来ていたスーツを脱ぎながら語っている。

( ・∀・)「ベタな王道展開」

そしてネクタイを外し

( ・∀・)「勧善懲悪」

腕時計を地に投げ捨て

( ・∀・)「そして―――憧れの異能力。」

(;^ω^)「あのぉ……」




( ・∀・)「あははははははははははははははは!!!」

突然の狂笑。それは、自分を拒絶するようにも感じた。
ブーンは自分が窮地にあると、そこで知ったのだった。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:40:42.32 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「さぁ」

―――やろうか。

(;^ω^)「ッ!?」

男は構えてもいない。ただ、そこに佇んでいるだけだ。それなのに、ブーンは得体の知れない圧力に潰されそうになった。

(;^ω^)(肌にビリビリくるお…。能力ってのが本当なら、こいつの能力はなんだ?オーラ系か)

何が飛び出てくるかわからない。しかも場合によれば、それが見えるのかすらわからない。
その恐怖からブーンがバックステップで距離を取ろうとした時、

男は動き出す。一直線にブーンへ向かって駆け出し、何かを叫ぶ。

(;^ω^)「ちょっ早………!」

( ・∀・)「ざ―――!!」

ざ。
そこまでしかブーンには聞こえなかった。正確に言うなら、ざと聞こえた後…否。ざと聞こえた瞬間。

ブーンは顔に強い衝撃を受け、遥か後ろに吹っ飛ばされていた。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:47:46.60 ID:ElBo9ml3O
(;゚ω゚)「ぐっ…ごは…!」

衝撃。そのあまりに強い衝撃に、ブーンは落下防止のフェンスまでふき飛ばされる事になった。
フェンスに叩きつけられ、揺れる頭で思考を無理矢理始めた。

今のは、なんだ。
右頬に何かに殴られた感触を感じたが、あの男ではない。

そんな距離じゃあ、なかったのだ。
あの時、男とは、少なくとも目測で5mくらいは離れていたはず。

(;^ω^)「じゃあ………」

そこで思考を一時中断。
すぐ近くに男が迫っていた。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:54:10.11 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「おいおい、そんな体たらくで大丈夫か?」

(;^ω^)「…やっべ……!」

ブーンは逃げるように右に飛ぶ。
これでも、運動能力には多少の自信があった。
陸上で鍛えたこの足は、そこらの一般人には追い付ける代物ではないはずだ。

( ・∀・)「……へぇ」

男はすぐに踵を返し、こちらを目で追う。
が、やはり全力で飛びかかってきた男はバランスを崩して、少しの隙が出来る。

そこをつき、全力で殴りかかった。

(;^ω^)「おおおおおおおお!!!」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:58:56.12 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「はっ」

しかし、そこで不自然な事が起きる。

ブーンは間違いなく、殴りかかった。
バランスを崩した、そこにいる男に。

だけど、手は空振りした。

男がかわしたんじゃあない。ブーンが外したのでもない。


男の姿は、消えていた。


そして、後ろに

( ・∀・)

歪めた笑みを浮かべた男が、いた。

(;^ω^)「」

( ・∀・)「あはっ」

ゴッ!……と聞いた事のない音が、自らの脇腹から聞こえて
ブーンは屋上の階段のドアまで吹き飛ばされた。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:07:19.51 ID:ElBo9ml3O
(;゚ω゚)「……う、ううぅぅ……」

どうやら壁で頭を打ったらしく、頭を押さえた手が、少し血で濡れる。

(;゚ω゚)「しゅんかん、いどう…?」

( ・∀・)「あはっ。あはは。」


( ・∀・)「ちがうよ」

(;^ω^)「じゃあ……」

目の前から、消えた。
ブーンにわかるのはそれだけだった。
もう一つわかるとすれば、それはこの男には勝てないという事だ。

今の、ままでは。

自分の能力を把握していない、現状では、だ。

つまり隙を見つけ、自分の能力をしらべる事が必要になる。
今すぐみたいところだが、『自分の能力がみたいから待って』など、お笑い草にもなりゃあしない話だ。

(;^ω^)「じゃあ、やる事は決まってるお…!」

ブーンは屋上の階段のドアを思いきり開く。
逃走、だ。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:12:40.06 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「へぇ、階段。ん?階段?」

( ^ω^)「あばよ色男!!」

あれだけ腰の引けていたブーンだったが、逃げるとなるとそれは変わる。

とりあえずあの男に見つからないところまで逃げて、話はそこからだ。
全力をもって、階段を降りた。

( ・∀・)「おお、階段と言えば!」

対して男は、今までで一番不気味な笑みを浮かべる。

(;^ω^)「きもちわる……!」

逃げながら、そういうブーン。

階段を降り、4Fと書かれた表示を目にするかと思われたその時。
奇妙な事はまた起きた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:15:53.00 ID:ElBo9ml3O

男は、追ってこなかった。

だから安心して逃げるブーンだったが。

ピタリと、足が止まった。

( ^ω^)「………え?」

降りたはずの階段を、『また降りようとしている』自分に。

( ・∀・)

(;^ω^)「………あれ?」


階段を降りる。
だが、気がつけば

また階段の上にいる。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:20:24.96 ID:ElBo9ml3O

( ・∀・)「ん?怖いかい?得体の知れない事に対し、『恐怖』を感じているのかい?」

(;^ω^)「な、何が……!」

( ・∀・)「うふっ、あは、あははははははははは!!これは愉快だな!!面白い!!あの時のポルナレフと、まったく同じ動揺の仕方をしてやがる!!」

(;^ω^)「……!」

ポルナレフ。その言葉には聞き覚えがある。
僕の好きな漫画の一つに、そいつは出てくる。

そいつは、初めて出てきたラスボスを目の前にし、

勇気をもって階段に足をかけた。

しかし、階段を上れてはいなかった。

そして今、あれが再現されている。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:24:07.31 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「わかったでしょ?僕の能力」

(;゚ω゚)「お……!」

ブーンは男を凝視する。
否、正確には男の左側に立つ

人型のそれに。
精錬されたフォルム。強い意思を感じる眼。

見覚えがある

(;^ω^)「それは………」

( ・∀・)「僕はモララー!与えられた能力は【世界《ザ・ワールド》】!!」

―――世界一の悪役の能力を、僕は手に入れたのさ!!
モララーは心底嬉しそうに、そう言った。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:31:31.97 ID:ElBo9ml3O
ジョジョの奇妙な冒険第3部。
そのラスボス、ディオが持ったスタンド、【世界《ザ・ワールド》】

数秒間時間を止め、その中を自在に動きまわる能力。

その力でディオは、空条承太郎達を追い詰めた。

その力を、目の前の男がもっている。

幸いなのは、ディオが吸血鬼だったのにたいし
いま目の前にいるモララーは、どうやら人間らしい事なのだが…

( ・∀・)「楽しい!!楽しいねぇ!!ディオ様風に言うなら」

( ・∀・)「最高にハイ!ってやつだァァァァァァァ!!!」

( ・∀・)「あははははははははははwwwwwwwwwwwwwwww」

どうやらモララーは相当なジョジョ信者らしかった。その最大の悪役の能力を与えられたのだ。
こうなるのも、うなずけるというものか。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:38:40.48 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「あはははは!!」

笑いつつ、走ってくるモララー。

(;^ω^)(落ち着け、落ち着け僕!!)

逆に、と。
ブーンは冷静に考える。
目の前にいるのはディオじゃない。ちょっと前に能力を手にいれたばっかの、頭のおかしい子だ。

こいつは今、幸せの絶頂なのだ。
ザ・ワールドを使うのが楽しくて仕方ない。
なら、自分を殴るとしたら必ず。

(;^ω^)(必ずビッグパンチになるお!こざかしいマネをするわけがない!)

つまり、能力を使うとしたら、必ず大振りになる。
隙が出来る。

( ^ω^)「覚悟を決めるしかない!!」

ブーンは背を壁にはりつけた。

( ・∀・)「?」

モララーにはそれが何を意図するものかはわからなかった。

しかし、構わない。自分にはザ・ワールドがある。
かわす方法など、ない。


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:44:09.03 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「ザ・ワールド!!時よ止まれ!!」

時のとまった世界。完全に静止した世界だ。モララーはそこを自在に動く。
そして、目の前には間抜け面をしたブーン。
何をしようとしたのか、壁に張り付いている。

しかし、こいつは馬鹿だ。
壁に張り付いたら、力の逃げ場がなくなるのがわからないものか。
先ほどまで吹っ飛ばされる事で分散されていた力も、全て体に伝わる事になる。

( ・∀・)「このまま潰すのもいいけどなぁ、しかし…」

モララーはブーンの能力をまだ見ていない。
これでは、なんの面白みもなかった。
あのディオ様は、その力と知恵でいつでも相手の全力をねじ伏せて勝った。

まずブーンの能力を見よう。
殺すのは、それからでいい。

これくらいでいいのかな?と少し力加減をし、
ようやく目の前のブーンをぶん殴った。

( ・∀・)「そして時は動き出す」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:52:14.12 ID:ElBo9ml3O
時間はまた進んだ。
モララーは殺さないように加減したつもりだったが、それでも逃げ場のない力はかなりのものらしく

ブーンは壁に少しめりこんだ。

(;・∀・)「あ、やば。殺しちゃった?」

モララーがそう思い、ザ・ワールドを戻しかけたその時

(; ω )「……つ…」

(; ω゚)「捕まえた、お…」

(;・∀・)

モララーは気付いた。ブーンが壁に張り付いた理由。わざわざ強いダメージが残る選択をしてまでしたかった事。

壁に張り付いて、吹き飛ばされないようにして

自分との距離をあけない為、だ。


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:53:28.81 ID:ElBo9ml3O
(; ω )「………!」

ブーンは駆ける。モララーに向かい、一直線に。

(;・∀・)(やば……!!)

モララーにはそれを止める手立てがなかった。
時間を止めるのは、連続して使えない。ザ・ワールドが戻ってくるのを待つのも出来ない。

(;^ω^)「おおおおおおおおお!!!」

ゴッ!と骨と骨がぶつかる音がして
今度こそ、ブーンの拳がモララーの顎をとらえた。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:58:37.26 ID:ElBo9ml3O
(;・∀・)「がっ……!」

顎をとらえられた。
脳がぐわんぐわんゆれる。
やばい。やばい。追撃が、追撃がくる。

止めなくては、ザ・ワールドで止めなくては―――

しかし、目を上げた時

すでにそこにブーンはいなかった。

(;・∀・)「逃げられた、か………」

逃げられたのだ。自分が。
手加減してたとは言え、最強の能力であるザ・ワールドを持った自分が
何の力も使っていない、少年に。

(;・∀・)「………」

(#・∀・)「ちくしょおおおおがあああああああああああああああああ!!!!!!
殺す!!!!!
殺ォォォォォォォす!!!!
次に顔を出したら今度は容赦しねぇ!!!
ありったけの『無駄無駄』ラッシュを、その顔面に叩き込んでやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

そう、叫んだ。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:03:03.98 ID:ElBo9ml3O
「叩き込んでやらぁあああああああ!!!」

(;^ω^)「うるせぇっつの……」

ブーンはいま渡り廊下の隅にいた。
体が軋む。特に、内臓が酷い。今すぐにでも吐きそうだ。

しかし、そんな事はさして重要ではない。

重要なのは、自分の能力。


(; ω )(頼む、僕の能力。何かは知らないけど、この状況を打破する為の力であってくれ―――!!)

