2011年07月31日
11 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:05:00.80 ID:51cP0YmvO
( ^ω^)はあらゆるチート達と戦うようです
第四話。
『前回までのあらすじ』
最強能力決定戦と称し様々なチート能力者と戦うはめになったブーンは、安価内容をそのまま使える能力【気分次第《アンカーテイク》】を駆使して強敵を倒していき、
たまたま出会ったつーとしぃ、そして仲間のツンすら敵に回すような無茶をやってフルボッコにされたりしていた。
今回の敵は?今回の安価は?
誤字が多いが、今回は誤字なく終われるのだろうか?
13 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:06:58.20 ID:51cP0YmvO
一応、登場人物と能力
( ^ω^)【気分次第《アンカーテイク》】(vip)
ξ゚⊿゚)ξ【拳王ラオウ】(北斗の拳)
(*゚∀゚)【鬼《オーガ》】(バキ)
(*゚ー゚)【男塾塾長】(男塾)
・共に行動中
('A`)【一方通行《アクセラレータ》】(禁書)
/ ,' 3【???】
・共に行動中
( ´∀`)【百式観音】(HxH)
川 ゚ -゚)【火水木金土日月を操る程度の能力】(東方)
从'ー'从【大嘘憑き《オールフィクション》】(めだかボックス)
・????
14 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:08:27.52 ID:51cP0YmvO
※ブーンの能力【気分次第《アンカーテイク》】について
指定アンカーにかかれていた能力をそのまま使える能力
「~能力」と、最後に「能力」とかかれていなければ再安価。
一人の敵につき、一回ずつ出来る。
今まで出てきた能力
『手から溢れんばかりのコーラを出す能力』
『座布団を一週間近く回し続けられる能力』
『髪の毛を急速に成長させる能力』
『超反射神経が身に付く能力』
15 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:12:35.65 ID:51cP0YmvO
――――路地裏
さて。
いきなりで悪いが、現実には相手の都合の良い悪いで攻撃を仕掛けてくる敵なんかいない。
(それは、わかってるお…)
漫画じゃあありえないが、死ぬ人間は例えば友人との会話中でも死ぬ。それが現実だ。
死ぬ時は死ぬ。死はいきなりやってきて、死ぬ。誰でもいつかは死ぬ。死にたくないやつもいるだろうが、そうは問屋が下ろさないわけで死ぬ。問屋も死ぬ。みんな死ぬ。
(…わかってるお。でも、でも!)
結局の所、世界はそんなに優しさ満点で出来てはいない。綺麗なものは簡単に壊れ、優しいものは簡単に駆逐される。
( ;ω;)「わかってるって言ってんだお!!!」
頭に浮かぶもの全てを取っ払うように、ブーンは一人で叫んだ。路地裏の壁にへたりこみ、息をあらげている。
16 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:14:57.04 ID:51cP0YmvO
( ;ω;)「くそっ…くそぉ……!!」
ツンは無事だろうか。つーは、どうなったのか。
確かめる術は、今はない。焦った所でどうにもならないのは自分がよくわかってるが、それでも体は強張るばかりだ。
本当なら、物語の冒頭としてこんなのは語られるべきではない…いやそもそもこんなの起こるべきじゃないのに。
なのに。
( ;ω;)「なんで…なんでこんな事に…」
………しぃが、殺された。
23 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:18:38.87 ID:51cP0YmvO
「『あはは』」
「『ギャグチックな幕の引き方なら、』」
「『次は陰惨な始まり方にはならないと思った?』」
「『私がおっとりした顔立ちだから』」
「『優しくすれば話が通じると思った?』」
「『仲間になったやつと助け合える展開、来ると思った?』」
「『あはは』」
从'ー'从「『甘ぇよ。』」
その悪魔の名は、「渡辺」。
持ちうる能力は………
――――――全てを台無しにする過負荷《マイナス》、【大嘘憑き《オールフィクション》】。
27 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:20:59.93 ID:51cP0YmvO
話は、あの最強女3人と戦闘が終了した時まで遡る。
人類最強の3人からしこたま殴られた(とは言っても手加減はして死なない程度に、かつ痛みは感じるように)僕は、3人と共に大通りを歩いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「こう言っちゃなんだけど、意外と楽しかったわね」
(*゚∀゚)「そだな。姉妹喧嘩も飽きていた頃だったからな」
(*゚ー゚)「そだねー」
ξ゚⊿゚)ξ「アンタもそう思うでしょ?ゴミクズ」
( ^ω^)「その通りですね。御三方は釣り合う敵がいなかった故、こう言った会合は素晴らしく有意義です」
最強の3人によってアスファルトの地面を文字通りスクランブルされたスクランブル交差点を抜けようとしていた時だった。
28 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:24:25.79 ID:51cP0YmvO
それは予兆も何もなく、いきなり現れた。
本当に、何もなかった。
躊躇もなく、遠慮もなく、情緒もなく。
ぱっと現れ、絶望だけを振り撒いていった。
「『あ、あのう、すいません……』」
( ^ω^)「ん?」
32 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:27:25.47 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『あ、あの、私、渡辺って言います~』」
振り替えれば、そこに少女がいた。能力者なのだろうが…どうも警戒心を抱けない、変な少女だった。
(*゚∀゚)「…ふん?どした?」
从'ー'从「『ちょっと私、コンタクトレンズをここらへんで落としちゃって探してるんですけど~……』」
(*゚ー゚)「………」
しかしよく見れば、不思議な印象を受ける子だった。恐らく、自分以外のみんなそう思っているに違いないとしぃは思った。
こう言っては失礼なのだけれど、この子の発言は風船のように、中身がなくふわふわ浮かんでいるような。
――――何から何まで、嘘に聞こえてしまうような、そんな感じ。
34 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:29:36.97 ID:51cP0YmvO
ξ;゚⊿゚)ξ「あー、コンタクト?コンタクト…ねぇ。私達あんだけ暴れまわった後だし、ここら辺なら潰れてしまった可能性の方が高いわね…」
从'ー'从「『え、そうなんですか?』」
ξ゚⊿゚)ξ「うーん…ごめんなさいね」
从'ー'从「『つまり今からあなた達を惨殺しても問題ないんですね?』」
( ^ω^)
(*゚∀゚)
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
( ^ω^)「え」
突如、人間の手には明らかに余るほどの巨大なネジが、4人に向けられて大量に飛来した。
45 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:35:19.49 ID:51cP0YmvO
ネジのその数、およそ10から15。4人に綺麗に分散され、発射された。
(;^ω^)「うわっ―――」
ブーンは、悲鳴をあげた。
ξ;゚⊿゚)ξ「―――!!」
ツンはとっさに、ネジを殴り飛ばした。
(*゚∀゚)「!」
つーは対応が早く、蹴りで全て撃ち落とす
(;*゚ー゚)「」
しぃは全てを吹き飛ばし、あまつさえブーンの方に飛来するネジすらも叩き落とした。
从'ー'从「『あらら』」
52 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:41:27.93 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『へぇ~凄い。やばい。やばいね』」
从'ー'从「『本当にやばいもう無理だ私死んじゃう遺書書いときゃ良かtt』」
(*゚∀゚)「うらぁ!!」
一番最初に動いたのはつーだった。この対応の速さから見るに、彼女最初っから渡辺を信じていなかったのだろう。
右足が綺麗な曲線を描き、渡辺の顔面にぶち当たる。
吹っ飛ぶのかと思いきや、意外と飛距離はなかった。しかしその分、力は渡辺の頭に収束されたのだろうか。
ドパッ、という聞いた事のない音が鳴り、渡辺の左顔面が爆破されたように崩壊した。
60 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:47:12.61 ID:51cP0YmvO
ずしり、と重い音を立て沈む渡辺の体。何も物怖じしないつーが羨ましいと、ブーンもこの時ばかりは思った。
(;*゚∀゚)「……ふぅ。なんかこいつ、変だなと思ったら…」
ようやく頭が回転してくるが、すればするほど目の前の異常に困惑する。
(*゚ー゚)「私も思った」
ξ゚⊿゚)ξ「私も」
从'ー'从「『私も』」
(;^ω^)「僕もちょっと思ったお…でも、いきなりこんなn」
(;^ω^)「は!!?」
倒れたはずの渡辺は自分達の真ん中にいた。
余韻に浸る時間すら、くれなかった。
68 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 21:52:54.66 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『でも一思いに殺してくれてありがとう』」
从'ー'从「『おかげで痛み無く死んで、生き返れたよ』」
从'ー'从「『そうだ、こんな戦い今すぐやめてみんなでファミレスでも行かない?私すごいドリンクバーの調合法知ってるんだけど…』」
ゾワリ、と。
得体の知れない何かに首筋をなぞられたかのように、4人は渡辺から急速に距離を置いた。
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なんで……!」
寒気しかしないこの渡辺という存在に、ツンは混乱してしまう。それはつーとしぃも同じだった。
(;^ω^)「みんな、逃げるお!!」
その中、ネジの一つにすら対処出来なかったブーンが一番冷静な対処を下す。
(;^ω^)「こいつには勝てない!こいつ、間違いなく」
(;^ω^)「【大嘘憑き《オールフィクション》】だお!!」
80 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:00:47.54 ID:51cP0YmvO
【大嘘憑き《オールフィクション》】と聞いて、反応出来る人は少ないのではないか。
最近になって明らかになった能力なので知名度は低いが、その能力は洒落にならないものだ。
『現実《すべて》を虚構《なかったこと》にする能力』。
この能力にかかれば全てのものは「なかったこと」にされ、それは自身の死ですらがなかったことになる。
どうしようもなく、全てを台無しにする力。
そんな禍々しいものを持つのが、この渡辺。まともな人間でないのは実証済みである。
(;^ω^)「今すぐ、逃げるんだお!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ッ!!」
最初に動いたのはツンだった。こういう時の対応の速さは、頼りになる部分だ。
(;*゚∀゚)「おっけい!!」
つーもコンマ何秒か遅れて、踵を返し走る。
(*゚ー゚)「わかっ―――」
しぃも、それは例外じゃなかった。
1秒あるかないか。
そんな時間が、全てを分けた。
91 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:04:12.03 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『やだーみんななんで逃げるのナベちゃん泣いちゃーう』」
从'ー'从「『ナベちゃん、あなた達とお近づきになりたいだけなのよ?』」
从'ー'从「『だから』」
从'ー'从「『《あなた達との距離をなかった事》にして、文字通りお近づきになろうっと』」
ぐわ、と何かの気配がして
(;*゚ー゚)
しぃの背後に、渡辺はいた。
106 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:11:11.57 ID:51cP0YmvO
(;*゚∀゚)「らあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そこに振り向きざま、一閃。
つーはしぃを越え、ありったけの力を込めた握り拳を作り、渡辺の顔をぶん殴る。
从'ー'从「『オアマーーーーーー!!!』」
わざとらしい声を出しながら、遥か後方に吹き飛ぶ。
(;*゚∀゚)「みんな!!バラけて逃げろ!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「え!?」
(;*゚∀゚)「今の見ただろ!?まとめて逃げたら、全員やられる!!」
(;^ω^)「…確かに、正論だけど……!!」
………そんな事したら、つーは?
126 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:16:55.41 ID:51cP0YmvO
(;*゚ー゚)「お姉ちゃん!!どうする気なの!?」
(;*゚∀゚)「俺がこいつを引き留めとく!!だから!逃げろ!」
(;^ω^)「……!!」
从'ー'从「『……』」
渡辺は、もう立っている。今の攻撃のダメージも既に、《なかったこと》にされたのだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「冗談じゃないわ!アンタ死ぬ気!?そんなのかっこよくもなんともい!!」
(;*゚ー゚)「そうよお姉ちゃん!!一緒に逃げy」
从'ー'从「『いや、それはちょっとやだな。私、この子とデートしたいから』」
次の瞬間には、渡辺はしぃの前にいた。
从'ー'从「『さてと、あなたいまお姉ちゃんって言ったね。妹を守る姉。萌えるね』」
(;*゚ー゚)「あ――――」
133 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:19:45.11 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『だから、ちょっと壊させてね』」
(;* ー )「う、うわああああああああああああ゛あ゛ぁ!!!!」
渡辺が何かしたかと思えば、しぃは地に伏せていた。
160 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:25:35.67 ID:51cP0YmvO
(;^ω^)
ξ;゚⊿゚)ξ
声も、出なかった。唯一声が出たのは、つーだ。
(;*゚∀゚)「おいてめぇ!!何をし――――」
从'ー'从「『大袈裟だよぉ。ちょっとこの妹ちゃんが可愛かったから』」
从'ー'从「『この子の《五感全てを、なかった事にした》だけだよ?』」
ブーンその時の渡辺の表情を、忘れ去る事は出来ないだろうなと思った。
それは僕らが朝ごはんにパンを食べる時のように。
自販機でコーヒーを買う時のように。
学校で友達と会話する時のように。
そんな平然とした顔だったからこそ、異常に強く焼き付いてしまった。
(;*゚∀゚)「なっ……!!」
(;*゚∀゚)「戻せ!!今すぐに!!」
从'ー'从「『やだなぁ』」
从'ー'从「『《なかったことをなかったことにする》なんて出来るわけないじゃない』」
178 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:30:49.43 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『私は万能じゃないよ?ただのか弱いモテカワスリムの愛されガールだもん』」
从'ー'从「『私の能力は言わばリセットボタンなの。リセットボタンを2回押したからって、リセットした事自体をリセット出来る?』」
(;゚ω゚)「……!!」
それ、なのに。
平然とやってのけたというのか。こいつは。
(;* ー )「わあああああああああ!!!!!わあああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!」
しぃの絶叫は続く。
彼女はいま五感を全て失い、何が何か分からず発狂寸前なのだろう。
それでも声をやめないのは、全てを失った彼女なりの、最後の抵抗なのかも知れない。
191 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:35:35.47 ID:51cP0YmvO
しぃの絶叫に重なるように、つーも叫ぶ。
(;*゚∀゚)「お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!なんて事をしてくれやがんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
从'ー'从「『あ、いい顔だ。その顔いい。写メとりたいね』」
(;*゚∀゚)「ふざけんな!なんで、なんでこんな事を!!」
从'ー'从「『え、理由?………んーとねぇ……』」
从'ー'从「『ごめん、ちょっと待って。後で考えてツイッターで呟いとくから』」
(*゚∀゚)
ぶち、と。
何か不吉な音がした。
(;^ω^)
ξ;゚⊿゚)ξ
(#*゚∀゚)「てめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
209 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:41:22.11 ID:51cP0YmvO
(#*゚∀゚)「殺す!!!!殺す!!!殺す!!!コロォォォォォォォォス!!!」
つーは、走る。渡辺に向かって。
最愛の妹から大事なものを平気で奪ったその女に向かって。
だが。
从'ー'从「『え、私殺されるの?なにそれこわい』」
从'ー'从「『じゃあ殺される前に』」
从'ー'从「『妹ちゃんだけでも殺さないとね』」
今までで一番大きなネジが、足元でまだ絶叫を続けるしぃの脳天に向かって。
从'ー'从「『あは♪れっつふらんけーん』」
垂直に、ささった。
(#* ∀ )
226 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:46:36.75 ID:51cP0YmvO
しぃの絶叫が、最後の抵抗が、止まった。
「しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
つーが、叫ぶ。空気が張り裂けるほどに。大地が揺れるほどに。
从'ー'从「『あ、ごめんね。そうなるよね。妹が目の前でネジに脳姦されたら、そりゃそうなるよね。じゃあ』」
从'ー'从「『この子が死んだこともなかったことにして、もっときつくない死に方を見せた方がいいかな?』」
(* ∀ )
(;゚ω゚)
ξ;゚⊿゚)ξ
皆、同じ事を考えたはずだ。
――――こいつの、あたまは、おわっている。
246 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:50:39.97 ID:51cP0YmvO
しぃは、死んだ。
(* ∀ )「あああああああああああああ!!!!あははは!!!!あはははははははは!!!」
つーは、壊れた。
ξ;゚⊿゚)ξ
(;゚ω゚)
二人は、動けなかった。
从'ー'从「『あ、メールきた……なんだよメルマガかよ死ね』」
渡辺だけが、平然としていた。
(;* ∀ )「ああああああああ!!!」
渡辺の声に反応したかのように、つーだけは動いた。
その無敗を誇った握り拳に力を込めて、
ありったけの力でぶん殴った。
………ツンとブーンを。
262 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 22:57:56.47 ID:51cP0YmvO
(;^ω^)「は?」
ξ;゚⊿゚)ξ「え、つー……!」
それは自暴自棄になった故の拳ではなかった。
そこで二人はつーの意図がわかった。
この拳はあまり痛くなかった。しかし、あまりの威力に、野球ボールを宙になげたように吹き飛ばされた。
この矛盾がうめるのは範馬勇次郎ならではで、この矛盾が意味するのは
二人を、逃がしたのだ。
(;* ∀ )「逃げろ!!ブーン!!ツン!!」
(;* ∀ )「走って逃げろ!どこまでも逃げろ!!ありったけの力で精一杯逃げろ!!」
(;* ∀ )「俺はもう無理だ!!あは、心がどうにかなっちまいそうだ!!だから!!もう無理だから!!」
(;* ∀ )「せめてお前らは逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!短い間だったが!!!楽しかったぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
こうしてツンとブーンは、別々の方向へ飛ばされる。
それからの事は、二人にはわからない。
277 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:01:24.53 ID:51cP0YmvO
(; ω )「以上、僕のながーい回想、終了だお……」
ブーンは路地裏にへたりこんだまま、独り言を呟いた。
いや、それは独り言と言うのもおかしい話かも知れない。
从'ー'从「『え?なんて?』」
話し相手が、そこにいるのだから。
295 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:05:15.19 ID:51cP0YmvO
まったくこの渡辺というのは、わかっていない。
間というものを。
回想が終わり、
逃げろと言われ少し逃げたが、
やはり主人公の熱い心がそれを許さず引き返し、
敵を倒して仲間を助けてハッピーエンド。
そうじゃないと、割りにあわない。
( ゚ω゚)「割にあわねぇんだおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
( ゚ω゚)「【気分次第《アンカーテイク》】ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
302 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:07:20.10 ID:51cP0YmvO
( ^ω^)「さてさて今回は最初っから最後まで絶望的」
( ^ω^)「たぶん、未来も絶望的」
( ^ω^)「でも僕は信じてるお」
( ^ω^)「………ははは」
( ω )「この外道を倒す力を、僕にくれお。指定アンカーは………」
――――――>>320
320 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/25(月) 23:08:14.74 ID:H5FQmJDy0
アンサートーカーを取得しそれを100%使いこなす能力
370 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:09:56.84 ID:51cP0YmvO
『能力が、決定しました。』
>>320
アンサートーカーを取得しそれを100%使いこなす能力
( ω )「ありがとう。じゃあ」
――――――行ってくるお
404 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:13:41.91 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『………ん?』」
( ゚ω゚)「………」
――――雰囲気が、変わった?
