2011年04月26日
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:21:11.17 ID:RGrk/2Z70
二週間前に今の家に引っ越してきたんだが
その前の家であった少し怖い話を聞いて下さい。
※グロ記述あり、閲覧注意
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:22:51.76 ID:RGrk/2Z70
夜中の3時過ぎに、マンションのドアにそなえつけの郵便うけが
パカっと開くんですよ。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:23:21.14 ID:RGrk/2Z70
開いたまま、閉じる音がなく、シーンと静まり返って
忘れた頃にパタンと閉じるんです。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 17:23:59.27 ID:b35RxzsZ0
郵便受けの裏にシューマイがくっついてたのか
かなり怖いな
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:24:19.80 ID:RGrk/2Z70
新聞受けのカバーがついてるから、こっちらからは空いたままなのか確認出来な
いんだけど
一時間後とかにパタン、ってなる。これがパターン。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:27:42.78 ID:BFjuaowm0
>一時間後とかにパタン、ってなる。これがパターン。
これは笑いどころですか?
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:23:33.40 ID:V4fYGp8N0
新聞とちがうのん
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:23:59.87 ID:crLpxgSz0
自分で寝ぼけて閉じてるんだろ
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:25:12.44 ID:RGrk/2Z70
>>10
>>12
いや、違うんだ。
新聞配達は足音がうるさいくらいに足音を立てて歩いてくるんだけど、そいつは
無音。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:26:12.38 ID:ha7UfJUE0
きっと郵便受けの中でドライバーが踊ってるんだろ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 17:26:15.93 ID:0Dn59C3P0
ドアの内側に郵便物受けついてないの?
あれ付いてれば中見えないじゃん
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:27:18.76 ID:RGrk/2Z70
>>17
ナイスタイミング。まさにその通り。
だから油断していた。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:26:17.65 ID:RGrk/2Z70
友人にネタ的に話して「こえー」って騒いだりすることはあっても、深くは追求
しなかったんだ。
新聞受けのカバーがあるから、直接室内は見えないだろうしって。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:26:59.47 ID:rMb0j+YQ0
で、結局なんかあったの?他に
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:27:50.18 ID:RGrk/2Z70
>>20
あった。あったから引っ越した。
順番に書いていくからちょっと待ってくれ。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:29:21.73 ID:RGrk/2Z70
名前をど忘れしてしまったんだが、ピンポン押されると、ドアの外側が表示され
るミニモニターあるよな。
前の部屋は古いマンションで、後から自分でつけたんだ。
見たいときにボタンを押せば外の様子が表示されるタイプのやつ。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:30:31.03 ID:RGrk/2Z70
そいつは忘れた頃に不定期でやってくるんだけど
郵便受けに近いドアスコープは怖くて見られないチキンな俺はひらめいた。
これで確認すればいいんじゃん、と。
それが間違いだった。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:31:40.75 ID:RGrk/2Z70
いつも通り動画サイトを見ながら夜を過ごしていると、耳に届いた
パカっという音。
きた!
足音を忍ばせてリビングに行くと、モニターのスイッチを入れた。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:33:04.49 ID:RGrk/2Z70
あれって、視野が狭いじゃん。
しゃがんでいる人の姿なんか見えるわけがないんだ。
だから、何も映らないだろうという期待半分だったんだが、映ってた。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 17:33:26.86 ID:b35RxzsZ0
,-'"ヽ
/ i、 /ニYニヽ _/\/\/\/|
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{ ノ "' ゝ /( ゜ )( ゜ )ヽ \
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/ "' ゝ /::::⌒`´⌒::::\ < ピカチュー!
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i' /、 ,i..
い _/ `-、.,, 、_ i
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(,,/ , ' _,,-'" i ヾi__,,,...--t'" ,|
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'i,`'i、 _..、 ,..、 ,-┘~ヽ
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`ー、ノ ~`ヽ,,_,.ノ `ー、 ..,,_,,,,、、ノ.
!,,,、!
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:33:54.17 ID:RGrk/2Z70
手を思いっきり伸ばした状態で、モニターのカメラのところを爪先でさするよう
に引っかいている指先が。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:34:47.00 ID:NxuldwFD0
ガクブルとwktk
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:36:01.11 ID:RGrk/2Z70
は?これどういう状態だ?
疑問を抱くと同時に、鳥肌が立った。
無意味に玄関とベランダを交互に振り返って、鍵がしまっているのを確認すると
、モニターに向き直る。
優しく優しくそーっと、モニターを撫でる手だけが延々と映っている。
早く疲れて手を下ろしてくれと思いつつ、モニターを見ては怖くて視線を逸らし
てを繰り返した。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:37:29.93 ID:mcSBRBgfO
心臓がbkbkしてきた
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:38:50.50 ID:RGrk/2Z70
そして、俺はミスを犯した。
このモニター、映像を消すとき、室内で「ピッ」って音がするんだ。
昼間でも結構響くんだけど、夜中ならなおさら。
モニターのスイッチを押し続けないと、一分でモニターが消えてしまうんだが
緊張のあまり、気付いたら手がスイッチからずれていた。
ピ。
そのささやかな音が鳴り響くと同時に・・・
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:40:15.90 ID:RGrk/2Z70
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン・・・・
狂ったかのように連打される呼び鈴。
鳴らすと勝手にモニターがついてしまうんだが、鳴らす人の姿はみえず、指だけ
が映っている状態。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:40:19.68 ID:yiRnpinPO
同時に・・・!?
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:40:48.02 ID:mcSBRBgfO
やっぱり怖い話するなら夏より冬ですよ
夏より冬
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:41:49.89 ID:kAaooME20
こえええええええええええ
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:42:05.59 ID:RGrk/2Z70
文字でみると大したことないんだと思う。
だが、俺は腰を抜かした。
マジで怖かったんだ。
モニターの前で腰を抜かしていると、今度は呼び鈴のところを
バンバン叩く手のひらが映った。
それが激しい叩き方じゃなくて、手首を固定した状態で手首から先だけをしなら
せるような叩き方で。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:43:04.39 ID:90qx8XOE0
マドハンドさんじゃないっすかwwwww
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:43:25.82 ID:/OqJV6670
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| /| ガチャ
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|-/`-イ────────-イ |
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| '`-イ /⌒ 三⌒\ | 遊びに来たお!
| ヽ ノ /( ●)三(●)\ |
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+ + ☆ガ
チャ
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+
|_____________/| /⌒i|__|i⌒i、
| / | | | く ン
冫 +
|. | \ \ .| ____/  ̄ /)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \  ̄ | )/)γヽ +
\ |____ )/ ̄__
ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄  ̄
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:43:57.95 ID:/m3am+2Z0
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| '`-イ /⌒ 三⌒\ |
| ヽ ノ /( ○)三(○)\ |
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74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:45:50.23 ID:RGrk/2Z70
どれくらい続いたか、恐怖が限界に達した俺は、そっと限界に向かうと
玄関すぐ手前にある風呂場に半身を隠して、顔だけドアに向けて怒鳴った。
「警察呼ぶぞ!」
「…え?なんで?」
答えが返ってきた!
女の声だった。なんつーか、細くて高くて、いっそ無邪気なくらいにとぼけた声
だった。
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:46:19.11 ID:f692ypK70
なんかリアルに怖いな
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:48:31.98 ID:RGrk/2Z70
ああいうときって、不思議と女の声が怖いんだよな。ホラー映画の影響なのか。
俺はもう一度怒鳴った。「警察呼ぶからな!」
「…呼んじゃうの?」
シンと静まりかえるドアの外。
何事だ、なにか起こるのか、起こるんだよな、起こらないで下さい!
恐怖に混乱ていると
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:50:44.20 ID:RGrk/2Z70
新聞受けが鳴った。
パタン。
しばらく動けずにいたんだが、動けるようになって、まずモニターのスイッチを
いれた。
何も映ってない。大丈夫だ。
なんとなくその日は眠れないまま、朝を迎えた。
そして、出勤しようと玄関に向かうと、新聞受けからはみだすものが。
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:53:00.85 ID:RGrk/2Z70
髪の毛だった。
郵便受けを開くと、束ねられてもいない長い髪が大量に放り込まれていた。
お前髪の毛全部切ったのか、ってくらいの量でハンパなく不気味だった。
郵便受けにとぐろ巻いているそれをどうすることもできず、どうしたらいいのか
もわからず
考えるのは帰宅してからにしようと、とにかく出勤した。
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:53:28.14 ID:f692ypK70
ストーカーか
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:55:31.65 ID:RGrk/2Z70
帰宅したら郵便受けにとぐろ。
そう思うと、帰るのがためらわれて、直帰せず同僚と飲みに行った。
飲みに行って時間が遅くなると、ますます帰るのが怖くなる。
ハチあわせたどうしようと。
ドアの向こうの奴は、毎日来るなんてことはなかったからそんな心配はいらない
はずなんだが
昨夜のことも今朝の髪の毛も怖くて結局同僚宅に転がり込んだ。
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:58:49.14 ID:RGrk/2Z70
で、同僚宅で安心して眠っていたんだ。
そしたら、そしたらだ。
翌朝、俺と違って新聞をとっている同僚が、新聞受けを開いて声を上げた。
嫌な予感がして見に行くと、髪の毛が入ってたんだ。
前日のような大量の髪の毛じゃなくて、もっと短くてパラパラしたようなのが。
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:02:35.03 ID:/m3am+2Z0
>>1
その女の名前RIKAだろ!!111
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:02:44.39 ID:RGrk/2Z70
つけられたんだと思った。
どこからどこまでを見られたのか、考えれば考えるほど焦った。怖かった。
逃げ場が無い気がした。
とりあえず、新聞と髪の毛をごみに出して同僚と出勤した。
つけられてるかもと思うと、つい後ろを振り返ってしまう。
誰かいたら怖いが、見ずにはいられなかった。しかし、妖しい人影はない。
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:07:14.53 ID:RGrk/2Z70
仕事が終わり、帰宅するのは嫌だったが、三日も着替えないのはさすがにやばい
。
同僚に来てくれと懇願したが、怖いからいやだと断られた。
一人で帰るのは怖く、普段は寄り付かない実家に電話をしながら部屋に戻った。
部屋の周りに人影は無い。
戸締りをしっかりして、カーテンをしめて、念のためベッドの下とか浴室とか
人が隠れられそうなとろこはチェックして、部屋の隅に座ってTVを見て過ごした
。
その晩は何も起こらなかった。
でも、起こらなかったのはその晩であって、その前に起こっていた。
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:10:09.92 ID:RGrk/2Z70
出勤間際、髪の毛の件を思い出して、なんとなく新聞受けを開いた。
入ってた。
ゴキブリの死骸とツナ缶?みたいなやつがぐちゃぐちゃに混ぜられた何かが。
思わず手を離してしまうと、それが玄関に緩やかに落ちた。
ベチャっていうんじゃなくて、ベーチャーって感じの落ち方。
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:14:14.95 ID:RGrk/2Z70
マジ無理。
ゴキブリ嫌いだがなんとか始末していると、突然玄関がすげえ音を立てて蹴られ
た。
その日起こったのはそれだけ。
なんかとにかく異様な感じがして警察にも行ったが
男対女なんだよね。危険もないから、戸締りをしっかりして、また何か起こった
らおいで、といわれた。
警察氏ねと思った。
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:17:01.23 ID:ha7UfJUE0
男対女でも女が包丁持ってたら危険じゃないか
あいかわらず警察は仕事しないな
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:13:41.20 ID:ozASAOLd0
>>1のために頑張ってゴキブリ捕まえたんだよ
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:14:26.03 ID:4f0huqYn0
>>127
すると犯人は猫の精…
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:18:19.33 ID:RGrk/2Z70
その日の夜中。
パカっという音に身構える。
そして、カラン、カラン、と小さな音が続く。
今度は何を入れてるんだよ、と震えていると、郵便受けの隙間から零れ落ちてき
た。
錠剤。
郵便受けにひたすら錠剤が落とされていく。
郵便受けから溢れるくらいの量ってどんなだよ。
どこで調達したんだよ、と思いつつ、中にいるのがバレてるならと、モニターの
スイッチを入れた。
映った。人が。
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:20:39.24 ID:RGrk/2Z70
カメラの前で大口を開いている顔。
べーっと伸ばした舌の上に錠剤を乗せて、舌を口にしまうと
あめを転がす口の動きを大げさにやって、またベーっと舌を出す。
それを指でつまむと、手を下に下ろす。
手を下に下ろしたとき、郵便受けに口から出した錠剤を突っ込んでいるらしい。
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:25:32.43 ID:RGrk/2Z70
髪の毛がざんばらな女が、モニターの前で延々それを繰り返している。
もうやめてくれ。
心の中で念仏を唱えた。
ようやくその動きを止めたかと思うと、今度はカメラに違う光景がが映った。
額?頭?を押し付けた状態で、カメラじーっと見て、左右に頭をゆっくりゆっく
り左右に振る様子。
正直見ていると思ったのは勘違いかも知れないけど、なんかそんな様子だったん
だ。
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:28:48.65 ID:RGrk/2Z70
この女なんなんだ、一体なんの恨みがあってこんなことやってるんだ。
その日はそれで終わり。
そして、翌日またやってきた。
夜中の三時に呼び鈴の音。「すいません、留守中荷物をお預かりしまして」とい
う声。
帽子を目深にかぶっていてもわかる、ざんばらな髪。
応答せずにいると「これなんですが、ここにおいて置きますね」とモニターに映
し出された。
子ぬこ。
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 18:30:25.88 ID:5q7wZOvC0
>>151
これはすぐさま取りにいくしかなかろうに・・・
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:31:52.11 ID:RGrk/2Z70
ぬこ?なんだ?
