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イイね!
2019年01月28日

摩擦円 タイヤ試験機とGPSデータ

摩擦円の話題について、コメント欄を含め有意義なやりとりがあったので、いくつか思ったことと一緒に記事にまとめます。
まずは2014年につかぽん.さんが書かれた以下の2つの記事の中から、Q&Aのいくつかを一部抜粋しますのでご覧下さい。



 Sタイヤ開発者に聞いた、ハイグリップラジアルタイヤの真実

 メーカーに聞いた,ハイグリップラジアルタイヤの真実 BSとGY編



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q スポーツラジアルタイヤは新しくなる度に耐えられるGというのは上がっているのでしょうか?
A ・・・本当は全部教えてあげたいんだけどね(笑)


Q タイヤはモデルチェンジするたびに、許容できる横Gというのは大きくなっているのでしょうか?
A 難しい質問ですねぇ…


Q タイヤはモデルチェンジするたびに、許容できる横Gというのは大きくなっているのでしょうか?
A 「G」という考え方はしていないですね。タイヤの摩擦円が元々ひし形っぽいので、それをだ円に広げるような設計をしています。具体的には、コンパウンドや内部構造をいじってます。





Q タイヤサイズが違う,例えば195と285等ではコンパウンドを変えているのでしょうか?
A いや,変えていません.大体市場でメジャーなサイズのタイヤを基準にタイヤを設計して,そこから大きさに合わせて構造を変えています.


Q なるほど!というと,それぞれのサイズで実走試験を行っているのですか?
A いや,実装試験は全部やっていません.ただ,全部試験機にはかけています.


Q ローラー試験機のようなものですか?それで耐荷重や速度テストを行っていると?
A そうです.


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




さてQ&Aの中では、「許容できる横Gは大きくなっているか?」という質問に対して「『G』という考え方はしていない」との回答があります。
同じタイヤを使っていても1000kgのクルマと500kgのクルマでは耐えられるGが変わってしまいますから、力と加速度を同列に語ることは出来ないという意味で、それは理解できます。

ただし単純に「発揮できる摩擦力が大きくなった」のであれば、「許容できる横Gも大きくなった」と言えるはずです。
Q&Aの中ではそのあたり答えあぐねている様子があって、必ずしもそうは言えない、といった面があるように読めます。
何となくですが「タイヤの摩擦円が元々ひし形っぽいので、それをだ円に広げるような設計をしています」という部分に理由のひとつがありそうです。

というのは、タイヤに関する実測データについて、例えば「横軸が荷重またはスリップ角、縦軸がコーナリングフォース」といったようなグラフはよく目にするものの、グリップ力を摩擦円グラフ化した実測値は見たことがありません。
タイヤ試験機のうち「スリップ角を変えることができ、前後力と横力を測ることができるもの」であれば摩擦円グラフを作ることが出来るので、タイヤメーカさんなら普通にグラフを出せると思います。
ちなみにタイヤ試験機というと、例えばこういうやつです(いろいろあるんですけど)



 フラットベルト式タイヤ試験機の紹介(動画)



こちらの動画の中でも「摩擦円試験」という項目がありますが、角度固定の計測となっているようなので、僕らが想像するような条件とは少し異なるようです。
駆動/制動力の最大値よりも横力の最大値のほうが大きいように見えますが画質が粗いので何とも言えません。

ともかく試験機があれば普通に測ることは出来る建前なのですが、でも実際にはあまり摩擦円グラフをお目にかかることがありません。
「もしかしてタイヤメーカにとって摩擦円はそれほど重要ではないのか?」とも思ったのですが、Q&Aにある「ひし形っぽい摩擦円をだ円に広げるような設計をしている」という部分から、そうではないと思われます。

というかむしろその点にこそスポーツタイヤ設計の中心が置かれているように読めるので、そうだとしたら自社の実測データが他社に知られるのは企業競争上ちょっと都合が悪いように思われるので、そういったわけで摩擦円グラフ化された測定データはあまり世に出てこないんじゃないかなぁと思いました。
実際のところは分かりません。