从'ー'从「『どうしたの?いきなり顔しかめちゃって。腹痛?』」
从'ー'从「『ブーン君、だっけ。心配ならしなくていいよ。あのツンちゃんって子なら、ちゃーんと殺しt』」
( ゚ω゚)「妄言なら、吐かなくていいお」
从'ー'从
( ゚ω゚)「僕には、答えが見える」
426 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:18:42.90 ID:51cP0YmvO
( ゚ω゚)「僕の元に来た時間を単純に計算しても、ツンを殺す時間なんかない」
( ゚ω゚)「お前の武器は【大嘘憑き《オールフィクション》】。そんな武器だが、それに加えて厄介なのがその他人の心を引っ掻き回す、いわば『戯言』。」
从'ー'从「『………』」
( ゚ω゚)「なぜそんな事をする必要がある?お前の能力は絶大な力があるのに」
( ゚ω゚)「なぜそんな言葉を使う必要がある?お前の能力は絶大な力があるのに」
从;'ー'从「『………』」
( ゚ω゚)「お前、その力、使いこなせてないだろ?」
458 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:24:07.45 ID:51cP0YmvO
从;'ー'从「『お前……!!』」
( ゚ω゚)「おかしいと思ってたお。僕らがを殺したいなら、最初から《僕らの存在をなかった事》にしたらいい」
( ゚ω゚)「でも、それが出来なかった。そこから導き出されるのは、『人間固体などの大きな存在をなかったことにするのは難しいから』だろ」
( ゚ω゚)「お前はそれをカバーするように、敢えて能力を見せびらかして、その残虐性と絶対性をアピールして」
( ゚ω゚)「【大嘘憑き《オールフィクション》】が抗いようのないチート能力だって、僕たちに植え付けた」
( ゚ω゚)「違わないだろ?それが答えなんだから」
从#'ー'从「『お前………!!!!』」
478 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:29:14.64 ID:51cP0YmvO
从;'ー'从「『ごちゃごちゃうるせぇよ!!!』」
ネジを構え、ブーンに向かい投げる。その数は、目測ですら50は軽く超える。
どこに隠してあったのだと聞きたくなるが、今はそれどころじゃない。
ブーンが、それに擦りもせずに全てを避けたからだ。
从;'ー'从「『なっ!!?』」
「どうやったら全てをかわせる?」
この答えが一瞬で頭に浮かんで、それを実行しただけ。
それがこの、アンサートーカー。
答えを、導きだすもの。
( ゚ω゚)「慌てるなお。もしお前の能力が暴発して」
――――――お前の存在が《なかったこと》になれば、どうするんだお?
从;'ー'从(こいつ――――――!!?)
494 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:34:24.68 ID:51cP0YmvO
从;'ー'从(私の弱点が完全に把握されてる――――!!)
金だと思っていたものが実は金メッキで、その金メッキすらがはがれ、薄汚れた中が見栄始める。
その感触を、ブーンは手にとっていた。
( ゚ω゚)「確かにその【大嘘憑き《オールフィクション》】はいい能力だお。発動条件が任意なんだから」
( ゚ω゚)「しかし遠距離でやるのはかなり苦労。実際、お前は近づいてからしか攻撃をしていないお」
从;'ー'从「それがわかったからって!!あなたには私を倒す方法なんか!!」
( ゚ω゚)「あるお」
从;'ー'从「――――――!!!!」
508 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:37:00.54 ID:51cP0YmvO
( ゚ω゚)「お前、今のその心臓」
( ゚ω゚)「ニセモノ、だろ」
从;'ー'从「『な』」
从'ー'从「『なんで、それを………』」
金メッキは全て剥がれた。
薄汚れた中身は、見るに耐えない。
536 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:42:55.95 ID:51cP0YmvO
( ゚ω゚)「お前は生まれつき心臓を患ってた。体の成長度合いの偏りからそれがわかる」
( ゚ω゚)「ただし、今のお前は至って普通だお。なぜか?」
( ゚ω゚)「こっちの世界にきて【大嘘憑き《オールフィクション》】を使って、それを《なかったこと》にしたから」
( ゚ω゚)「しかし最初に使ったからか、その【大嘘憑き《オールフィクション》】は完全じゃなかった」
( ゚ω゚)「治ったように見えるのは外面だけ。つまり、僕が全力でそこを叩けば心臓くらい簡単に止まる」
( ゚ω゚)「そして、それはどうしようもない。だって」
――――――心臓のそれをもう一度完全に治す方法を。
なかったことをなかったことに出来ないって言ったの、お前だもんな?
从; ー 从「『うわああああああああああああああ!!!!』」
564 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:49:12.00 ID:51cP0YmvO
从; ー 从「『うるさい!!うるさい!!うるさああああああああああい!!!』」
( ゚ω゚)「僕は躊躇しないお。『その心臓をぶん殴るにはどうすればいいか』?その答えも、とうの昔に見えてる」
( ゚ω゚)「もう一度いう。くるならこい。ただし僕は、躊躇しないお」
从; ー 从「『うるさいんだよみんな!!お前も!!お医者さんも!!お母さんも!!』」
从; ー 从「『あなたはもう少ししか生きれないけど、なんて!!!』」
从; ー 从「『私はずっと生きてたいの!!!そんなしみったれた現実なんか』」
从;ー;从「『この力で全部、《なかったこと》になるんだからぁあああああああああ!!!!』」
ネジを両手に、おぼつかない足取りで。
嘘つき少女はこちらにむかってきた。
573 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:52:49.14 ID:51cP0YmvO
/ ,' 3「『じゃあお前が消えれば万々歳じゃろうが。回りにあたるなバカモンが。』」
从;ー;从「『え?』」
渡辺の背後から
その小さく膨らんだ左胸に
心臓を貫通するように
ネジが飛び出ていた。
598 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:56:44.24 ID:51cP0YmvO
( ゚ω゚)「……」
/ ,' 3「『んー、この能力はいまいちだな。やっぱいらねぇ』」
/ ,' 3「捨てよう」
( ^ω^)「………」
渡辺が死に、アンサートーカーが消えた。
しかし、まだまだ考える事はたくさんある。
/ ,' 3「おい坊主。さっきの言葉、ワシに言ってたんじゃろ?『くるならこい、躊躇わない』って、二回も言って」
( ^ω^)「あんた、何者だお」
/ ,' 3「老人」
( ^ω^)「それはアンサートーカーがなくてもわかる」
609 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 23:59:49.52 ID:51cP0YmvO
( ^ω^)「なんであんた、割り込んできたんだお」
/ ,' 3「ああ、いやぁな?お前、ワシとちょっと似た匂いがしてなぁ」
( ^ω^)「……それはちょっと、僕も感じてるお」
/ ,' 3「自己紹介をしておく。ワシは荒巻スカルチノフ。」
――――お前と同じ、主謀者《オリジナル》じゃよ。
その言葉を吐き捨て、老人は去っていった。
630 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火) 00:04:02.80 ID:Vh67slpSO
( ^ω^)「………」
主謀者《オリジナル》
実を言うと。先ほどのアンサートーカー中に老人は既に見ていた。
ついでなので『老人の能力は?』という答えも導いていたのだ。
彼、荒巻の能力は
【都合のいい模写《コピーアンドペーストテイク》】
他人の好きなものをコピーし、自分にペーストするコピペの能力。
能力だけでなく、身長や声帯などもコピペ出来るようだ。
そしてその能力からは、どこか自分と似た匂いがするのだ。
642 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火) 00:06:52.12 ID:Vh67slpSO
( ^ω^)「………」
あと、10秒渡辺が死ぬのが遅かったら。
全ての答えを導けたのかも知れない。
しかし………そんな事を考えるのは不毛だと思う。
過去を《なかったこと》にしてもう一度やり直すなんて、誰にも出来ないんだから。
第四話、終わり。
Posted at 2011/07/31 19:25:16 | |
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ブーン系小説 | 日記
2011年07月28日
6 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:31:14.68 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)はあらゆるチート達と戦うようです
第三話。
『前回までのあらすじ』
最近能力決定戦と称して、様々なチート能力者と戦う事になってしまったブーンは、『アンカー内容がそのまま使える能力』を持つ【気分次第《アンカーテイク》】を駆使し、
見事【世界《ザ・ワールド》】を使うモララーを倒し
続けて【絶対遵守のギアス】を持つヒッキーをツンと協力して倒したのであった。
今回の敵は!?そして、今回の安価は!?
そして、そろそろまともな安価で厨二バトルを繰り広げたいと思っているのは作者だけなのか!?
8 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:32:27.95 ID:RaK+trrfO
一応、人物一覧とその能力
( ^ω^)【気分次第《アンカーテイク》】(vip)
ξ゚⊿゚)ξ【拳王ラオウ】(北斗の拳)
・共に行動中
('A`)【一方通行《アクセラレータ》】(禁書)
/ ,' 3【???】
・戦闘中
( ´∀`)【百式観音】(HxH)
川 ゚ -゚)【火水木金土日月を操る程度の能力】(東方)
从'ー'从【大嘘憑き《オールフィクション》】(めだかボックス)
・????
9 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:33:49.98 ID:RaK+trrfO
『なんだよあのブーンってやつwwwwまだ生き残ってやがるよwww』
『あれ、意外と強いかもよ?【気分次第《アンカーテイク》】。なにせランダムとは言え、相手の能力を見極めてから能力を決めるんだからなぁ。じゃんけんで言う完全後出しだよ』
『けど、相手がグー出したからってパー出せるって能力じゃないのがおもしれぇよなwww実際、今回はあのツンってのがいなけりゃ死んでたし』
『【拳王ラオウ】、ねぇ。世紀末覇者の精神の前には、催眠系の術は一切意味を為さない、か。こりゃ【精神掌握《メンタルアウト》】でも無理かもな』
『そりゃチートだねぇ』
『…そういやチートと言えば、あいつらは?』
『あぁ、ドクオと荒巻か?……あれ、まだ戦ってるみたいだな』
『まじで?あいつらお気に入りだから、どっちも死んで欲しくないんだがなぁ――――――』
13 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:35:50.80 ID:RaK+trrfO
――――商店街
再び静寂を取り戻した商店街に、二人の男女がいた。
ξ゚⊿゚)ξ「…これから、どうする?」
まだ体についている埃を払いながら、ツンはブーンに語りかける。
( ^ω^)「……お。とりあえずは、もっと散策しないと何も言えないお。僕みたく、仲間を探してる人もいるかも知れないし」
ξ゚⊿゚)ξ「…あのね、さっきで学んだと思うけど…」
( ^ω^)「わかってるお。どうやら僕みたいな考えのやつは少数派らしいって事もよくわかったお。」
ξ゚⊿゚)ξ「なら良し」
( ^ω^)「…なんでみんな、そう好戦的なのかねえ…」
15 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:37:09.53 ID:RaK+trrfO
ξ゚⊿゚)ξ「仕方ないわよ。だって私達に与えられる能力は、どいつもチートなのよ?ドラクエで言うなら旅立つ前から家にロトの剣があるようなもんよ。そりゃ使いたいでしょ?」
( ^ω^)「…なんか妙に納得したけど、ツンお前、漫画とかゲームはやらないんじゃなかったかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ほんと、私をガッカリさせないでね?パパスの剣を初めて使ったあの時のように」
( ^ω^)「おい、お前の中で何があった?」
ブーンの問いを無視して商店街を進む二人。
その後は特に会話もなく、まっすぐ歩いている内に大通りへ出た。
16 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:38:32.60 ID:RaK+trrfO
大通りも静寂のままだった。
ξ゚⊿゚)ξ「………」
( ^ω^)「………」
ここにも、人は一人たりともいなかった。車も走っていないのので、無口に赤を照らし続けている信号にとてつもない違和感がある。
ξ゚⊿゚)ξ「……なんか、怖いわね」
( ^ω^)「いいお。静かな方が、探すもんが探しやすいしね」
しかし、どうする。
二人には「人を探す」というアバウトな目的しかないので、目の前にあるマンションをぼーっと眺めながら二人は考えた。
19 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:40:02.09 ID:RaK+trrfO
ξ゚⊿゚)ξ「せめて声とか聞こえたらなぁ」
( ^ω^)「誰かが爆音を発しながらアピールしてくれてたら助かるのにね」
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿。そんなやついるわけ――――――」
その時。
二人がぼんやり見つめていたマンションの、2つ右にあるビル。
そこからとてつもない爆発音がし、3階だと思われる部分の窓ガラスが大破した。
22 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:42:09.31 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)「………」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ビルから、ちりちりと舞う粉塵。
( ^ω^)「………ツン先生」
ξ゚⊿゚)ξ「なんでしょう」
( ^ω^)「ビルさんが…ビルさんが爆音を発しながらアピールしてくれてますが」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん。中に絶対、能力者いるわね」
二人の間に流れるのは微妙な空気だった。その間にも、ビルは粉塵を吐き出し続ける。
まるで惨劇だった。
23 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:43:48.24 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)「どうします?」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
( ^ω^)「………」
ξ゚⊿゚)ξ「……北斗神拳奥義」
( ^ω^)「え?」
ξ#゚⊿゚)ξ「北斗、剛・掌・波ァァァ!!!!」
ツンがそう叫び右手を前に出すや否や、そこからきらびやかな闘気が発せられた。
そしてそのまま、爆発源である3階のあたりを、やや2階を巻き込む形で軒並み破壊する。
そして、轟音。
何が起きたかわからなくなるくらいに砂ぼこりが舞い、ブーンは目にしみて少し痛かった。
(;^ω^)「え、ぅええええええええええええええ!!!?」
27 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:49:23.48 ID:RaK+trrfO
ツンの能力【拳王ラオウ】。
それは、あの世紀末覇者のスペックがツンにあるという事だ。
当然今のような北斗神拳、しかも剛の拳を振るう事で物を破壊するのはお茶のこさいさいといったところなのだが、
(;^ω^)「いやいやお前何してんのォォォォォ!!?」
ξ゚ー゚)ξ「でもさ……確かめるより、潰した方が早くない?」
(;^ω^)「何その考え、うわ、つーかそのドヤ顔やめろ!腹立つ!もし中にいるのがドクオだったらどうするんだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、もしドクオならそれこそ生きてるでしょ」
(;^ω^)「なんでそんな事言いきれんの!?ドクオの能力を見たわけでもないのに!」
ξ゚⊿゚)ξ「え?あ、…あぁ、うん」
…そうだった。こいつは、知らないのだった。自分がドクオと出会った事も、その能力を見た事も。
我ながら初歩的ミスをしてしまったと心に反省するツン。しかし自分は、この事実をどのタイミング言うべきなのか。それも少し考えておかねばな、と思った。
29 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:51:58.78 ID:RaK+trrfO
(;^ω^)「まったくツンはガサツなんだから、もう!」
ξ゚⊿゚)ξ「………あー…。…うん、ごめんなさい」
(;^ω^)「ちょ、急にしおらしくなるなお…対応に困るわ…」
そんなやりとりの最中だからだろうか。二人はまったく気付く事が出来なかった。
「あひゃ」
(* ∀ )「見ーつけた……」
まだ立ち込める粉塵の中から一人、こちらを見定めている者がいる事に。
33 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:54:52.82 ID:RaK+trrfO
(;^ω^)「もっと考えて行動して欲しいお……」
ξ゚⊿゚)ξ「ごめんね、覇者だから」
(;^ω^)「え、それ言い訳?なぁそれ言い訳になると思ってんn―――」
(;^ω^)「―――――え?」
先に気付いたのはブーンだ。しかし、遅かった。
いや、正確にはブーンの反応が遅かったんじゃない。
相手のスピードが、早すぎた。
(* ∀ )「――――――!!!」
粉塵を吹き飛ばし、一気にこちらに駆け寄る女がそこにいた。
しかも狙いは自分ではなく、ツン。
後ろを向いているツンはまったく気付けていない。
38 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:57:11.78 ID:RaK+trrfO
(;^ω^)「ツン!!危な――――」
頭で考えるより先に、声が出た。しかし、もうとっくに手遅れだった。
(* ∀ )
女は、大きく手を広げ
ξ゚⊿゚)ξ「え――――」
ブーンの声を聞き、ようやく反応したツンに――――――
(*;∀;)「会いたかったぞ、妹よォォォォォォォ!!!」
――――――しっかりとハグをした。
41 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 20:59:11.74 ID:RaK+trrfO
(*;∀;)「しぃ!しぃぃぃぃぃぃ!!姉ちゃんはな、姉ちゃんはな!寂しかったんだよおおおおおおお!!!もう離さねぇぇぇ!!!」
( ^ω^)「」
ξ゚⊿゚)ξ「」
(*;∀;)「好き好き大好き愛してるぅ!!しぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
ξ゚⊿゚)ξ「……あんただれ?」
(*;∀;)「しぃ!し………」
(*゚∀゚)「………あれ?」
しかも人違いだった。