状況を理解できずにいると、子ぬこの胴体をガッチリつかんで、頭部をもう片手
でつかむ。
モニターに押し付けた。
鳴き声はなかった。最初から死んでいたのかも知れない。
その日はそれだけ。
翌朝ドアをあけると、ぐちゃぐちゃな子ぬこらしき死骸があった。
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 18:32:43.18 ID:yMiq2ySu0
これは逮捕
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:35:16.11 ID:RGrk/2Z70
わけがわからなくて、涙が出てきた。
もう無理だ、このままだと頭がおかしくなる。
子ぬこは元々死んでいたのを見つけたきたのか、このためにあの女が殺したのか
とか
ゴキブリぬこときて、次はなんなんだとか、考えてしまい、仕事が手につかなか
った。
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:35:58.53 ID:90qx8XOE0
>>168
次はおまえ
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:40:42.49 ID:RGrk/2Z70
帰り道、もう一度警察に寄った。
だけど、あいつら本当にクソなのな。全然真面目に対応してくれねーの。
人間が殺されなきゃ動かないのか?
部屋に着くと、異様なドアが目に付いた。
ドアに大きな○が赤いもの書いてあって、その中に縦書きで俺の名字が書いてあ
る。
印鑑を想像してくれたらわかりやすいと思う。
意味がわからないが、普通じゃないことだけは確かだ。
周りを見回して、人がいないのを確認すると、素早く部屋に入って、鍵をしめた
。
なにかがおかしかった。
郵便受けに、ぬこの足が入っていた。
びっちりと。何十本のぬこの足。
即効警察に電話した。
199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:46:24.87 ID:iDbIgEr70
いくらネタスレで釣りスレだからって猫をころすんじゃねえ!!!
201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:47:05.89 ID:RGrk/2Z70
やってきた警察は、「異常ですね」といい、今夜見回りを強化するといってくれ
た。
その晩、玄関は無事だった。
ただ、ベランダ側に、ぬこの死骸を投げ入れられた以外は。
翌日は休日ということもあって、速攻不動産屋に行った。
即入居可の物件に目安をつけて、一日も早く引っ越したいという旨を伝えた。
引っ越せば解放される。
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:52:34.16 ID:RGrk/2Z70
それから数日、ピタっと異常事態は止まった。
飽きたのか。
いや、飽きてなかった。
仕事から帰り、自宅玄関のドアノブを握った。
手にむずむずする感触が走る。
神経質になっていた俺は、ドアノブをよくよく見た。髪の毛があった。
リボン結びってやつ?靴紐の結び方にされた長い髪の毛が一本。ゾワっとした。
213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:52:59.13 ID:SEBr/eeP0
女と1は知り合いじゃないんだよね?
なんなんだ女は?
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:55:05.50 ID:90qx8XOE0
女に気づかれてしまったのが原因?
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:55:48.65 ID:RGrk/2Z70
家の中に入らなければと思った。
家の中なら俺に直接なにかをされることはないから。
ドアをひねるが、開かない。
なんで開かないのか分からず立ち尽くした。
もう一度ひねるが開かない。
もしやと思い、鍵を差し込み、回した。
回った。鍵が開く方向に。
鍵はさっき開けた。だから、手にキーケースがあるんだ。なのになぜだ。
鍵が開いていたということなのか?
228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:57:54.46 ID:Js9m7ZUK0
玄関の前に誰かいる気がしてきた
232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:58:40.65 ID:3dyNuhbN0
外出るのもピザとるのも怖くなってきた
腹減ってんのにどうしてくれんだよ…
233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 18:59:11.68 ID:5q7wZOvC0
>>232
ピザは黙ってろよ
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:01:18.36 ID:RGrk/2Z70
怖いものみたさってやつなのか、逃げればいいのにドアを開けてしまった。
家の中から水の音がする。
水を張ったところに一滴ずつおとす音って分かるかな。ぽた、ぽた、っていうあ
れ。
風呂場から、脱衣所から、流し台から、静まり返った家の中にその音が響く。
廊下の電気をつけたが、誰もいない。
携帯を握り締めて部屋に入ると、テーブルにコンビニの焼肉弁当があった。
239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:02:20.93 ID:pDuXdWRc0
焼wwwwwwww肉www弁www当wwwwwwwwwwww
勝手に入ってくつろいでるええええええええええええ
241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:03:04.69 ID:8V+QP/CZ0
>>238
微妙にwwwwwwww豪華wwwwwwwwwwクソワロスwwwwwwww
wwwwwwwwwwww
246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:03:56.65 ID:XJa83+tA0
晩飯買っといてくれたのか
萌えた
250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19:04:37.58 ID:yMiq2ySu0
焼肉悔いてええええええええええええええええええええええええええええ恵ええ
ええええええええええええええええええええ
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:05:16.99 ID:JCxhsHsg0
んで、何の肉だったんだ?
その焼肉弁当...
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:06:56.11 ID:RGrk/2Z70
よくよくみると、弁当とまざって、ゴキブリが数匹。
触覚なのか髪の毛なのか分からないものが、蓋からはみ出している。
異常事態はそれだけじゃなかった。
冷蔵庫が開いていた。
恐る恐る覗くと、酒ばかりの冷蔵庫のドアに、500mlのペットボトルが三本立てら
れていた。
ラベルはボル○ィック。中身は、薄く色づいた液体。
水で薄めた血みたいな色(警察によると一人ではなく、二人の血液らしい)。
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:08:06.74 ID:XJa83+tA0
>>257
うわあああああああああああああああああああああああ
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19:07:15.90 ID:jM5yeKXY0
_____________
| /| ガチャ
| /⌒i / |
|-/`-イ────────-イ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_____________
|__/⌒i__________/|
| '`-イ ./⌒ 三⌒\ | 今北産業だお!
| ヽ ノ /( ●)三(●)\ |
| ,| /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ |
264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:09:38.25 ID:90qx8XOE0
>>258
おまえは
確実に
今北ではない
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:09:41.78 ID:nt5yeJx/O
作り話だと言ってくれ…一人暮らし一年目のゆとりには耐えられん…
266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:11:13.47 ID:RGrk/2Z70
部屋から飛び出して即効警察に電話した。
前回の件もあって、すぐに来てくれた。
部屋を調べていた警察に、緊張した声で呼ばれた。
布団をめくられたベッドのシーツの表面に、びっしりさされた画鋲。
本当にびっしり。何百?何千?ってくらいの量。
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:09:28.62 ID:y/lxitfyO
ああぁ怖い!
親戚の葬式で家族明日まで帰らないんだぞ!一人なんだぞ!!
怖すぐる…
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:11:54.37 ID:/fl0Ijus0
>>262
大丈夫だ、亡くなった親戚が影から守ってくれる
270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:12:11.07 ID:90qx8XOE0
>>267
余計こわいじゃねぇかwwwww
286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:15:05.14 ID:RGrk/2Z70
後で分かったことだけど、枕の中身もびっしり画鋲。
ベランダの洗濯を干すやつには、洗濯バサミ一つ一つに髪の毛がリボン結びされ
ていて
汚れた女性の下着が干されていた。
ここにいたら危ないから、知り合いの家に泊めてもらいなさいといわれ
実家は遠いから同僚の家に頭を下げて泊めてもらった。
298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:20:27.42 ID:RGrk/2Z70
それからは着替えなどを取りに行く以外、引越し準備まで帰宅しなかった。
業者に頼んで引越しの荷物をまとめていると、出てきた。
ベッドの下に、タンスの裏に、モニターの裏に…
家中の死角になる場所
「山田太郎(仮) 好 愛 欲 狂 死 幸 花子(仮)」
と書かれた縦長の紙が。
太郎の方が俺の名前で、花子はおそらく相手の名前。
キョンシーのお札って分かるかな。ああいう感じで、くすんだ黄色い紙に赤で書
いてあった。
302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:21:37.40 ID:92n5v+0N0
もうだめだ恐ろしすぎる
304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:22:12.61 ID:RGrk/2Z70
それが体験した全て。
オチがないのは実体験なので許してくれ。
309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:22:42.94 ID:5O8RzmsTO
こ、こぇぇ…
308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:22:42.57 ID:92n5v+0N0
乙
引っ越してから異変はないのか?
