
ひさーびさにドライブがてらダム訪問。
目的地は日本一有名なダムであろう「黒部ダム」。
幼いころに一度は訪れたことがあるも、クルマで色んなダム巡りを始めてみて、改めて見てみたいとは予てから思っていました。
ハイドラのCPでもあるし。
このダムへは公共交通だけでしか行くことができず、費用がちょっとネック…。と思っていた矢先、今年はアルペンルート開業50周年とのことで、割引キャンペーンをしていることを知りました。
(上越地方は富山・長野に接していますので、そういった情報が入ってくるようになりまして。。。)6月の閑散期のみの割引で、しかも上旬ならまだ観光放流も行わず人が少なそう。ということですぐにアクセスできる長野県側から
閑散期の更に人の少ない朝イチを狙ってぱぱっと行ってきました。

7時前、大町市の扇沢に到着。
無料な市営駐車場にはそこそこ車が停まっていましたが、
バス乗り場に近い有料駐車場は、

見事なまで閑散。
オフシーズン&早朝でガラガラであろうという読みは当たりました(´∀`)

ここ辺りで気温は15℃くらい。ですが奥の山々には残雪が。
これから先、あの山々の奥にでっかい構造物があると思うとそれだけでワクワクします(笑)

扇沢からだと、この"関電トンネル電気バス"に乗ってしまえば、次は目的地の黒部ダムです。

扇沢停車中に屋根から伸びているこのアームは充電器。
日本初採用の急速充電システムで、10分という短さで扇沢↔黒部ダム間1往復分の電気を充電できるんだとか。

こちらが今回利用したきっぷ。
開業50周年記念とのことで、通常の7割未満の運賃で乗車できました。

バスの名前通り、"関電トンネル"なるトンネルを15分程進んでいきます。
黒部ダム建設に当たって掘られたトンネルで、現在でも保守、観光アクセスのために活用されています。

暗いんでブレブレになっちゃいましたが、途中の青い照明はこのトンネル建設時の難所、"破砕帯"。大量の湧き水に行く手を阻まれた箇所です。短い距離ながら貫通まで何年もかかった区間で、現在でも滾々と水が出続けています。

トンネルは1車線分しか幅が無いので中間地点には行き違い場所が。
ただ、朝一のこの便は行き違いが無いのですぐ出発。他の便より数分程所要時間が短いんです。

そんなかんだでトンネル内の黒部ダムターミナルに到着。
ロゴマークは放流の様子をイメージしたもの?

バスに乗っていた過半数の乗客は登山道の方へ。初夏の北アルプス登山を楽しんでいかれるようです。

私含め、残り半数いないグループはこちらへ。

220段で7分と書いてありちょっと覚悟しましたが、結局5分かからないくらいで行くことができました。
人が少なくスムーズに行けたのもあるかな?
階段を登り切ると
ォオー!!(゚д゚屮)屮
様々な媒体で目にするダムの姿がすぐそこに。
紹介するまでもありませんが、
こちらこそかの有名な黒部ダム。
関西電力管理の発電を目的とした"複合ダム"です。
あれ?↓この矢木沢ダム(群馬)みたいにアーチ式コンクリートダムじゃないの?

と思いますが、

赤矢印で示した部分は重力式コンクリート構造となっており
アーチ式コンクリート+重力式コンクリートの複合ダムというのが実のところ。
こんな珍しい形になったのは、アーチ式で建造していたら、
同時期に竣工した外国のアーチ式コンクリートダムで決壊事故が起きてしまい、建設途中で強度を見直した結果とのこと。

展望台のすぐそばにある柱状のコンクリートの塊はダム建造時に活躍したクレーンの基礎。

対岸にも同様の構造物があり、これほどのスケールの機械を以ってして造られた、とてつもない規模のダムということが伺えます。

ではでは続いて展望台を降りて、ダム堤頂を歩いてみませう。

展望台~バスターミナル~堤頂までのトンネル内の気温は、年間を通じて10℃。この時期は肌寒いくらいです((((;゚Д゚))))