47 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:01:56.09 ID:RaK+trrfO
ξ゚⊿゚)ξ「つまりあなたは妹を探してるのね?」
(*゚∀゚)「そだよ!アタシはつー!よろしくな!」
( ^ω^)「よろしく、だお」
元気に言う、そのつーと言う少女。年は自分やツンと同じくらいだろう。その瞳には敵意や悪意をまったく感じさせない、今時珍しい子だった。恐らく学校では、活発だが争いをしらないという人気者タイプだろう。
ξ゚⊿゚)ξ「どうしてはぐれちゃったの?」
( ^ω^)「強い敵にでもあったのかお?」
(*゚∀゚)「違うよ!」
( ^ω^)「え、じゃあなんで?」
(*゚∀゚)「ちょっとムカついたからケンカして、それっきり別れた」
前言撤回。争いまくっていた。
9 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:05:25.13 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)「率直に言いたい。馬鹿だろお前」
(*゚∀゚)「否定はしない。そして、こんな世界だ」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
(*゚∀゚)「当たり前だが、アタシは殺し合いなんか大嫌いなんだ。だから、欲を言うなら誰とも戦いたくない」
(*゚∀゚)「けど、この世界はそんな人間ばっかじゃない」
( ^ω^)「………お」
ブーンは反応する。
この子は、少し自分に似ている。
それだけなのだけれど。
(*゚∀゚)「妹の名前はしぃってんだ」
52 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:11:44.63 ID:RaK+trrfO
ξ゚⊿゚)ξ「しぃちゃん、ね…」
(*゚∀゚)「そうだよ。アタシより2個下の、アタシをもっとおしとやかな感じのやつだ」
(*゚∀゚)「でもさ、あいつってばホント生意気で…いっつもケンカしてたんだ」
( ^ω^)「………」
(*゚∀゚)「こっちに飛ばされてからもそれは一緒で、またケンカになっちゃって別れちゃったんだけどさ」
つーの声が、ゆっくり震え始めた。
(*゚∀゚)「馬鹿だよ、あいつ。殺されてもおかしくない世界で意地張ってさ」
(* ∀ )「ホント馬鹿。にくったらしいったらありゃしない。…けどさ」
(*;∀;)「でも、やっぱ大好きなんだよ。こんな世界でわけのわからない事で、仲を裂かれたくなんかねーよ……」
――――助けたい。そう小さく呟いた。
56 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:17:51.10 ID:RaK+trrfO
つーは涙と嗚咽が止まらなくなり、そこからは何を語っているのかはわからなくなった。
( ^ω^)「……大丈夫だお。僕らも探すの手伝ってやるお」
(*;∀;)「ぐすっ…ひっく…………ぉんとお?」
( ^ω^)「もちろんホントだお」
ξ゚⊿゚)ξ「…ブーン、アンタ」
( ^ω^)「ごめん、ツン。さっき言った事、すぐ破っちゃって」
ξ゚⊿゚)ξ「いいわよ。お人好し」
( ^ω^)「お人好しじゃないお。可愛い女の子の泣き落としで屈しない男なんていない、それだけだお」
ちょっとイラッときたツンだったが、大号泣するつーの手前、殴るのはやめた。
58 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:23:15.05 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)「まぁ大丈夫だお!僕らも人を探してるんだし、それが増えるだけだお!」
(*゚∀゚)「…ありがとうな。ホントに、ありがとう」
ようやく涙が止まったつーと共に、歩き始める3人。
道なりに進めば、スクランブル交差点に差し掛かった。
(*゚∀゚)「よく信じてくれるな。アタシが嘘ついてるかも知れないのに」
( ^ω^)「まぁ、大丈夫だお。隣の凶暴ドリル女に比べれば、つーはまだ信じやすいお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうだね。ところでブーン。アンタ右手と左手どっちの全力で殴られたい?」
( ^ω^)「世紀末覇者の全力を我が顔面で受け止めれるのは光栄だが、僕がスーパー過ぎて釣り合わないのでちょっと遠慮させてもらおう」
59 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:26:36.51 ID:RaK+trrfO
ξ゚⊿゚)ξ「お前の生涯に一変の悔いなし」
(;^ω^)「ちょ、お前が決めんなwwwwてか謝るからごめん、右手はやばいって右手は!!」
(*゚∀゚)「………」
(*゚∀゚)「ちょい待ち」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
(*゚∀゚)「ツンちゃんの能力って、ラオウ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「…え、えぇ」
(*゚∀゚)「ラオウってあの、北斗の拳の?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。それが何か?」
(*゚∀゚)
(*゚∀゚)「あひゃ」
つーはニヤリと笑い
ツンを、渾身の力でぶん殴った。
63 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:28:18.25 ID:RaK+trrfO
(;゚ω゚)「はぁ!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ぐっ……」
(*゚∀゚)
直撃、では無い。ツンはギリギリの部分でガードしていた。そのすさまじい瞬間的判断力には素直に敬意を表したいものだ。
が。
まずこのつーの攻撃が、『殴る』という表現では足りなかったかも知れない。
つーの拳の衝撃を受けきれなかったツンは、軽々と真後ろに吹き飛ばされてしまった。
(*゚∀゚)
当のつーはと言うと、笑顔のままぶっ飛んでいったツンを見ていた。
まるで、ようやく念願のおもちゃをてにいれた子供のように。
66 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:32:55.37 ID:RaK+trrfO
(*゚∀゚)「やっぱし、ちょっと前言撤回、みたいな」
(*゚∀゚)「なぁ、ツンよ」
――――『俺』と、勝負しようぜ。
つーはそう吐き捨てた。その闘気はもはや、先ほどまで泣きじゃくっていた少女のものではない。
そして、何より
(;^ω^)(ツンが吹っ飛ばされた……?)
そう、それが問題なのだ。
ただの少女ならわかる。しかし、相手はツンだ。
ラオウの強さをそのまま持ち得る、覇者の少女。
その少女が、軽々と飛ばされてしまった。
(;^ω^)「な、つー……」
(*゚∀゚)「んあ、なに?」
(;^ω^)「さっきの…嘘、だったのかお」
(*゚∀゚)「嘘ではないよ、ブーン」
71 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:36:58.78 ID:RaK+trrfO
(;^ω^)「だってさっき、戦いが嫌いだって………」
(*゚∀゚)「え、その通りだよ?ただ、」
――――ケンカは大好きだけどね。
その一言に、鳥肌が立つ。つーが纏っている闘気は、ツンのものと似ている。
ただそれより濃く、まがまがしい。つーの回りの空間が歪んでいるような錯覚すら見える。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンは、つーをしっかり見据えて
ξ゚⊿゚)ξ「ノってやるわ」
つーに向かって走り始める。
75 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:41:48.26 ID:RaK+trrfO
(*゚∀゚)「あひゃ!」
つーも、ツンと相対するべく走って行く
ξ゚⊿゚)ξ「ッ!」
右拳を思いきり振りかぶり、躊躇いなく振り切るツン
(*゚∀゚)「おらぁ!」
対し、つーも出したのは右拳。精錬され美しくも見えるフォームで、ツンに目掛け発射する。
結果、拳同士がぶつかりあい、爆音を呼ぶ。
(*゚∀゚)
ξ;゚⊿゚)ξ「!?」
互角。二人の力比べは、均衡をたもったままだった。
(;^ω^)「まじかお……」
81 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:47:05.28 ID:RaK+trrfO
ただ、その均衡も長くは続かず、
(*゚∀゚)「お」
(*゚∀゚)「おおおおおおおらぁぁぁ!!!」
ξ゚⊿゚)ξ「なっ……!!」
つーが無理矢理右拳を振り切った事で、ツンはまた後ろへ吹き飛ばされた。
信じられない、と言った風に戸惑いを隠しきれないツンに向かい、つーは足を振り上げ、
(*゚∀゚)「ひゃっほう!」
そのまま足を勢いよく降り下ろす。
踵落としだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「やば…!」
ツンはそれを紙一重で交わし、左拳をつーに向かわせる。
ξ゚⊿゚)ξ「北斗神拳奥義………」
86 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:52:38.31 ID:RaK+trrfO
しかし、ツンの言葉はそこで途切れた。
交わしたはずのつーの踵落としが、アスファルトの地面を大きく砕いたのだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「なっ…!!」
それにより体制が崩れ、ツンの拳は空を切る。そしてその間にも
(*゚∀゚)「えへ」
(;^ω^)「あ!!」
つーは再び、拳を握る。みちみち…と、力が入る音が聞こえてくるようだ。否、実際に聞こえているのかも知れない。
(*゚∀゚)「ひゃおっ!!」
そしてツンに向かい、降る右拳。
ξ;゚⊿゚)ξ「うぁああ!!」
それを右腕でいなす事でかわすツン。空振りした拳は風を切る音を出して、そのまま引かれた。
96 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 21:59:59.58 ID:RaK+trrfO
本来なら、ツンのチャンスだ。しかしツンはここで一旦身を引いた。
ξ;゚⊿゚)ξ「…ブーン!」
(;^ω^)「なんだお!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「こいつの能力、なんなの!?なんで私の拳と渡り合えるのよ!!おかしいでしょ!!」
当然の疑問を、ようやく口にするツン。漫画アニメにはあまり精通していないツンには、目の前の現象はまるで怪奇現象そのものだった。
しかし、ブーンは違う。見ていたのだ。
つーが先ほど、握り拳を作った時に。
(;^ω^)「憶測でいいなら今からいうお!!たぶんだけど、そいつ……」
つーの背中、後背筋が筋肉で形作られ
……鬼の顔を形成したのを。
(;^ω^)「【鬼《オーガ》】だお!」
――――人類最強の生物と言われた、範馬勇次郎なんだお!
驚愕したまま、ブーンはそうツンに伝えた
108 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:10:09.10 ID:RaK+trrfO
格闘マンガの金字塔と呼ばれるマンガ、それが『バキ』である。その主人公の父親が範馬勇次郎だ。
人類最強であり、その戦闘力は一国家軍事力に匹敵すると言われる。
実際に彼は、合衆国アメリカと『個人で』友好条約を結んでいるほどだ。
その武勇伝は、もはや語るのもめんどくさくなる。
とにかく、最強。
それが範馬勇次郎。
(*゚∀゚)「あ~ら、バレちった」
ξ;゚⊿゚)ξ「なるほど、そんなやつがいるのね」
(;^ω^)「気をつけるお!範馬勇次郎はお前みたいな飛び道具を持たないけど、徒手空拳においては無敗を誇るんだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「へぇ。それは……」
ξ#゚⊿゚)ξ「超面白い話じゃないの!!」
能力がわかり安心したのか何なのか、ツンは一段と闘争心をむき出してつーに向かう。
113 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:13:44.32 ID:RaK+trrfO
(*゚∀゚)「そーだよ!やろうぜツン!ケンカってのはこうでなきゃなあ!!」
範馬勇次郎は、強き好敵手との戦いのみを好み、それが彼を進化させているのだ。
ラオウと聞いた瞬間に歯止めが効かなくなったのはそのせいなのだろう。
しかし、この戦い。
勇次郎VSラオウ。
言わば、最強vs最強。
ξ゚⊿゚)ξ「おおおおおおおお!!」
(*゚∀゚)「おらああああああぁ!!!」
この戦い。
(;^ω^)(ツンには悪いけど、男としてめっちゃワクワクするお!!!)
ブーンはツンに助太刀をしなかった。
ブーンは目の前の戦いをいつまでも見ていたかったからだ。
124 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:21:07.54 ID:RaK+trrfO
(;^ω^)「やべぇ、まじでどっちが強いんだろう!!」
もう何度目になろうか、二人が拳を合わせる。
(;*゚∀゚)「ぶっとばしてやらぁ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「なめんな!」
拳が重なり、余波が回りの空気を叩く。
その様は、ブーンにはもはや美しくすらあった。
ξ゚⊿゚)ξ「北斗神拳奥義!ごうしょ」
(;*゚∀゚)「させるか!」
構えたツンだったが、ハイキックを入れられて体制を崩される。
やはり初速では、少し負けてしまうのだ。
128 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:24:27.16 ID:RaK+trrfO
ξ;゚⊿゚)ξ「くっ………!」
ならば、奥義には頼らない。この拳のみを武器として振るうしかない。
全力の、全力で。
(;*゚∀゚)「む…」
つーもそれに気付いたのだろうか。
抱えた拳に、さらに力を入れる。
(*゚∀゚)「うおおおおおおおお!!!」
そして、振り切る。狙うはもちろん、ツン。
ξ゚⊿゚)ξ「うらぁあああああああ!!!」
同時、ツンも振り切る。狙うはもちろん、つー。
全力と全力のぶつかり合い。
(;^ω^)「おお――――!!!」
――――――そこで少し、邪魔が入った。
134 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:28:11.02 ID:RaK+trrfO
(;*゚∀゚)
ξ;゚⊿゚)ξ
(* )「……」
二人の拳は、互いに届かなかった。
二人の間にいる一人の人間、それを止めたのだ。
右手でツンの拳を、左手でつーの拳を
受け止めていた。
そしてそのままの体制で、片方に語りかける。
(*゚ー゚)「……何をしてるの、お姉ちゃん」
探し人が、そこにいた。
142 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:32:25.94 ID:RaK+trrfO
(;*゚∀゚)「……しぃ」
ξ;゚⊿゚)ξ「え……?」
(;^ω^)「……あれ、まさか……」
三者三様の思惑のまま、しぃは語り始める。
(*゚ー゚)「まったく、何してんの?」
(*゚∀゚)「しぃ……!!」
つーの肩は、あの時のように震えていた。
(*゚ー゚)「…ごめんね、お姉ちゃん。意地張っちゃって」
(* ∀ )「しぃ………!!」
(*゚ー゚)「…お姉ちゃん」
145 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:34:48.59 ID:RaK+trrfO
(#*゚∀゚)「せっかくいいトコだったのに、邪魔してくれてんじゃねえよ糞アマが!!!」
人類最強は、実の妹の脇腹に思いっきり蹴りをいれた。
150 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:38:53.79 ID:RaK+trrfO
(;*゚ー゚)「いって…!何すんだてめぇ!!」
(;*゚∀゚)「お前これがどういう状況かわかってねえのか!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「………いや、別にそんな………」
(;*゚∀゚)「この人の能力なぁ……」
(;*゚∀゚)「あのラオウなんだぞ!!」
(*゚ー゚)「………」
(*゚ー゚)
ξ;゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
(*゚ー゚)「前言撤回」
(#*゚ー゚)「私も混ぜろよォォォォォ!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「えええええええええええ!!?」
妹はノリノリだった。
165 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:45:41.86 ID:RaK+trrfO
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ブーン!!今度は!?今度はなんなの!?」
(;^ω^)「待てお!僕にもわかんねぇお!!」
(*゚ー゚)「きゃはっ!自己紹介してあげる」
(*゚ー゚)「私はしぃ、そこのつーの妹であり、つーより強い力を持つ者!!」
(*゚∀゚)「それはねぇ、よ!妹のくせに、よぉ!」
拳が行き交う中、3人は会話を続ける。一発まともに食らえば致命傷、といった中をあの姉妹はとても楽しそうに口を開く。
(*゚ー゚)「私だって最強なのよ!その能力は」
(*゚ー゚)「【男塾塾長】!!」
――――天下無双を体言する、男塾塾長の江田島平八の力を持ってるのよ!!
心から楽しそうにしぃは言う。
(;^ω^)「ま、ま、マジでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
174 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:51:28.01 ID:RaK+trrfO
「私が男塾塾長、江田島平八である!!」
この名言を知らぬ男、いや漢が、この日本にいるのだろうか。
もう多くは語るまい。あの男塾の塾長の座に揺るぎなくいて、そこから動かない男。それだけでその圧倒的存在感を知る事が出来る。
宇宙空間を素肌で泳ぎ、そのまま大気圏突入。そんな偉業を成し遂げたのも、この漢以外にはいない。
(;^ω^)「お、おぉ………」
ξ゚⊿゚)ξ
ラオウ。
(*゚∀゚)
範馬勇次郎。
(*゚ー゚)
そして、江田島平八。
「俺が目指す最強の漢ランキング」などがあれば、この3人は間違いなく3トップだろう。
そんな3人が、なんで
(;^ω^)「………なんで」
なんで。
(;^ω^)「なんで全員女なんだよォォォォォォォ!!!!」
183 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:56:23.47 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)
こんにちわみなさん、ブーンです。
さっそくですが、目の前からはけたたましい戦闘音が鳴り響いています。
最強と最強と最強が、ぶつかり会っています。
アホみたいな三竦みで、僕はもしかしたら今歴史の証人になっているのかもしれません。
ξ゚⊿゚)ξ「うぬぅッ!!!」
(*゚ー゚)「ぬぅえいッ!!」
(*゚∀゚)「キャオラッッッッ!!」
現に目の前では、少女から発せられる声とは思えない声が鳴り響いています。
なにこれ。しかもつー、きゃおらってそれ、ちがくね?
