2008年05月14日
傷跡・・・という方が正しいかな。
”中傷の果てに”を書いた。
この事件を思い出した理由は前述のとおりだ。
何故書いたか。
そしてなぜ、この話題を引きずるのか。
記憶の底に眠っていたこの事件に対する後悔や怒りは、9年たった今でも色褪せることなく私の中に渦巻いている。
ふとしたきっかけで、この後悔と怒りが顔を出す。まさに今回がそうだ。
加害者は涙ながらに後悔し、罪を償ったのかもしれないが、私は未だに怒りを後悔を忘れられない。
こんな事例がある。
鬱病にかかった女性がいた。
それも重度の鬱病で通常の生活を送ることも出来なくなり、長期の入院を余儀なくされた。
薬やカウンセリングの甲斐もあり、治療に5年という長い月日を必要としたが、女性の心は鬱から解き放たれていった。
鬱から解き放たれ、無邪気に笑うことが出来るようになった女性は、両手に花束を抱えて病院をあとにした直後にマンションの屋上から飛び降り自殺をした。
私は、当時寝る間も惜しんで鈴音ちゃんのケアに取り組んだ。
家に帰るとPCを立ち上げメールをチェックする。
Yahoo!メッセンジャーを立ち上げ、話しかける。
1度会話が始まると、3時4時まで話し込むこともざらにあった。
身も心もボロボロになった。
それでも多感な16歳の少女はもっと辛いだろう・・・そう思って励まし続けた。
他愛もない雑談が出来るようになった頃、最後のメールが届き、彼女は自室で首をつった。
知ってる?鬱病患者は自殺しないんだよ。
自殺を考える余裕もない・・・だから、死なない。
自殺の危険性が高まるのは、鬱がある程度直り、考える余裕が出来た時なんだ。
私は、必死で彼女をケアし、結果、自殺する勇気を与えてしまったのかもしれないんだ。
その苦悩、理解してもらおうとは思わない。思わないが、誰にも言わずに心にしまっておけるほど、私の心は強くも大きくも無い。
当時のことを思い出し、かき乱されている。
おなかのあたりに当時の怒りがマグマのようにたまり、平静でいられない。
普段ならスルーすることがスルーできない。
9年も昔のことが、これほどまでに自分を苦しめるとは思わなかったよ。
ずっと、忘れていたのになぁ・・・。
ネット関係で自殺なんてありふれてるのに、どうして今回に限ってこんな強烈に思い出したのかなぁ・・・?
Posted at 2008/05/14 12:33:12 | |
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中傷の果てに | 日記
2008年05月07日
登場人物の急増、警察の介入、逮捕等・・・この先、事態が複雑化。
つたない文章力では書ききれない事も多く、まとめようにも最終的には文庫化できてしまいそうな分量。
ついでに、知りたいって人もいるのかわからないし、でも中途半端もアレなのでまとめてみたり。
今回、”中傷の果てに”シリーズを書いた理由は、最初に述べたように別サイトで御世話になっている方が過去に体験した事例を読んで、私自身の過去の記憶が掘り起こされたため。
そして、無責任な中傷が何を引き起こすのか、知ってもらいたいという思いから。
実際の所、このシリーズを読んで何かを感じたという人は、きっと過去現在未来を通じて無責任な誹謗中傷などしない人でしょう。
誹謗中傷、侮辱、そういった行為の愚かさを知らない・・・言い換えれば、私の体験した悔しさ、悲しさ、怒りを知ってもらい人たちには、感動を与えられないだろうなあ、という思いが手を鈍らせる。
ネットでは相手のほんの一面しか見えない。
ブログで馬鹿なことを書く人がいる。その記事自体は恥知らずとしか言いようのない愚劣、卑劣な内容だったとする。
でもソレを見てその人を全否定してはいけないんだ。
最低な事を書いていても、ソレは一面にすぎない。
恋人や配偶者がいるなら、愛されるだけの側面も持っているはず、友人が多いのなら、慕われる何かを持っている。
もし仮に、私が上記の人に非難、批判を書き込むのであれば、そういった見えない部分を尊重し、相手の尊厳を傷つけない書き方を心がける。
ネットとか現実とかの区別はない。
良く知らない相手と付き合う際、最大限相手の尊厳を守ってあげること。これは、当然のマナーだろう。
残念ながらネットでは、こういったマナーが守られているようには思わない。
傍若無人な振る舞いが、多くの人を死に追いやっている現実を知らない人が多すぎる。
言葉には人を殺す力がある事を知ってほしい。
癒す力は殺す力に比べてあまりにも無力だ。
私は当時、相談をしてきた人の心に響く言葉を探し、使ってきた。
ついたあだ名が”言葉の魔術師”。
言葉という魔法で、多くの人の感謝を得た。