トンネルを抜けると、
そこは堰堤だった。

いやー、それにしても
誰もいない(笑)
観光客がたくさんいてこその黒部ダム、というのか、この写真だけだとどこのダムか分からなくなりそうです(´・ω・`) "密"を避けるという観点からは今は良い光景かもしれませんが、早く観光客で溢れる日が戻ることを願うばかりです。

右岸には近年整備された展望デッキが。行ってみませう。

中腹から見る黒部ダムて何だか新鮮な気がする。

観光放流はまだしていないので、放水バルブが良く見えます。若干漏れているように見えますが、わざと漏らしているんでしょうか?

非常用洪水吐は堂々たる10門。
そうこうしている内に売店の開店時間になり、
ダムカードも(σ・∀・)σゲッツ!!
見たいものを見て、手に入れたいものを手に入れたところでさっさと折り返しの行程に。

ちょっと時間が違いますが、黒部ダムバスターミナルの様子はこんな感じ。
実に"密"とは無縁な状態です(^^;

帰りのバスは行き違いがあるので、行き違い時には"運行票"の交換シーンが。コレを持っている車列が、票に書かれている区間を走行できるというルールを設けることで、信号機とのダブルチェックで「鉢合わせ」状態になるのを防いでいます。

程なくして扇沢に到着。

降車場からは車庫を見ることができ、今となっては路線バスの車庫と大差ない光景が広がっています。

電気バスは路線バスでおなじみの日野・ブルーリボンをベースに、エンジンの代わりにバッテリー、モーターを搭載した車両。サイドミラーはトンネル内での曇り防止のため、デフォッガー機能が付いた日野・セレガのものにしているとか。

興味深いのは、メーターパネルはオリジナルのディーゼルエンジンモデルのものをそのまま使っているというところ。ディスプレイの警告にある「エンジンオイル」なんて、そもそも"エンジン"なるものが無いんですから出さなくてもいい警告でしょうに(^^;
タコメータはモーターの電流計として使っているのか、600rpmの位置を基準に、加速時は高回転の方に振れ、減速時は0の方に振れているように見えました。
「排気ブレーキ」に当たるレバーは回生ブレーキを強める機能として活用され、下り坂が続く箇所で多用している様子が確認できました。
大型車もAT/AMT車が増えてきましたので、この電気バスもそれに近い操作方法で運転できるよう設計されているようですね。

さて、駐車場に戻ろうかと歩いていると、早朝はまだ閉まっていた案内センターが開いていたのでちょいと寄り道。
「トロバス記念館」の"トロバス"とは電気バスの前身"トロリーバス"のこと。
走行用のバッテリーは搭載せず、道路上に張られた架線から常に電気を給電しながら走っていたバスのこと。
ちょっとした備品でも展示されているのかな、と立ち入ろうとすると、、、
?!

何と入り口すぐ下にその"トロバス"がいました。
全て解体され、まさか残っているとは思わなかったので、これには驚きました。

「奇跡の1台」が示す通り、
解体工場でスクラップ寸前のところ、大町市のある個人の働きかけをきっかけに市全体で保存運動が起こり、2020年11月にこの場所に帰ってきたんだとか。スゲ━ヽ(゚Д゚)ノ━

車内の見学は勿論、

現役当時は中々見られなかったであろう、トロリーポールを間近で見られたりなど、"実物"ならでは見られるものがここにはあります。

屋根の下にあるとは言え屋外にあるので今後の維持が大変そうです。貴重な産業遺産とも言えると思いますので、末永く保存されていくことを願っています。
数十年ぶり?に黒部ダムを訪問しましたが、一人旅ならでは、気ままにじっくりと巡れたのは以前と違うところ。一度訪問したところを改めて行ってみると違った見方もできて面白いものですネ。
【おまけ】
バス待ちをしていたら聴き覚えのある音が流れたので検証してみました(笑)