187 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 22:59:49.97 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)
さて、みなさんに質問したいのですが、こういった状況の場合僕はどうすればいいのでしょうか?
ほっとくべきですか?
実況ですか?
それとも、止めるべきですか?
はは、答えは……決まってますよね。
(# ゚ω゚)「俺も混ぜろやてめぇらァァァァァァァ!!!!」
200 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:04:46.92 ID:RaK+trrfO
ξ;゚⊿゚)ξ(;*゚ー゚)(;*゚∀゚)「えええええええええええええ!!!?」
(# ゚ω゚)「行くぞォォォォォォォ!!!【気分次第《アンカーテイク》】!!」
――――――
( ^ω^)「さぁーてみなさん、毎度おなじみ、【気分次第《アンカーテイク》】の時間です」
( ^ω^)「え?まさかこんな形で回ってくるとは思わなかった?そうですね、僕もそう思います」
( ^ω^)「でもね、僕の中の漢はそれを止めれなかった。なんだかいまいい気分です」
( ^ω^)「みなさんもそういう時って、あると思う」
( ^ω^)「余談が過ぎました。この糞アマ3人をぶちのめすためのとっておきのあなたの厨二妄想を、お願いします。指定アンカーは………」
――――――>>220
220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/24(日) 23:06:16.69 ID:Il9Fz8c30
髪の毛が急速に発達する
264 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:09:34.51 ID:RaK+trrfO
『>>220は最後に能力と入っていませんので、再指定します』
『指定アンカーは、>>280』
280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/24(日) 23:10:44.82 ID:ZvNBTdp+0
髪の毛を急速に発達させる能力
317 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:13:02.23 ID:RaK+trrfO
『能力が決定しました。』
>>280 髪の毛を急速に発達させる能力。
( ^ω^)「……お前らさ」
( ^ω^)「こういうチームワークは最強か?はは………」
( ^ω^)「愛してるぜ」
328 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:15:00.48 ID:RaK+trrfO
↑↑↑↑↑
|||||
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|||||
( ゚ω゚)「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううううううあらぁあああああああああああああ!!!!!!」
343 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:18:00.73 ID:RaK+trrfO
それは一言で言うなら、生命の神秘だった。
世の理を捨て去れど、消える事のない神秘の成長。
(*゚∀゚)
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ
それを見た3人の猛者は、声も出なかった。
ただただ、その『弱きが故の強さ』を眺めていた。
350 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:20:38.36 ID:RaK+trrfO
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
(*゚∀゚)
↑↑↑↑↑
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|||||
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|||||
|||||
( ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
(*゚∀゚)
ブーンは、3人の最強からフルボッコにされた。
363 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:24:03.73 ID:RaK+trrfO
ξ゚⊿゚)ξ「なんか……萎えた」
(*゚ー゚)「同意」
(*゚∀゚)「………俺も」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、もうマジでいらつくから、今度からそういうのやめてね」
$$$$$
SSSSS
SSSSSS
SSSSS
SSSSS
SSSSS~
SSSSS~
SSSSSノ
(“#)ωメメ)「ごめんなさい」
373 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:27:12.02 ID:RaK+trrfO
呆れ顔で退散しようとする女三人だった。
しかし、
( ^ω^)「……待てお!!」
ξ゚⊿゚)ξ「は?ちょ、マジでいいからそういうの」
( ^ω^)「僕の能力、【気分次第《アンカーテイク》】なんだが……」
( ^ω^)「まだ、使える」
ξ゚⊿゚)ξ「は?」
ピタリ、と立ち止まる最強の女3人。
388 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:30:50.32 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)「いまのはつーに向けたものだったから、次はしぃに向ければいいn」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、あたしらもう戦う気ないし」
(*゚∀゚)「だよな」
(*゚ー゚)「うん」
( ^ω^)「うっせぇお!!!お前ら自分がどんな素晴らしい能力持ってんのかわかんねーのかお!」
( ^ω^)「最強なんだぞ!!そんなのが、3人も集まってるんだぞ!!」
( ;ω;)「そんな状況で当の男の俺が参加出来ないってなんのイジメなんだよォォォォォォォ!!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「うわぁ」
ドン引き、である。
402 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:34:52.06 ID:RaK+trrfO
( ^ω^)「………みなさんどうも、二度目のブーンです」
( ^ω^)「え、しつこい?フフ……」
( ^ω^)「でも、言わば目の前は桃源郷。みなさんで言う二次元に行けたのと同じ感動が僕にはあります」
( ^ω^)「そんな状態で二次キャラと触れ合わずに、みなさん、三次元へ帰れますか?」
( ゚ω゚)「答えはノォォォォォォォォ!!」
――――――指定アンカー、>>420
420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/24(日) 23:36:00.82 ID:at1pueZQO
超反射神経が身に付く能力
447 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:37:34.59 ID:RaK+trrfO
『能力が決定しました。』
>>420 超反射神経が身に付く能力
( ^ω^)「………フフ」
( ^ω^)「これを待ってた」
( ^ω^)「これを待ってたァァァァァァァ!!!!」
469 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:40:51.76 ID:RaK+trrfO
( ゚ω゚)
ξ;゚⊿゚)ξ
(;*゚ー゚)
(;*゚∀゚)
3人は、異様な空気を察知する。
これが先ほどまでギャグをかましていた男の空気か?
(*゚∀゚)(こいつぁ、油断ならねぇ…)
( ゚ω゚)「気をつけろお」
ふらり、とブーンが体を揺らす。
(;*゚ー゚)「……!!」
そして。
ブーンは、消えた。
481 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:43:35.31 ID:RaK+trrfO
(;*゚∀゚)「は!!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「なっ!!」
(;*゚ー゚)「!!」
3人の視界には、すでにブーンはいなかった。
( ゚ω゚)「…うしろ」
(;*゚ー゚)「!!」
その声にようやく三人が振り向いた、その時
またすでに、ブーンはいない。
493 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:47:30.91 ID:RaK+trrfO
みなさんは「反射」とはどのような行為か、ご存知だろうか。
普段行う脳を経由する情報伝達に対し、反射は脊椎のみ経由し直ぐに行動を起こす事が出来る。
そのタイムラグは埋めようにも埋まるものではない。
つまり、関係がないのだ。
三人の女が最強であろうが、なんであろうが。
( ゚ω゚)
ξ;゚⊿゚)ξ
(;*゚∀゚)
(;*゚ー゚)
ブーンの動きを認めるまでの差は、埋まるものではないのだ。
どれだけ性能のいい自転車も、新幹線にはかなわないように。
507 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:52:10.17 ID:RaK+trrfO
(;*゚∀゚)「う、うらぁ!!」
最強の拳が振るわれる。その力は最強で最速で最重で、最高のものなのだろう。
しかし。
( ゚ω゚)
今のブーンには、なんなく交わされる。
(;*゚∀゚)「くっ……!!」
そして、また消える。
(*゚∀゚)「!!」
そして
無防備な首筋を、トン、と叩かれた。
( ゚ω゚)
(;*゚∀゚)「てめっ!!」
振り返った時には、もういない。
最弱が最強達を出し抜く状態が展開された。
515 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:56:44.64 ID:RaK+trrfO
ξ;゚⊿゚)ξ
(;*゚ー゚)
(;*゚∀゚)
三人は人類最強だっただけ。それだけだ。
本来、生命維持機能や防衛機能として受動的に行われるはずの反射を、能動的にこなせるブーンは、もはや人類を超越した。
( ゚ω゚)
手玉に取る事など、容易い。
こうやって3人に気付かれないうちに、3人のブラジャーのホックを外す事も容易い事なのだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「はっ!!」
(;*゚ー゚)「ちょww」
(;*゚∀゚)「うっわww」
( ゚ω゚)「ふひひ………」
528 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 23:59:00.44 ID:RaK+trrfO
ブーンは一言、呟く。
( ゚ω゚)「勝敗はもう、決してるお」
ξ;゚⊿゚)ξ(;*゚ー゚)(;*゚∀゚)「………」
( ゚ω゚)「僕の負けだお」
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
(*゚∀゚)
ξ゚⊿゚)ξ「………んぇ?」
539 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 00:01:35.79 ID:51cP0YmvO
( ゚ω゚)「いま気付いた事なんだけどさ」
( ゚ω゚)「この反射がどんだけ強い力でも、パワーがあがったわけじゃないんだよね」
( ゚ω゚)「パンチしたら絶対、自分の腕が折れる」
ξ;゚⊿゚)ξ「………」
( ゚ω゚)「しかもこれ、実はめっちゃ疲れる。体が痛い」
( ゚ω゚)「つまりじり貧だ。」
( ^ω^)「だから許して下さいお願いします」
546 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 00:03:08.61 ID:51cP0YmvO
( ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚∀゚)
(*゚ー゚)
( ^ω^)「……楽しかったね」
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚∀゚)
(*゚ー゚)
549 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 00:04:29.14 ID:51cP0YmvO
男の長い長い悲鳴と共に、こうしてまた一つの戦いが終わった。
559 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/25(月) 00:08:25.42 ID:51cP0YmvO
――――某所
('A`)「さぁーて、と」
('A`)「そろそろ行くか?」
/ ,' 3「どこにじゃ?」
('A`)「いろいろと心当たりがあんのさ、こっちには」
/ ,' 3「………」
('A`)「心配すんな。どうせすぐ終わる。その選択者《アレンジ》なんてものも、まだ発動してないんだしよ」
/ ,' 3「………まぁいい、ついていこう。ワシも暇じゃからな」
('A`)「助かるよ」
――――――
次第に、間延びする共鳴。
第三話、終わり。
Posted at 2011/07/28 21:00:06 | |
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ブーン系小説 | 日記
2011年07月27日
435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 21:01:21.33 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)はあらゆるチート達と戦うようです
第二話。
『前回までのあらすじ』
最強能力決定戦と称してチート野郎どもに囲まれてバトる事になったブーンは
安価で得た【溢れんばかりのコーラを手から出す能力】を駆使し、見事【世界《ザ・ワールド》】を操るモララーを倒したのだった!!
ねーよwwww
436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 21:03:46.09 ID:4gYOzM6fO
『おいおい、なんだよあのガキ。ブーンって言ったか?』
『あの野郎まじかよww惑星出現させやがったwwww』
『まさかなぁ…不確定因子もこれまた面白いかな、とは思ったけどありゃガチでチートだな』
『びびった。世界潰す気か?あいつ…。思わず結界作ってVIPと『平面的存在《グラフ》』どもをまとめて守っちまったよ』
『じゃあモララーも守ってやれよwwwwあんなの避けれっこねぇしズルすぎるwww』
『おいおい、お前何いってんだよ』
『チートって、そういうもんだろ?』
『………まぁ、そりゃそうか』
『それに、まだまだこんなの序の口だろうぜ』
『ほら、見てみろよ―――――』
441 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:06:31.78 ID:4gYOzM6fO
―――学校。
( ^ω^)「……」
ブーンは学校の校庭にいた。
目の前には見るも無惨に潰されてしまった元人間がいる。その犯人が自分だと言うのだから、苦笑いするしかない。
( ^ω^)「さーて、と……」
これからどうしようか。と、ブーンは考える。
今回のバトルは勝てたとは言え、その勝因はというと「能力を初めて使った相手のまだ不慣れな部分を突けた」という所によるものが大きい。
もし今後も【世界《ザ・ワールド》】のような能力が出てきたらと思うと、わからなくなくなる。
443 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:08:12.68 ID:4gYOzM6fO
ブーンの能力、【気分次第《アンカーテイク》】。
これは、当たりがあるかもどうかもわからないルーレットを回すような能力だ。
一人では、戦闘の不確定要素が多すぎるのだ。
そう、一人では。
( ^ω^)「やっぱ、仲間が欲しいお……」
敵にするには怖すぎるやつらばかり。逆に言えば、仲間にすれば心強いものも多いだろう。
ブーンは半壊となった学校を出て、街の中心部へと向かった。
後片付けは…まぁ、気にしない気にしない。
444 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:11:26.07 ID:4gYOzM6fO
ブーンはこの『仮想都市VIP』とやらが、どのような広さやどの程度の街なのかを知りたかった。
地図くらい用意してくれりゃあいいのにと思いつつも、とりあえずは大通りを目指し道なりに進む。
すると、すぐに商店街に出た。
( ^ω^)「…人が一人っ子いねぇお…」
商店街は、もしアニメなら木枯らしが吹き抜けて行きそうな状態だった。
この辺りには能力者はいないのだろうか。でないと、物音1つしないというのはさすがにおかしい。
能力者、それは一つ動けば何かが壊れる、そんな連中であるはずだ。
ξ-⊿-)ξ
そう、例えばこんな商店街に置いてあるベンチで横になって寝てる少女のような連中ではないはずだ。
450 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:15:23.15 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)
ξ-⊿-)ξ「むにゃ…いや、私はピーチ姫じゃございません。人違いです…」
( ^ω^)
(;^ω^)「つ、ツンんんんんん!!?」
クラスメートだった。
認めたくないが、この浮浪者ガールはブーンのクラスメートだった。
(;^ω^)「おい、ツン!ツンデレ!お前どうしたお!」
ξ-⊿゚)ξ「んぁ…?誰よアンタ。私はピーチ姫じゃないって言ってるでしょ」
(;^ω^)「いいから起きろお!つーかお前のその巻きグソ髪以外のどこにピーチ姫との接点があんだお!!」
ツンデレ、通称ツン。ブーンのクラスメートだ。
元の世界の学校では、ブーンとドクオとツンの三人コンビは仲良しとして有名であった。
その少女が、目の前にいる。
452 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:18:24.82 ID:4gYOzM6fO
( #)ωメ)「…つまり世界が嫉妬するほど綺麗な巻き毛をお持ちのツン様は、敵に追われてたけど命からがら逃げきって、ここに辿りついたお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、そういう事」
しこたまボコボコにされてからようやくツンの話を聞く事に成功したブーン。
ツンはどうやらこの世界に飛ばされ、初っぱなから強い能力者と出会い、そして逃走していたらしい。
ξ゚⊿゚)ξ「それで疲れたから、ここで休んでたらいつの間にか寝ちゃってたのよ」
( ^ω^)「なるほー」
でも、良かった。知り合いがいるというのは、やはり心強かった。
( ^ω^)「いや…よく逃げれたお。そいつはどんな能力だったんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「よくわからないわ。私、あんまり漫画とか読まないもの。ただ…」
( ^ω^)「ただ?」
ξ゚⊿゚)ξ「あんなの、勝てっこない。ひどいチートだったわ」
455 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:20:40.94 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「…断片でもいいから、何が起きたか教えてくれお」
ξ゚⊿゚)ξ「本当にわからないわ。でも、何をしても勝てないと思った。全部の攻撃が『そっくりそのまま跳ね返された』の」
( ^ω^)「跳ね返される?」
ξ゚⊿゚)ξ「文字通りよ。しかも、それだけじゃない。いきなり何の踏み込みも無しに、一回地面を蹴っただけで10mは飛んだり。何が起きてるのか…」
( ^ω^)「ッ!!」
それは知ってる。ブーンはそう思った。
もしかして、それって。
( ^ω^)「アクセラレータ……?」
457 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:22:31.89 ID:4gYOzM6fO
【一方通行《アクセラレータ》】。
とある魔術の禁書目録という小説に出てくる能力だ。
「最強の能力は何か」という話題の時には、いつだってこいつが現れる。
その力は「ベクトル操作」。
運動量・熱量・光・電気量etcといったあらゆるベクトルを観測し、触れただけで変換する能力だ。