願いを込めて、能力説明書の紙を見た。

そこにかかれていたものは。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:11:37.86 ID:ElBo9ml3O
能力説明書。

能力名【気分次第《アンカーテイク》】。

あなたの力は、今回の最強能力決定戦でも希有な存在です。
それは、「誰かに能力を決めてもらう能力」といったところです。
あなたがこの能力を使った時、『アンカー』というものを指定します。
その『アンカー』にかかれていた内容がそのまま能力となり、使用が可能とります。
何を得るかはわからない。まさに、【気分次第】な能力です。



原則ルールとして、一回の対戦に対して一回のアンカー。
つまり、どんな悲惨な能力がでてもあなたはその相手をその力で倒さねばなりません。
アンカー内容が『~~~の能力』『~~~~する能力』といった具合に、最後に『能力』といった言葉が無ければアンカーは自動で再指定されます。

(;^ω^)

(;^ω^)「よ、よくわかんないけど……なんか嫌な予感がするお……」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:15:30.32 ID:ElBo9ml3O


(;^ω^)「でも、まぁ、あとは信じるしかねぇお!どうせこのままじゃモララーにはやられちまう!」

「頼んだみんな!!モララーを倒す為に、みんなの厨二妄想をぶつけてくれお!!指定アンカーは……!!



>>92!!」

 

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:17:25.28 ID:cJ0VI2QO0
手から溢れんばかりのコーラを出す能力

 

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:18:50.90 ID:ElBo9ml3O

『能力が決まりました。』

[92]以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2010/10/22(金) 23:17:25.28 ID:cJ0VI2QO0
AAS
手から溢れんばかりのコーラを出す能力


(;^ω^)「まじかよォォォォォォォ!!!!」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:21:56.40 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「やべぇ、やべぇお!!」

しかし、決まったものは決まったものだ。
モララーと戦う間は、この力で戦わなければならない。

しかし、コーラ。
世界一ポピュラーな炭酸飲料だ。
その力を使えば、あの強敵、ザ・ワールドを使うモララーを倒す事が出来

(;^ω^)「出来るわけNEEEEEEEEEEEE!!!!」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:27:52.34 ID:ElBo9ml3O

試しに出してみた

( ^ω^)「………」

どばー!!!!

手がベタベタになった。


( ゚ω゚)「ふざけんなよオイィィィィィィィィィィ!!!!!!!」





そこでブーンは、あ、と気付く。
大声を出してしまった。

(;^ω^)「しまっ……」

言った時にはもう遅い。声を聞き付けたモララーが、こちらを向いていたのだった。

( ・∀・)

( ・∀・)「ああああああああぶうううううううううん君みっけェェェェェェェェェェ!!!」



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:33:35.04 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「えへへ見つけたよォォォォォォォ!!!ちょっと時間止めてそっちいくから待ってててててててててててねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

(;゚ω゚)「こんにちわモララーさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!喉かわいてませんかァァァァァァァ!!!」

ブーンは本気でコーラを噴出。
水圧を上げれば、とは思ったが本気の出力でようやくホースを指で押さえてちょっと強くするアレ程度だった。
小学生かよ。

(;・∀・)「はっ!?」

しかし、モララーは初見である。意表をつかれ、ザ・ワールドを無意識に展開してしまった。

(;・∀・)「しまった………」

この距離では、時を止めたままブーンに到達出来ない。明らかに失敗してしまった。

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:38:37.95 ID:ElBo9ml3O
しかし、ならばモララーにもやる事はある。
この黒?茶色?の物体を確かめる事だ。

( ・∀・)「一見コーラにも見えるが、まさかそんなわけがないし…」

この戦いは「最強能力決定戦」。自分のような、チート能力ばかりが集まるはずだ。
まさかコーラを噴出する力などが混ざっていれば、失笑ものだ。

となると、科学薬品か?しかし、この液体が地面に付着してもなんの変化もない。
いやいや…まず、物理法則に従ってくれるのかも怪しい。能力とは得てしてそういうものだ。

( ・∀・)「ならば、避けて様子をみるしかないか――――――時は動き出す」

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:44:46.98 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「んお!?」

気付くと、モララーが右に移動していた。
恐らくザ・ワールドを使ったのだろうか。コーラを避ける為に。

( ^ω^)

( ^ω^)(コーラをwwww避wwwwけwwwwるwwww為にwwwwwww)

目の前で繰り広げられる、能力の最高の無駄遣いに吹き出しそうになりながら
このチャンスを逃す手立てはない、とブーンは踵を返し、ダッシュで逃げた。


(;・∀・)「あ、おい!!」

(;^ω^)「失礼します!」

とにかく、まず逃げ込め。最大限にコーラを利用出来そうな場所に。
ブーンはそう自分に言い聞かせながら、学校内を走る。

(;^ω^)「………!!あそこなら――――!!!」


逃げ込んだ先は、理科準備室。

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:51:19.56 ID:ElBo9ml3O
幸い、鍵は空いている。と言うより、閉まらないのだ。
もしかしたら他の部屋も全てそうなのかも知れない。

(;^ω^)「つまり、あいつに見つかるのも時間の問題………!!」

なんとかしないと、とブーンは理科準備室にある戸棚を調べあげる。
理科の授業なんざ寝てたからわからないが、もしかしたらコーラを究極の兵器にするものがあるかも知れない。



しかし、ない。


唯一期待していたメントスですら、理科準備室には存在しなかった。
こうしてる間にもあのモララーが近づいて来ているかと思うと、脂汗が止まらないブーンだった。

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:57:06.53 ID:ElBo9ml3O

(;^ω^)「やべぇお……!このままじゃ、このままじゃあ……!!」

いそがしく手を動かすブーンだが、期待はずればかりだ。
それどころか、焦った結果だろうか。

(;^ω^)「んおおおおおお!!?」

バサバサバサバサッ!!と
戸棚の中にある資料や教材をぶちまけてしまった。
その勢いに負け、その資料やら何やらの下敷きになるブーン。

(;^ω^)「あいててて………」

生物の資料やら天体の資料やらがごちゃ混ぜに体の上に乗っていたので、それをどけようと手に取った時。


―――ブーンは、その資料の中にある種の希望を見た。

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:04:05.64 ID:ElBo9ml3O
( ^ω^)「………」

(;゚ω゚)「………お。」

まさか。ではあるが。

『敵の力』

『【世界《ザ・ワールド》】』。

『時間を止める。』

『僕の力』

『【気分次第《アンカーテイク》】。』

『この能力はまさに気分次第』。

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:05:10.76 ID:4gYOzM6fO
『[92]以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2010/10/22(金) 23:17:25.28 ID:cJ0VI2QO0
AAS
手から溢れんばかりのコーラを出す能力』

『近づけない。近づいたら時を止められて負ける』

『つーか何をしようにも時を止められたら終わり』

『避けられるから終わり』

『手から溢れんばかりのコーラを出す能力』

『【気分次第《アンカーテイク》】』

この能力は―――誰の気分次第?

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:10:54.19 ID:4gYOzM6fO
一方、モララー。
渡り廊下を少し抜けて、今はブーンを探していた。

( ・∀・)「………」

もはや、怒りもなかった。

あの後、あのあまりにも変化のない、地面に落ちたままの液体を調べてみたところ

本当にコーラだったのだ。

( ・∀・)「もうなんか、怒るとかそういうのじゃないこれ。やばいおれ。なんかやばいおれ」

見つけたらどうしてくれよう。
爪はがす?骨を折る?
少なくとも小一時間は悲鳴を聞かなければ気が収まらなさそうではあった。


177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:14:10.85 ID:4gYOzM6fO
そんな時に、モララーは大声を聞いた。

「出てこいや、もららぁあああああああああ!!!!」

( ・∀・)「………!!」

あのブーンという少年だ。しかし、声が聞こえてる場所がおかしい。おかしすぎる。
声が聞こえている場所に寄る。案の定、すぐ見つかった。

( ^ω^)

校庭の、ど真ん中だ。

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:19:03.20 ID:4gYOzM6fO
( ・∀・)「………は?」

モララーはブーンがどの部屋に隠れているかを探索中だった。
声がしたから、窓を抜けてベランダに乗り出すと

( ^ω^)「………」

先ほどまで逃げ惑っていた少年が、そこに仁王立ちでいた。

( ・∀・)

( ^ω^)

( ・∀・)「………一つ、聞かせろ」

自らがここまで落ち着いている事に、少し驚きながらも続ける。

( ・∀・)「お前の能力はなんだ?」

( ^ω^)

目線の遥か先にいた少年は、答える

( ^ω^)「手から溢れんばかりのコーラを出す能力」

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:23:19.07 ID:4gYOzM6fO
( ・∀・)「………は」

( ・∀・)「はははははははははは」

(#・∀・)「ブチ殺ォォォォォォォす!!!」

モララーは、ベランダから飛び降りた。着地時の衝撃は…まぁいい。スタンドでどうにでもなる。
もう少し近づくだけだ、そうすればザ・ワールドを有効活用でき、そして

(#・∀・)(そっからは離さねぇ!!じわじわとなぶり殺してくれる!!)

そして、落下。しかしブーンはこちらに右手を向け、何かを呟く。

( ^ω^)「僕は、嘘なんかついてないお。溢れんばかりのコーラを出す能力。今回の指定アンカーはそれだった」

(#・∀・)「は!!?」

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:27:57.98 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「コーラを出すんだお。溢れんばかりのコーラを。嘘なんかついてないお」

よく見れば、前に出されたブーンの右手はぶるぶると震えていた。

(#・∀・)「………」

なるほど、何かのハッタリか。
まぁそれもどうでもいい。俺はブーンを殺す。それだけだ。
もう少し。

もう少しで、ザ・ワールドが有効活用出来る範囲に届く。

( ^ω^)「嘘はついてないお」

少年は、まだうわごとのように呟いていた。

(#・∀・)「うるせぇよ!!もういいこれが最後だ!!


ザ・ワールドを発動させる!!」

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:30:01.69 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「だから」

死んじゃったらごめんなさい。

ブーンはそう呟いた。

同時に

(#・∀・)「ザ・ワー………」

時を止めるべく、モララーの左側にあの黄金のフォルムをした人型スタンドがあらわれる。

あらわれた、のだが。


201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:31:20.07 ID:4gYOzM6fO







モララーの目の前に、巨大な岩の塊が現れた。








207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:32:57.11 ID:4gYOzM6fO
( ・∀・)

(;・∀・)「……え?」

状況把握。
眼前に、に直径10km以上あるアホみたいな岩出現。


以上、状況把握終了。

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:36:23.66 ID:4gYOzM6fO
(;・∀・)「とっ!時よ止まれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

自分に向かってきた岩の塊?は一時的に止まった。

しかし、しかし。

止めたところでどうする。

殴り潰す?無理。でかすぎる。
避ける?どこに?無理。絶対無理。

つーかまずこれなに?え、どうしたらいい?