315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:23:25.85 ID:RGrk/2Z70
>>308
今のところ何も起こってない。
同僚宅も泊めてもらったあの日以外は何も起こってないらしい。
314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:23:21.55 ID:90qx8XOE0
そのお札うpしろ
323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:24:31.24 ID:RGrk/2Z70
>>314
警察に提出した。
316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:23:31.08 ID:jZU8FabJ0
ストーカー怖すぎだろ
顔見たんでしょ?どんなだった?
317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:23:33.35 ID:NtLhxxqA0
今はもう大丈夫なのか?
会社とか、ばれてそうだが。
320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:24:16.31 ID:DdR5C5Zh0
>>1
その物件には何年住んでたんだい?
328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:26:03.96 ID:RGrk/2Z70
>>316
見たけどなんとも言いがたい。
人間の顔のパーツってこんなにでかく開くもんなんだなっていうか。
>>317
同僚宅までつけられていたことを考えるとバレてるだろうが、今のところ何も起
こってない。
>>320
二年ちょっと
321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:24:19.47 ID:pDuXdWRc0
あれ?逮捕は。
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:24:28.67 ID:Hzlvpt2o0
かわいかった?
彼女にしようとおもわなかった?
こころあたりないの?
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:27:15.07 ID:RGrk/2Z70
>>321
捕まってない。
>>322
心当たりは無い。女に縁も無い。
337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:28:43.47 ID:5Z+RKDak0
>>1の年いくつ?
344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:29:43.20 ID:RGrk/2Z70
>>337
26歳、年齢=彼女いない歴
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:30:25.90 ID:5Z+RKDak0
>>344
初の女からのアタックがこれか・・・
340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:29:18.66 ID:90qx8XOE0
今度異常が起きたらすぐにスレたてしてくれよなw
342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:29:31.89 ID:3sIikH4n0
なんかごめんなさいって言ってるのが聞こえてきたりしない?
348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:30:36.69 ID:RGrk/2Z70
>>340
起こらないことを祈る。
>>342
いや、聞こえてこないが。聞こえたら怖いだろw
346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:30:10.84 ID:VzTFlH800
焼肉弁当はよく買ってたとか?
好物?
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:31:28.22 ID:RGrk/2Z70
>>346
焼肉弁当・吉○屋、松○にはお世話になっている。
350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:30:48.35 ID:RpTdXku0O
逮捕オチかと思いきや未解決とは
355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19:31:34.55 ID:0Dn59C3P0
なんでカギあけられたの?
361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:33:29.93 ID:RGrk/2Z70
>>355
警察によると、壊された形跡がないから、おそらくちゃんとカギで開けられたん
だろうって。
362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:34:00.92 ID:RGrk/2Z70
とりあえず、十分間メシ食ってくる。
すぐ戻る。
373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:38:19.01 ID:92n5v+0N0
>>362
これが>>1の最期の言葉だった……
とかやめてくれよな!
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:34:30.36 ID:ZCEOQEGI0
その女このスレ読んでたりして。
366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:35:56.93 ID:pDuXdWRc0
前に住んでたヤシの関係者かなんか
でお前にひとめぼれした…
犯人は20代~30代、もしくは40代~50代の犯行
368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:37:06.63 ID:OqRxYa/9O
>>366
年齢適当すぎwwww
374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:41:39.16 ID:h8f2nFHwO
私のプロファイリングによると犯人像は
・10代~20代、もしくは30代~40代、または50代~60代の人物
・日本人あるいは外国人の男性もしくは女性
・計画的な犯行でなければ突発的な犯行の可能性
・精神病院への通院歴がある。ただし必ずしもそうとは言えない
・無職である可能性が高いが学生もしくは何らかの職についている可能性もある
。
・単独犯もしくは複数で犯行を行っている。
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:41:56.76 ID:RGrk/2Z70
戻った。
388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:45:33.28 ID:RGrk/2Z70
>>374
つまり374が犯人の可能性もあるのか。
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:34:59.10 ID:TzUc5nFX0
名前がわかる、カギが開けられる、出勤間際にも産業できるなどから不動産屋の
線が濃い
394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:46:48.27 ID:RGrk/2Z70
>>365
不動産屋は不動産情報誌も出してる大手で、マンション自体の持ち主は老夫婦。
その縁戚関係の可能性もないとは言い切れないが。
398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:48:18.53 ID:90qx8XOE0
>>394
老夫婦が犯人だとしたら>>374のプロファイリングが外れる!
397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:48:04.81 ID:RGrk/2Z70
世の中怖いことがたくさんあるから気をつけてねってことでおk?
403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:51:09.66 ID:RGrk/2Z70
では終了。
404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 19:51:53.62 ID:8V+QP/CZ0
>>403
乙下電工!
Posted at 2011/04/26 19:38:50 | |
トラックバック(0) |
オカルト | パソコン/インターネット
2011年04月25日
1 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:13:52.64 ID:m3krzBMc0
友達三人で行ったんだけどさ、面白半分で。
明らかにおかしいやつがいたんだよ。
暇なひと聞いてくれよ。ゆっくり書くね。
5 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:16:22.14 ID:m3krzBMc0
俺らがはいったところはゴミだらけで雑誌とかペットボトルとかいっぱい落ちて
たのね。
目的は決して死体が見たいとかそういうのじゃなくて樹海独特の雰囲気を楽しみ
たかっただけなんだ。
入ってきたところに印つけて、迷わないようにズンズン森の中はいっていったん
だ。
8 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:18:19.09 ID:m3krzBMc0
でもやっぱ「樹海」ってだけあって空気が重いっていうか、所詮思い込みなんだ
ろうけど、
帰りたくなったんだよ。
そしたら友達Aが
A「おい、あれ誰?」
って太い木のほう指さしたんだよ。
11 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:20:33.00 ID:m3krzBMc0
Aは人を脅かしたりするのが好きだから、スルーしたんだけどBも
B「ちょい、ほんとにいるってwwwww」
俺「えー?」
って体曲げて木の後ろのぞいたらほんとにいた。人間。
13 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:23:38.84 ID:m3krzBMc0
なんつーか、18歳くらい?の若い男がいたんだよ。
ずっとこっち見てて、かなりビビった。
服装もなんか薄汚いっていうか、何か月も洗ってないって感じ。
四人とも固まってたんだけど、Aが
A「こんにちは~w。そっちも樹海探索?ww」って聞いたんだよ。
そしたらその男が首をゆっくり横に振ったんだ。
20 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:26:55.27 ID:m3krzBMc0
Bがちょっと後ずさりして、俺の後ろに隠れた。
A「よくここ来るんですか?なんなら一緒に歩きませんか?」
ってAが近寄ったらその男がものすごい速さで逃げた。
俺もAもBもマジでびっくりして、なにごとかと思うと、
もう少し先の太いきの影からまた俺たちのことをずっと見つめてきた。
22 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:29:51.10 ID:m3krzBMc0
B「ちょ・・・なんかおかしくない?」
俺「お、うん」
A「なんで逃げるんだろww」
俺「もうやめとこうぜ。終りにしよう」
A「あ、そうだなww」
Aがずっとにやにやしてて気持ち悪かったんだが、木の後ろにいる男のほうがずっ
と気持ち悪かった。
俺らが歩きだしたときに、後ろで物音がしたんだ。
振り返ると、さっきと同じ位置にまたそいつがいるんだよ。
27 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:33:49.96 ID:m3krzBMc0
またそいつとお見合い状態になってしまって、動くに動かなかった。
かなり怖くてもう俺おしっこ漏れそうになってた。BとAの手を引っ張ってすぐ出
口に走った。
A「なにあれマジおかしいだろwwww」
B「なにあれ?人間だよな?」
俺「いや、知らんけどもう帰ろう」
振り向かないですぐに車に向かったんだよ。
32 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:37:08.92 ID:m3krzBMc0
車に乗り込んで、すぐクーラーつけた。
俺「あれなんだ?頭おかしいだろ・・・」
B「自殺しようとしてる人じゃない?」
A「なぁ、俺もう一回見てきていい?w」
俺「やめといたほうがいいって。やっぱ冗談で来るところじゃないって」
A「幽霊じゃなかったろwww大丈夫だってww」
Aが行きたそうにしてるのを無視して、車をバックさせたら、俺達がはいってきた
茂みから、あいつが見てた。
37 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:40:14.75 ID:m3krzBMc0
A「ほらwwwwwいるってwwwwいってくるわwww」
B「おいマジで洒落にならんかr」
Bがいい終わる前に、Aが車から飛び出して、森の中に走っていった。
俺「・・・・・・・」
B「・・・・・・」
俺「ちょっと見てくるわ・・・・お前は?」
B「いくわけないじゃん」
俺「じゃあ待っててくれ。エンジン止めるぞ」
B「やっぱいきます」
俺らも小走りでAを追いかけにいった。
43 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:43:23.23 ID:m3krzBMc0
入口付近は結構森が開けてて、周囲をちゃんと見渡せた。
俺「いねぇなぁ。行方不明なんてなったらしらねーぞ・・・」
B「まぁ、さっきあいつがいた木の方向いってみようよ」
Bが先頭で、俺たちも森の中に入って行った。
50 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:46:50.85 ID:m3krzBMc0
たぶんAが追いかけたであろう道は、左右が高い斜面みたいになってて、谷みたい
な形の道になってた。
道自体横幅はひろいので、周りを見ながらAを探してた。
3分ほど歩いたところで、Bが地面に尻もちついた。
B「ちょとちょとよとt!!あいついるって!そこの木の後ろ!!」
俺も突然のことにびっくりしてたけど、確かに男が立ってた。
48 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日:
2008/07/14(
月) 19:46:05.23 ID:PKqw1uyw0
>四人とも固まってたんだけど、Aが
4人ってその汚い男含む?