平常時は「反射(ベクトルの反転)」に設定されており、ありとあらゆる攻撃を自動的に跳ね返してしまう。
つまり、傷つける事が出来ないのだ。殴っても斬っても撃っても、核爆弾を受けても生きていられる、まさにチート能力。
(;^ω^)「…そいつの見た目はどんなだったお?」
ξ゚⊿゚)ξ「………背の高い女だったわ」
( ^ω^)「首になにか、ついてなかったかお?こう、チョーカーみたいな…」
ξ゚⊿゚)ξ「? なかった気がするけど…」
しかも、制限無し。
一方通行全盛期だ。
461 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:25:17.95 ID:4gYOzM6fO
とは言え、それも予測の域を出ないのだけれど。似たような能力があるのかも知れない。
そんなチート野郎が2人もいて欲しくないのは、事実だけれど。
( ^ω^)「とにかくまぁ、次にまたそいつとあったら絶対逃げるお。リベンジとか考えちゃ駄目だお?」
ξ゚⊿゚)ξ「……わかった。そう言えばブーン。アンタの能力はなに?」
( ^ω^)「ん?…つーかまず、よく考えたらツンの能力ってなんなんだお?聞いてなかったけど」
ξ゚⊿゚)ξ「あぁ、それなんだけどね…」
ξ>⊿<)ξ「能力説明書なくしたからわかんない☆キャピーン」
( ^ω^)「うっわマジかお前しねお」
464 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:29:48.28 ID:4gYOzM6fO
ξ゚⊿゚)ξ「役に立たなくてごめんね?ブーン…」
( #)ωメ)「いいお。僕の能力があるし、か弱くてか弱くてか弱~いツンに戦闘をさせるわけにもいかんお」
ひでぇ。グーで殴られた。ひでぇよ。
ξ゚⊿゚)ξ「それで?あなたの力は?」
( ^ω^)「ああ、それは………」
ブーンは話した。
自分の能力、アンカーテイクについて。
そしてそれを使い、既に一人倒した事について。
468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 21:34:39.55 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「――――ってな事がありまして」
ξ;゚⊿゚)ξ「…すごい。なんてデタラメな力よそれ…」
( ^ω^)「まさか僕も出るとは思わなかったけど、やってみるもんだおwww」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず、それがあるならちょっとは安心ね。一緒に行動してくれる?」
( ^ω^)「オッケーだお。僕も、まさかこんなに早く目的達成出来るとは思わなかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「目的?」
( ^ω^)「うん、一人じゃ心細いし、仲間を探したかったんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「仲間……って言っても、私は役に立たないわよ?」
( ^ω^)「そんなの気にしてないおwww」
471 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:39:09.26 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「僕はツンだからいいんだお。能力が使えなくっても、ツンは親友だお。僕からもお願いするお。共に行動して下さい」
ξ゚⊿゚)ξ「やば。超かっこいい。アンタ大好き」
( ^ω^)「知ってる。僕も自分が大好き」
( #)ωメ)「なぜなぐったし」
ξ゚⊿゚)ξ「なんとなく」
( ^ω^)「そんじゃま、行くお。ドクオも飛ばされてたりするのかな?もしそうなら、一刻も早く見つけないと」
ξ゚⊿゚)ξ「………そうね」
475 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:43:48.50 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「とにかく、なるべく戦わないように、かつドクオは見つかるようにいくお!」
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿かアンタ。そんなの出来るわけないでしょ?」
( ^ω^)「やらないと出来ないの違いはうんたらかんたら、だお!れっつらごー!!」
右手の握り拳を高々とあげ、反転し歩き始めるブーン。
ツンはあきれたようにブーンについていくのだった。
ξ゚⊿゚)ξ「まったく、この馬鹿は…」
ξ゚⊿゚)ξ(危機感なさすぎ。…本当に、馬鹿なんだから…)
~~~~~~~~~
「ドクオ?う、嘘でしょ?」
「何が?」
「やめてよ。私たち、友達でしょ?」
「ああ、そうだね。そうだったね」
480 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:47:17.16 ID:4gYOzM6fO
「だからって、でも見てよこの力。どんな攻撃も当たらないんだぜ?反射しちまうんだ。それどころか、紫外線とかも反射しちまってるからかな?色素いらずで髪の毛の感触が変わってきてて面白いぞww」
「あ、アンタ本当にドクオなの?」
「そうだよ。でも確認の必要はなくね?」
「………?」
「今すぐ殺してやるからよ」
「ど…ドクオ、ちょ……きゃあああああああああああああああ!!!」
~~~~~~~~~~~~
ξ-⊿゚)ξ「………」
482 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:52:14.48 ID:4gYOzM6fO
ξ゚⊿゚)ξ(ブーン。今の状態のアンタを、ドクオに合わせるわけにはいかない)
( ^ω^)「~♪」
ξ゚⊿゚)ξ(ドクオはもう完全に狂ってた。得体の知れない力を持って…)
ξ゚⊿゚)ξ(ブーンはドクオに手をかける事なんか絶対に出来ない。なら、せめてブーンだけでも私が救う)
( ^ω^)「早くいくお!ツン!…ん?考えこんだ顔でどうしたお?悩める私カワイイ(笑)みたいなスイーツ(笑)思考真っ最中かお?」
ξ゚⊿゚)ξ「殺す」
(;^ω^)「ギャアアアアア!!!!」
ξ゚⊿゚)ξ(もう一度、あの楽しい学校生活へ…)
486 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 21:56:34.96 ID:4gYOzM6fO
商店街を、道なりに進む二人。どこまで歩いても、寂れた雰囲気だけは消えそうになかった。
( #)ω^)「とりあえずは、仲間探しだお…」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。まともそうな人、どこかにいないかしら?」
( ^ω^)「うーん、知り合いとかならまだ安心出来るんだけど……」
と、言いかけたその時。
「も、もしかして………ブーン君に、ツンさん?」
後ろから、か細い男の声がした。
500 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:03:40.13 ID:4gYOzM6fO
(-_-)
そこにいたのは、身長の低い男だった。
髪がボサボサ服はよれよれの…一言で言うなら、わかりやすく引きこもりスタイルの男が、いた。
しかし、ツンとブーンには見覚えがあった。
( ^ω^)「………お、えっと……」
( ^ω^)「ヒッキー、君だお?」
(-_-)「そうだよ!良かった!」
ヒッキー。こいつもまた、クラスメートだ。
……二学期なってから、学校に一度も顔を出していないが
505 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:05:21.47 ID:4gYOzM6fO
(;-_-)「不安だったよ。こんな得体の知れない世界に飛ばされて、しかも一人で…」
ξ゚⊿゚)ξ「アンタ、他に誰とも会わなかったの?」
(;-_-)「うん、怖かったよ……」
( ^ω^)「まぁ、良かったお!ちょうどこっちも仲間探ししてたとこだし、一緒に行動するお!」
(-_-)「ホントに!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっ……」
( ^ω^)「? どうしたお?」
ξ;゚⊿゚)ξ「いや、なんでもないけど……」
509 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:10:22.00 ID:4gYOzM6fO
ξ;゚⊿゚)ξ(ブーン…アンタ本当に危機感が無さすぎる…)
ツンは焦燥を覚える。こんな状況なのに、普段と変わらぬ神経でいられるブーンに。
クラスメートだと言うだけだ。しかも引きこもり。失礼だが、信用ならなさすぎる。それをいとも容易く許容してしまった。
ξ;゚⊿゚)ξ(もし敵なら、とか考えないもんかなぁ…?)
(-_-)「良かった!助かったよ!」
( ^ω^)「怖いのは誰でも一緒だお!助け合わなきゃ、だお」
ξ゚⊿゚)ξ(…少し、試すか?)
ξ゚⊿゚)ξ「………ねぇ、ヒッキー君」
(-_-)「? なんだい、ツンさん」
ξ゚⊿゚)ξ「あなたの能力ってなに?」
513 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:16:09.60 ID:4gYOzM6fO
(-_-)「僕の能力?」
ξ゚⊿゚)ξ「そう、アンタの能力。使ってみてよ!私見てみたいな!」
(;^ω^)「? ツン……?」
ツンは最初からヒッキーを信用してはいない。
懸念事項があるからだ。
実は、ツンは学校で、一度もヒッキーとまともに話した事がないのだ。
なのに。
ξ゚⊿゚)ξ(こいつ、引きこもりでしょ?なんで、こんな流暢に私達と喋ってんのよ…)
まぁ、もし本当ならそれでよし。
嘘をついたりするならそれでもよし。
こいつの力を見極めて、ブーンを守る。
そう考えていた。
(-_-)「いいよ!信用してもらう為だしね!」
520 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:19:52.27 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「お、みたいお!どんなのだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
(-_-)「簡単に言うと、テレキネシスみたいなものだよ。この目で見たものを、操る程度のね」
ξ゚⊿゚)ξ「へぇ……」
(;^ω^)「そりゃまた、汎用性が高そうな能力だお」
(-_-)「そうなんだ。でも、一つだけ条件があってね」
(-_-)「僕の瞳が悪魔の瞳になった時にしかこれは使えないんだ」
530 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:24:20.26 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「悪魔の瞳?知らない能力だお…」
(-_-)「うん、悪魔の瞳。僕も知らないし、もしかしたらオリジナルの能力じゃないかな?ちょっと待ってね、いま悪魔の瞳を喚んでみる。これが中々難しくて……」
(*^ω^)「wktk」
ξ゚⊿゚)ξ「………?」
(-_゚)「ほら、これが悪魔の瞳だよ。見えるかな?変な色でしょ?」
( ^ω^)「おお、なんだこれ?なんか変な紋様みたいなのが見えるお」
まるで、ツバメのような紋様が、目の中に………ん?ツバメ?
この形、どこかで見た事あるような……。
535 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:27:03.38 ID:4gYOzM6fO
………ギアス?
ブーンが確信に至った時、総毛が逆立つのを覚えた。
まさか、こいつ――――――
(-_゚)「…根倉ヒッキーが命じる」
(;^ω^)(しまっ――――――)
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン、危ない!!」
(-_゚)「僕に逆らうな!!!」
――――――
542 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:30:02.73 ID:4gYOzM6fO
(; ω )「……」
( ^ω^)「………お?」
(-_-)「チィ………外したか。この女、いきなり突き飛ばしやがって。でもまぁ、結果オーライか」
ξ ⊿ )ξ「………」
(-_-)「この女を、捕まえれたなら」
(;゚ω゚)「ツンンンンンンン!!!!」
555 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:35:10.88 ID:4gYOzM6fO
(-_-)「あーあ、なんだかなぁ。お前、助けられちゃったなぁ」
(;^ω^)「ヒッキー君?なんで……」
(-_-)「あ、能力説明の途中だったね。聞く?」
(;^ω^)「いらねぇお!その力は【ギアス】!ルルーシュの、『絶対遵守』!!」
(;^ω^)「その目を見ながら命令されたやつは、その命令に絶対に逆らえない能力だろーがお!!」
(-_-)「ちゃんと説明ありがとね、アニオタ君」
(;^ω^)「なんで、なんでこんな事………」
564 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:40:17.74 ID:4gYOzM6fO
(;^ω^)「………」
ブーンは狼狽する。
裏切られた?そんな事はどうでもいい。それより、自分のせいで、ツンが……。
(;^ω^)「ツンを返せお!!」
(-_-)「やだよ。え、何ムキになってんの?キモーイ(笑)なぁ、ツン?」
ξ ⊿ )ξ「………」
(;^ω^)「お前………!!ただじゃおかねえお!!」
(-_-)「おいおい、わかるでしょ?そんな負け犬発言されてもなぁ」
(-_-)「こいつ、人質。お前、手を出せない。そんなベタな展開。オーケイ?」
(;^ω^)「………何が目的だお」
570 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:44:40.15 ID:4gYOzM6fO
(-_-)「ああ、まだ危害を加える事はしないよ。聞きたい事がある」
(;^ω^)「………?」
(-_-)「『選択者《アレンジ》』。お前、知ってるか?」
(;^ω^)「………?なんだお、それ……」
(-_-)「……知らないか、ならいい」
(-_-)「おい、ツン」
ξ ⊿ )ξ「はい」
(-_-)「そいつを殺せ」
ξ ⊿ )ξ「わかりました」
(;^ω^)「――――――!?」
578 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:50:29.74 ID:4gYOzM6fO
ξ ⊿ )ξ
虚ろな目をしたツンが、こちらに向かって走り出す。
(;^ω^)「ちょ、ツン!!!」
ブーンの一言で止まるわけもない。走ったままの勢いで、ツンは右拳を振り上げ
目にも止まらぬ速度で、そのままブーンを殴り倒した。
(-_-)「?」
(;゚ω゚)「がっあ………!!!」
痛い。これが、女の拳なのか?鉄の塊をぶつけられたかと思った。
商店街のタイル敷きの地面に倒れ込み、ツンに見下される。そして、次の拳が握られた時
(-_-)「おい、ツン」
命令者の声が下る。
ξ ⊿ )ξ「はい」
(-_-)「なんで素手なんだ?能力使えよ、能力」
ξ ⊿ )ξ「能力は……使えません、説明書、なくしたから」
(-_-)「………ふうん」
584 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:55:32.68 ID:4gYOzM6fO
(-_-)「まぁいい。それなら、素手でやっちまえ」
ξ ⊿ )ξ「わかりました」
言うや否や。またツンに殴られる。
今度はがら空きの鳩尾に、強いのを一発。
(;^ω^)「う゛っ!!」
(-_-)「くく………楽しいなぁ」
(-_-)「学校じゃ、俺の欲しいものは何一つ手に入らなかったんだ。せめてこっちの世界じゃ、好き勝手やらせてもらうぜ?」
ξ ⊿ )ξ
ドスッ!ゴスッ!と、殴打の鈍い音だけが響く
(-_-)「あんだけ殺したかったクラスメートも、こっちじゃこんな簡単になぶれるんだ!!こりゃ楽しい!!ひゃはははははははは!!!」
(; ω )「………」
586 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 22:59:13.17 ID:4gYOzM6fO
ξ ⊿ )ξ
ドスッ!ゴッ!バコッ!
音は止まらない。しかし、ブーンは冷静に考える
(; ω )(ツン…ごめんな)
――――――必ず助けてやるお。
(;゚ω゚)「【気分次第《アンカーテイク》】!!!!」
593 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:01:31.79 ID:4gYOzM6fO
(; ω )「さぁさあみなさん!お待ちかねの時間だお!!」
(; ω )「今回は仲間が操られる王道パターン!しかもヒロインといういらん付与効果!!」
(;^ω^)「これを打破する、あなたの厨二妄想をお願いしますお!!指定アンカーは………
>>605!!」
605 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 23:02:17.31 ID:IRxxz9aU0
座布団を一週間近く回し続けられる能力
657 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:05:05.32 ID:4gYOzM6fO
『能力が決定しました』
[605]以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2010/10/23(土) 23:02:17.31 ID:IRxxz9aU0
座布団を一週間近く回し続けられる能力
(;^ω^)「またこのパターンかぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
ブーンはツンに殴られた。
不思議と、今までで一番痛かった。
678 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:08:36.28 ID:4gYOzM6fO
(;^ω^)「どうする………!!」
ξ ⊿ )ξ
こうしてる間にも、ツンは止まらない。
しかし決まったものは決まったものだ。この能力、どう活用するべきだ?
(;^ω^)(幸い、ここは商店街……座布団がある店は、探せばあるだろう。そこからが問題なんだお)
(-_-)
あそこで気持ち悪い笑みを浮かべる男を、どうやって倒す?
694 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:13:38.88 ID:4gYOzM6fO
(;^ω^)「まずは座布団を探す!!そっからだお!!」
ξ ⊿ )ξ「ッ!?」
今までほぼ無抵抗だったブーンは、そこでようやくツンに抵抗を見せる。
ツンを突き飛ばし、斜め前に向かって一直線に走りきる。
目指すのは、『茶屋』の看板がある純和風の店。
座布団があるかも知れない。
ちなみに突き飛ばす時に少し胸に触れたが、そこはまぁ、うん。不可抗力。
成長してねぇな、ツン。
(-_-)「!?」
いきなりの固い意思がある行動に、ヒッキーは驚愕。
しかし、ツンがそれを追いかける様を見て落ち着きを取り戻し
(-_-)「ふん。何をしたって、ツンは救えないのがわからないのか?」
そう吐き捨てた。
716 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:20:13.92 ID:4gYOzM6fO
『茶屋』のドアを乱暴にあけ、室内を散策。
(;^ω^)「――――――あった!!!」
目当てのものは意外とすぐに見つかった。
柔らかく四角い、日本の良さが滲み出ている座布団。
これが今回のキーワードになるはずだ。
(;^ω^)「よし、これを………」
言いかけた時、ドアにはツンが追いついていた。
ξ ⊿ )ξ「………」
(;^ω^)「やべっ!!」
座布団を脇に挟み、右拳を振り上げたツンの腕下を抜けるように交わし、
(;^ω^)「悪いツン、ちょっと我慢してくれお!!!」
そして後ろに回り込み、思いきり突き飛ばした。
ツンは派手に転ぶ。しかし、仕方ない。何も、この兵器座布団をツンに使う必要はないのだ。無駄な危害は加えたくはない。
726 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:24:55.09 ID:4gYOzM6fO
(;^ω^)「んで、ちょっとここで待っててくれお!!」
店を出る。店頭にあったベンチをドアの前に動かし、即席のバリケードを作る。これでツンを少しの間は足止め出来るハズだ。
そして。
(-_-)「なんだ。座布団かかえて、どうした?大喜利でも見せてくれんのか?」
(;^ω^)「そんな戯言が吐けるのも今のうちだお、ヒッキー!!」
(-_-)「言っとくが俺に危害を加えれば、直ちにツンに自害するように言うからな」
(;^ω^)「はっ!脅しにもなんねーお!!」
とくと見やがれ!!