(;・∀・)「う、うわあああああああああああ!!!!」


対処を考えるのに要する時間は、止めた時間では足りなかった。


時は動き出す。


その岩の塊に、モララーは押し潰されてしまった。

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:41:51.78 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「………」

モララーだった残骸を見るブーン。
どういうわけか、街は無傷だった。それに関しては、まぁ後で考えようか。

一言、言った。

( ^ω^)「………誰が」

( ^ω^)「誰がコーラを、炭酸飲料だけだと言った。」

( ^ω^)「誰がコーラを、小惑星コーラ (504 Cora)は含めないと言った。」


「コーラ (504 Cora) は、小惑星帯に位置する小惑星である。
ソロン・アーヴィング・ベイリーがアレキパで発見し、インカ神話の創造神であるビラコチャの4人の息子の1人の妻、コーラにちなんで名づけられた。」

――――Wikipediaより、引用。

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:46:09.05 ID:4gYOzM6fO
理科準備室で、小惑星帯の星の名前のある資料を見る事が出来て本当に良かった。

そして僕の能力。
【気分次第《アンカーテイク》】。

他人に決められる能力とは、めんどくさいものだとは思ったが、

(;^ω^)「なるほど、こりゃいい加減で気分次第な能力だお…」


こうして一つの戦いが、終わった。

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:49:42.59 ID:4gYOzM6fO

同刻、VIP内のデパート。

('A`)「ふう、なかなか強かったなこいつ……」

('A`)「でもまぁ、関係ないか。この能力があれば」


('A`)「【一方通行《アクセラレータ》】。こりゃ便利だな。」


287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:53:26.31 ID:4gYOzM6fO
――――同刻、アーケード街

( ´∀`)「………うーん」

( ´∀`)「こりゃチートだモナ」

( ´∀`)「【百式観音】。半端じゃねえっす」


――――

川 ゚ -゚)「あらあら、結構強いなこれ」

川 ゚ -゚)「【月火水木金土日を操る程度の能力】。一週間少女か」

川 ゚ -゚)「パチェはあんま好きじゃないがなぁ」

294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:57:01.32 ID:4gYOzM6fO
―――――某所

从'ー'从「『ごめんねペニちゃん。友達だったけど』」

从'ー'从「『あなたの事は3秒くらいなら忘れ、あれ誰お前?』」

从'ー'从「『なんてね。』」

从'ー'从「『………【大嘘憑き】《オールフィクション》か。球磨川君はこんな気持ちだったのかな?』」


――――――



300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:59:01.49 ID:4gYOzM6fO
それぞれが自分の力を、理解した。
それぞれが自分の理を、理解した。
それぞれが自分の道を、理解した。

この戦いはまだまだ激戦になりそうである。





第一話、終わり。

Posted at 2011/07/26 21:18:35 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブーン系小説 | 日記
2011年07月20日 イイね!

(´・ω・`)星にお願いをのようです(´∀`) その2

35 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:55:18.15 ID:ntXuh7kyO
一方、その頃。
星たちは、ピザやケーキをテーブルに並べ、クリスマスパーティを開いていました。


( ^ω^) 「メリクリお!」

( ゚∀゚) 「ははは!このピザうめぇな!」

ξ゚⊿゚)ξ 「タバスコ取ってちょうだい」


みんなでわいわい騒いでいると、クーがやって来ました。


ξ゚⊿゚)ξ 「あら、遅かったじゃない。どこ行ってたの?」

川 ゚ -゚) 「む、ちょっとな…」

( ゚∀゚) 「なんだよ水臭ぇな、言えよ」

川 ゚ -゚) 「む…そうだな、えーと……」

( ^ω^) 「おっお、変なクーだお。まあいいお、座れお!席は用意してあるお」

37 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:57:58.70 ID:ntXuh7kyO
川 ゚ -゚) 「…いや、今日は遠慮しておく」

( ^ω^) 「? 何でだお?」

川 ゚ -゚) 「……」

川 ゚ -゚) 「今から空に上がってみようと思っているからだ」

(;^ω^) 「!?」


38 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:58:46.95 ID:ntXuh7kyO
クーの言葉に、みんなが驚きました。
明らかな嫌悪感を示しているのもいれば、顔を見合わせて、何か言いたげにしているのもいます。
ツンがクーを真っ直ぐに睨みつけながら、ゆっくりと口を開きます。


ξ゚⊿゚)ξ 「……何でよ?」

川 ゚ -゚) 「…実は一週間前から、あの子供を見続けていた」

( ^ω^) 「おっ…。モナーに見せられた、あの子かお?」

川 ゚ -゚) 「うむ。あの子供な、あれから毎日、夜になるとお祈りしてるんだ。好きなテレビがある日も、留守番で一人ぼっちの日も、毎日だ。あまりに熱心にお祈りしてるから、私だけでも姿を見せてやろうかと思ってな」

ξ゚⊿゚)ξ 「たかが子供一人のために?」

川 ゚ -゚) 「ああ」

( ゚∀゚) 「……バカげてんな」

川 ゚ -゚) 「それでもいいさ。誰か一緒に上がらないかと思って誘いに来たんだが……誰かいないか?」


クーは辺りを見渡しました。
みんな周りの顔をうかがっているのか、志願しそうな者はいませんでした。
クーが小さくため息をつき、一人でモナーの所へ向かおうとした、その時。

野太い声が、鈴の音と共に聞こえてきました。


39 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:01:51.27 ID:ntXuh7kyO




「たかが子供一人、じゃないぜ」





41 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:04:00.84 ID:ntXuh7kyO
星たちがみんな一斉に、声の方を向きました。

そこには、大きな白い袋を背負ったサンタビコーズと、彼を背負ったギコカイが立っていました。

Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「たかが子供一人、じゃないぜ」

ξ゚⊿゚)ξ 「……何が言いたいの?」

( ∵) 「……」

サンタビコーズはゆっくりとギコカイの背中から降りました。
そして、背負っていた大きな袋を、勢いよくひっくり返しました。
すると袋の中から、色とりどりの紙が、ばさばさと音をたてて出てきました。


( ^ω^) 「……これは?」

( ∵) 「……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「手紙だ」

( ^ω^) 「…手紙?」

( ∵) コクリ

43 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:06:08.39 ID:ntXuh7kyO
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「世界中の子供から、サンタさん宛てに送られて来たんだよ」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「プレゼントはいりません、そのかわり星が見たいです、ってな」

( ^ω^) 「……!!」

(;゚∀゚) 「これ…全部か?」

( ∵) コクリ


ジョルジュが驚くのも無理はありません。
紙の山は、サンタビコーズの腰の高さくらいまでありました。

Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「これだけの子供たちが、お前らのことを待ってるんだ。プレゼントはいらない、とまで言ってな」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「なぁ、上がってやってもいいだろう」

46 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:08:15.78 ID:ntXuh7kyO
星たちは皆、落ち着きをなくし、顔を見合わせました。
さっきまで悪態をついていたツンも、動揺しているようでした。


ξ;゚⊿゚)ξ 「え…で、でも……」

川 ゚ -゚) 「……もういいではないか」

ξ;゚⊿゚)ξ 「!?」

川 ゚ -゚) 「いつまで意地を張っているのだ」

ξ;゚⊿゚)ξ 「い、意地なんか……!」

川 ゚ -゚) 「モナーが……」

ξ;゚⊿゚)ξ 「?」

48 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:11:39.11 ID:ntXuh7kyO
川 ゚ -゚) 「モナーが、使いもしない大砲の手入れを毎日毎日欠かさないのはなぜだと思う?」

( ^ω^) 「…?」

(;゚∀゚) 「……?」

ξ;゚⊿゚)ξ「し、知らないわよ!暇だからじゃないの!?」

川 ゚ -゚) 「……」

川 ゚ -゚) 「…私たちのためだよ。私たちがいつでも気持よく上がれるように、綺麗に輝けるようにら毎日毎日手入れしているんだ」

( ゚∀゚)「……」

( ^ω^) 「ぼくたちの、ため……」

ξ;゚⊿゚)ξ 「べ、別に毎日やってもやらなくても変わらないでしょ!」

川 ゚ -゚) 「……」

川 ゚ -゚) 「ツン、君は光が弱いだろう」

川 ゚ -゚) 「君みたいな星の光が、すすで霞まないように…できるだけ明るく輝けるように、モナーは毎日手入れを続けているんだよ。自分はあんなにすすだらけになりながらな」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……!」


49 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:12:05.62 ID:ntXuh7kyO
ξ;゚⊿゚)ξ 「お、恩着せがましいのよ!!」

川 ゚ -゚) 「モナーが私たちに恩を着せようとしたことが、今まで一度でもあったか?」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……」

川 ゚ -゚) 「……な、もういいだろう」

ξ;゚⊿゚)ξ 「あっ……あたしっ…はっ……」

(  ω ) 「……がるお」

ξ;゚⊿゚)ξ 「え?」

( ^ω^) 「…上がるお!ぼくもクーと一緒に上がるお!」

ξ;゚⊿゚)ξ 「ブーン!?」

川 ゚ -゚) 「そうか、ありがとう」

( ^ω^) 「それから、モナーに謝るお!お礼も言うお!」

川 ゚ -゚) 「そうだな、それがいいな。そうしよう」

( ゚∀゚) 「……俺も行くよ。今までちょっと言い過ぎたしな」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……!」


50 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:15:53.18 ID:ntXuh7kyO
星たちが、ぼくも私もと、次々に声を上げました。
準備運動を始めた星もいます。
心の奥底ではみんな、空に上がりたかったのかもしれません。


( ゚∀゚) 「よし!そうと決まったら!」

( ゚∀゚)「みんな、行こうぜ!モナーのところへ!」


ジョルジュが声をあげて走り出すと、それを追うようにして、みんな一斉に走り出しました。
ただ一人、ツンを除いては。

52 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:18:55.62 ID:ntXuh7kyO
( ^ω^) 「ツン、何してるお!」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……」

( ^ω^) 「ツンも行くんだお!」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……」

( ^ω^) 「また前みたいに、ブーンの隣で瞬くんだお!」

ξ ゚⊿゚)ξ 「……!」

ξ*゚⊿゚)ξ 「…しょうがないわねぇ!」


二人も、みんなを追って走り出しました。


53 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:20:45.34 ID:ntXuh7kyO
星たちの後ろ姿を見送りながら、サンタビコーズとギコカイは、ほっと胸を撫で下ろしました。

Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「……まったく…世話の焼ける…」

( ∵) 「……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「……ま、これで俺も安心して走れるってもんですよ」

( ∵)
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「ほんじゃ俺たちも…行きますか!」

( ∵)

( ∵)ニコリ
Ψ Ψ
(,,^Д^)

56 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:22:46.58 ID:ntXuh7kyO
( ゚∀゚) 「お!大砲が見えてきたぞ!」

川 ゚ -゚) 「だな。今日は一段と綺麗な気がす……む?」


クーが、走りながら首をかしげました。


( ゚∀゚) 「どうした、クー」

川 ゚ -゚) 「あれは……」

川 ゚ -゚) 「あれは、モナーではない。誰だ……?」














('A`)

59 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:25:41.52 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「やーっ……と来たか…」

モナーがいないかわりに、小柄な若い男が、大砲の近くに腰を下ろしていました。

川 ゚ -゚) 「あなたは……?」

('A`) 「初めまして。ドクオだよ」

( ゚∀゚) 「ドクオ…?モナーはどうした?」

('A`) 「あぁ、あの人。あの人はね、任期満了」

( ^ω^) 「任期?」

('A`) 「正しくは満了じゃないんだけどね、早めにお声がかかったらしい。で、この仕事は俺に交代」

川 ゚ -゚) 「お声がかかった、とは?」

('A`) 「……」

61 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:26:36.41 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「この仕事はさ、死んだ人間がやるもんだっていうのは知ってる?」

川 ゚ -゚) 「…初耳だ」

('A`) 「この仕事に限らず、雨を降らせたり雲を作ったり虹をかけたり…そういう仕事は、全部現世を生き終わった人間がやってんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ 「はぁ…」

('A`) 「この仕事ってのが期限付きでな」

( ^ω^) 「期限?」

('A`) 「そう、期限。今回のモナーさんみたいに、お声がかかるまで、さ」

川 ゚ -゚) 「……それで、お声がかかる、とは?」

('A`) 「生まれ変わるか、消滅か、どちらかの準備ができましたよ、ってことだ」

( ^ω^) 「?」

('A`) 「死んだ人間のたどる道は二つ。新しく生まれ変わるか、跡形もなく消え去るか」

(;^ω^)「……!」


62 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:30:22.34 ID:ntXuh7kyO
( ゚∀゚) 「……モナーは、どっちなんだよ?」