ともかく、つかぽん.さんの記事からはタイヤメーカの方の考え方や、開発環境の一部を伺い知ることが出来ます。
この記事が書かれた当時は何も思わなかったのですが、いま読むととても参考になります。
タイヤメーカの方と直接お話する機会はめったにないので、こういった普段聞けないお話を記事として残して頂けているのはとてもありがたいですね。





ところで、上記のように計測されたデータはタイヤ単体の摩擦円を表すことになります。
それに対してサーキット走行では、理想的な走行ライン上を4輪合計の摩擦円の縁で走ればそれが最速なので、もちろんタイヤ単体のほうも大切なのですが、そういった意味でクルマの特性を加味したトータルでの摩擦円がとても重要になります。
そしてそれはGPSロガーの解析ソフトから摩擦円グラフを出せば分かるのですが、ちょっと待って、よく考えたらLAP+で出力される縦Gとか横Gって、なんだか当てにならないところがあるのを思い出しました。(参考:ラプラスの謎)

もともとLAP+で使われるロガーはGセンサを持ち合わせておらず、単純に位置と時間だけを記録していて、その走行軌跡から加速度を計算します。
ところがGPSというシステムはもともと僅かな誤差が出るものであり、さらに天候などによって誤差の単位に影響を受ける面もあるので、そういった誤差が複雑な計算を繰り返すことで大きな誤差になることがあると思われます。

誤差が出ると言っても計算方法が同じなら、同じコースを走ったときの比較には使えると思うのですが、絶対値そのものには信用が置けません。
そんなわけでGPSロガー使っても「縦と横のどちらが~」といった話は出来ない気がしてきました。
加速度を直接測ることが出来れば解決するので、Gセンサが欲しいですね。
ていうか最近のクルマには普通についてるから時系列でデータ読み取りが出来ればいいのか(笑)





ともあれ、タイヤ試験機のデータもない、GPSロガーで実測したところで信用性が低いので何とも言えない、となると、今度はますます「摩擦円は縦に長い楕円である」という主張の根拠が気になります。
結構いろんなところで目にするのですが、皆さん何をもってそう言っておられるんでしょうね。
先人の教えなのか?体感の結果なのか?理論上のことなのか?
いやぁ、面白いですね^^

ブログ一覧 | 日記
Posted at 2019/01/28 22:02:36

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この記事へのコメント

2019年1月28日 22:38
タイヤだけでGは決まらず、足周りのセッティングも影響するようです。
以前Gセンサー付きのGPSロガーでの比較で、機械式LSD付きのロードスターは斜め前と斜め後のGは上がっても真横が苦手になり、トルセンでは真横が一番Gが上がりました。
内輪差を吸収しないとGが出なくなると解釈してます。
また、クルマのコーナリング時の横Gは内輪のグリップの影響が大きいので、ゴムの粘着によるグリップとスリップアングルの関係を考えたセッティングも大事みたいです。
いずれも数値で表すのが難しいので推測の域は出ないですけど、、、

ちなみにロードスターで、若干バンクのついたコースですが、真横1.6G超えます。(A050、空力あり)
コメントへの返答
2019年1月30日 22:27
エンジン、ブレーキ、足回り、空力などクルマの特性を加味したトータルでの摩擦円が重要になりますね。
差動制限があるとタイトコーナーブレーキング現象のように縦グリップが使われることから、そのぶん横が減るのは理屈として納得がいきます。

Gセンサつきのロガーを使われていたんですね。
摩擦円は縦と横どちらに長かったでしょうか?(最大減速Gと最大横Gはどちらが大きかったでしょうか?)
2019年1月29日 22:21
読まさせて頂いて、気になってAIM SOLO DLで内部のGデータ
拾ってないか確認しましたが無かったですね(^_^;
SOLO DLのGPSからのGデータですね・・・
コメントへの返答
2019年1月30日 22:27
AIM SOLO DLにはGセンサ使われてないようですね^^;

ストロークセンサとかGセンサとか、ぜーんぶ繋いでいろいろ見てみたいですね(高いですが…)

プロフィール

「@Garage K 個人的には、「グリップする」=「より大きなグリップ力(コーナリングフォースまたは加減速力)を出せる」という意味かなと思って読んでましたが^^;
この件面白いんで記事にしますね!」
何シテル?   12/13 20:54
福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
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