そう言い、ブーンは手に座布団をのせる。
737 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:28:58.48 ID:4gYOzM6fO
座布団は、回る。
回る。回る。回る。
綺麗に回る。美しく回る。雅に回る。
その様は例えるならまさに撫子。これは素晴らしい。
( ^ω^)「………」
ブーンは手の感触が気持ちよかった。
安定感が半端じゃない。
この安定感はまるで、サザンオールスターズの新曲を初めて聞いた時にも感じるそれに似ていた。
バレリーナの回転より、地球の自転より。
その座布団回しは、美しかったのだ。
743 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:30:45.93 ID:4gYOzM6fO
(-_-)
( ^ω^)
小さく風を切る音だけが、その二人の間を取り持った。
(-_-)
( ^ω^)
(-_-)
言葉はなかった。
746 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:33:00.95 ID:4gYOzM6fO
(-_-)「なぁ」
( ^ω^)「ん?」
(-_-)「それなんの意味があr――――――」
その時、突如、ブーンの遥か左から
謎の黄色い波動が生み出され、ヒッキーを襲った――――――。
760 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:37:24.57 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「………え」
( ^ω^)「えええええええええええええ」
どうもみなさんブーンです。語らせて下さい。
今僕は座布団を回しています。楽しく回しています。
そしたらなんと、左側から変な波動砲みたいなの出てきて
ヒッキーを吹っ飛ばしちゃいました。
いや、正確にはヒッキーだけじゃなく、直線上にあるものを軒並み破壊していきました。
そして、僕の左と言えば、今出てきた茶屋です。
茶屋の中にいるのは僕の友達です
ξ゚⊿゚)ξ「………ふぅ」
(;^ω^)「ええええええええええええええええええええ!!!?」
ブーンは座布団を回しながら驚いた。
768 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:39:35.87 ID:4gYOzM6fO
(;^ω^)「なっ……!ツン、どういう………!ってゆーか今の………」
ξ゚⊿゚)ξ「あぁ、バレちゃったわね」
ξ゚⊿゚)ξ「説明書なくしたっての」
ξ゚⊿゚)ξ「あれ、うそ」
( ^ω^)
(^ω^)
/(^ω^)\ナンテコッタイ
↑
ちなみに、こうしている今も座布団は回っている。
781 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:44:22.45 ID:4gYOzM6fO
ξ゚⊿゚)ξ「私の能力ってか、今のが私の力なんだけど……」
ξ゚⊿゚)ξ「見た事あるでしょ?」
(;^ω^)「あーあ。しっかりわかったお。ツンの能力と、なんでツンが能力を隠してたのか」
あの黄色い波動。力の収束もなく原理もなく、ただただ力だけをふるった技。
(;^ω^)「さっきのは北斗真拳奥義『天将奔烈』。しかもただの北斗真拳じゃなく、これが使えるのは剛の拳を持った人間のみ、お前………」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ」
ξ゚⊿゚)ξ「【北斗真拳】。詳しく言うなら」
――――――ラオウ。
797 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:49:03.04 ID:4gYOzM6fO
ツンは男勝りな性格をしていて、しかもそれがコンプレックスな女の子。
そんな娘が、能力がラオウだと知ったその時には、どうするだろうか?
その結果がこれである。
ξ゚⊿゚)ξ「言ってしまえば、あんな【ギアス】なんか最初っからかかってなかったわよ。」
(;^ω^)「まじで?」
ξ゚⊿゚)ξ「わたしを誰だと思ってるの?」
――――――世紀末の覇者ラオウの力があんな目から出る自己暗示程度で潰せると思う?
その威圧感に、ブーンは鳥肌が止まらなかった。
そして、ツンには逆らわないと心に誓ったのだった。
807 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:52:31.30 ID:4gYOzM6fO
(((;^ω^)「あの、つまり殴ってたのは演技だったんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「手加減しない方が良かった?」
(((;^ω^)アワワワ……
ξ゚⊿゚)ξ「冗談よ。でも、感謝はしてるのよ?私の奥義、モーションがでかすぎるから、どうにかして相手に隙が出来ないと当てれないの」
(;^ω^)「お、じゃあ、座布団回しが……」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。ありがとね」
816 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:57:14.73 ID:4gYOzM6fO
( *^ω^)「おっ………」
ξ゚⊿゚)ξ「まったく、役立たず」
(;^ω^)「う」
ξ゚ー゚)ξ「馬鹿」
……本当はこの能力を最後まで隠すつもりだったんだけどね。
ごめんなさいブーン、私はあなたを信用しきれてなかった。
その上アンタ、座布団て。その時点で逃げ出さないその神経、どうにかしてるわよ。
でも、アンタは自分に出来る事をやろうとした。
どんな不条理を突き付けられても、精一杯私を助けようとしてくれた。
ξ*゚ー゚)ξ(あは…本当にこいつは……)
だから、あなたにならついていける。そう思える。
824 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土) 23:59:58.18 ID:4gYOzM6fO
ξ゚ー゚)ξ(もしかしたら、ブーンならドクオを救えるかもしれない。だから私はそれまで、あなたを守る。どんな強敵に会っても、ね)
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとね、ブーン」
( ^ω^)「礼を言うのはこっちだお。ありがとうお、ツン」
こうしてまた、一つの戦いが終わった。
836 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 00:04:05.70 ID:RaK+trrfO
――――――某所
/ ,' 3「………」
/ ,' 3「腹、減ったなぁ」
そこにいるのは、老人。
後ろには、
4人の死体。
/ ,' 3「そろそろ面白いやつ、こないかなぁ」
('A`)「お」
/ ,' 3「ん?」
847 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日) 00:05:59.37 ID:RaK+trrfO
('A`)「おじさん、強そうだね」
/ ,' 3「そんな事ないぞ。せいぜいお前をフルボッコに出来る程度じゃ」
('A`)「へぇ」
――――――
世界はまだまだ回る。
未だにブーンの手で回り続ける、座布団のように。
第二話、終わり。
Posted at 2011/07/27 21:13:51 | |
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ブーン系小説 | パソコン/インターネット
2011年07月26日
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:11:19.91 ID:ElBo9ml3O
『結局さ、最強の能力ってなんなの?』
『〇〇だろ。あれは反則』
『いや××じゃね?』
『××はねぇよアホすぎww最強は◇◇だろ。』
『いや◇◇は……』
『じゃあ、もうさ』
『実際に戦わせたらよくね?』
『おお、お前天才か?』
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:12:36.31 ID:ElBo9ml3O
『詳しいルールは?』
『【平面的存在《グラフ》】どもに、ランダムに能力を与えてやる。ランダムと言っても、使用者の基本スペックを考慮してあるがな。』
『ああ、女子供にゃチート能力がいきやすいように設定してあるとか?』
『そういう事』
『お、俺のオリジナル厨二能力とかも入れていい!?』
『好きにしろよ。なるべく楽しい戦いが見たいしな。じゃ、始めんぞ?』
『うはwwみwなwwwぎっwwてwwきwwwwたwwwwww』
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:13:38.51 ID:ElBo9ml3O
( ^ω^)はあらゆるチートと戦うようです
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:15:30.10 ID:ElBo9ml3O
―――その時。
それはブーンが学校でドクオと喋りながらアホみたいなテンションになっていた時。
それはドクオが学校でブーンと喋りながらこいつのテンションきめぇと思っていた時。
それはヒッキーがまた手首を切っていた時。
それはモララーがお気に入りの缶コーヒーに口をつけた時。
それはギコが弟をとケンカしていた時。
それはフサギコが兄とケンカしていた時。
兄者と弟者がこのご時世なのにブラクラに悩まされていた時。
しぃが家出した時。渡辺が友達とハンバーガーを食べた時。
etc.
etc.
彼ら彼女らは、なんの前触れもなく別次元に飛ばされた。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:17:15.92 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「は!?」
至って平凡な高校生、ブーンの目の前には見知らぬ街があった。
大都市と言っても過言でないその町並みを、ブーンは遥か上から見下ろしていたのだった。
その場所は、見知らぬ学校の屋上だった。
(;^ω^)「な、何が起きたお!?僕は……?ど、ドクオー?」
確か自分は親友であるドクオと、たまに谷亮子がかわいく見える現象についてやたらと熱く喋っていたはずだ。
それが、いきなり校舎の上。
(;^ω^)「……」
ブーンはまだ落ち着かない脳内を動かし、状況把握とこれからの行動を考える。
( ^ω^)「とりあえずは、人を探して―――」
人を探してみるしかないか。そう、ブーンが言いかけた時
『ピンポンパンポーンwwwwwwwwあ、これやっぱ口で言うと恥ずかしいwwww』
唐突に、空から声が落ちてきた。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:19:29.29 ID:ElBo9ml3O
空から直接聞こえてくるようなそれ。
『あー、あー!マイクテース!!』
それは、どこかふざけた感じを思わせる男の声だった。
男は同じ調子で、言う。
『どーも!この仮想都市【VIP】に集められたみなさーん!!準備はいいよね?じゃ、今から
最強能力決定戦を開始しまーす!!』
(;^ω^)「は!?」
それは、全ての始まりが街に響いた瞬間だった。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:20:46.22 ID:ElBo9ml3O
『ルールは簡単!あなた達にはそれぞれ、いろんな強い能力を与えときました!』
『それを駆使して、周りの能力者を倒していって下さい!』
『そして、見事生き残った人にはなんと、願いをなんでも一つ叶えちゃうぞ☆というそういったベタな展開も用意してありまーす!!』
(;^ω^)「な………、え………?」
『ちなみに未だに能力に気付いてない人とか、能力の使い方がよくわからないって人いる?いるかも知んないね!』
『そこで、ちゃんと君たちの服のどこかにちゃあんと説明書とかつけといたからね!紳士のたしなみさ!』
(;^ω^)「……!」
探ってみれば、右ポケットに何やら変な感触があった。そこから、一枚の紙が出てくる。
『じゃ、またまた定時連絡するから、それが聞けるように頑張って生き残ってねー!』
空からの声はそこで途切れた。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:23:10.04 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「『最強能力決定戦』…?んなアホな……」
ブーンは信じられないといった顔で、未だに声がした方を見上げる。
とは言えそこは、もはやただの空なのだけど。
とりあえずその言葉がホントなら、自分にも何か能力があるはずだ。
…そうだ、紙。
さっき言われた通りポケットを探せば、紙があったのだった。
はたして、自分の能力はなんなのだろう?体には何か変わったような感触はないけれど。
半信半疑のまま紙に書いてある内容を確認しようとして
見下ろしている町並み、そこから爆音が鳴り響き
すこし向こうに見える大きなビルが、派手に倒壊するのが見えた。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:26:00.80 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「なっ…!!」
すさまじい光景だった。
テレビの衝撃映像番組で見た事あるような、ド派手な音と肌に伝わる衝撃。
何が起きたかは知らない。だが、ブーンには一つ確信出来るらしい事がある。
あれは、自然に起きたものじゃない。かといって人間が引き起こせるレベルの倒壊でもない。
おそらく、能力だ。
どうやらこの戦いが、ホンモノであるという事なのだ。
そして、派手な音に気をとられ、ブーンは気付けなかった。
屋上の階段を、誰かが登ってきてるという事に。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:30:42.03 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「もう嫌だお…。チクショウ、なんで、なんでこんな事に……。」
自分が何をした?
見事に瓦解したビルを眺めて、非現実な現実感に目を伏せたくなる。
考えこめど、出てくるのはネガティブな思考ばかりだった。
しかし、それでは始まらない。
( ^ω^)「…これから、どうしよう」
ようやくプラスに働き始めたブーンだったが
屋上のドアが古びていたのは幸いだったのだろうか。
ぎぎぎぎぃ……!と
屋上のドアが開いた。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:33:33.86 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)
(;^ω^)
立っていたのは、いかにも若手サラリーマン、といった顔の男だった。
彼は物静かにブーンの全身を見回し、そして呟いた。
( ・∀・)「少年漫画ってさ」
(;^ω^)「はい?」
( ・∀・)「少年漫画って、いいよね。まぁ僕の場合、ジャンプが大好きだったわけなんだが」
(;^ω^)「……はぁ。」
え、いきなり何こいつ。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:38:10.00 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「正義がある世界」
そのサラリーマン風の男は、来ていたスーツを脱ぎながら語っている。
( ・∀・)「ベタな王道展開」
そしてネクタイを外し
( ・∀・)「勧善懲悪」
腕時計を地に投げ捨て
( ・∀・)「そして―――憧れの異能力。」
(;^ω^)「あのぉ……」
( ・∀・)「あははははははははははははははは!!!」
突然の狂笑。それは、自分を拒絶するようにも感じた。
ブーンは自分が窮地にあると、そこで知ったのだった。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:40:42.32 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「さぁ」
―――やろうか。
(;^ω^)「ッ!?」
男は構えてもいない。ただ、そこに佇んでいるだけだ。それなのに、ブーンは得体の知れない圧力に潰されそうになった。
(;^ω^)(肌にビリビリくるお…。能力ってのが本当なら、こいつの能力はなんだ?オーラ系か)
何が飛び出てくるかわからない。しかも場合によれば、それが見えるのかすらわからない。
その恐怖からブーンがバックステップで距離を取ろうとした時、
男は動き出す。一直線にブーンへ向かって駆け出し、何かを叫ぶ。
(;^ω^)「ちょっ早………!」
( ・∀・)「ざ―――!!」
ざ。
そこまでしかブーンには聞こえなかった。正確に言うなら、ざと聞こえた後…否。ざと聞こえた瞬間。
ブーンは顔に強い衝撃を受け、遥か後ろに吹っ飛ばされていた。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:47:46.60 ID:ElBo9ml3O
(;゚ω゚)「ぐっ…ごは…!」
衝撃。そのあまりに強い衝撃に、ブーンは落下防止のフェンスまでふき飛ばされる事になった。
フェンスに叩きつけられ、揺れる頭で思考を無理矢理始めた。
今のは、なんだ。
右頬に何かに殴られた感触を感じたが、あの男ではない。
そんな距離じゃあ、なかったのだ。
あの時、男とは、少なくとも目測で5mくらいは離れていたはず。
(;^ω^)「じゃあ………」
そこで思考を一時中断。
すぐ近くに男が迫っていた。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:54:10.11 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「おいおい、そんな体たらくで大丈夫か?」
(;^ω^)「…やっべ……!」
ブーンは逃げるように右に飛ぶ。
これでも、運動能力には多少の自信があった。
陸上で鍛えたこの足は、そこらの一般人には追い付ける代物ではないはずだ。
( ・∀・)「……へぇ」
男はすぐに踵を返し、こちらを目で追う。
が、やはり全力で飛びかかってきた男はバランスを崩して、少しの隙が出来る。
そこをつき、全力で殴りかかった。
(;^ω^)「おおおおおおおお!!!」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 21:58:56.12 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「はっ」
しかし、そこで不自然な事が起きる。
ブーンは間違いなく、殴りかかった。
バランスを崩した、そこにいる男に。
だけど、手は空振りした。
男がかわしたんじゃあない。ブーンが外したのでもない。
男の姿は、消えていた。
そして、後ろに
( ・∀・)
歪めた笑みを浮かべた男が、いた。
(;^ω^)「」
( ・∀・)「あはっ」
ゴッ!……と聞いた事のない音が、自らの脇腹から聞こえて
ブーンは屋上の階段のドアまで吹き飛ばされた。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:07:19.51 ID:ElBo9ml3O
(;゚ω゚)「……う、ううぅぅ……」
どうやら壁で頭を打ったらしく、頭を押さえた手が、少し血で濡れる。
(;゚ω゚)「しゅんかん、いどう…?」
( ・∀・)「あはっ。あはは。」
( ・∀・)「ちがうよ」
(;^ω^)「じゃあ……」
目の前から、消えた。
ブーンにわかるのはそれだけだった。
もう一つわかるとすれば、それはこの男には勝てないという事だ。
今の、ままでは。
自分の能力を把握していない、現状では、だ。
つまり隙を見つけ、自分の能力をしらべる事が必要になる。
今すぐみたいところだが、『自分の能力がみたいから待って』など、お笑い草にもなりゃあしない話だ。
(;^ω^)「じゃあ、やる事は決まってるお…!」
ブーンは屋上の階段のドアを思いきり開く。
逃走、だ。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:12:40.06 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「へぇ、階段。ん?階段?」
( ^ω^)「あばよ色男!!」
あれだけ腰の引けていたブーンだったが、逃げるとなるとそれは変わる。
とりあえずあの男に見つからないところまで逃げて、話はそこからだ。
全力をもって、階段を降りた。
( ・∀・)「おお、階段と言えば!」
対して男は、今までで一番不気味な笑みを浮かべる。
(;^ω^)「きもちわる……!」
逃げながら、そういうブーン。
階段を降り、4Fと書かれた表示を目にするかと思われたその時。
奇妙な事はまた起きた。
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:15:53.00 ID:ElBo9ml3O
男は、追ってこなかった。
だから安心して逃げるブーンだったが。
ピタリと、足が止まった。
( ^ω^)「………え?」
降りたはずの階段を、『また降りようとしている』自分に。
( ・∀・)
(;^ω^)「………あれ?」
階段を降りる。
だが、気がつけば
また階段の上にいる。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:20:24.96 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「ん?怖いかい?得体の知れない事に対し、『恐怖』を感じているのかい?」
(;^ω^)「な、何が……!」
( ・∀・)「うふっ、あは、あははははははははは!!これは愉快だな!!面白い!!あの時のポルナレフと、まったく同じ動揺の仕方をしてやがる!!」
(;^ω^)「……!」
ポルナレフ。その言葉には聞き覚えがある。
僕の好きな漫画の一つに、そいつは出てくる。
そいつは、初めて出てきたラスボスを目の前にし、
勇気をもって階段に足をかけた。
しかし、階段を上れてはいなかった。
そして今、あれが再現されている。
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:24:07.31 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「わかったでしょ?僕の能力」
(;゚ω゚)「お……!」
ブーンは男を凝視する。
否、正確には男の左側に立つ
人型のそれに。
精錬されたフォルム。強い意思を感じる眼。
見覚えがある
(;^ω^)「それは………」
( ・∀・)「僕はモララー!与えられた能力は【世界《ザ・ワールド》】!!」
―――世界一の悪役の能力を、僕は手に入れたのさ!!