('A`) 「さぁねぇ……。文字通り、神のみぞ知る、ってところだ」

(;゚∀゚) 「……」

('A`) 「ヤバいかもな、あの人」

ξ ゚⊿゚)ξ 「……なにがよ?」

('A`) 「だってあんたらを今まで空に上げきれてなかったんでしょ?」

川 ゚ -゚) 「!」

('A`)「自分の仕事も満足にできてないとあれば……ねぇ」

(;゚ω゚)「……!!」

ξ;゚⊿゚)ξ 「そんな……!」

(;゚∀゚) 「おれたちのせいで……!?」

65 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:32:02.86 ID:ntXuh7kyO
川;゚ -゚) 「……」

川;゚ -゚) 「モナーに、会いたい。謝りたい」

('A`) 「もう無理だよ」

川;゚ -゚) 「たのむ」

('A`) 「もう無理だって。遅かったんだよ、あんたら」

川;゚ -゚) 「……!」

( ゚ω゚) 「……」

( ;ω゚) 「……もう……」

( ;ω;) 「…もう、謝ることすら…許されないのかお……」

(;゚∀゚) 「くそ……!」

(;゚∀゚) 「ちくしょう、なんで俺……!!」

( ;∀;) 「なんで…!!」

67 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:34:55.10 ID:ntXuh7kyO


星たちはみな、泣き出してしまいました。
みんながみんな、自分を責めました。
自分たちが、ちゃんと空に上がっていれば。
せめてもう少し早くここに来ていれば。
何か、変わっていたかもしれないのに。
ごめんなさいを、言えたかもしれないのに。



72 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:37:28.94 ID:ntXuh7kyO

('A`) 「……」

('A`) 「……あのさ」

( ;ω;) 「?」

('A`) 「俺さ、モナーさんからいろいろ聞いたんだよ」

川 ; -;) 「……何をだ?」

('A`) 「……モナーさんのこと」

( ;∀;) 「……?」

74 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:38:53.68 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「一週間くらい前にさ、あんたらに一人の子供を見せたことがあったんだろ?」

川 ; -;) 「…あ、あぁ…」

('A`) 「あの子供、ショボンっていってな」

('A`) 「生きてた頃のモナーさんの、孫だそうだ」

( ;ω;) 「!」

ξ;⊿;)ξ 「…そうだったのね…」

('A`) 「すんげぇ星が好きだからさ、どうしても綺麗な星空を見せてやりたかったんだと。生きてたころ、よく二人で見てたらしいぞ。草っぱらに寝っ転がってさ」

( ;ω;) 「……」

('A`) 「俺と別れる最後まで、残念そうにしてたよ。綺麗な星空、見せてやりたかったって」

( ;ω;) 「おぉ……おぉぉぉおぉ」

('A`) 「……だからさ」

( ;ω;) 「お…?」

76 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:41:20.75 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「だから今日、最高の星空をその子に見せてやれよ」

( ;ω;) 「!」

('A`) 「モナーさんの望み、叶えてやれよ。それがあんたらにできる、最高の償いとお礼だろ」

川 ; -;) 「……!」

('A`) 「俺があんたらを打ち上げてやるからさ……。大丈夫、うまく打ち上げてやるよ」

('A`) 「なにせ、モナーさんがすすだらけになりながら大切にしてきた大砲だからな」

川 ; -;) 「うっ…あっ……」

川 ; -;) 「ありがとう……!」

('A`) 「お礼なんかいらねぇよ、俺は俺の仕事をやるだけだ」

('A`) 「目一杯打ち上げてやるから、全力で輝けよ」

( ;ω;) 「おっ、おっ、お願い、しますおっ」

('A`) 「……」

('∀`) 「…はいよ、任せとけ」



77 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:42:43.93 ID:ntXuh7kyO
ドクオはゆっくりと立ち上がり、服の袖をまくりました。
背伸びをしようとして顔の前で両手を組んだところで、動きが止まりました。


('A`) 「あ……」

('A`) 「そういや、伝言あずかってるんだったわ」






80 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:44:12.01 ID:ntXuh7kyO






もし……万が一。
万が一にも、ここに星たちが来てくれることがあったら……伝えておいてくれ。

誰も必要としていないなんて、悲しいことを言うな。

誰も見ていないなんて、悲しいことを言うな。

誰かがきっと、いや、必ず、君たちの輝きを見ている。

誰かが、必ず。

君のことを、見ている。

だからもう、必要ないなんて、

悲しいことを、言わないでくれ。







82 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:45:19.49 ID:ntXuh7kyO











( ´∀`)












88 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:49:52.47 ID:ntXuh7kyO
(´・ω・`) 「ママー!!ママ、お星さま!!お星さま、出たよ!!」

从 ゚∀从 「どれどれ…?……おっ、ほんとだ!!さてはショボンの祈りが通じたな?やるじゃねぇか、ショボン!」

(´・ω・`) 「えへへ!!今日のお星さま、すごく綺麗だ!」

从 ゚∀从 「ほんとだな……こんなにキラキラするもんなんだな、星って……」

从 ゚∀从 「うっ」

(´・ω・`) 「!?」

(´・ω・`) 「ママ、どうしたの!?」

从;゚∀从 「きた、きたきたきた……!!」

(´・ω・`) 「なに!?なにがきたの!?」

从;゚∀从 「陣痛だよ、陣痛!!うぁ~~~~っ、いってぇぇええ!!!」

(;´・ω・`) 「い、痛いの!?痛いの!?ばんそうこういる!?」

从;゚∀从 「いらねーよ!!パパ呼んでこい、パパ!!」

(;´・ω・`) 「わ、わかった!!」

(・ω・`; ) 「パパァーーーー!!!」

91 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:52:52.57 ID:ntXuh7kyO


それは、
クリスマスイブの、
夜のこと。

星の綺麗な、
夜でした。

ゆらめいて、
またたいて。

沢山の光の粒が、
見えました。

それはまるで星たちが、
泣いているかのような、
そんな夜。

ある街の病院で、
手のひらがすすだらけの
男の子が生まれました。

星の綺麗な、
夜のことです。



94 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:54:01.36 ID:ntXuh7kyO





おしまい
Posted at 2011/07/20 18:58:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブーン系小説 | パソコン/インターネット
2011年07月18日 イイね!

(´・ω・`)星にお願いをのようです(´∀`) その1

5 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:20:20.75 ID:ntXuh7kyO


きらきらひかる
おそらのほしよ

またたきしては
みんなをみてる







みんなは

みてる?


6 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:20:58.08 ID:ntXuh7kyO














(´・ω・`)星にお願いをのようです(´∀` )













9 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:23:02.90 ID:ntXuh7kyO
(´・ω・`) 「はぁ……」


窓から顔を出して夜空を見上げながら、ショボンくんは溜め息をつきました。


从 ゚∀从 「どうした、ショボン?浮かない顔して」

(´・ω・`) 「あ、ママ……」

(´・ω・`) 「あのね、お星さまが見えないの」

从 ゚∀从 「星?」

ショボンくんの肩に手を置いて、お母さんも窓から顔を出しました。
空には雲一つないというのに、星がひとつも見えません。


从 ゚∀从 「あぁ、ほんとだな。おかしいな」

(´・ω・`) 「今日だけじゃないの。昨日もおとといも、その前の日もその前の前の日も、ずっと見えないの」

从 ゚∀从 「ほう」

(´・ω・`) 「ママ、ぼくお星さまが見たいよ」

从 ゚∀从 「オレに言われてもな」


10 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:23:35.07 ID:ntXuh7kyO
お母さんに冷たくあしらわれ、ショボンくんはいっそうしょんぼりしました。
目はうるみ、今にも泣き出しそうです。


从 ゚∀从 「……」

从 ゚∀从 「ショボンはほんとに、星が好きなんだな」

(´・ω・`) 「うん、だいすき……」

从 ゚∀从 「そうか、大好きか」

お母さんが眉をさげて微笑みました。


11 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:24:32.72 ID:ntXuh7kyO
ショボンくんは星が大好きです。

前にお母さんの田舎に行ったとき、おじいちゃんと星を見に行ったのがきっかけでした。
二人で原っぱに寝っ転がると、視界がたくさんの星で埋め尽されました。

大きな星、小さな星。
力強く光る星もあれば、ひかえめにひっそりと光る星もありました。
そのどれもが自由に瞬いて、まるで生きているようでした。
おじいちゃんが星座の名前をたくさん教えてくれましたが、小さいショボンくんにはよくわかりませんでした。
それでも、おじいちゃんのしわがれた優しい声が心地よくて、幸せな気分になったのは覚えています。

おじいちゃんは去年の冬に亡くなってしまいましたが、星空を見ていると、おじいちゃんがそばにいるような、どこかで繋がっているような、なんだかそんな気がするのです。


12 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:25:29.27 ID:ntXuh7kyO
从 ゚∀从 「……ショボン、泣いてるのか?」

(´・ω・`) 「……」

从 ゚∀从 「こんなことで泣いてちゃあ、立派なお兄ちゃんにはなれねぇな」

(´・ω・`) 「……!」

(´・ω・`) 「泣いてないよ!」

从 ゚∀从 「ほんとか~?」

(´・ω・`) 「泣いてないもん!!」


ショボンくんがこぼれかけた涙をぐっと我慢すると、お母さんがにかっと笑いました。
ショボンくんはもうすぐお兄ちゃんになります。
ほっそりぺらぺらだったお母さんのお腹は、今ではとても大きくなっていました。


从 ゚∀从 「よしよし、偉い偉い。強い男は好きだぞ」

お母さんはショボンくんの頭をポンと叩くと、寒い寒い、と呟きながら、ストーブのほうへ向かいました。
ショボンくんは窓を閉めて、お祈りを始めました。


(´・ω・`) 「お願いです、お星さま……姿をみせてください」



13 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:26:52.07 ID:ntXuh7kyO
一方、その頃。
空の上では、仕事人モナーと、星たちがケンカをしていました。


( ´Д`) 「きみたち!!今日という今日は空に上がってもらうからな!」

( ^ω^) 「やだお!」

ξ゚⊿゚)ξ 「絶対にあがらないわよ」

( ´Д`) 「いーや、今日こそは上がってもらう!!」

( ゚∀゚) 「しつけぇんだよ、ジジイ。上がらないっつったら上がらないの」

( ´Д`) 「頼むよ!何がそんなに不満なんだ!?」

川 ゚ -゚) 「何度も言っただろう。もう誰も私たちを見てくれないことが、さ」

15 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:27:22.39 ID:ntXuh7kyO
そうだそうだ、と、後ろにいたたくさんの星たちから声が上がりました。


( ^ω^) 「街の明かりが明るすぎて、もうぼくらなんか必要ないんだお」

( ´Д`) 「いいや、たとえ街は明るくても、君達を見たいと思ってる人間はたくさんいるよ」

( ゚∀゚) 「ウソつけよ。人間は夜景とイルミネーションに夢中じゃねぇか」

ξ゚⊿゚)ξ 「もうすぐクリスマスだしね。町中キラキラしてるわよ」


ツンの言うとおり、街は光に溢れていました。
いろんな大きさや、いろんな形、いろんな色の電球が、チカチカと光を放っていました。


( ´Д`) 「確かにそうかもしれない。でも君達には、奴らとは違う魅力があるだろう?」

川 ゚ -゚) 「あったところで、人間が見たいと思わなければ同じことだ」

( ´Д`) 「見たいと思ってる人間だっているさ」

( ^ω^) 「ほお。証拠は?」

( ´Д`) 「例えばほら。あの家を見てごらん」

17 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:28:17.78 ID:ntXuh7kyO
モナーは、遥か下を指さしました。
指さした先には、ショボンくんの家。
窓ぎわには、一生懸命お祈りする、ショボンくんの姿が見えました。