あなたの言葉が救いになりました・・・こんな感謝をたくさんの人にもらった。
でも・・・。
殺す力には、まったく歯がたたなかった。
後日、鈴音の死を知ったA男は激しく後悔し、パソコンにさわれなくなったという。
警察に逮捕状を突きつけられたとき、出た言葉は「ありがとうございます」。
さらに鈴音の母宛に、数十通に及ぶ謝罪文を送った。
逮捕前、A男は後悔や恐怖で発狂しかけていたらしい。
逮捕され、お前は殺人犯だと突きつけられ、逆に救われたのかもしれない。
A男にも、良心があったということか。
A男は、自分になびかない鈴音に憤慨し、最低の女だと自分の中で断じ、誹謗中傷に走った。
侮辱、中傷をしている最中は、鈴音は誹謗中傷を受けて当然だ、自分にはその権利があると信じて疑わなかったであろう。
鈴音とA男のやりとり自体は私は知らない。
鈴音はA男を激昂させるだけの何かを言ったのかもしれない。
A男は、鈴音が死んだ直後から、自らの行いの愚かさに気がつく。自分の言葉が人を殺したという事実が重くのしかかる。
しかし、その反面で”法的な罪”なのかどうかがわからず悩む事になる。
強い罪悪感と後悔、自分の行為が罪なのか罪じゃないのかがわからない苦悩・・・それがA男を苦しめ続けた。
警察に逮捕されることで、他人に罪を償えといわれる事で苦悩から解放された、ありがとうという言葉はそこからでたのだろう。
誰宛にこのブログを書いてきたのか・・・わかってもらえるだろうか?
人をけなす言葉には、人を殺すだけの力を秘めている事を知ってもらいたい。
もし、本当に死なせてしまったら、その罪悪感、後悔、死の重さは半端ではないよ?
・・・と言いつつも。
私の言いたいことを理解できる人は、そもそも誹謗中傷なんてしないんだよなぁ。
Posted at 2008/05/07 12:02:23 | |
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中傷の果てに | 日記
2008年05月03日
翌日、翌々日とメールを送ったが、返事はなかった。
なにか、理由があって返信を拒否しているのかもしれない・・・そう思い、メールを送るのをやめた。
***「鈴音死んだよ」
信じたくなかった。
私を信じられなくなっただけかもしれない。それなら、いい。
数日後、メールが届いた。鈴音からだった。
慌ててメールをひらく。
送信者:鈴音
件名:失礼いたします。
宇宙皇子 様
鈴音の母です。
昨日、初めて鈴音のメールを見て宇宙皇子様の存在に気が付きました。
お気づきのとおり、鈴音は○月×日、この世と別れを告げました。
生前は宇宙皇子様に大変お世話になった様で、最後の最後まで鈴音のために尽力いただき、まことにありがとうございました。
鈴音も苦しい中、信じられる人が一人でもいた事は大変な救いになっていたと思います。
鈴音のメールを整理していて、何故あの子が死を選んだのか、ようやく理解出来ました。
母としてA男を許すわけには参りません。もうしばらく、御助力お願いで来ますでしょうか?
鈴音を死に追いやったあの男が憎くてたまらないのです。なんとしてでも捕まえて、罪を償わせたいと思っております。
また、勝手なお願いで申し訳無いのですが、鈴音に線香のひとつでも上げていただけると大変ありがたいのですが。
**県***********
TEL:***-***-****
もし、来られる距離であれば、是非お越しください。
鈴音もきっと、会いたいと思っていたはずです。
鈴音は本当に死んでいた。
私に送った最後のメールは、死の間際に鈴音が書いた、生きたかった・・・そんな意味のメールだったんだ。
ずっと、一方通行の付き合いを続けてきた自分を呪った。
彼女への連絡手段を私が持っていれば・・・こんな事にはならなかったかもしれない。
後日、お伺いする事を電話で連絡した。電話の先で、鈴音の母は泣いていた。
A男、私はお前を許さない。
Posted at 2008/05/03 13:08:52 | |
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中傷の果てに | パソコン/インターネット
2008年05月01日
鈴音がHPに来なくなった。
チャットにも掲示板にも来ていないようだ。
メールもあれ以来、ぱたりとやんだ。
常連1「最近、鈴音ちゃん来ないね?」
皇子「来ないねぇ」
常連2「今日で17歳のはずだから、なにかお祝いしてあげたかったんだけどなー。」
皇子「あ、今日だっけ?」
常連1「あー、忘れてたな?皇子に忘れられてたって知ったら、きっと凹むよ?(笑)」
皇子「もし来たら、今のことは内密に・・・って、メールだ。あれ?このアドレス・・・。」
件名:もしかして、知らないの?