モララーは心底嬉しそうに、そう言った。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:31:31.97 ID:ElBo9ml3O
ジョジョの奇妙な冒険第3部。
そのラスボス、ディオが持ったスタンド、【世界《ザ・ワールド》】
数秒間時間を止め、その中を自在に動きまわる能力。
その力でディオは、空条承太郎達を追い詰めた。
その力を、目の前の男がもっている。
幸いなのは、ディオが吸血鬼だったのにたいし
いま目の前にいるモララーは、どうやら人間らしい事なのだが…
( ・∀・)「楽しい!!楽しいねぇ!!ディオ様風に言うなら」
( ・∀・)「最高にハイ!ってやつだァァァァァァァ!!!」
( ・∀・)「あははははははははははwwwwwwwwwwwwwwww」
どうやらモララーは相当なジョジョ信者らしかった。その最大の悪役の能力を与えられたのだ。
こうなるのも、うなずけるというものか。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:38:40.48 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「あはははは!!」
笑いつつ、走ってくるモララー。
(;^ω^)(落ち着け、落ち着け僕!!)
逆に、と。
ブーンは冷静に考える。
目の前にいるのはディオじゃない。ちょっと前に能力を手にいれたばっかの、頭のおかしい子だ。
こいつは今、幸せの絶頂なのだ。
ザ・ワールドを使うのが楽しくて仕方ない。
なら、自分を殴るとしたら必ず。
(;^ω^)(必ずビッグパンチになるお!こざかしいマネをするわけがない!)
つまり、能力を使うとしたら、必ず大振りになる。
隙が出来る。
( ^ω^)「覚悟を決めるしかない!!」
ブーンは背を壁にはりつけた。
( ・∀・)「?」
モララーにはそれが何を意図するものかはわからなかった。
しかし、構わない。自分にはザ・ワールドがある。
かわす方法など、ない。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:44:09.03 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「ザ・ワールド!!時よ止まれ!!」
時のとまった世界。完全に静止した世界だ。モララーはそこを自在に動く。
そして、目の前には間抜け面をしたブーン。
何をしようとしたのか、壁に張り付いている。
しかし、こいつは馬鹿だ。
壁に張り付いたら、力の逃げ場がなくなるのがわからないものか。
先ほどまで吹っ飛ばされる事で分散されていた力も、全て体に伝わる事になる。
( ・∀・)「このまま潰すのもいいけどなぁ、しかし…」
モララーはブーンの能力をまだ見ていない。
これでは、なんの面白みもなかった。
あのディオ様は、その力と知恵でいつでも相手の全力をねじ伏せて勝った。
まずブーンの能力を見よう。
殺すのは、それからでいい。
これくらいでいいのかな?と少し力加減をし、
ようやく目の前のブーンをぶん殴った。
( ・∀・)「そして時は動き出す」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:52:14.12 ID:ElBo9ml3O
時間はまた進んだ。
モララーは殺さないように加減したつもりだったが、それでも逃げ場のない力はかなりのものらしく
ブーンは壁に少しめりこんだ。
(;・∀・)「あ、やば。殺しちゃった?」
モララーがそう思い、ザ・ワールドを戻しかけたその時
(; ω )「……つ…」
(; ω゚)「捕まえた、お…」
(;・∀・)
モララーは気付いた。ブーンが壁に張り付いた理由。わざわざ強いダメージが残る選択をしてまでしたかった事。
壁に張り付いて、吹き飛ばされないようにして
自分との距離をあけない為、だ。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:53:28.81 ID:ElBo9ml3O
(; ω )「………!」
ブーンは駆ける。モララーに向かい、一直線に。
(;・∀・)(やば……!!)
モララーにはそれを止める手立てがなかった。
時間を止めるのは、連続して使えない。ザ・ワールドが戻ってくるのを待つのも出来ない。
(;^ω^)「おおおおおおおおお!!!」
ゴッ!と骨と骨がぶつかる音がして
今度こそ、ブーンの拳がモララーの顎をとらえた。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 22:58:37.26 ID:ElBo9ml3O
(;・∀・)「がっ……!」
顎をとらえられた。
脳がぐわんぐわんゆれる。
やばい。やばい。追撃が、追撃がくる。
止めなくては、ザ・ワールドで止めなくては―――
しかし、目を上げた時
すでにそこにブーンはいなかった。
(;・∀・)「逃げられた、か………」
逃げられたのだ。自分が。
手加減してたとは言え、最強の能力であるザ・ワールドを持った自分が
何の力も使っていない、少年に。
(;・∀・)「………」
(#・∀・)「ちくしょおおおおがあああああああああああああああああ!!!!!!
殺す!!!!!
殺ォォォォォォォす!!!!
次に顔を出したら今度は容赦しねぇ!!!
ありったけの『無駄無駄』ラッシュを、その顔面に叩き込んでやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そう、叫んだ。
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:03:03.98 ID:ElBo9ml3O
「叩き込んでやらぁあああああああ!!!」
(;^ω^)「うるせぇっつの……」
ブーンはいま渡り廊下の隅にいた。
体が軋む。特に、内臓が酷い。今すぐにでも吐きそうだ。
しかし、そんな事はさして重要ではない。
重要なのは、自分の能力。
(; ω )(頼む、僕の能力。何かは知らないけど、この状況を打破する為の力であってくれ―――!!)
願いを込めて、能力説明書の紙を見た。
そこにかかれていたものは。
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:11:37.86 ID:ElBo9ml3O
能力説明書。
能力名【気分次第《アンカーテイク》】。
あなたの力は、今回の最強能力決定戦でも希有な存在です。
それは、「誰かに能力を決めてもらう能力」といったところです。
あなたがこの能力を使った時、『アンカー』というものを指定します。
その『アンカー』にかかれていた内容がそのまま能力となり、使用が可能とります。
何を得るかはわからない。まさに、【気分次第】な能力です。
原則ルールとして、一回の対戦に対して一回のアンカー。
つまり、どんな悲惨な能力がでてもあなたはその相手をその力で倒さねばなりません。
アンカー内容が『~~~の能力』『~~~~する能力』といった具合に、最後に『能力』といった言葉が無ければアンカーは自動で再指定されます。
(;^ω^)
(;^ω^)「よ、よくわかんないけど……なんか嫌な予感がするお……」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:15:30.32 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「でも、まぁ、あとは信じるしかねぇお!どうせこのままじゃモララーにはやられちまう!」
「頼んだみんな!!モララーを倒す為に、みんなの厨二妄想をぶつけてくれお!!指定アンカーは……!!
>>92!!」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:17:25.28 ID:cJ0VI2QO0
手から溢れんばかりのコーラを出す能力
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:18:50.90 ID:ElBo9ml3O
『能力が決まりました。』
[92]以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2010/10/22(金) 23:17:25.28 ID:cJ0VI2QO0
AAS
手から溢れんばかりのコーラを出す能力
(;^ω^)「まじかよォォォォォォォ!!!!」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:21:56.40 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「やべぇ、やべぇお!!」
しかし、決まったものは決まったものだ。
モララーと戦う間は、この力で戦わなければならない。
しかし、コーラ。
世界一ポピュラーな炭酸飲料だ。
その力を使えば、あの強敵、ザ・ワールドを使うモララーを倒す事が出来
(;^ω^)「出来るわけNEEEEEEEEEEEE!!!!」
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:27:52.34 ID:ElBo9ml3O
試しに出してみた
( ^ω^)「………」
どばー!!!!
手がベタベタになった。
( ゚ω゚)「ふざけんなよオイィィィィィィィィィィ!!!!!!!」
そこでブーンは、あ、と気付く。
大声を出してしまった。
(;^ω^)「しまっ……」
言った時にはもう遅い。声を聞き付けたモララーが、こちらを向いていたのだった。
( ・∀・)
( ・∀・)「ああああああああぶうううううううううん君みっけェェェェェェェェェェ!!!」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:33:35.04 ID:ElBo9ml3O
( ・∀・)「えへへ見つけたよォォォォォォォ!!!ちょっと時間止めてそっちいくから待ってててててててててててねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
(;゚ω゚)「こんにちわモララーさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!喉かわいてませんかァァァァァァァ!!!」
ブーンは本気でコーラを噴出。
水圧を上げれば、とは思ったが本気の出力でようやくホースを指で押さえてちょっと強くするアレ程度だった。
小学生かよ。
(;・∀・)「はっ!?」
しかし、モララーは初見である。意表をつかれ、ザ・ワールドを無意識に展開してしまった。
(;・∀・)「しまった………」
この距離では、時を止めたままブーンに到達出来ない。明らかに失敗してしまった。
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:38:37.95 ID:ElBo9ml3O
しかし、ならばモララーにもやる事はある。
この黒?茶色?の物体を確かめる事だ。
( ・∀・)「一見コーラにも見えるが、まさかそんなわけがないし…」
この戦いは「最強能力決定戦」。自分のような、チート能力ばかりが集まるはずだ。
まさかコーラを噴出する力などが混ざっていれば、失笑ものだ。
となると、科学薬品か?しかし、この液体が地面に付着してもなんの変化もない。
いやいや…まず、物理法則に従ってくれるのかも怪しい。能力とは得てしてそういうものだ。
( ・∀・)「ならば、避けて様子をみるしかないか――――――時は動き出す」
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:44:46.98 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「んお!?」
気付くと、モララーが右に移動していた。
恐らくザ・ワールドを使ったのだろうか。コーラを避ける為に。
( ^ω^)
( ^ω^)(コーラをwwww避wwwwけwwwwるwwww為にwwwwwww)
目の前で繰り広げられる、能力の最高の無駄遣いに吹き出しそうになりながら
このチャンスを逃す手立てはない、とブーンは踵を返し、ダッシュで逃げた。
(;・∀・)「あ、おい!!」
(;^ω^)「失礼します!」
とにかく、まず逃げ込め。最大限にコーラを利用出来そうな場所に。
ブーンはそう自分に言い聞かせながら、学校内を走る。
(;^ω^)「………!!あそこなら――――!!!」
逃げ込んだ先は、理科準備室。
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:51:19.56 ID:ElBo9ml3O
幸い、鍵は空いている。と言うより、閉まらないのだ。
もしかしたら他の部屋も全てそうなのかも知れない。
(;^ω^)「つまり、あいつに見つかるのも時間の問題………!!」
なんとかしないと、とブーンは理科準備室にある戸棚を調べあげる。
理科の授業なんざ寝てたからわからないが、もしかしたらコーラを究極の兵器にするものがあるかも知れない。
しかし、ない。
唯一期待していたメントスですら、理科準備室には存在しなかった。
こうしてる間にもあのモララーが近づいて来ているかと思うと、脂汗が止まらないブーンだった。
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/22(金) 23:57:06.53 ID:ElBo9ml3O
(;^ω^)「やべぇお……!このままじゃ、このままじゃあ……!!」
いそがしく手を動かすブーンだが、期待はずればかりだ。
それどころか、焦った結果だろうか。
(;^ω^)「んおおおおおお!!?」
バサバサバサバサッ!!と
戸棚の中にある資料や教材をぶちまけてしまった。
その勢いに負け、その資料やら何やらの下敷きになるブーン。
(;^ω^)「あいててて………」
生物の資料やら天体の資料やらがごちゃ混ぜに体の上に乗っていたので、それをどけようと手に取った時。
―――ブーンは、その資料の中にある種の希望を見た。
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:04:05.64 ID:ElBo9ml3O
( ^ω^)「………」
(;゚ω゚)「………お。」
まさか。ではあるが。
『敵の力』
『【世界《ザ・ワールド》】』。
『時間を止める。』
『僕の力』
『【気分次第《アンカーテイク》】。』
『この能力はまさに気分次第』。
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:05:10.76 ID:4gYOzM6fO
『[92]以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2010/10/22(金) 23:17:25.28 ID:cJ0VI2QO0
AAS
手から溢れんばかりのコーラを出す能力』
『近づけない。近づいたら時を止められて負ける』
『つーか何をしようにも時を止められたら終わり』
『避けられるから終わり』
『手から溢れんばかりのコーラを出す能力』
『【気分次第《アンカーテイク》】』
この能力は―――誰の気分次第?
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:10:54.19 ID:4gYOzM6fO
一方、モララー。
渡り廊下を少し抜けて、今はブーンを探していた。
( ・∀・)「………」
もはや、怒りもなかった。
あの後、あのあまりにも変化のない、地面に落ちたままの液体を調べてみたところ
本当にコーラだったのだ。
( ・∀・)「もうなんか、怒るとかそういうのじゃないこれ。やばいおれ。なんかやばいおれ」
見つけたらどうしてくれよう。
爪はがす?骨を折る?
少なくとも小一時間は悲鳴を聞かなければ気が収まらなさそうではあった。
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:14:10.85 ID:4gYOzM6fO
そんな時に、モララーは大声を聞いた。
「出てこいや、もららぁあああああああああ!!!!」
( ・∀・)「………!!」
あのブーンという少年だ。しかし、声が聞こえてる場所がおかしい。おかしすぎる。
声が聞こえている場所に寄る。案の定、すぐ見つかった。
( ^ω^)
校庭の、ど真ん中だ。
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:19:03.20 ID:4gYOzM6fO
( ・∀・)「………は?」
モララーはブーンがどの部屋に隠れているかを探索中だった。
声がしたから、窓を抜けてベランダに乗り出すと
( ^ω^)「………」
先ほどまで逃げ惑っていた少年が、そこに仁王立ちでいた。
( ・∀・)
( ^ω^)
( ・∀・)「………一つ、聞かせろ」
自らがここまで落ち着いている事に、少し驚きながらも続ける。
( ・∀・)「お前の能力はなんだ?」
( ^ω^)
目線の遥か先にいた少年は、答える
( ^ω^)「手から溢れんばかりのコーラを出す能力」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:23:19.07 ID:4gYOzM6fO
( ・∀・)「………は」
( ・∀・)「はははははははははは」
(#・∀・)「ブチ殺ォォォォォォォす!!!」
モララーは、ベランダから飛び降りた。着地時の衝撃は…まぁいい。スタンドでどうにでもなる。
もう少し近づくだけだ、そうすればザ・ワールドを有効活用でき、そして
(#・∀・)(そっからは離さねぇ!!じわじわとなぶり殺してくれる!!)
そして、落下。しかしブーンはこちらに右手を向け、何かを呟く。
( ^ω^)「僕は、嘘なんかついてないお。溢れんばかりのコーラを出す能力。今回の指定アンカーはそれだった」
(#・∀・)「は!!?」
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:27:57.98 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「コーラを出すんだお。溢れんばかりのコーラを。嘘なんかついてないお」
よく見れば、前に出されたブーンの右手はぶるぶると震えていた。
(#・∀・)「………」
なるほど、何かのハッタリか。
まぁそれもどうでもいい。俺はブーンを殺す。それだけだ。
もう少し。
もう少しで、ザ・ワールドが有効活用出来る範囲に届く。
( ^ω^)「嘘はついてないお」
少年は、まだうわごとのように呟いていた。
(#・∀・)「うるせぇよ!!もういいこれが最後だ!!
ザ・ワールドを発動させる!!」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:30:01.69 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「だから」
死んじゃったらごめんなさい。
ブーンはそう呟いた。
同時に
(#・∀・)「ザ・ワー………」
時を止めるべく、モララーの左側にあの黄金のフォルムをした人型スタンドがあらわれる。
あらわれた、のだが。
201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:31:20.07 ID:4gYOzM6fO
モララーの目の前に、巨大な岩の塊が現れた。
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:32:57.11 ID:4gYOzM6fO
( ・∀・)
(;・∀・)「……え?」
状況把握。
眼前に、に直径10km以上あるアホみたいな岩出現。
以上、状況把握終了。
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:36:23.66 ID:4gYOzM6fO
(;・∀・)「とっ!時よ止まれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
自分に向かってきた岩の塊?は一時的に止まった。
しかし、しかし。
止めたところでどうする。
殴り潰す?無理。でかすぎる。
避ける?どこに?無理。絶対無理。
つーかまずこれなに?え、どうしたらいい?