( ´Д`) 「あの子はね、昨日も一昨日も先一昨日も、ずっとお祈りをしているんだよ。君達の姿が見たくてたまらないんだ」

川 ゚ -゚) 「……ほう」

( ´∀`) 「な、君達のことを見てる人間はちゃんといるんだ。だから……」

( ^ω^) 「だから何だお!所詮子供一人だお!!」

( ゚∀゚) 「けっ、バカにしやがって。おいみんな、こんなジジイ相手にするなんて時間の無駄だ。もう行こうぜ!」


ジョルジュがそう言うと、星たちはみんな一斉に走りだしました。


(;´Д`) 「あぁっ!!」


モナーは追い掛けようとしましたが、そこは逃げ足の速い星たちです。
あっというまに、いなくなってしまいました。


18 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:28:52.70 ID:ntXuh7kyO
(;´Д`) 「はぁ……」
(;´Д`) 「…どうしたらいいものか……」


モナーが途方に暮れていると、星たちが逃げていったのと反対の方角から、一人の老人が、一匹の動物に乗って近付いて来ました。
サンタビコーズとギコカイです。

Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「よっ、モナーさん」

( ∵) 「……」

(;´∀`) 「あっ……こんばんは……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「今日も星はあがんねぇのか?」

(;´∀`) 「あ…はい……」

( ∵) 「……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「はぁ……あのなぁ、モナーさんよ」

(;´∀`) 「……はい」

20 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:31:39.83 ID:ntXuh7kyO
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「クリスマスイブまでに何とかしてくれないと困るんだよ。な?星たちのあかりがなきゃ、俺が安心して夜空を走れないわけ。わかる?」

(;´∀`) 「はい……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「もし途中で俺がケガでもして走れなくなれば、プレゼントが配れないわけよ」

(;´∀`) 「……はい……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「困るの、わかるよな?」

(;´∀`) 「重々…承知です……」
Ψ Ψ
(#゚Д゚) 「だったらさっさと星たちを説得しろやゴルァア!!」

(;´∀`)そ 「ひっ…!」


すくみあがるモナーを見て、サンタビコーズが、ギコカイの頭をぽんぽんと叩き、首を横に振りました。


(( ∵)) フルフル
Ψ Ψ
(゚Д゚;) 「……すみません、つい……」


21 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:34:40.07 ID:ntXuh7kyO
(;´∀`) 「……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「……フゥ」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「とにかくな、イブが期限だ。イブまでに何とかしないと……わかってるな?」

(;´∀`) 「…はい、必ず何とかします」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「必ずだぞ」

(;´∀`) 「…はい……」


モナーが頷いたのを確認すると、ギコカイとサンタビコーズは帰ってゆきました。

23 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:37:10.47 ID:ntXuh7kyO
(;´∀`) 「イブまでって…あと一週間しかないじゃないか……」


モナーはまた途方に暮れてしまいました。

モナーの仕事は、大きな大砲で、星を空に打ち上げることです。

モナーはとても真面目な男で、星を打ち上げる仕事人はモナーの前にもたくさん居ましたが、そのうちの誰よりも真剣に仕事に取り組んでいました。
モナーは仕事に使う大砲を、使っていない今でも、毎日毎日、隅から隅まで手入れしていました。
だからモナーは、いつでもすすだらけでした。

もちろん今日も、いつものようにすすだらけ。
でも今はすすを気にしている場合ではありません。


(;´∀`) 「何とかしなきゃな……。あの子のためにも……」


モナーはもう一度、ショボンくんの家のほうに目をやりました。
ショボンくんはまだ、お祈りを続けていました。
モナーはすすで真っ黒になった手を、ぎゅっと握り締めました。

25 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:39:14.29 ID:ntXuh7kyO
それから1週間のあいだ、モナーは毎日、星たちのところへ足を運び、頭を下げ続けました。


(;´∀`) 「頼むよ、このとおりだ」

( ^ω^) 「……」

(;´∀`) 「君達がいないと、ギコカイも走れないって言ってる。な、頼むよ」

( ^ω^) 「ギコカイも休めばいいんだお。走るのなんて疲れるお」

(;´∀`) 「プレゼントを待ってる子供たちはどうなるんだよ…」

( ^ω^) 「そんなのぼくらには関係ないお。ぼくらの存在を軽く見た罰だお」

(;´Д`) 「そんな……頼むよ…お願いだ…」

(;´Д`) 「きみたちが…必要なんだよ……」

( ^ω^) 「……」



26 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:40:01.50 ID:ntXuh7kyO



最初はケンカ腰で反論していた星たちも、頭を下げるモナーを見て、怒鳴ることはなくなりました。
それでも星たちは、空に上がることを拒み続けました。



28 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:43:53.71 ID:ntXuh7kyO



そして、ついにクリスマスイブが来てしまいました。



( ´Д`) 「結局……ダメだったか……」


モナーはため息をついて、がっくりと肩を落としました。
しばらくそのままうなだれていましたが、いかんいかん、と両手で頬を叩いて立ち上がりました。


(;´∀`) 「希望を捨ててはいかんな。さあ、今日も大砲の手入れからだ」


そう言ってモナーは、大砲の手入れを始めました。

31 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:47:17.61 ID:ntXuh7kyO
ただひたすらに黙々と手入れをし、そしていつも以上に綺麗にみがきあげました。
大砲がピカピカになる頃には、モナーはやっぱり、すすだらけになっていました。


(;´∀`)「ふぅ…」

(;´∀`) 「綺麗になった……これなら星たちにはすすがつかない…」

(;´∀`) 「状態もばっちりだし、飛び心地も相当いいはずだ」

(;´∀`) 「あとは……みんなが、上がる気にさえなってくれれば……」


壁┬┤ ゚ -゚) 「……」

壁┬┤彡 サッ


( ´∀`)

(´∀` )?

( ´∀`) 「…気のせいか…」

33 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:52:15.16 ID:ntXuh7kyO
( ´∀`) 「さて……!」

( ´∀`)「最後の交渉だ!星たちのところへ……」

('A`) 「あの、モナーさん」

(´∀` ) 「はい?」

(´∀` ) 「えーと……きみは?」











('A`)

Posted at 2011/07/18 20:09:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブーン系小説 | パソコン/インターネット
2011年07月16日 イイね!

( ^ω^)が拳の王となるようです その2

118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:04:14.28 ID:GMBJgpWuO

 ~園庭~

 キャーキャー ワーワー

川*゚ -゚) セッセ セッセ

(´・ω・`)「クーちゃん、砂でお城作るの上手だね」

川*゚ -゚) テレテレ

  グシャッ!!

川;゚ -゚)(;´・ω・`)「!!」

(#゚;;-゚)「……ごめん、足元、みてなかった」

(;´・ω・`)「う、うそつき! 今、しっかりこっち見て……」

(#゚;;-゚)「ふん」

川 ; -;)

(#゚;;-゚)「なに泣いてんの。泣けば、なんでも丸くおさまるとおもってんの?」


123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:10:50.50 ID:kqJi/X9jO

(*'A`)「ショボン、クーちゃん、水もってk……」

(;'A`)「! どうしたの!?」

( ^ω^)「何やらきな臭いな」

(;´・ω・`)「今、でぃちゃんがクーちゃんのお城をこわしたんだ」

(#゚;;-゚)「あやまったじゃん」

(;´・ω・`)「でも!」

川 ; -;) フルフル

(;´・ω・`)「クーちゃん……」

川 ; -;)「も、もういっかい、つくる……」

(#゚;;-゚)「せーぜーがんばれば?」スタスタ

川 ; -;)

(#´・ω・`)「……なんなんだよ、あの子! プギャーたちよりイジワルだ!」

( ^ω^)「……」



130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:16:21.16 ID:kqJi/X9jO



(#゚;;-゚)「……」キィキィ

( ^ω^)「お前」

(#゚;;-゚)「!」

(#゚;;-゚)「なに、あの子のしかえし?
     ブランコから飛び蹴りしてあげようか」

(;^ω^)「やめろよ……何なのそれ流行ってんのマジで」

(#゚;;-゚)「で、なに?」

( ^ω^)「何故あんなことをした?」

(#゚;;-゚)「……たまたまだってば」

( ^ω^)「……」

(#゚;;-゚)「あっち行ってよ」

( ^ω^)「……クーが羨ましいのか」

(#゚;;-゚)「……!」



132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:20:21.29 ID:kqJi/X9jO

(#゚;;-゚)「……なに言ってんの」

( ^ω^)「お前はいつも1人きりだ。
       この間までのクーのように」

(#゚;;-゚)「……」

( ^ω^)「羨ましいのか? 友達が出来たクーが」

(#゚;;-゚)「――そんなんじゃない!!」

 タッタッタッタ…

( ^ω^)「……ふむ」





134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:27:22.26 ID:kqJi/X9jO


 ~家~

( ФωФ)「でぃちゃん? ……というと……あの傷だらけの子か」

( ^ω^)「うむ」

( ФωФ)「皆が言うには、いつも駆け回っていて元気がいいとか」

( ^ω^)「たしかに、やたら走り回っているのは見る」

( ФωФ)「そのおかげで生傷が絶えないそうである」

( ^ω^)「たしかに、やたら転ぶ――」

( ^ω^)「……だが……」

( ФωФ)「?」

( ^ω^)「……」



136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:34:25.51 ID:kqJi/X9jO



ξ゚⊿゚)ξ「みんな、今日は文字の練習として、お父さんやお母さんに手紙を書きましょう」

(´・ω・`)「クーちゃん、字、きれいだね」

川*゚ -゚) テレテレ

( ^ω^)「ふん。俺には敵わんな」

(´・ω・`)「漢字だ! すごーい」

('A`)「でも、『す』と『ま』が左右反対だ」

( ^ω^)「男は細かいことは気にしない」

川*゚ -゚) クスクス



138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:42:07.24 ID:kqJi/X9jO

(#゚;;-゚)「……」グシャグシャ ポイッ

(#゚;;-゚) ガタッ

ξ゚⊿゚)ξ「でぃちゃん、どこ行くの?」

(#゚;;-゚)「こんなのより、外であそぶほうがいいもん」

ξ゚⊿゚)ξ「でも――」

(#゚;;-゚)「……こんなの、やだ」

ξ゚⊿゚)ξ「でぃちゃ……」

 ガラッ ピシャン

 タタタタ…

ξ;゚⊿゚)ξ「行っちゃった……。……みんな、いい子にして待っててね。
      先生はでぃちゃん追い掛けるから」

 カララ パタン

(´・ω・`)「変な子」

川;゚ -゚) アワワ

( ^ω^)「……」

141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:50:26.38 ID:kqJi/X9jO

(#゚;;-゚)「……」ポンポン

ξ゚⊿゚)ξ「でぃちゃん……」

(#゚;;-゚)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「砂で、お城作ってるの?」

(#゚;;-゚)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……上手だね」

(#゚;;-゚)「……ょ」

ξ゚⊿゚)ξ「ん?」

(#゚;;-゚)「クーちゃんのほうが、うまいよ」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなんだ」

(#゚;;-゚)「うん……」



147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 00:55:47.34 ID:kqJi/X9jO

ξ゚⊿゚)ξ「……どうして、お手紙書きたくないの?」

(#゚;;-゚)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……」


      「――素直になれないのだろう」


(#゚;;-゚)「……!」

( ^ω^)「お前、正直に話すのが苦手なのだな」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン君」

( ^ω^)「ここに、先程貴様が丸めて捨てた、書きかけの手紙がある」ピラリ

(;゚;;-゚)「ちょっ……か、かえしてよ!!」



150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 01:06:14.13 ID:kqJi/X9jO