67 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:50:08.23 ID:m3krzBMc0
>>48男も含めてです。
またさっきと同じ体制で、俺の目をじーっと見つめてきた。
もうなんつーか、あまりのパニックに俺も腰ぬかしそうになった。
Bはちょっと泣いてるし、逃げたらまた追いかけてくるってわかってたから、どう
しようもできなかった。
でもすぐに奥の道からAの姿が見えた。
85 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:54:03.67 ID:m3krzBMc0
A「あれwwwwwお前ら二人きてたのwww流石親友www」
って笑顔で歩いてきた。
俺「おい!そこにあいついるって!!」
A「は?俺向こうで逃げられたんだけどwwwwいるわねー・・・・」
で、Aも固まった。
108 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:57:07.54 ID:m3krzBMc0
A「・・・・・」
遠くから見えたけど、Aも顔面蒼白。
男がゆっくりAのほう向いて、またこっちに目を合わせた。
A「・・・挟みうちにしたらどうなんのかな」
ってAが呟いた。
126 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:01:22.18 ID:m3krzBMc0
俺「は?おいまてまてまて」
A「・・・・・」
Aが全力でこっち向って走ってきた。男がすぐにAのほう向いて、
若干あせってた?ように見えた。
140 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:05:25.07 ID:m3krzBMc0
無言で走ってくるAと、俺たちふたりを交互にみつめてた男が、壁に飛びついて必
死に斜面をのぼろうとしだした。
土が湿ってるかしらないけど、靴がすべってうまく上がれないみたいで、どんど
んAとの差がちじまってきた。
俺もBもただボー然と男をみることしかできなくて、口をポカーンと開けたままだ
った。
159 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:09:51.22 ID:m3krzBMc0
その男がのぼりきろうとしたところを、
Aがジャンプして足を掴んだ。
でも男何回も手を振り払って、Aの手を蹴った。
Aが思いっきり地面に体打ちつけて、Bがすぐかけよった。
104 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:56:34.59 ID:6k97i1xl0
すると樹海の木々の間から1人の男が飛び出してきて男にタックルを決めた!
寺生まれで霊感の強いTさんだった
Tさん「破ぁ!」とTさんが叫ぶと両手から放たれた光弾が男を焼き尽くした
寺生まれって凄い、改めてそう思った
109 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:57:42.86 ID:BHIlLdtmO
>>104
Tさん相変わらずカッコいいなwwwwwwwwwwwwww
110 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 19:57:45.38 ID:RkFNXTzxO
>>104
やめろwwwww
205 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:27:14.09 ID:l2J0O1x60
>>1どこいったの
212 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日:
2008/07/14(
月) 20:33:03.32 ID:666rrqtl0
まさか>>1は書き込めない状態に・・・?
215 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日:
2008/07/14(
月) 20:34:08.54 ID:PKqw1uyw0
おい
>>1大丈夫か?
おいお前らやべえぞこれは取り付かれたのかもしれん!
どうでもいいけど・・・
216 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:34:39.69 ID:f8SeJjwP0
マジで>>1やばいんじゃないの・・・?
今頃失踪してたりして・・・
219 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日:
2008/07/14(
月) 20:35:29.80 ID:GspLdrj+O
>>212
お前のIDやばくね?
221 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:36:20.15 ID:F6Z+ss4e0
>>212
ダミアン
222 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:37:11.04 ID:GLYhM3Ry0
>>212
悪魔の子乙
225 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:37:32.61 ID:JyGLnK1AO
>>212
オーメ…
お前が樹海の奴か!?破ぁ!
226 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:37:33.45 ID:f8SeJjwP0
>>212
これも樹海の呪かもしれない・・・・
怖すぎる・・・
242 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:48:27.27 ID:68Vwlsp30
急に停まったのはなんで?ww
244 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:48:54.44 ID:CaDAtYmWO
>>1はもうこの世に………………
252 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 20:56:09.77 ID:f8SeJjwP0
うひゃひゃひゃ
うひゃひゃ
うひゃhやはやひゃ
270 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 21:21:58.98 ID:mCYAldLuO
1はまだでつか(`;ω;´)
271 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 21:22:42.29 ID:f8SeJjwP0
>>270
残念だが・・・
1はもう・・・
273 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日:
2008/07/14(
月) 21:31:06.55 ID:666rrqtl0
>>1ー生きてるなら戻ってきてくれー
274 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日:
2008/07/14(
月) 21:32:07.86 ID:udXnzaWi0
逆に考えるんだ「死んでいるから戻れない」と
283 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 21:45:15.06 ID:AFjOSWunO
すいません!お風呂入ってました!
1です
続き
すると樹海の木々の間から1人の男が飛び出してきて男にタックルを決めた!
寺生まれで霊感の強いTさんだった
Tさん「破ぁ!」とTさんが叫ぶと両手から放たれた光弾が男を焼き尽くした
寺生まれって凄い、改めてそう思った
285 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 21:47:12.43 ID:68Vwlsp30
>>283
ww
しっ・・心配なんてしてなかったんだからっ!
286 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 21:51:33.17 ID:68Vwlsp30
だまされたじゃないかっ!!orz
287 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2008/07/14(
月) 21:55:44.86 ID:AFjOSWunO
( ゜д゜)
( ゜д゜ )
Posted at 2011/04/25 23:04:48 | |
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オカルト | パソコン/インターネット
2011年04月24日
小中学の頃、俺は田舎者で世間知らずで、特に仲の良かったA、Bと三人で毎日バカやって荒れた生活をしていた。
俺とAは、家族にもまるっきり見放されていたのだが、Bのお母さんだけは、Bを必ず構ってくれていた。あくまで厳しい態度ではあったけれど、何だかんだ言ってBのために色々と動いてくれていた。
中三のある時、そんなBとお母さんが、かなりキツい喧嘩になったことを知った。詳しい内容は言わなかったものの、精神的にお母さんを痛め付けたらしい。
お母さんをズタボロに傷つけていたころ、親父が帰ってきた。一目で状況を察した親父は、Bを無視して黙ったままお母さんに近づいていった。
服や髪がボロボロなうえに、死んだ魚のような目で床を茫然と見つめてるお母さんを見て、親父はBに話した。
B父「お前、ここまで人を踏み躙れるような人間になっちまったんだな。母さんがどれだけお前を想ってるか、なんでわからないんだ。」
親父はBを見ず、お母さんを抱き締めながら話していたそうだ。
B「うるせえよ。てめえは殺してやろうか?あ?」
Bは全く話を聞く気がなかった。
だが親父は何ら反応する様子もなく、淡々と話を続けたらしい。
B父「お前、自分には怖いものなんか何もないと、そう思ってるのか。」
B「ねえな。あるなら見せてもらいてえもんだぜ。」
親父は少し黙った後、話した。
B父「お前は俺の息子だ。母さんがお前をどれだけ心配しているのかも良く分かっている。だがな、お前が母さんに対してこうやって踏み躙る事しか出来ないのなら、俺にも考えがある。これは父としてでなく、一人の人間、他人として話す。先にはっきり言っておくが俺がこれを話すのは、お前が死んでも構わんと覚悟した証拠だ。それでいいなら聞け。」
Bは、その言葉に何か凄まじい気迫のようなものを感じたらしいが、「いいから話してみろ!」と煽った。
B父「森の中で立入禁止になっている場所があるのを知っているな。あそこに入って奥へ進んでみろ。後は行けばわかる。そこで今みたいに暴れてみろ。出来るもんならな。」
親父が言う森というのは、俺達が住んでいるところに小規模の山があって、そのふもとにある樹海みたいな場所だ。
山自体は普通に入れて、森全体も普通ではあるが、中に入っていくと、途中で立入禁止になってる区域がある。言ってみれば、四角の中に小さい円を書いて、その円の中には入るな、という状態だ。
2メートル近い高さの柵で囲まれ、柵には太い綱と有刺鉄線、柵全体にはが連なった白い紙がからまっていて(独自の紙垂のような)、大小いろいろな鈴が無数に付いている。変に部分的なせいで柵自体の並びも歪だし、とにかく尋常じゃないの一言に尽きる。
そして、特定の日に巫女さんが入り口に数人集まっているのを見かけることがあるが、その日は付近一帯が立入禁止になるため、何をしているのかは謎だった。
様々な噂が飛び交っていたが、カルト教団の洗脳施設があるという説が一番有力だった。そもそもその地点まで行くのが面倒なので、その奥まで行ったっという話はほとんどなかった。
親父はBの返事を待たずにお母さんを連れて2階に上がって行ったそうだ。Bはそのまま家を出て、待ち合わせていた俺とAと合流。そこで俺達もこの話を聞いた。
A「父親がそこまで言うなんて相当だな。」
俺「噂じゃカルト教団のアジトだっけ。捕まって洗脳されちまえって事かね。怖いっちゃ怖いが…どうすんだ?行くのか?」
B「行くに決まってんだろ。どうせ親父のハッタリだ。」
面白半分で俺とAもついて行くことになり、三人でそこへ向かった。あれこれ道具を用意して、時間は夜中の1時過ぎぐらいになっていた。
意気揚々と現場に到着し、持ってきた懐中電灯で前を照らしながら森へ入って行く。軽装でも進んで行けるような道だった。俺達はいつも地下足袋だったので歩きやすかったが、問題の地点へは40分近くは歩かないといけない。
ところが、入って5分もしないうちにおかしな事になった。
俺達が入って歩きだしたのとほぼ同じタイミングで、何か音が遠くから聞こえ始めた。夜の静けさがやたらとその音を強調させる。最初に気付いたのはBだった。
B「おい、何か聞こえねぇか?」
Bの言葉で耳をすませてみると、確かに聞こえた。落ち葉を引きずるカサカサ…という音と、枝がパキッ…パキッ…と折れる音。それが遠くの方から微かに聞こえてきている。
遠くから微かに…というせいもあって、さほど恐怖は感じなかった。人って考える前に動物ぐらいいるだろ、そんな思いもあり構わず進んでいった。
動物だと考えてから気にしなくなったが、そのまま20分ぐらい進んできたところで、またBが何かに気付き、俺とAの足を止めた。
B「A、お前だけちょっと歩いてみてくれ。」
A「?…何でだよ。」
B「いいから早く!」
Aが不思議そうに一人で前へ歩いていき、またこっちへ戻ってくる。それを見て、Bは考え込むような表情になった。
A「おい、何なんだよ?」
俺「説明しろ!」
俺達がそう言うと、Bは「静かにしてよ~く聞いててみ」と、Aにさせたように一人で前へ歩いていき、またこっちに戻ってきた。二、三度繰り返してようやく俺達も気が付いた。
遠くから微かに聞こえてきている音は、俺達の動きに合わせていた。俺達が歩きだせばその音も歩きだし、俺達が立ち止まると音も止まる。まるでこっちの様子がわかっているようだった。
何かひんやりした空気を感じずにはいられなかった。
周囲に俺達が持つ以外の光はない。月は出てるが、木々に遮られほとんど意味はなかった。懐中電灯を点けているので、こちらの位置が分かるのも不思議ではない。しかし一緒に歩いてる俺達でさえ、互いの姿を確認するのに目を凝らさなければならない暗さだ。
そんな暗闇の中で、光もなしに何をしている?なぜ俺達と同じように動いているんだ?