(;・∀・)「う、うわあああああああああああ!!!!」
対処を考えるのに要する時間は、止めた時間では足りなかった。
時は動き出す。
その岩の塊に、モララーは押し潰されてしまった。
233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:41:51.78 ID:4gYOzM6fO
( ^ω^)「………」
モララーだった残骸を見るブーン。
どういうわけか、街は無傷だった。それに関しては、まぁ後で考えようか。
一言、言った。
( ^ω^)「………誰が」
( ^ω^)「誰がコーラを、炭酸飲料だけだと言った。」
( ^ω^)「誰がコーラを、小惑星コーラ (504 Cora)は含めないと言った。」
「コーラ (504 Cora) は、小惑星帯に位置する小惑星である。
ソロン・アーヴィング・ベイリーがアレキパで発見し、インカ神話の創造神であるビラコチャの4人の息子の1人の妻、コーラにちなんで名づけられた。」
――――Wikipediaより、引用。
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:46:09.05 ID:4gYOzM6fO
理科準備室で、小惑星帯の星の名前のある資料を見る事が出来て本当に良かった。
そして僕の能力。
【気分次第《アンカーテイク》】。
他人に決められる能力とは、めんどくさいものだとは思ったが、
(;^ω^)「なるほど、こりゃいい加減で気分次第な能力だお…」
こうして一つの戦いが、終わった。
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:49:42.59 ID:4gYOzM6fO
同刻、VIP内のデパート。
('A`)「ふう、なかなか強かったなこいつ……」
('A`)「でもまぁ、関係ないか。この能力があれば」
('A`)「【一方通行《アクセラレータ》】。こりゃ便利だな。」
287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:53:26.31 ID:4gYOzM6fO
――――同刻、アーケード街
( ´∀`)「………うーん」
( ´∀`)「こりゃチートだモナ」
( ´∀`)「【百式観音】。半端じゃねえっす」
――――
川 ゚ -゚)「あらあら、結構強いなこれ」
川 ゚ -゚)「【月火水木金土日を操る程度の能力】。一週間少女か」
川 ゚ -゚)「パチェはあんま好きじゃないがなぁ」
294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:57:01.32 ID:4gYOzM6fO
―――――某所
从'ー'从「『ごめんねペニちゃん。友達だったけど』」
从'ー'从「『あなたの事は3秒くらいなら忘れ、あれ誰お前?』」
从'ー'从「『なんてね。』」
从'ー'从「『………【大嘘憑き】《オールフィクション》か。球磨川君はこんな気持ちだったのかな?』」
――――――
300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 00:59:01.49 ID:4gYOzM6fO
それぞれが自分の力を、理解した。
それぞれが自分の理を、理解した。
それぞれが自分の道を、理解した。
この戦いはまだまだ激戦になりそうである。
第一話、終わり。
Posted at 2011/07/26 21:18:35 | |
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ブーン系小説 | 日記
2011年07月20日
35 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:55:18.15 ID:ntXuh7kyO
一方、その頃。
星たちは、ピザやケーキをテーブルに並べ、クリスマスパーティを開いていました。
( ^ω^) 「メリクリお!」
( ゚∀゚) 「ははは!このピザうめぇな!」
ξ゚⊿゚)ξ 「タバスコ取ってちょうだい」
みんなでわいわい騒いでいると、クーがやって来ました。
ξ゚⊿゚)ξ 「あら、遅かったじゃない。どこ行ってたの?」
川 ゚ -゚) 「む、ちょっとな…」
( ゚∀゚) 「なんだよ水臭ぇな、言えよ」
川 ゚ -゚) 「む…そうだな、えーと……」
( ^ω^) 「おっお、変なクーだお。まあいいお、座れお!席は用意してあるお」
37 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:57:58.70 ID:ntXuh7kyO
川 ゚ -゚) 「…いや、今日は遠慮しておく」
( ^ω^) 「? 何でだお?」
川 ゚ -゚) 「……」
川 ゚ -゚) 「今から空に上がってみようと思っているからだ」
(;^ω^) 「!?」
38 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 12:58:46.95 ID:ntXuh7kyO
クーの言葉に、みんなが驚きました。
明らかな嫌悪感を示しているのもいれば、顔を見合わせて、何か言いたげにしているのもいます。
ツンがクーを真っ直ぐに睨みつけながら、ゆっくりと口を開きます。
ξ゚⊿゚)ξ 「……何でよ?」
川 ゚ -゚) 「…実は一週間前から、あの子供を見続けていた」
( ^ω^) 「おっ…。モナーに見せられた、あの子かお?」
川 ゚ -゚) 「うむ。あの子供な、あれから毎日、夜になるとお祈りしてるんだ。好きなテレビがある日も、留守番で一人ぼっちの日も、毎日だ。あまりに熱心にお祈りしてるから、私だけでも姿を見せてやろうかと思ってな」
ξ゚⊿゚)ξ 「たかが子供一人のために?」
川 ゚ -゚) 「ああ」
( ゚∀゚) 「……バカげてんな」
川 ゚ -゚) 「それでもいいさ。誰か一緒に上がらないかと思って誘いに来たんだが……誰かいないか?」
クーは辺りを見渡しました。
みんな周りの顔をうかがっているのか、志願しそうな者はいませんでした。
クーが小さくため息をつき、一人でモナーの所へ向かおうとした、その時。
野太い声が、鈴の音と共に聞こえてきました。
39 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:01:51.27 ID:ntXuh7kyO
「たかが子供一人、じゃないぜ」
41 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:04:00.84 ID:ntXuh7kyO
星たちがみんな一斉に、声の方を向きました。
そこには、大きな白い袋を背負ったサンタビコーズと、彼を背負ったギコカイが立っていました。
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「たかが子供一人、じゃないぜ」
ξ゚⊿゚)ξ 「……何が言いたいの?」
( ∵) 「……」
サンタビコーズはゆっくりとギコカイの背中から降りました。
そして、背負っていた大きな袋を、勢いよくひっくり返しました。
すると袋の中から、色とりどりの紙が、ばさばさと音をたてて出てきました。
( ^ω^) 「……これは?」
( ∵) 「……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「手紙だ」
( ^ω^) 「…手紙?」
( ∵) コクリ
43 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:06:08.39 ID:ntXuh7kyO
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「世界中の子供から、サンタさん宛てに送られて来たんだよ」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「プレゼントはいりません、そのかわり星が見たいです、ってな」
( ^ω^) 「……!!」
(;゚∀゚) 「これ…全部か?」
( ∵) コクリ
ジョルジュが驚くのも無理はありません。
紙の山は、サンタビコーズの腰の高さくらいまでありました。
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「これだけの子供たちが、お前らのことを待ってるんだ。プレゼントはいらない、とまで言ってな」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「なぁ、上がってやってもいいだろう」
46 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:08:15.78 ID:ntXuh7kyO
星たちは皆、落ち着きをなくし、顔を見合わせました。
さっきまで悪態をついていたツンも、動揺しているようでした。
ξ;゚⊿゚)ξ 「え…で、でも……」
川 ゚ -゚) 「……もういいではないか」
ξ;゚⊿゚)ξ 「!?」
川 ゚ -゚) 「いつまで意地を張っているのだ」
ξ;゚⊿゚)ξ 「い、意地なんか……!」
川 ゚ -゚) 「モナーが……」
ξ;゚⊿゚)ξ 「?」
48 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:11:39.11 ID:ntXuh7kyO
川 ゚ -゚) 「モナーが、使いもしない大砲の手入れを毎日毎日欠かさないのはなぜだと思う?」
( ^ω^) 「…?」
(;゚∀゚) 「……?」
ξ;゚⊿゚)ξ「し、知らないわよ!暇だからじゃないの!?」
川 ゚ -゚) 「……」
川 ゚ -゚) 「…私たちのためだよ。私たちがいつでも気持よく上がれるように、綺麗に輝けるようにら毎日毎日手入れしているんだ」
( ゚∀゚)「……」
( ^ω^) 「ぼくたちの、ため……」
ξ;゚⊿゚)ξ 「べ、別に毎日やってもやらなくても変わらないでしょ!」
川 ゚ -゚) 「……」
川 ゚ -゚) 「ツン、君は光が弱いだろう」
川 ゚ -゚) 「君みたいな星の光が、すすで霞まないように…できるだけ明るく輝けるように、モナーは毎日手入れを続けているんだよ。自分はあんなにすすだらけになりながらな」
ξ;゚⊿゚)ξ 「……!」
49 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:12:05.62 ID:ntXuh7kyO
ξ;゚⊿゚)ξ 「お、恩着せがましいのよ!!」
川 ゚ -゚) 「モナーが私たちに恩を着せようとしたことが、今まで一度でもあったか?」
ξ;゚⊿゚)ξ 「……」
川 ゚ -゚) 「……な、もういいだろう」
ξ;゚⊿゚)ξ 「あっ……あたしっ…はっ……」
( ω ) 「……がるお」
ξ;゚⊿゚)ξ 「え?」
( ^ω^) 「…上がるお!ぼくもクーと一緒に上がるお!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ブーン!?」
川 ゚ -゚) 「そうか、ありがとう」
( ^ω^) 「それから、モナーに謝るお!お礼も言うお!」
川 ゚ -゚) 「そうだな、それがいいな。そうしよう」
( ゚∀゚) 「……俺も行くよ。今までちょっと言い過ぎたしな」
ξ;゚⊿゚)ξ 「……!」
50 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:15:53.18 ID:ntXuh7kyO
星たちが、ぼくも私もと、次々に声を上げました。
準備運動を始めた星もいます。
心の奥底ではみんな、空に上がりたかったのかもしれません。
( ゚∀゚) 「よし!そうと決まったら!」
( ゚∀゚)「みんな、行こうぜ!モナーのところへ!」
ジョルジュが声をあげて走り出すと、それを追うようにして、みんな一斉に走り出しました。
ただ一人、ツンを除いては。
52 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:18:55.62 ID:ntXuh7kyO
( ^ω^) 「ツン、何してるお!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「……」
( ^ω^) 「ツンも行くんだお!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「……」
( ^ω^) 「また前みたいに、ブーンの隣で瞬くんだお!」
ξ ゚⊿゚)ξ 「……!」
ξ*゚⊿゚)ξ 「…しょうがないわねぇ!」
二人も、みんなを追って走り出しました。
53 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:20:45.34 ID:ntXuh7kyO
星たちの後ろ姿を見送りながら、サンタビコーズとギコカイは、ほっと胸を撫で下ろしました。
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「……まったく…世話の焼ける…」
( ∵) 「……」
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「……ま、これで俺も安心して走れるってもんですよ」
( ∵)
Ψ Ψ
(,,゚Д゚) 「ほんじゃ俺たちも…行きますか!」
( ∵)
( ∵)ニコリ
Ψ Ψ
(,,^Д^)
56 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:22:46.58 ID:ntXuh7kyO
( ゚∀゚) 「お!大砲が見えてきたぞ!」
川 ゚ -゚) 「だな。今日は一段と綺麗な気がす……む?」
クーが、走りながら首をかしげました。
( ゚∀゚) 「どうした、クー」
川 ゚ -゚) 「あれは……」
川 ゚ -゚) 「あれは、モナーではない。誰だ……?」
('A`)
59 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:25:41.52 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「やーっ……と来たか…」
モナーがいないかわりに、小柄な若い男が、大砲の近くに腰を下ろしていました。
川 ゚ -゚) 「あなたは……?」
('A`) 「初めまして。ドクオだよ」
( ゚∀゚) 「ドクオ…?モナーはどうした?」
('A`) 「あぁ、あの人。あの人はね、任期満了」
( ^ω^) 「任期?」
('A`) 「正しくは満了じゃないんだけどね、早めにお声がかかったらしい。で、この仕事は俺に交代」
川 ゚ -゚) 「お声がかかった、とは?」
('A`) 「……」
61 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:26:36.41 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「この仕事はさ、死んだ人間がやるもんだっていうのは知ってる?」
川 ゚ -゚) 「…初耳だ」
('A`) 「この仕事に限らず、雨を降らせたり雲を作ったり虹をかけたり…そういう仕事は、全部現世を生き終わった人間がやってんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ 「はぁ…」
('A`) 「この仕事ってのが期限付きでな」
( ^ω^) 「期限?」
('A`) 「そう、期限。今回のモナーさんみたいに、お声がかかるまで、さ」
川 ゚ -゚) 「……それで、お声がかかる、とは?」
('A`) 「生まれ変わるか、消滅か、どちらかの準備ができましたよ、ってことだ」
( ^ω^) 「?」
('A`) 「死んだ人間のたどる道は二つ。新しく生まれ変わるか、跡形もなく消え去るか」
(;^ω^)「……!」
62 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:30:22.34 ID:ntXuh7kyO
( ゚∀゚) 「……モナーは、どっちなんだよ?」
('A`) 「さぁねぇ……。文字通り、神のみぞ知る、ってところだ」
(;゚∀゚) 「……」
('A`) 「ヤバいかもな、あの人」
ξ ゚⊿゚)ξ 「……なにがよ?」
('A`) 「だってあんたらを今まで空に上げきれてなかったんでしょ?」
川 ゚ -゚) 「!」
('A`)「自分の仕事も満足にできてないとあれば……ねぇ」
(;゚ω゚)「……!!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「そんな……!」
(;゚∀゚) 「おれたちのせいで……!?」
65 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:32:02.86 ID:ntXuh7kyO
川;゚ -゚) 「……」
川;゚ -゚) 「モナーに、会いたい。謝りたい」
('A`) 「もう無理だよ」
川;゚ -゚) 「たのむ」
('A`) 「もう無理だって。遅かったんだよ、あんたら」
川;゚ -゚) 「……!」
( ゚ω゚) 「……」
( ;ω゚) 「……もう……」
( ;ω;) 「…もう、謝ることすら…許されないのかお……」
(;゚∀゚) 「くそ……!」
(;゚∀゚) 「ちくしょう、なんで俺……!!」
( ;∀;) 「なんで…!!」
67 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:34:55.10 ID:ntXuh7kyO
星たちはみな、泣き出してしまいました。
みんながみんな、自分を責めました。
自分たちが、ちゃんと空に上がっていれば。
せめてもう少し早くここに来ていれば。
何か、変わっていたかもしれないのに。
ごめんなさいを、言えたかもしれないのに。
72 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:37:28.94 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「……」
('A`) 「……あのさ」
( ;ω;) 「?」
('A`) 「俺さ、モナーさんからいろいろ聞いたんだよ」
川 ; -;) 「……何をだ?」
('A`) 「……モナーさんのこと」
( ;∀;) 「……?」
74 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:38:53.68 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「一週間くらい前にさ、あんたらに一人の子供を見せたことがあったんだろ?」
川 ; -;) 「…あ、あぁ…」
('A`) 「あの子供、ショボンっていってな」
('A`) 「生きてた頃のモナーさんの、孫だそうだ」
( ;ω;) 「!」
ξ;⊿;)ξ 「…そうだったのね…」
('A`) 「すんげぇ星が好きだからさ、どうしても綺麗な星空を見せてやりたかったんだと。生きてたころ、よく二人で見てたらしいぞ。草っぱらに寝っ転がってさ」
( ;ω;) 「……」
('A`) 「俺と別れる最後まで、残念そうにしてたよ。綺麗な星空、見せてやりたかったって」
( ;ω;) 「おぉ……おぉぉぉおぉ」
('A`) 「……だからさ」
( ;ω;) 「お…?」
76 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:41:20.75 ID:ntXuh7kyO
('A`) 「だから今日、最高の星空をその子に見せてやれよ」
( ;ω;) 「!」
('A`) 「モナーさんの望み、叶えてやれよ。それがあんたらにできる、最高の償いとお礼だろ」
川 ; -;) 「……!」
('A`) 「俺があんたらを打ち上げてやるからさ……。大丈夫、うまく打ち上げてやるよ」
('A`) 「なにせ、モナーさんがすすだらけになりながら大切にしてきた大砲だからな」
川 ; -;) 「うっ…あっ……」
川 ; -;) 「ありがとう……!」
('A`) 「お礼なんかいらねぇよ、俺は俺の仕事をやるだけだ」
('A`) 「目一杯打ち上げてやるから、全力で輝けよ」
( ;ω;) 「おっ、おっ、お願い、しますおっ」
('A`) 「……」
('∀`) 「…はいよ、任せとけ」
77 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:42:43.93 ID:ntXuh7kyO
ドクオはゆっくりと立ち上がり、服の袖をまくりました。
背伸びをしようとして顔の前で両手を組んだところで、動きが止まりました。
('A`) 「あ……」
('A`) 「そういや、伝言あずかってるんだったわ」
80 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:44:12.01 ID:ntXuh7kyO
もし……万が一。
万が一にも、ここに星たちが来てくれることがあったら……伝えておいてくれ。
誰も必要としていないなんて、悲しいことを言うな。
誰も見ていないなんて、悲しいことを言うな。
誰かがきっと、いや、必ず、君たちの輝きを見ている。
誰かが、必ず。
君のことを、見ている。
だからもう、必要ないなんて、
悲しいことを、言わないでくれ。
82 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:45:19.49 ID:ntXuh7kyO
( ´∀`)
88 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:49:52.47 ID:ntXuh7kyO
(´・ω・`) 「ママー!!ママ、お星さま!!お星さま、出たよ!!」
从 ゚∀从 「どれどれ…?……おっ、ほんとだ!!さてはショボンの祈りが通じたな?やるじゃねぇか、ショボン!」
(´・ω・`) 「えへへ!!今日のお星さま、すごく綺麗だ!」
从 ゚∀从 「ほんとだな……こんなにキラキラするもんなんだな、星って……」
从 ゚∀从 「うっ」
(´・ω・`) 「!?」
(´・ω・`) 「ママ、どうしたの!?」
从;゚∀从 「きた、きたきたきた……!!」
(´・ω・`) 「なに!?なにがきたの!?」
从;゚∀从 「陣痛だよ、陣痛!!うぁ~~~~っ、いってぇぇええ!!!」
(;´・ω・`) 「い、痛いの!?痛いの!?ばんそうこういる!?」
从;゚∀从 「いらねーよ!!パパ呼んでこい、パパ!!」
(;´・ω・`) 「わ、わかった!!」
(・ω・`; ) 「パパァーーーー!!!」
91 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:52:52.57 ID:ntXuh7kyO
それは、
クリスマスイブの、
夜のこと。
星の綺麗な、
夜でした。
ゆらめいて、
またたいて。
沢山の光の粒が、
見えました。
それはまるで星たちが、
泣いているかのような、
そんな夜。
ある街の病院で、
手のひらがすすだらけの
男の子が生まれました。
星の綺麗な、
夜のことです。
94 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 13:54:01.36 ID:ntXuh7kyO
おしまい
Posted at 2011/07/20 18:58:00 | |
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