( ^ω^)「『かわいがって』……書かれているのは、それだけだ」

(;゚;;-゚)「……っ」

ξ゚⊿゚)ξ「かわいがって?」

( ^ω^)「お前の親は、恐らく、あまりお前に構ってくれないのだろう」

( ^ω^)「だから――お前は、怪我をする。
       親の気を引きたくて、わざと」

(# ;;- )「……」

( ^ω^)「俺には分かる。……かつて、お前と同じだった」

( ^ω^)「わざと転んで、怪我をして、泣いて。
       ……だが、そうすると、『奴ら』は俺を叱った。うるさいと」



153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 01:16:01.31 ID:kqJi/X9jO

( ^ω^)「お前の親は、お前が怪我をすると怒るのか?」

(# ;;- )「……おこらないよ。
     でも、はじめは、心配してくれたけど……最近は、またか、って顔する」

(# ;;- )「わかんない。パパもママも、わたしのこと、好きじゃないの?」

(# ;;- )「いっぱいケガしても、もう、気にならないの?」

(# ;;- )「どうやったら――わたしを、かわいがってくれるの?」

ξ゚⊿゚)ξ「……でぃちゃん……」

( ^ω^)「……お前は、素直になれない。
       だから親に直接言えないし、いつも1人でいるのだな」

(# ;;- )

( ^ω^)「どうやらそれは、親譲りのようだ。
       ――安心しろ。お前の親は、お前を愛している」

(#゚;;-゚)「……え……?」

( ^ω^)「親も、素直になれないだけだ。
       でなければ、始めだけとはいえ心配などするものか」

( ^ω^)「それでも信じられないなら――そうだな、ちょっと耳を貸せ」

(#゚;;-゚)「……?」

155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 01:20:48.81 ID:kqJi/X9jO


 ~夕方~

(,,゚Д゚)「でぃ、帰るぞ」

(#゚;;-゚)「……パパ」

ξ゚⊿゚)ξ「でぃちゃん、ほら」

(#゚;;-゚)「うん……」

(,,゚Д゚)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「今日、文字を書く練習で、お手紙を書かせたんです」

(,,゚Д゚)「ふうん……ぐしゃぐしゃだな……」ガサガサ

(,,゚Д゚)「……」

(,,゚Д゚)「『かわいがって』?」

( ^ω^)「それがお前の娘の、一番正直な気持ちだ」ヌッ

(,,゚Д゚)「うわっびっくりした」



160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 01:29:43.93 ID:kqJi/X9jO

( ^ω^)「怪我をするほど元気なのは、たしかに親からすれば、
       多少不安はあれど喜ばしいことだろう。
       傷が元気の良さの象徴となるからな」

( ^ω^)「だが――その怪我が、自ら付けるものとなれば話は別だ」

( ^ω^)「途端に、それは目に見える叫び声となる」

(#゚;;-゚)「……」

( ^ω^)「お前は何も言われなくとも、人の気持ちが分かるのか?」

( ^ω^)「お前が子供のとき、頭を撫でられなくとも、褒められなくとも、
       親の愛を信じて疑わなかったのか?」

(,,゚Д゚)「――!」

( ^ω^)「想っているだけで、愛は伝わるものだと言うのか?」

( ^ω^)「……まるで、でぃ本人のようにぼろぼろになってしまった手紙」

( ^ω^)「そこに書かれた言葉こそ、こいつの真実の気持ちだ」

( ^ω^)「よく考えることだな」



165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 01:40:40.73 ID:kqJi/X9jO

(;,゚Д゚)「……あ……」

( ^ω^)「ほら――手紙は、受け取ったら返事をするものだろう」

(,,;Д;)「あ、ああ……でぃ、でぃ……!」

(#゚;;-゚)「パパ……」

(,,;Д;)「ごめん、ごめんな……父さん、好きとか、愛してるとか……
     そういうのを言うのが、苦手なんだ。なんだか、恥ずかしくて……」

(,,;Д;)「そうだよな、みんながみんな、しぃみたいに、
     俺の意図を汲んでくれるわけじゃない……」

(,,;Д;)「しぃの子だからとか、家族だからとか、俺、甘えてた……。
     ごめん、でぃ、……大好きだ。
     いつも、お前のこと、大事に思ってるよ……」

(#゚;;-゚)「……うん」

(*゚;;-゚)「わたしも、パパと同じだよ……」




166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 01:44:57.65 ID:kqJi/X9jO


ξ゚ー゚)ξ「すごいじゃない、ブーン君」

( ^ω^)「ふん。
       放っておいたら、でぃの奴、またクーにちょっかいかけてただろうからな」

( ^ω^)「そしたらクーが泣いて、結局面倒なことになるだろう」

ξ゚ー゚)ξ「そういうことにしといてあげる」

ξ゚ー゚)ξ(……しかし……)



ξ;゚ー゚)ξ(この子、本当に5歳児なのかしら……)



169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 01:52:10.56 ID:kqJi/X9jO



川 ゚ -゚) ポムポム

(´・ω・`)「うわあ、今までで一番おっきなお城だ! すごいよクーちゃん、新記録!」

川*゚ -゚) ホコラシゲー

(#゚;;-゚)「クーちゃん」

川;゚ -゚)「!!」

(#´・ω・`)「また壊しにきたの?」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「いっしょにあそんで、いい?」

(;´・ω・`)「――え」

(#゚;;-゚)「だめ?」

(´・ω・`)「……クーちゃん、どうする?」

川 ゚ -゚)「……」

川*゚ -゚)「……いいよ」



172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 02:00:51.13 ID:kqJi/X9jO

(#゚;;-゚) ポムポム

川 ゚ -゚) ポムポム

(#゚;;-゚)「……わたしね」

川 ゚ -゚)「?」

(#゚;;-゚)「いつもひとりぼっちで……さみしかったけど、
     クーちゃんもひとりぼっちだったから、安心してた」

川 ゚ -゚)「……」

(#゚;;-゚)「でも、クーちゃん、ブーンくんたちとなかよくなったでしょ?
     ……うらやましかった。クーちゃんだけ、ずるいって思った」

(#゚;;-゚)「……いじわるして、ごめんね」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「おこってないよ」

川*゚ー゚)「だから……ともだち、なろう」

(*゚;;-゚)「――うん!」



174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 02:09:56.61 ID:kqJi/X9jO

 ~夜~

ξ゚⊿゚)ξ「今日は一段とお迎えが遅いね」

( ^ω^)「親父は、俺を養うために頑張っているからな……。
       仕方のないことよ」

 プルルルル プルルルル

ξ゚⊿゚)ξ「あら電話」ガチャ

ξ゚⊿゚)ξ】「はい、VIP保育園です」

      『――ツン先生であるか! 我輩、杉浦である!』

ξ゚⊿゚)ξ】「あ、杉浦さん。どうなさいました?」

( ^ω^)「親父?」

      『実は仕事をどうしても抜けられそうになくて……。
       大変申し訳ないが、ブーンを家まで送ってはもらえぬか』

ξ゚⊿゚)ξ】「構いませんよ、もう残ってるのはブーン君だけですし」

      『ありがたい! 今度お礼をするである!
       家の鍵はブーンが持っているから、送るだけで良い。
       ――っとっと、戻らねば。いつもすまない、ありがとうである。では!』

 プツッ ツー、ツー


175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 02:15:58.31 ID:kqJi/X9jO