B「ふざけんなよ。誰か俺達を尾けてやがんのか?」
A「近づかれてる気配はないよな。向こうはさっきからずっと同じぐらいの位置だし。」
Aが言うように森に入ってからここまでの20分ほど、俺達と、その音との距離は一向に変わっていなかった。近づいてくるわけでも遠ざかるわけでもない。終始、同じ距離を保ったままだった。
俺「監視されてんのかな?」
A「そんな感じだよな…カルト教団とかなら何か変な装置とか持ってそうだしよ。」
音から察すると、複数ではなく一人がずっと俺達にくっついてるような感じだった。しばらく足を止めて考え、下手に正体を探ろうとするのは危険と判断し、一応あたりを警戒しつつそのまま先へ進む事にした。
それからずっと音に付きまとわれながら進んでいたが、やっと柵が見えてくると、音などどうでもよくなっていた。音以上に、その柵の様子の方が意味不明だったからだ。
三人とも見るのは初めてだったが、想像以上のものだった。同時にそれまでなかったある考えが頭に過ぎった。
普段は霊などバカにしてる俺達から見ても、その先にあるのが現実的なものでない事を示唆しているとしか思えない。それも半端じゃなくやばいものが。
まさか、“そういう意味”で、いわくつきの場所なのか。森へ入ってから初めて、今俺達はやばい場所にいるんじゃないかと思い始めた。
A「おい、これぶち破って奥行けってのか?誰が見ても普通じゃねえだろこれ!」
B「うるせえな、こんなんでビビってんじゃねえよ!」
柵の異常な様子に怯んでいた俺とAを怒鳴り、Bは持ってきた道具あれこれで柵をぶち壊し始めた。破壊音よりも、鳴り響く無数の鈴の音が凄かった。
しかしここまでとは想像してなかったため、持参した道具では貧弱すぎた。というか、不自然なほどに頑丈だった。特殊な素材でも使っているのではないかというくら、びくともしなかった。結局よじのぼるしかなくなってしまったが、綱のおかげで上ることは簡単だった。
だが柵を越えた途端、激しい違和感を覚えた。閉塞感のような、檻に閉じ込められたような息苦しさを感じた。AとBも同じだったようで、踏み出すのを躊躇していたが、柵を越えてしまったからには行くしかなかった。
先へ進むべく歩きだしてすぐに、三人とも気が付いた。ずっと付きまとってた音が、柵を越えてからパッタリ聞こえなくなった事に。正直そんなんもうどうでもいいとさえ思えるほど嫌な空気だったが、Aが放った言葉でさらに嫌な空気が増した。
A「もしかしてさぁ、そいつ…ずっとここにいたんじゃねえか?この柵、こっから見える分だけでも出入口みたいなのはないしさ、それで近付けなかったんじゃ…」
B「んなわけねえだろ。俺達が音の動きに気付いた場所ですらこっからじゃもう見えねえんだぞ?それなのに入った時点から俺達の様子がわかるわけねえだろ。」
普通に考えればBの言葉が正しかった。禁止区域と森の入り口はかなり離れている。時間にして40分ほどと書いたが、俺達だってちんたら歩いていたわけではないし、距離にしたらそれなりの数字にはなる。
だが、現実のものじゃないかもしれない…という考えが過ぎってしまった事で、Aの言葉を否定できなかった。柵を見てから絶対に“ヤバい”と感じ始めていた俺とAを尻目に、Bだけが俄然強気だった。
B「霊だか何だか知らねえけどよ、お前の言うとおりだとしたら、そいつはこの柵から出られねえって事だろ?そんなやつ大したことねえよ。」
そう言って奧へ進んでいった。
柵を越えてから2、30分歩き、うっすらと反対側の柵が見え始めたところで、不思議なものを見つけた。
特定の六本の木に注連縄(しめなわ)が張られ、その六本の木を六本の縄で括り、六角形の空間がつくられていた。柵にかかってるのとは別の、正式なものっぽい紙垂もかけられてた。そして、その中央に賽銭箱みたいなのがポツンと置いてあった。
目にした瞬間は、三人とも言葉が出なかった。特に俺とAは、マジでやばい事になってきたと焦ってさえいた。
バカな俺達でも、注連縄が通常どんな場で何のために用いられてるものか、何となくは知ってる。そういう意味でも、ここを立入禁止にしているのは、間違いなく目の前にある光景のためだ。俺達はとうとう、来るとこまで来てしまったわけだ。
俺「お前の親父が言ってたの、たぶんこれの事だろ。」
A「暴れるとか無理。明らかにやばいだろ。」
だが、Bは強気な姿勢を崩さなかった。
B「別に悪いもんとは限らねえだろ。とりあえずあの箱見て見ようぜ!宝でも入ってっかもな。」
Bは縄をくぐって六角形の中に入り、箱に近づいてった。俺とAは箱よりもBが何をしでかすかが不安だったが、とりあえずBに続いた。
野晒しで雨などにやられたせいか、箱はサビだらけだった。上部は蓋になっていて、網目で中が見える。だが、蓋の下にまた板が敷かれていて、結局中を見ることはできない。
さらに箱にはチョークか何かで模様のようなものが書いてあった。恐らく家紋ではないか。前後左右それぞれの面にいくつもの紋所みたいな模様が書き込まれていた。
しかも全部違う模様で、同じものは見当たらなかった。
俺とAは極力触らないようにし、構わず触るBにも乱暴にはしないよう、注意しながら箱を調べてみた。
どうやら地面に底を直接固定してあるらしく、大して重くはないはずなのに持ち上がらなかった。中身をどうやって見るのかと隅々までチェックすると、後ろの面だけ外れるようになってるのに気付いた。
B「おっ、ここだけ外れるぞ!中見れるぜ!」
Bが箱の一面を取り外し、俺とAもBの後ろから中を覗き込んだ。
箱の中には四隅にペットボトルのような形の壺が置かれていて、その中には何か液体が入っていた。箱の中央に、先端が赤く塗られた五センチぐらいの楊枝みたいなものが、変な形で置かれていた。
/\/\>
このような形で六本。接する四ヶ所だけ赤く塗られてる。
俺「なんだこれ?爪楊枝か?」
A「おい、ペットボトルみてえなの中に何か入ってるぜ。気持ちわりいな。」
B「ここまで来てペットボトルと爪楊枝かよ。意味わかんねえ。」
俺とAはぺットボトルのような壺を少し触ってみたぐらいだったが、Bは手に取って匂いを嗅いだりしていた。
Bは壺を元に戻すと、今度は爪楊枝を触ろうと手を伸ばす。
ところが、汗をかいていたのか指先に一瞬くっつき、そのせいで離すときに形がずれてしまった。
その瞬間。
チリンチリリン!!チリンチリン!!
俺達が来た方とは反対、六角形地点のさらに奧にうっすらと見えている柵の方から、物凄い勢いで鈴の音が鳴った。さすがに三人ともうわっと声を上げて、一斉に顔を見合わせた。
B「誰だちくしょう!ふざけんなよ!」
Bはその方向へ走りだした。
俺「バカ、そっち行くな!」
A「おいB!やばいって!」
慌てて後を追おうと身構えると、Bは突然立ち止まり、前方に懐中電灯を向けたまま動かなくなった。
「何だよ、フリかよ~」と俺とAがホッとして急いで近付いてくと、Bの体が小刻みに震えだした。
「お、おい、どうした…?」言いながら無意識に照らされた先を見た。
Bの懐中電灯は、立ち並ぶ木々の中の一本、その根元のあたりを照らしていた。
その陰から、女の顔がこちらを覗いていた。
ひょこっと顔半分だけ出して、眩しがる様子もなく俺達を眺めていた。
上下の歯をむき出しにするようにい~っと口を開け、目は据わっていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
誰のものかわからない悲鳴と同時に、俺達は一斉に振り返り走りだした。頭は真っ白で、体が勝手に最善の行動をとったような感じだった。互いを見合わせる余裕もなく、それぞれが必死で柵へ向かった。
柵が見えると一気に飛び掛かり、急いでよじのぼる。上まで来たらまた一気に飛び降り、すぐに入り口へ戻ろうとした。
だが、混乱しているのかAが上手く柵を上れずなかなかこっちに来ない。
俺「A!早く!!」
B「おい!早くしろ!!」
Aを待ちながら、俺はどうすればいいのか分からなかった。
俺「何だよあれ!?何なんだよ!?」
B「知らねえよ黙れ!!」
完全にパニック状態だった。
その時
チリリン!!チリンチリン!!
凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れだした。
「何だ…!?どこからだ…!?」
俺とBはパニック状態になりながらも周囲を確認した。
入り口とは逆、山へ向かう方角から鳴り響き、近づいているのか、音と柵の揺れがどんどん激しくなってくる。
俺「やばいやばい!」
B「まだかよ!早くしろ!!」
俺達の言葉が余計にAを混乱させていることを分かってはいたが、せかさないわけにはいかなかった。
Aは無我夢中に必死で柵をよじのぼった。
Aがようやく上りきろうというその時、俺とBの視線はそこにはなかった。がたがたと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。
それに気付いたAも、柵の上から俺達が見ている方向を向いた。
山への方角にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側にあいつが張りついていた。
顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が三本ずつあった。
それらで器用に綱と有刺鉄線を掴んで「い~っ」と口を開けたまま、巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。
とてつもない恐怖。
「うわぁぁぁぁ!!」
Aがとっさに上から飛び降り、俺とBに倒れこんできた。それではっとした俺達は、すぐにAを起こし、一気に入り口へ走った。
後ろは見れない。前だけを見据え、必死で走った。
全力で走れば30分もかからないはずの道のりを、何時間も走ったような気がした。
入り口が見えてくると、何やら人影も見えた。おい、まさか…三人とも急停止し、息を呑んで人影を確認した。
誰だかわからないが何人か集まっている。
あいつじゃない。そう確認できた途端に再び走りだし、その人達の中に飛び込んだ。
「おい!出てきたぞ!」
「まさか…本当にあの柵の先に行ってたのか!?」
「おーい!急いで奥さんに知らせろ!」
集まっていた人達はざわざわとした様子で、俺達に駆け寄ってきた。何を話しかけられたのか、すぐには分からないほど、頭が真っ白で放心状態だった。
そのまま俺達は車に乗せられ、すでに三時をまわっていたにも関わらず、行事の時などに使われる集会所に連れていかれた。
中に入ると、うちは母親と姉貴が、Aは親父、Bはお母さんが来ていた。Bのお母さんはともかく、最近ろくに会話すらしていなかった、うちの母親まで泣いていた。
Aもこの時の親父の表情は、普段見た事のないものだったらしい。
B母「みんな無事だったんだね…!よかった…!」
Bのお母さんとは違い、俺は母親に殴られAも親父に殴られた。だが、今まで聞いた事ない暖かい言葉をかけられた。
しばらくそれぞれが家族と接したところで、Bのお母さんが話した。
B母「ごめんなさい。今回の事はうちの主人、ひいては私の責任です。本当に申し訳ありませんでした…!本当に…」
Bのお母さんは、皆に何度も頭を下げた。よその家とはいえ、子供の前で親がそんな姿をさらしているのは、やはり嫌な気分だった。
A父「もういいだろう奥さん。こうしてみんな無事だったんだから。」
俺母「そうよ。あなたのせいじゃない。」
この後ほとんど親同士で話が進められ、俺達はぽかんとしてた。
時間も時間だったので、無事を確認しあって終わりという感じだった。この時は何の説明もないまま解散した。
一夜明けた次の日の昼頃、俺は姉貴に叩き起こされた。目を覚ますと、昨夜の続きかというぐらい姉貴の表情が強ばっていた。
俺「なんだよ?」
姉貴「Bのお母さんから電話。やばい事になってるよ。」
受話器を受け取り電話に出ると、凄い剣幕で叫んできた。
B母「Bが…Bがおかしいのよ!昨夜あそこで何したの!?柵の先へ行っただけじゃなかったの!?」
とても会話になるような雰囲気じゃなく、いったん電話を切って俺はBの家へ向かった。同じ電話を受けたらしく、Aも来ていて、二人でBのお母さんに話を聞いた。
話によると、Bは昨夜家に帰ってから急に両手両足が痛いと叫びだしたそうだ。
痛くて動かせないという事なのか、両手両足をぴんと伸ばした状態で倒れ、その体勢で痛い痛いとのたうちまわったらしい。
お母さんが何とか対応しようとするも、いてぇよぉと叫ぶばかりで意味がわからない。どうにか部屋までは運べたが、ずっとそれが続いてるので、俺達はどうなのかと思い電話してきたという事だった。
話を聞いてすぐBの部屋へ向かうと、階段からでも叫んでいるのが聞こえた。「
いてぇ!いてぇよぉ!」と繰り返している。
部屋に入ると、やはり手足はぴんと伸びたまま、のたうちまわっていた。
俺「おい!どうした!」
A「しっかりしろ!どうしたんだよ!」
俺達が呼び掛けてもいてぇよぉと叫ぶだけで目線すら合わせない。
どうなってんだ…俺とAは何が何だかさっぱりわからなかった。一度お母さんのとこに戻ると、さっきとはうってかわって静かな口調で聞かれた。
B母「あそこで何をしたのか話してちょうだい。それで全部わかるの。昨夜あそこで何をしたの?」
何を聞きたがっているのかは、もちろんわかっていたが、答えるためにあれをまた思い出さなかればならないことが苦痛となり、うまく伝えられなかった。
それよりも、“あれ”を見たっというのが大部分を占めてしまってたせいで、何をしたのかという部分がすっかり抜けてしまっていた。
「何を見たか」ではなく「何をしたか」と尋ねるBのお母さんは、それを指摘しているようだった。
Bのお母さんに言われ、俺達は何とか昨夜の事を思い出し、原因を探った。
何を見たか?なら、俺達も今のBと同じ目にあってるはず。だが何をしたか?でも、あれに対してほとんど同じ行動だったはずだ。箱だって俺達も触ったし、ペットボトルみたいなのも一応俺達も触わってる。
後は…
楊枝…
二人とも気が付いた。
楊枝だ。あれにはBしか触ってないし、形も崩してしまっている。しかも元に戻してない。俺達はそれをBのお母さんに伝えた。すると、みるみる表情が変わり震えだした。そしてすぐさま棚の引き出しから何かの紙を取出し、それを見ながらどこかに電話をかけた。俺とAは、その様子を見守るしかなかった。
しばらくどこかと電話で話した後、戻ってきたBのお母さんは震える声で俺達に言った。
B母「あちらに伺う形ならすぐにお会いしてくださるそうだから、今すぐ帰って用意しておいてちょうだい。あなた達のご両親には私から話しておくわ。何も言わなくても準備してくれると思うから。明後日またうちに来てちょうだい。」
意味不明だった。誰に会いに?どこへ行くって?説明を求めてもはぐらかされ、すぐに帰らされた。一応二人とも真っすぐ家に帰ってみると、何を聞かれるでもなく「必ず行ってきなさい」とだけ言われた。
意味がまったく分からないまま、二日後に俺とAは、Bのお母さんと三人で、ある場所へ向かった。Bは前日にすでに連れていかれたらしい。
ちょっと遠いのかな…ぐらいだと思っていたが、町どころか県さえ違う場所だった。
新幹線で数時間かけて、さらに駅から車で数時間。絵に書いたような深い山奥の村まで連れていかれた。
その村の、またさらに外れの方、ある屋敷に俺達は案内された。
大きく、古いお屋敷で、離れや蔵もある、物凄い立派なものだった。Bのお母さんが呼び鈴を鳴らすと、“おじさん”と女の子が俺達を出迎えた。
おじさんの方は、まさに“その筋”の人のようなガラの悪い感じで、スーツ姿だった。
女の子の方は、俺達より少し年上ぐらいで、白装束に赤い袴、いわゆる巫女さんの姿をしていた。
おじさんは、どうやら巫女さんの伯父らしく、普通によくある名字を名乗ったのだが、巫女さんは「あおいかんじょ(俺にはこう聞こえた)という、よくわからない名を名乗った。
名乗ると言っても、一般的な認識とは全く違うものらしい。よく分からないのだが、ようするに彼女の家の素性は一切知る事が出来ないって事のようだった。
実際、俺達はその家や彼女達について何も知らされていない。
だだっ広い座敷に案内され、訳も分からないまま、ものものしい雰囲気で話が始まった。
伯父「息子さんは今安静にさせてますわ。この子らが一緒にいた子ですか?」
B母「はい。この三人であの場所へ行ったようなんです。」
伯父「そうですか。君ら、わしらに話してもらえるか?どこに行った、何をした、何を見た、出来るだけ詳しくな。」
突然話を振られて戸惑ったが、俺とAは何とか詳しくその夜の出来事をおじさん達に話した。
ところが、楊枝のくだりで「コラ、今何つった?」といきなりドスの効いた声で言われ、俺達はますます状況が飲み込めず混乱してしまった。
A「は、はい?」
伯父「おめぇら、まさかあれを動かしたんじゃねえだろうな!?」
身を乗り出し今にも掴み掛かってきそうな勢いで怒鳴られた。
すると葵がそれを制止し、蚊の泣くようなか細い声で話しだした。
葵「箱の中央…小さな棒のようなものが、ある形を表すように置かれていたはずです。それに触れましたか?触れた事によって、少しでも形を変えてしまいましたか?」
俺「はぁあの、動かしてしまいました。形もずれちゃってたと思います。」
葵「形を変えてしまったのはどなたか、覚えてらっしゃいますか?触ったかどうかではありません。形を変えたかどうかです。」
俺とAは顔を見合わせ、Bだと告げた。
すると、おじさんは身を引いてため息をつき、Bのお母さんに言った。
伯父「お母さん、残念ですがね、息子さんはもうどうにもならんでしょう。わしは詳しく聞いてなかったが、あの症状なら他の原因も考えられる。まさかあれを動かしてたとは思わなかったんでね。」
B母「そんな…」
それ以上の言葉もあったのだろうが、Bのお母さんは言葉を飲み込んだような感じで、しばらく俯いてた。
口には出せなかったが、俺達も同じ気持ちだった。「Bはもうどうにもならん」てどういう意味なんだ。一体何の話をしているのか。そう問いたくても、声に出来なかった。
俺達三人の様子を見て、おじさんはため息混じりに話しだした。
ここでようやく、俺達が見たものに関する話がされた。
俗称は「生離蛇螺」「生離唾螺」
古くは「姦姦蛇螺」「姦姦唾螺」
なりじゃら、なりだら、かんかんじゃら、かんかんだらなど、知っている人の年代や家柄によって呼び方はいろいろあるらしい。
現在では一番多い呼び方は単に「だら」、おじさん達みたいな特殊な家柄では「かんかんだら」の呼び方が使われるらしい。
もはや神話や伝説に近い話。
人を食らう大蛇に悩まされていたある村の村人達は、神の子として様々な力を代々受け継いでいたある巫女の家に退治を依頼した。依頼を受けたその家は、特に力の強かった一人の巫女を大蛇討伐に向かわせる。
村人達が陰から見守る中、巫女は大蛇を退治すべく懸命に立ち向かった。しかし、わずかな隙をつかれ、大蛇に下半身を食われてしまった。それでも巫女は村人達を守ろうと様々な術を使い、必死で立ち向かった。
ところが、下半身を失っては勝ち目がないと決め込んだ村人達はあろう事か、巫女を生け贄にする代わりに村の安全を保障してほしいと大蛇に持ちかけた。
強い力を持つ巫女を疎ましく思っていた大蛇はそれを承諾、食べやすいようにと村人達に腕を切り落とさせ、達磨状態の巫女を食らった。
そうして、村人達は一時の平穏を得た。
後になって、巫女の家の者が思案した計画だった事が明かされる。この時の巫女の家族は六人。異変はすぐに起きた。
大蛇がある日から姿を見せなくなり、襲うものがいなくなったはずの村で次々と人が死んでいった。
村の中で、山の中で、森の中で。
死んだ者達はみな、右腕・左腕のどちらかが無くなっていた。
十八人が死亡。(巫女の家族六人を含む)
生き残ったのは四人だった。
おじさんと葵が交互に説明した。
伯父「これがいつからどこで伝わってたのかはわからんが、あの箱は一定の周期で場所を移して供養されてきた。その時々によって、管理者は違う。箱に家紋みたいのがあったろ?ありゃ今まで供養の場所を提供してきた家々だ。うちみたいな家柄のもんでそれを審査する集まりがあってな、そこで決められてる。まれに自ら志願してくるバカもいるがな。」