まだ終わってないよ。
いや、ある意味おわってしまったのだけど。
http://www.**********************
以前、A男のHPを教えてくれた謎のフリーメールだ。
再び指定されたアドレスに行ってみると、A男の掲示板だった。
HPは削除されたものの掲示板は別のサーバーから借りていたらしく、消されていなかったのだ。
吐き気がするほどの誹謗中傷、侮辱・・・罵詈雑言の嵐が未だに吹き荒れていた。
しかし、どうも様子が変だ。何があったのかわからないが、掲示坂内で仲間割れのようになっている。
状況を把握するため、最後に見たあたりまで遡ってみた。
鈴音に対する侮辱や悪態・・・その書き込みに気分を悪くしながらも読み進めていくと、ソレはあった。
***「鈴音死んだよ。お前らが殺したんだ。」
・・・おい、嘘だろ?
掲示板の書き込みのあと、しばらく書き込みがなかった。
半日ほどあいて、
***「ソース出せよ。嘘なら最悪だぞ、それ」
***「死んだの?せいせいしたよ。」
***「せいせいしたって、鈴音があなたに何をしたって言うの?もし本当に死んだんだったら、あまりに不謹慎じゃない?」
***「本当に死んだよ。今朝、母親から学校に連絡があって、それを担任に教えてもらったから間違いない。お前ら殺人鬼だ。」
10日ほど前の書き込みだった。
頭が真っ白になった。
死んだ?なんで?
メールで会うんだって・・・会って頭撫でてもらうんだって・・・。
最後のメールを読み返してみる。
そして、ハタと気がついた・・・。
>御世話になりました。
>心の支えでした。
>思ってました。
>ありがとうございました。
>生きてこれました。
全部、過去形で書いてある。
もしや、このとき既に、死を覚悟していた?
そんな馬鹿な!?そんな馬鹿なことがあってたまるかよ!!
慌ててメールを書く。
「鈴音!!大丈夫!?」
なんだかだいぶ長いメールを書いた記憶があるが、良く覚えていない。
彼女からの返信は、無かった。
Posted at 2008/05/01 11:41:37 | |
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中傷の果てに | 日記
2008年04月30日
あれから1週間、HP削除前と比べるとずいぶんと穏やかな日が過ぎた。
鈴音は、私のHPに設置していたチャットにチラチラと顔を出していたようだが、タイミングが合わずに話せずにいた。
ある日、鈴音から久しぶりにメールが届いた。
「宇宙皇子様
先日は大変御世話になりました。
すっごく大変な日々でした。友達しか知らないような話まで流れてて、誰も信用できなくて。
会うと心配してくれるのに、でもその中の誰かは裏で酷いことをあそこに書いているわけで・・・。
苦しくて苦しくて・・・そんな中で宇宙皇子さんのメールは心の支えでした。
いつか会ってみたいなぁって、ずっと思ってました。
もし会ったら、よく頑張ったって褒めてもらうんです。頭を撫でてもらうんです。
そして・・・(テレ
す、すいません、ろくでもない妄想を書きました(汗
本当にありがとうございました。
宇宙皇子さんのおかげで今まで生きてこれました。
このご恩は忘れません。
いつか、お返しできたらいいな。
ではでは。
PS
声、格好良かったですよ♪」
>もし会ったら、よく頑張ったって褒めてもらうんです。頭を撫でてもらうんです。
>そして・・・(テレ
>す、すいません、ろくでもない妄想を書きました(汗
・・・中略・・・
>PS
>声、格好良かったですよ♪
女子高生からです。
以前に写真をもらっていたのだが、これがまた可愛い。
その可愛い女子高生からこんな・・・うかれてしまい、非常に大事な点を見逃していた。
>御世話になりました。
>心の支えでした。
>思ってました。
>ありがとうございました。
>生きてこれました。
本当に注目すべきはここだった。
私は、間抜けにも上記のお世辞部分ばかり見て、この文の不自然さに全く気がつくことができなかった。
Posted at 2008/04/30 09:47:23 | |
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中傷の果てに | 日記