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン君、今日は先生と帰りましょ。お家の鍵は持ってる?」

( ^ω^)「うむ」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃ、ちょっと待ってね。ちゃちゃっとお仕事終わらせるから」



 ~~~~~



ξ゚⊿゚)ξ⊃⊂( ^ω^)テクテク

ξ゚⊿゚)ξ「最近めっきり冷え込んできたわねー」

( ^ω^)「こんなもの、適温の内よ」

ξ゚⊿゚)ξ「ふふ、そうですか。
      ――風邪引かないようにしなきゃね」

( ^ω^)「俺は強い。風邪など引かぬ」

ξ゚ー゚)ξ「そう。羨ましいな」



182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 02:23:12.99 ID:kqJi/X9jO

( ^ω^)「ここを右に抜ければ近道だ」

ξ゚⊿゚)ξ「右ね。……真っ暗。ちょっと恐いな」

( ^ω^)「俺がついているだろう」

ξ゚ー゚)ξ「そうだったわ。なんて頼もしいのかしら」


ξ゚⊿゚)ξ⊃⊂( ^ω^)テクテク テクテク


ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、ブーン君」

( ^ω^)「何だ」

ξ゚⊿゚)ξ「私って、良い先生やれてるかな?」

( ^ω^)「……唐突だな」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン君に比べたら、私、何も出来てない気がするの」

( ^ω^)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「こんな私がみんなの先生で、いいのかな……」


186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 02:35:15.38 ID:kqJi/X9jO

( ^ω^)「……優しくて、厳しくて……とても強い」

( ^ω^)「親父に負けないぐらい、良い人だと思うぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「……そっか」

ξ*゚ー゚)ξ「ブーン君がそう言うなら、先生、自信出てくるよ」

(*^ω^)「……」


  ――ガサガサッ!!


ξ;゚⊿゚)ξ「!?」


(;・∀・)「ひ、ひひひ……運がいい、俺の好みど真ん中な女だ……!」

( ^ω^)「……?」

(;・∀・)「おっと、子持ちか? そんな歳には見えねえが……ったく、ビッチが。
      まあいい、フヒッ、お、おい、女、こっち来い」



189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 02:48:05.22 ID:kqJi/X9jO

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、あなた、誰ですか……? 一体何を――」

(;・∀・)「この状況で分かんねえのか?」

(;*・∀・)「――ああ、見れば見るほど可愛いな。たまんねえ……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……っ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン君、逃げて!」

( ^ω^)「なっ……」

     ジャキッ!!
(#・∀・)⊃+―「おおっと動くなよガキ!」

(;^ω^)(――ナイフ……!)

(#・∀・)「女が抵抗したり逃げる素振りを見せたりすれば、ガキを刺す。
      ガキが逃げれば、女を刺す」

(#・∀・)「坊や、こいつが死んでもいいのかい」

ξ;゚⊿゚)ξ「くっ……!」

(;^ω^)「卑怯な……」

(#・∀・)「卑怯でも構わねえ! 童貞を最悪なレベルでこじらせっとこうなるんだ!
      お前は将来こうなるんじゃねえぞガキィ!!」

195 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 02:55:19.56 ID:kqJi/X9jO

ξ;゚⊿゚)ξ

ξ;-⊿-)ξ「……ブーン君。目を閉じて……耳を、塞いでて」

(;^ω^)「先生――」

ξ;゚ー゚)ξ「だ、大丈夫。大丈夫だから……」

(;^ω^)「……!!」

(;*・∀・)「ひひっひひひ! いい子だ!」



(; ω )(先生、泣きそうだった。戦わないと。あいつを倒さないと)

(; ω )(だが――倒せるか? 勝てるのか?)

(; ω )(同年代のプギャー達にさえ負ける俺が、ナイフを持った大人に)

(; ω )(俺は、俺は……)

(; ω )(……弱い――)





197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 03:00:00.66 ID:kqJi/X9jO



 ――……分かるか! 貴様が武器を持とうと――



(  ω )





ξ;-⊿-)ξ

(;*・∀・)「さ、さあ、服を脱g――」



(#^ω^)「――待つお、この屑野郎!!」





199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 03:11:47.20 ID:kqJi/X9jO

(#・∀・)「……ああ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ぶ、ブーン君!?」

(#^ω^)「武器を持たなきゃ満足に闘えない弱者が!
       真の強者に勝てると思ってるのかお!」

(#・∀・)「漫画の読みすぎか? チビ! ガキが出しゃばんじゃねえ!!」



(#^ω^)「――お前が武器を持とうと、僕の拳には敵わない!
       お前の身勝手な我が儘が!
       僕の、大事な先生を守る力に敵う筈がないんだおぉおおお!!!!!!」


      ――ゴズン!!



(  ∀ )

(#^ω^)

ξ;゚⊿゚)ξ

ξ;゚⊿゚)ξ「……玉……」

(  ∀ )「それは……アカンて……」

206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 03:21:14.73 ID:kqJi/X9jO


 ~それからそれから~


 __[警]  ∧∧
  (  ) (;∀;)
  (  )Vノ )
   | |  ><



(*ФωФ)「えらいである、ブーン!」

(*^ω^)「おー……」

ξ*;ー;)ξ「ありがとう……大好きよ、ブーン君」

(*^ω^)「先生が助かって良かったお」

(*ФωФ)「今日は唐揚げパーティーである!!」

(*^ω^)「本当かお!」

(*ФωФ)「先生も是非」

ξ*゚ー゚)ξ「ええ、喜んで」


208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 03:27:47.06 ID:kqJi/X9jO

(*^ω^)「うれしいお……――ふあぁ……」

( ФωФ)「眠いか。家に着くまで、我輩の背中で寝るといい」

(*‐ω^)「そうするお……」

(*‐ω( ФωФ)「よっこらショット」

(*‐ω( ФωФ)「さ、スーパーで材料を買っていくである」

ξ*゚ー゚)ξ「はい!」


(*‐ω( ФωФ)テクテク テクテク

(*‐ω( ФωФ)テクテク…

(*‐ω( ФωФ)(――姉さん、義兄さん)

(*‐ω( ФωФ)(あなたたちの子供は、とても強い子に育っているであるよ)





211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 03:38:22.26 ID:kqJi/X9jO



( ^ω^)「ブランコで遊ぶおー」

(´・ω・`)「ブーンくん、しゃべり方変わったねー」

( ^ω^)「言葉で強がる必要は無いって分かったんだお」

川*゚ -゚)「……そのしゃべりかたのが、好き……」

( ^ω^)「そうかお?」

(#゚;;-゚)「ブーンくん、ブーンくん!」

( ^ω^)「ん? でぃ、どうしたお?」

(#゚;;-゚)「ドクオくんが、年長さんにオモチャを取られた」

(##)A;)「とりかえそうとしたけど、負けちゃった……」

( ^ω^)「おっお。自ら立ち向かうなんて、成長したお、ドクオ」

(##)∀;)「へへ……がんばったよ、おれ」

( ^ω^)「それじゃあ――後は、僕に任せるお。
       僕の拳で、取り返してやるお」




212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 03:41:49.84 ID:kqJi/X9jO



 ――僕は、強い、拳の王になるんだお!!










(#::#)ω^)「ブランコ撤去しない?」

ξ;゚⊿゚)ξ「あらまあ……」



     ( ^ω^)が拳の王となるようです

               おわり
Posted at 2011/07/16 06:54:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブーン系小説 | パソコン/インターネット
2011年07月16日 イイね!

( ^ω^)が拳の王となるようです その1

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 19:42:33.01 ID:e+ze5D2JO

( ^ω^)(――世の中、武器でも使わなきゃ満足に闘えない弱者ばかりだ)

( ^ω^)(真の強者は、己の拳のみで勝利を掴む者)

( ^ω^)(俺は、真の強者になる)

( ^ω^)(この拳で敵を捩伏せる)

( ^ω^)(――拳の、王になる)




ξ゚⊿゚)ξ「こらこらブーン君、お昼寝の時間でしょ。
      ジャングルジムから下りて、みんなとお昼寝しましょうね」

( ^ω^)「くくく……」



 ――内藤ホライゾン、あだ名、ブーン。

       5歳――



     ( ^ω^)が拳の王となるようです



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 19:54:01.87 ID:e+ze5D2JO

(´・ω・`)「ブーンくん、どこ行ってたの?」

( ^ω^)「ショボンか。何、己の胸に決意を固めただけよ」

(´・ω・`)「? どういうこと?」

( ^ω^)「ふ、幼子には理解し難いか」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン君も幼子でしょ。はい、お布団かぶって寝ましょうね」

( ^ω^)「眠くなどない」

ξ゚⊿゚)ξ「もう……じゃあ、ブーン君が寝るまでお話でもしようか」

( ^ω^)「そんな子供だまし、我には効かぬ」

ξ゚⊿゚)ξ「いいから。――むかーしむかし、あるところに――」


 ~数分後~


( ‐ω‐)ウツラウツラ

ξ゚ー゚)ξ「よしよし」




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 20:04:39.65 ID:e+ze5D2JO

 ~園庭~

 キャーキャー ワーワー

(;A;)「えーん、えーん」

( ^ω^)「どうした、ドクオ」

(;A;)「ブランコ、順番なのに、並んでたのに」

( ^ω^)「解せぬ」

(´・ω・`)「ドクオくんがブランコに乗る番だったのに、ニダーくんが、わりこんだの」

( ^ω^)「愚図が。ちんたらしているからそうなるのだ」

(;A;)「うう……」

( ^ω^)「……待っていろ。今、俺が奪い返してやる」

(;A;)「え……」


( ^ω^)「――この、拳で、な」




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 20:07:38.12 ID:e+ze5D2JO




:(#::#)ω;):「あの野郎ブランコから飛び蹴りしてきやがった」

(;´・ω・`)(弱―――――――!!!!!)






20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 20:14:17.98 ID:e+ze5D2JO

ξ゚⊿゚)ξ「はい、おとなしくしてね」

(#::#)ω;)「いた、痛い、消毒液痛い」

(;A;)「ブーン、痛い? ごめんね、おれが弱いから、ごめんね」

ξ゚⊿゚)ξ「ほら、ブーン君が痛がると、ドクオ君の心も痛くなっちゃう」

(#::#)ω;)「む……」

(#::#)ω⊂)グシグシ

(#::#)ω^)「ふん、こんなもの、屁でもない」

(;A;)「ほんと?」

(#::#)ω^)「俺はお前と違って強いのだ」

(;A;)「良かった……」

ξ゚ー゚)ξ「ん、えらいね」



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 20:19:05.61 ID:e+ze5D2JO



 ~それからそれから~

<#;#)∀;(##>「ドクオごめんニダ」

(;'A`)「えっ、……え? ニダーくん? 顔がパンパンだけど」

<#;#)∀;(##>「ツンせんせいに怒られたニダ」


:(;^ω^):

:(;´・ω・`):   ガタガタガタガタブルブルブルブル

:(;'A`):





28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 20:30:18.03 ID:e+ze5D2JO

 ~夕方~

(゚、゚トソン「ショボン」

(*´・ω・`)「あ、ママー」

(゚、゚トソン「先生、今日もありがとうございました」

ξ゚⊿゚)ξ「いえいえ。お仕事お疲れ様です。
      ショボン君は今日もいい子でしたよ」

(゚ー゚*トソン「あら。ショボン、えらいですね」

(*´・ω・`)「えへへ。先生、またね」

ξ゚ー゚)ξ「また明日ー」

(*´・ω・`)「ブーンくん、またあした!」

( ^ω^)「うむ」

 カラカラ ピシャン

ξ゚⊿゚)ξ(……今日も、ブーン君が最後まで残ったか)


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 20:36:40.70 ID:e+ze5D2JO

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン君、先生と遊ぼっか」

( ^ω^)「軟弱な女と何をして遊べというのだ」

ξ#゚ー゚)ξ

(;^ω^)「せんせー積木しよー!!」



 カチ カチ カチ カチ …

ξ゚⊿゚)ξ(もう、外も真っ暗……)

( ^ω^)「……」

ξ゚ -゚)ξ、(ブーン君、寂しそう)

 カラカラ

(*^ω^)「!」

(;ФωФ)「すまん、ブーン! 待ちくたびれたであるか!」

( ^ω^)「ふんっ、あと少しで、この女を俺のものにするところだったのにな」

(;ФωФ)「妙なこと言うな! 先生、すみません」

ξ゚⊿゚)ξ「いえいえ」

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 20:48:31.70 ID:e+ze5D2JO

( ФωФ)「いつもいつも助かってるのである」

ξ゚ー゚)ξ「ブーン君は面白い子だから、私も楽しいです。
      それに、今日は、いじめられちゃったお友達を
      助けてあげようとしたんですよ」

(*ФωФ)「ほう! えらいぞブーン! さすが、我輩の子である!!」

(*^ω^)「な、撫でるな。子供扱いするんじゃない!!」

ξ*゚ー゚)ξ クスクス

(;ФωФ)「あ……これはお恥ずかしいところを」

ξ*゚ー゚)ξ「いいえ。
      悪いことをしたら叱って、良いことをしたらたっぷり褒めてあげて下さい。
      子供にとって、それが一番良いですから」

( ФωФ)「むう、成る程。ではブーン、今日のご飯はお前の好きな唐揚げにしよう」

(*^ω^)「……親父にしては、気がきくではないか」

( ФωФ)「何なのその言い方……。では、失礼します」

ξ゚ー゚)ξ「はい。また明日ね、ブーン君」

( ^ω^)「俺と会えるのを楽しみにしているがいい」