さらにこう続けた
伯父「管理者以外にゃ“かんかんだら”に関する話は一切知らされない。付近の住民には、いわくがあるって事と万が一の時の相談先だけが管理者から伝えられる。伝える際には相談役、つまりわしらみたいな家柄のもんが立ち合うから、それだけでいわくの意味を理解するわけだ。今の相談役はうちじゃねえが、至急って事で昨日うちに連絡がまわってきた。」
どうやら、一昨日Bのお母さんが電話していたのは別の人らしいことが分かった。話を聞いた先方は、Bを連れてこの家を尋ね、話し合った結果こちらに任せたらしい。Bのお母さんは俺達があそこに行っていた間に、すでにそこに電話していて、ある程度詳細を聞かされていたようだ。
葵「基本的に、山もしくは森に移されます。御覧になられたと思いますが、六本の木と六本の縄は村人達を、六本の棒は巫女の家族を、四隅に置かれた壺は生き残られた四人を表しています。そして、六本の棒が成している形こそが、巫女を表しているのです。」
葵「なぜこのような形式がとられるようになったか。箱自体に関しましても、いつからあのようなものだったか。私の家を含め、今現在では伝わっている以上の詳細を知る者はいないでしょう。」
ただ、最も語られてる説としては、生き残った四人が巫女の家で怨念を鎮めるためのありとあらゆる事柄を調べ、その結果生まれた独自の形式ではないか…という事らしい。柵に関しては鈴だけが形式に従ったもので、綱とかはこの時の管理者によるものだったらしい。
伯父「うちの者で“かんかんだら”を祓ったのは過去に何人かいるがな、その全員が二、三年以内に死んでんだ。ある日突然な。事を起こした当事者もほとんど助かってない。それだけ難しいんだよ。」
ここまで話を聞いても、俺達三人は完全に話に着いていけず、置いてかれたままでいた。
だが、事態は一変した。
伯父「お母さん、どれだけやばいものかは何となくわかったでしょう。さっきも言いましたが、棒を動かしてさえいなければ何とかなりました。しかし、今回はだめでしょうな。」
B母「お願いします。何とかしてやれないでしょうか。私の責任なんです。どうかお願いします。」
Bのお母さんは引かなかった。一片たりともお母さんのせいだとは思えないのに、自分の責任にしてまで頭を下げ、必死で頼み続けてた。でも泣きながらとかじゃなくて、何か覚悟したような表情だった。
伯父「何とかしてやりたいのはわしらも同じです。しかし、棒を動かしたうえであれを見ちまったんなら…。お前らも見たんだろう。お前らが見たのが大蛇に食われたっつう巫女だ。下半身も見たろ?それであの形の意味がわかっただろ?」
「…えっ?」
俺とAは言葉の意味がわからなかった。下半身?俺達が見たのは上半身だけのはずだ。
A「あの、下半身っていうのは…?上半身なら見ましたけど…」
それを聞いておじさんと葵が驚いた。
伯父「おいおい何言ってんだ?お前らあの棒を動かしたんだろ?だったら下半身を見てるはずだ。」
葵「あなた方の前に現われた彼女は、下半身がなかったのですか?では、腕は何本でしたか?」
俺「腕は六本でした。左右三本ずつです。でも、下半身はありませんでした。」
俺とAは互いに確認しながらそう答えた。
すると急におじさんがまた身を乗り出し、俺達に詰め寄ってきた。
伯父「間違いねえのか?ほんとに下半身を見てねえんだな?」
俺「は、はい…」
おじさんは再びBのお母さんに顔を向け、ニコッとして言った。
伯父「お母さん、何とかなるかもしれん。」
おじさんの言葉にBのお母さんも俺達も、息を呑んで注目した。
二人は言葉の意味を説明してくれた。
葵「巫女の怨念を浴びてしまう行動は、二つあります。やってはならないのは、巫女を表すあの形を変えてしまう事。見てはならないのは、その形が表している巫女の姿です。」
伯父「実際には棒を動かした時点で終わりだ。必然的に巫女の姿を見ちまう事になるからな。だが、どういうわけかお前らはそれを見てない。動かした本人以外も同じ姿で見えるはずだから、お前らが見てないならあの子も見てないだろう。」
俺「見てない、っていうのはどういう意味なんですか?俺達が見たのは…」
葵「巫女本人である事には変わりありません。ですが、“かんかんだら”ではないのです。あなた方の命を奪う意志がなかったのでしょうね。かんかんだらではなく、巫女として現われた。その夜の事は、彼女にとってはお遊戯だったのでしょう。」
巫女とかんかんだらは同一の存在であり、別々の存在でもある…という事らしい。
伯父「かんかんだらが出てきてないなら、今あの子を襲ってるのは葵が言うようにお遊び程度のもんだろうな。わしらに任せてもらえれば、長期間にはなるが何とかしてやれるだろう。」
緊迫していた空気が初めて和らいだ気がした。Bが助かるとわかっただけでも充分だった。この時のBのお母さんの表情は本当に凄かった。この何日かでどれだけBを心配していたか、その不安とかが一気にほぐれたような、そういう笑顔だった。
それを見ておじさんと葵も雰囲気が和らぎ、急に普通の人みたいになった。
伯父「あの子は正式にわしらで引き受けますわ。お母さんには後で説明させてもらいます。お前ら二人は、一応葵に祓ってもらってから帰れ。今後は怖いもの知らずもほどほどにしとけよ。」
この後Bに関して少し話したのち、お母さんは残り、俺達はお祓いしてもらってから帰った。
この家の決まりで、Bには会わせてもらえず、どんな事をしたのかもわからなかった。転校扱いになったのか、在籍していたのか分からないまま、二度とBを見ることはなかった。ただ、すっかり更正して今はちゃんとどこかで生活してる、という話だけを聞かされた。
結局、Bの親父は一連の騒動に一度も顔を出さなかった。
俺とAも、その後すぐに落ち着くことができた。理由はいろいろあったが、一番大きかったのは、やはりBのお母さんの姿だった。母親というものがどんなものなのか、いろいろと考えさせられた。その一件以来、うちもAの家も、親の方から少しづつ接してくれるようになった。
他に分かった事としては、特定の日に集まっていた巫女さんは相談役になった家の人。“かんかんだら”とは、危険だと重々認識されていながら、ある種の神に似た存在にされてるということ。それは元々、大蛇が山や森の神だったことによるものだということ。それで年に一回、神楽を舞ったり祝詞を奏上したりするようだ。
そして、俺達が森に入ってから音が聞こえたのは、“かんかんだら”が柵の中で放し飼いのような状態になっているかららしい。六角形と箱の“爪楊枝”が封印の役割となって、棒の形や六角形を崩したりしない限り、姿を見せる事はほとんどないそうだ。
供養場所は何らかの法則によって、山や森の中の限定された一部分が指定されるらしく、入念に細かい数字まで出して範囲を決めるらしい。基本的にその区域からは出られないらしいが、柵などで囲んでる場合は、俺達が見たように、外側に張りついてくる事もあるようだ。
俺達の住んでいるところからは、既に移されている。たぶん今は別の場所にいるんだろうな。
Posted at 2011/04/24 12:22:07 | |
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2011年04月23日
この話は実際に新聞に載ったという前ふりで聞いた話ですが、私は実際にその新聞を見ていないし何年前かも分からないので、話を怖くさせるスパイスだと思って聞いてください。
ある高校生の男女各4人が、一人の家に集まって怖い話をしていたそうです。
夜もふけてきた所で、肝試しに行くことになりました。
でも本当の目的はむしろ、男女ペアになって行くという事のほうが楽しみだったので、場所は安直に彼らの通う高校に行くことにしたそうです。
しかしこの高校は築100年近くたっていたので、行って見ると思ったより迫力があります。
早速男女ペアになって、一組づつ学校の周りを一周することになりました。
構内には入れなかったので、周りを一周するだけならせいぜいかかる時間は20分ほどです。
まず最初の1組が出発しました。皆でひやかしたりしながら、にぎやかに去っていきました。
しかし、20分たっても30分たっても戻ってきません。
2人っきりで何をしてるんだろうかとひやかしながら、2組目が出発しました。
しかし、やはり彼らも帰ってきません。
3組目が出発することになりました。
このころにはさすがに深刻になってきていて、絶対周ったら戻ってくるし、他のやつらも見つけたら連れてくると約束して出発しました。
そしてこの3組目も戻ってきません。
一組目が出発して、既に時間は2時間以上立っていました。
とうとう女の子は泣き出しました。
残ったもう一人の男の子が、「俺が行ってくる。もし30分たっても俺が戻ってこなかったら警察へいけ。
絶対待つなよ。」
と言い残して駆け出しました。
そしてその子も戻ってきませんでした。
残された女の子は泣きながら、それでも1時間待ったそうです。
そしてその足で、警察へと向かいました。
警察官が探しても見つかりません。
しかし夜もすっかり明けたころ、とうとう7人は見つかりました。
その高校にはグランドの端に、古くなった旧体育館があるそうです。
そこのトイレを開けると、7人全員が首をつっていたそうです。
女の子の証言から、自殺する理由がないと思われたのですが、結局他殺の痕跡はなく、受験生の集団ヒステリーとして片付けられたそうです。
その学校には、これといった怪談話もなかったそうです。
Posted at 2011/04/23 10:22:39 | |
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オカルト | パソコン/インターネット
2011年04月22日
親父の実家は自宅から車で二時間弱くらいのところにある。
農家なんだけど、何かそういった雰囲気が好きで、高校になってバイクに乗るようになると、夏休みとか冬休みなんかにはよく一人で遊びに行ってた。
じいちゃんとばあちゃんも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。
でも、最後に行ったのが高校三年にあがる直前だから、もう十年以上も行っていないことになる。
決して「行かなかった」んじゃなくて「行けなかった」んだけど、その訳はこんなことだ。
春休みに入ったばかりのこと、いい天気に誘われてじいちゃんの家にバイクで行った。まだ寒かったけど、公園はぽかぽかと気持ちよく、そこでしばらくくつろいでいた。そうしたら、
「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」
と変な音が聞こえてきた。機械的な音じゃなくて、人が発してるような感じがした。それも濁音とも半濁音とも、どちらにも取れるような感じだった。
何だろうと思っていると、庭の生垣の上に帽子があるのを見つけた。生垣の上に置いてあったわけじゃない。帽子はそのまま横に移動し、垣根の切れ目まで来ると、一人女性が見えた。まあ、帽子はその女性が被っていたわけだ。
女性は白っぽいワンピースを着ていた。
でも生垣の高さは二メートルくらいある。その生垣から頭を出せるってどれだけ背の高い女なんだ…
驚いていると、女はまた移動して視界から消えた。帽子も消えていた。
また、いつのまにか「ぽぽぽ」という音も無くなっていた。
そのときは、もともと背が高い女が超厚底のブーツを履いていたか、踵の高い靴を履いた背の高い男が女装したかくらいにしか思わなかった。
その後、居間でお茶を飲みながら、じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを話した。
「さっき、大きな女を見たよ。男が女装してたのかなあ」
と言っても「へぇ~」くらいしか言わなかったけど、
「垣根より背が高かった。帽子を被っていて『ぽぽぽ』とか変な声出してたし」
と言ったとたん、二人の動きが止ったんだよね。いや、本当にぴたりと止った。
その後、「いつ見た」「どこで見た」「垣根よりどのくらい高かった」
と、じいちゃんが怒ったような顔で質問を浴びせてきた。
じいちゃんの気迫に押されながらもそれに答えると、急に黙り込んで廊下にある電話まで行き、どこかに電話をかけだした。引き戸が閉じられていたため、何を話しているのかは良く分からなかった。
ばあちゃんは心なしか震えているように見えた。
じいちゃんは電話を終えたのか、戻ってくると、「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰すわけには行かなくなった」と言った。
――何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか。
と必死に考えたが、何も思い当たらない。あの女だって、自分から見に行ったわけじゃなく、あちらから現れたわけだし。
そして、「ばあさん、後頼む。俺はKさんを迎えに行って来る」
と言い残し、軽トラックでどこかに出かけて行った。
ばあちゃんに恐る恐る尋ねてみると、
「八尺様に魅入られてしまったようだよ。じいちゃんが何とかしてくれる。何にも心配しなくていいから」
と震えた声で言った。
それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまでぽつりぽつりと話してくれた。
この辺りには「八尺様」という厄介なものがいる。
八尺様は大きな女の姿をしている。名前の通り八尺ほどの背丈があり、「ぼぼぼぼ」と男のような声で変な笑い方をする。
人によって、喪服を着た若い女だったり、留袖の老婆だったり、野良着姿の年増だったりと見え方が違うが、女性で異常に背が高いことと頭に何か載せていること、それに気味悪い笑い声は共通している。
昔、旅人に憑いて来たという噂もあるが、定かではない。
この地区(今は○市の一部であるが、昔は×村、今で言う「大字」にあたる区分)に地蔵によって封印されていて、よそへは行くことが無い。
八尺様に魅入られると、数日のうちに取り殺されてしまう。
最後に八尺様の被害が出たのは十五年ほど前。
これは後から聞いたことではあるが、地蔵によって封印されているというのは、八尺様がよそへ移動できる道というのは理由は分からないが限られていて、その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西南北の境界に全部で四ヶ所あるらしい。
もっとも、何でそんなものを留めておくことになったかというと、周辺の村と何らかの協定があったらしい。例えば水利権を優先するとか。
八尺様の被害は数年から十数年に一度くらいなので、昔の人はそこそこ有利な協定を結べれば良しと思ったのだろうか。
そんなことを聞いても、全然リアルに思えなかった。当然だよね。
そのうち、じいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。
「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」
Kさんという老婆はそう言って、お札をくれた。
それから、じいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。
ばあちゃんはそのまま一緒にいて、トイレに行くときも付いてきて、トイレのドアを完全に閉めさせてくれなかった。
ここにきてはじめて、「なんだかヤバイんじゃ…」と思うようになってきた。
しばらくして二階に上がらされ、一室に入れられた。
そこは窓が全部新聞紙で目張りされ、その上にお札が貼られており、四隅には盛塩が置かれていた。
また、木でできた箱状のものがあり(祭壇などと呼べるものではない)、その上に小さな仏像が乗っていた。
あと、どこから持ってきたのか「おまる」が二つも用意されていた。これで用を済ませろってことか・・・
「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。俺もばあさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。そうだな、明日朝の七時になるまでは絶対ここから出るな。七時になったらお前から出ろ。家には連絡しておく」
と、じいちゃんが真顔で言うものだから、黙って頷く以外なかった。
「今言われたことは良く守りなさい。お札も肌身離さずな。何かおきたら仏様の前でお願いしなさい」
とKさんにも言われた。
テレビは見てもいいと言われていたので点けたが、見ていても上の空で気も紛れない。
部屋に閉じ込められるときにばあちゃんがくれたおにぎりやお菓子も食べる気が全くおこらず、放置したまま布団に包まってひたすらガクブルしていた。
そんな状態でもいつのまにか眠っていたようで、目が覚めたときには、何だか忘れたが深夜番組が映っていて、自分の時計を見たら、午前一時すぎだった。
(この頃は携帯を持ってなかった)
なんか嫌な時間に起きたなあなんて思っていると、窓ガラスをコツコツと叩く音が聞こえた。小石なんかをぶつけているんじゃなくて、手で軽く叩くような音だったと思う。
風のせいでそんな音がでているのか、誰かが本当に叩いているのかは判断がつかなかったが、必死に風のせいだ、と思い込もうとした。
落ち着こうとお茶を一口飲んだが、やっぱり怖くて、テレビの音を大きくして無理やりテレビを見ていた。
そんなとき、じいちゃんの声が聞こえた。
「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」
思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐに思い出した。
また声がする。
「どうした、こっちに来てもええぞ」
じいちゃんの声に限りなく似ているけど、あれはじいちゃんの声じゃない。
どうしてか分からんけど、そんな気がして、そしてそう思ったと同時に全身に鳥肌が立った。
ふと、隅の盛り塩を見ると、それは上のほうが黒く変色していた。
一目散に仏像の前に座ると、お札を握り締め「助けてください」と必死にお祈りをはじめた。
そのとき、
「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ…」
あの声が聞こえ、窓ガラスがトントン、トントンと鳴り出した。
そこまで背が高くないことは分かっていたが、アレが下から手を伸ばして窓ガラスを叩いている光景が浮かんで仕方が無かった。
もうできることは、仏像に祈ることだけだった。
とてつもなく長い一夜に感じたが、それでも朝は来るもので、つけっぱなしのテレビがいつの間にか朝のニュースをやっていた。画面隅に表示される時間は確か七時十三分となっていた。
ガラスを叩く音も、あの声も気づかないうちに止んでいた。
どうやら眠ってしまったか気を失ってしまったかしたらしい。
盛り塩はさらに黒く変色していた。
念のため、自分の時計を見たところはぼ同じ時刻だったので、恐る恐るドアを開けると、そこには心配そうな顔をしたばあちゃんとKさんがいた。
ばあちゃんが、よかった、よかったと涙を流してくれた。
下に降りると、親父も来ていた。
じいちゃんが外から顔を出して「早く車に乗れ」と促し、庭に出てみると、どこから持ってきたのか、ワンボックスのバンが一台あった。そして、庭に何人かの男たちがいた。
ワンボックスは九人乗りで、中列の真ん中に座らされ、助手席にKさんが座り、庭にいた男たちもすべて乗り込んだ。全部で九人が乗り込んでおり、八方すべてを囲まれた形になった。
「大変なことになったな。気になるかもしれないが、これからは目を閉じて下を向いていろ。俺たちには何も見えんが、お前には見えてしまうだろうからな。いいと言うまで我慢して目を開けるなよ」
右隣に座った五十歳くらいのオジさんがそう言った。
そして、じいちゃんの運転する軽トラが先頭、次が自分が乗っているバン、後に親父が運転する乗用車という車列で走り出した。車列はかなりゆっくりとしたスピードで進んだ。おそらく二十キロも出ていなかったんじゃあるまいか。
間もなくKさんが、「ここがふんばりどころだ」と呟くと、何やら念仏のようなものを唱え始めた。
「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ…」
またあの声が聞こえてきた。
Kさんからもらったお札を握り締め、言われたとおりに目を閉じ、下を向いていたが、なぜか薄目をあけて外を少しだけ見てしまった。
目に入ったのは白っぽいワンピース。それが車に合わせ移動していた。
あの大股で付いてきているのか。
頭はウインドウの外にあって見えない。しかし、車内を覗き込もうとしたのか、頭を下げる仕草を始めた。
無意識に「ヒッ」と声を出す。
「見るな」と隣が声を荒げる。
慌てて目をぎゅっとつぶり、さらに強くお札を握り締めた。
コツ、コツ、コツ
ガラスを叩く音が始まる。
周りに乗っている人も短く「エッ」とか「ンン」とか声を出す。
アレは見えなくても、声は聞こえなくても、音は聞こえてしまうようだ。
Kさんの念仏に力が入る。
やがて、声と音が途切れたと思ったとき、Kさんが「うまく抜けた」と声をあげた。
それまで黙っていた周りを囲む男たちも「よかったなあ」と安堵の声を出した。
やがて車は道の広い所で止り、親父の車に移された。
親父とじいちゃんが他の男たちに頭を下げているとき、Kさんが「お札を見せてみろ」と近寄ってきた。
無意識にまだ握り締めていたお札を見ると、全体が黒っぽくなっていた。
Kさんは「もう大丈夫だと思うがな、念のためしばらくの間はこれを持ってい
なさい」と新しいお札をくれた。
その後は親父と二人で自宅へ戻った。
バイクは後日じいちゃんと近所の人が届けてくれた。
親父も八尺様のことは知っていたようで、子供の頃、友達のひとりが魅入られて命を落としたということを話してくれた。
魅入られたため、他の土地に移った人も知っているという。
バンに乗った男たちは、すべてじいちゃんの一族に関係がある人で、つまりは極々薄いながらも自分と血縁関係にある人たちだそうだ。
前を走ったじいちゃん、後ろを走った親父も当然血のつながりはあるわけで、少しでも八尺様の目をごまかそうと、あのようなことをしたという。
親父の兄弟(伯父)は一晩でこちらに来られなかったため、血縁は薄くてもすぐに集まれる人に来てもらったようだ。
それでも流石に七人もの男が今の今、というわけにはいかなく、また夜より昼のほうが安全と思われたため、一晩部屋に閉じ込められたのである。
道中、最悪ならじいちゃんか親父が身代わりになる覚悟だったとか。
そして、先に書いたようなことを説明され、もうあそこには行かないようにと念を押された。
家に戻ってから、じいちゃんと電話で話したとき、あの夜に声をかけたかと聞いたが、そんなことはしていないと断言された。
――やっぱりあれは…
と思ったら、改めて背筋が寒くなった。
八尺様の被害には成人前の若い人間、それも子供が遭うことが多いということだ。まだ子供や若年の人間が極度の不安な状態にあるとき、身内の声であのようなことを言われれば、つい心を許してしまうのだろう。
それから十年経って、あのことも忘れがちになったとき、洒落にならない後日談ができてしまった。
「八尺様を封じている地蔵様が誰かに壊されてしまった。それもお前の家に通じる道のものがな」
と、ばあちゃんから電話があった。
(じいちゃんは二年前に亡くなっていて、当然ながら葬式にも行かせてもらえなかった。じいちゃんも起き上がれなくなってからは絶対来させるなと言っていたという)
今となっては迷信だろうと自分に言い聞かせつつも、かなり心配な自分がいる。
「ぽぽぽ…」という、あの声が聞こえてきたらと思うと…
Posted at 2011/04/22 23:23:02 | |
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