 カラカラ ピシャン

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 21:04:22.33 ID:e+ze5D2JO

ξ゚ー゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ξ-⊿-)ξ(――杉浦ロマネスクさん。ブーン君の、本当のお父さんじゃ、ない)

ξ-⊿-)ξ(ブーン君のあの振る舞いは、強がりなのかな)

ξ-⊿-)ξ(赤ちゃんの頃に御両親を亡くして……寂しいのかもしれない)

ξ-⊿-)ξ(それでも、捻くれずに、いい子に育ってる。……ちょっと変な子だけど)

ξ-⊿-)ξ(きっと、杉浦さんの育て方が良かったのね)

ξ-⊿-)ξ(私も、ブーン君が優しいまま育ってくれるよう、頑張らなきゃ)




(*ФωФ)⊃⊂(*^ω^)





42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 21:13:52.87 ID:e+ze5D2JO

 ワーワー キャーキャー

川 ゚ -゚)「……」キィ、キィ

( ^ω^)「むっ、珍しくブランコが空いているな」

川 ゚ -゚)「!」

(´・ω・`)「あ……」

( ^ω^)「どうしたショボン」

(´・ω・`)「クーちゃんだ」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「……そっか、だからブランコあいてるんだ……」

( ^ω^)「何故クーがいるとブランコが空くのだ」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「……えっと」



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 21:17:02.34 ID:e+ze5D2JO

川 ゚ -゚)「……」スクッ

 タタタタタ……

( ^ω^)「……園の中に入ってしまった」

( ^Д^)「あいついなくなったぜ。やっとブランコであそべるなwwプギャーwwwww」
  _
( ゚∀゚)「だなーwwwww」

( ^ω^)「……お前ら、どういうことだ」

( ^Д^)「だってあいつ気味悪いもんwww暗くてさーwwwww」
  _
( ゚∀゚)「ちかくに寄ると、ネクラがうつるwwwww」

(´・ω・`)「……」

( ^ω^)「……」

( ^Д^)「んだよ、じっと見てwwwww」

( ^ω^)「……女々しいな」ボソッ
  _
( ゚∀゚)「あ?」



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 21:30:36.16 ID:e+ze5D2JO

( ^ω^)「たかだか無口な女に、そうも怯えるとはな」

(#^Д^)「何だって!?」

(;´・ω・`)「ぶ、ブーンくん……」

( ^ω^)「『根暗で気味悪くて恐いから』近寄らないのだろう?
       逃げてるだけではないか」

( ^ω^)「男はな、すぐ隣に恐るべき脅威が居たとしても!」

( ^ω^)「まったく動じず、そこに鎮座し、腕組み豪快に笑ってやるものだ!!」
  _
(#゚∀゚)「てめえ!!」


   「――そ、そうだ!」

( ^ω^)「!」

(;'A`)「く、クーちゃんが、おまえらに何かしたわけでもないのに、
    お、おまえら、か、かか、かってにバカにして! 男らしくないぞ!」

(#^Д^)「……こいつら、うっぜえ……」



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 21:33:39.75 ID:e+ze5D2JO

( ^ω^)「……くくく、ドクオ、見直したぞ」

(;'∀`)「へ、へへ……おれ、ブーンみたいになりたいんだ……」

( ^ω^)「良かろう。ならば――」


( ^ω^)「手始めに、奴らを懲らしめてやろうではないか。
       ――拳でな」

(;'A`)「お、おう!!」










(#::#)ω;)「何なの? ブランコから飛び蹴りするの流行ってるの?」

(##)A;)「痛いよう……」

(;´・ω・`)「きみたちってヤツは……」



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 21:43:12.86 ID:e+ze5D2JO

川 ; -;)

ξ゚⊿゚)ξ「みんな、クーちゃんとあんまりお話ししないから、
      クーちゃんのこと、よく知らないだけなのよ。
      クーちゃんが悪いんじゃないからね?」

川 ; -;)) コクン

(;´・ω・`)「せんせー! せんせー!」

川 ; -;)「!」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」

(;´・ω・`)「ブーンくんとドクオくんがケガした!」

(#::#)ω;)「これは敗北などではない。勝利への道の一部だ」

(##)A;)「わかった……」

ξ;゚⊿゚)ξ「あーあー」

川;゚ -゚) アワアワ



62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 21:51:31.13 ID:e+ze5D2JO

ξ゚⊿゚)ξ「はい、ちょっと染みるよー」

(#::#)ω;)「お前は『ちょっと』という言葉の意味を知っているのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「消毒液やってー、絆創膏貼ってー。
      はい次、ドクオ君ね」

(##)A;)「うー……しみる……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……あっ、絆創膏足りない……」

川;゚ -゚)「!」

川;゚ -゚) ゴソゴソ

川;゚ -゚)⊃[□] パッ

ξ゚⊿゚)ξ「あ、クーちゃん絆創膏持ってるの? 分けてもらっていい?」

川;゚ -゚)) コクコク

(##)A;)「ありがと……」

(#::#)ω^)「備えあれば憂い無し。褒めてやろう、クー」

川 ゚ -゚)「!」

川*゚ -゚) テレテレ

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 22:03:15.78 ID:e+ze5D2JO

ξ゚⊿゚)ξ「で、今度は何があったの? ドクオ君まで怪我して……」

(´・ω・`)「ブーンくんたちね、クーちゃんを悪く言ったプギャーくんたちと
      ケンカしたの」

川 ゚ -゚)「!!」

ξ゚⊿゚)ξ「……あら」

(#::#)ω^)「あやつらの心根の腐った言葉と笑い声が耳障りだっただけだ」

(##)A`)「ブーン、すごく怒ってたよ」

ξ゚ー゚)ξ「……そう。かっこいいね、2人共」

川 ゚ -゚)「……」クイクイ

(#::#)ω^)「何だ」

川 ゚ -゚)「……ぁ」

川*; -;)「ぁ、ありがとう……」

(#::#)ω^)「別にお前のためにしたわけではないわ」

ξ゚⊿゚)ξ「こーら」

(#::#)ω^)「……どういたしまして」


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 22:12:56.86 ID:e+ze5D2JO

(##)A`)「クーちゃん、いっしょにあそぼう」

川*ぅ -;)) コクコクコクコク

(´・ω・`)「なにしてあそぶ? おそとに行く?」

川*゚ -゚)「ん、んと、えっと……」チラチラ

(##)A`)「ブロック?」

川;*゚ -゚)「ぶ、ブーンくんたちがあそびたいやつでいい……」

(#::#)ω^)「……あの馬鹿共のせいで体が痛む。
        外で駆け回るのは遠慮したいな。
        ――室内で、"神々の創造破壊遊戯(ブロック遊び)"でも、するか」

川*゚ -゚)「! う、うん!」

ξ゚ー゚)ξ「……ふふ」


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 22:18:52.53 ID:e+ze5D2JO

ξ゚⊿゚)ξ「じゃ、みんな仲良く遊んでてね。
      先生はちょっとプギャー君達をシメt……叱ってくるから」

(#::#)ω^)「シメてくるって言いかけなかったか」

ξ^⊿^)ξ「ん?」

(#::#)ω^)「何でもないお!」

:(;##)A`):

:(;´・ω・`):  ガクガクガクブルブルブル

:川;゚ -゚):


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 22:29:00.57 ID:e+ze5D2JO

 ~夜~

(;ФωФ)「また最後か……すまん、ブーン」

( ^ω^)「のろまめ」

ξ゚ー゚)ξ「今日はですね、女の子をカクカクシカジカ」

(*ФωФ)「おお、えらいである!」

(*^ω^)「……ふん」





(*ФωФ)⊃⊂(*^ω^)テクテク

(*ФωФ)「我輩自慢の子であるよ、ブーン」

(*^ω^)「……おっおー」

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 22:39:38.21 ID:e+ze5D2JO

(*^ω^)「だって、ロマ、言ってたお……。
       男は強くなれって……。強くなれば、弱い人を助けられるって……。
       だから、僕、強くなりたいんだお……」

( ФωФ)(素になっておる……眠たいのであるな)

(*^ω^)「ロマは強いお。僕を助けてくれたお。
       僕、ロマみたいになるお……」

(*ФωФ)「……ははは、そうであるか」

(*^ω^)「おー……」

( ФωФ)「ブーン、おんぶしてやるである」

(*^ω^)「おんぶ……」

(*^ω( ФωФ)「よいしょ」

(*^ω( ФωФ)テクテク テクテク

(*‐ω( ФωФ)テクテク テクテク

 スヤスヤ
(*‐ω( ФωФ)テクテク テクテク

(*‐ω( ФωФ)「……実の息子ではないのに、こうも可愛いものであるか」

(*‐ω( ФωФ)「強くなるであるよ、ブーン」

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 22:52:41.95 ID:e+ze5D2JO



( ;ω;)『いたいお、いたいお』

 ――この愚図が

( ;ω;)『おーん、おーん』

 ――泣くな! うるさいったらありゃしねえ!

( ;ω;)『お、お……うー……』

 ――ったく、姉さんの子供だからって引き取るんじゃなかったよ

 ――おいガキ、お前のせいで、お前の親は死んだんだよ

 ――そのせいで俺達まで困ってんだ

 ――全部お前のせいなんだぜ

 ――わかってんのか?

( ;ω;)『ご、ごめ、なさい、お……』

 ――俺が良いって言うまで、そこで正座してろ

( ;ω;)『おーん……』



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 23:01:56.76 ID:e+ze5D2JO

  ピンポーン

 ――ちっ、誰か来たな。おとなしくしてろよ、クソガキ

( ;ω;)『うう……』

  ガチャ

  バタン! ガタッガタン
  ギャアギャア ガタガタッ

( ;ω;)『……なんだお……?』

  ドタドタ

  バン!!

( ФωФ)『……見付けた』

( ;ω;)『おっ……!?』

( ФωФ)『君がホライゾンであるな。……傷だらけではないか』

( ;ω;)『だ、だれですかお……?』

( ФωФ)『杉浦ロマネスク。……君の母親の、弟である』




91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 23:13:14.94 ID:e+ze5D2JO

( ;ω;)『ろま……?』

 ――おい、兄貴! 久々に顔見せたかと思えば、何なんだよ!

( ФωФ)『久々に顔を見たかと思えば……とんだ屑に成り下がっていたな、弟よ』

 ――姉さんの葬式にも来なかった癖に……!

( ФωФ)『我輩は親父に嫌われているからな、
       姉さんが死んだことさえ知らされなかったである。
       ――さて、ホライゾンは我輩が引き取らせてもらう』

 ――はあ?

( ФωФ)『生前から姉さんは言っていた。
       もしも自分達に何かあったら、我輩に息子を任せると。
       決してお前に渡してはならぬと。
       その「もしも」が現実になったことに気付くのが、遅れてしまったがな』

 ――今更何を――

( ФωФ)『何なら姉さんが書いた書面も見せてやるぞ。
       ……ホライゾン、おいで』

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 23:21:08.90 ID:e+ze5D2JO

( ;ω;)『お……』

 ――ふざけんじゃねえよ!!

( ФωФ)『……』

  バキィッ

( ;ω;)『おっ!?』

 ――い、ってぇ……!

( ФωФ)『兄に向かって椅子を振りかぶるか。
       とことん見損なったぞ、この阿呆が』


(#ФωФ)『……分かるか! 貴様が武器を持とうと、我輩の拳には敵わぬ!
       貴様の身勝手な我が儘が、
       我輩の、大事な甥を――否、「子供」を守る力に敵う筈がないのだ!!』



98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 23:34:18.71 ID:e+ze5D2JO



( ФωФ)⊃⊂( ^ω^)テクテク

( ФωФ)『……ホライゾン』

( ^ω^)『はいお』

( ФωФ)『姉さん……お前の母は、とても体が弱かった。
       お前を産んだことで、たしかに死んでしまう程に衰弱した』

( ФωФ)『だが、彼女は、自分の命が危ういことを知っていながらお前を産んだ』

( ФωФ)『自分の身をなげうっても、お前に、この世界を見せてやりたかったのだ』

( ФωФ)『……どちらにせよ、姉さんは長生き出来ぬ体であったからな』

( ^ω^)『……よく、わかんないですお……』

( ФωФ)『お前が産まれた「せい」で死んだのではない』

( ФωФ)『お前が産まれた「おかげで」、喜びの中に死ねたのだ』

( ФωФ)『ホライゾンは、姉さんに最大の幸せをあげたのであるよ』


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 23:44:41.37 ID:e+ze5D2JO

( ФωФ)『そして、君の父は、心がとても弱い人だった。
       妻を失って正常を保てるような人では、なかったのである』

( ФωФ)『彼が自ら命を絶ったのは、彼自身の、弱さのせいだ』

( ФωФ)『それでも、お前を道連れにはしなかった』

( ФωФ)『彼も、お前を愛していたのである。
       絶望の中にも、お前を想う気持ちはあったのだ』

( ФωФ)『だーれも、お前のせいで不幸になった者など、いないであるよ』

( ^ω^)『……』

( ФωФ)『分かったであるか?』

( ^ω^)

( ;ω^)

( ;ω;)『……はいお』



111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 23:53:51.99 ID:e+ze5D2JO

( ФωФ)『体が弱い人や、心が弱い人。
       そんな人達が、世界にはとても多い』

( ФωФ)『だから強くなるである、ホライゾン』

( ФωФ)『体も心も強ければ、弱い人を守り、助けることが出来る』

( ФωФ)『何より、自分を守れる』

( ФωФ)『いいであるか?』

( ;ω;)『……つよく、なるお……』

( ;ω;)『ぼく、つよくなるお……』

( ФωФ)『……うむ。やはり、お前は姉さんの子である』

( ФωФ)『強い心は、最初から備わっていたであるな――』
Posted at 2011/07/16 06:51:55 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブーン系小説 | パソコン/インターネット

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