「BWV.988」とは、大バッハの『ゴルトベルク変奏曲』です。
僕がとっても大好きな曲集で、様々な演奏家の作品を沢山持っています。
冒頭の美しいアリアと、30曲にも及ぶその変奏曲、そして最後にアリアの再現。
3の倍数の変奏で(アホになるのではなく)カノンが配置されていて、
それが同度から9度まで順に音程を拡大しながら進行して行きます。
ひとつひとつの曲が素晴らしいのも去ることながら、
全体の構成もシンメトリカル且つフラクタルちっくで、複雑怪奇...w
様々な区切り方や解釈も全部飲み込んでしまう和音の宇宙のような深~い曲です。
最近買った新しいゴルトベルクは、ちょっとした衝撃でした。
イルマ・イサカーゼがピアノで演奏するゴルトベルク。
本来ならこの曲は2段チェンバロで演奏されるべき曲で、
ピアノだと左右の手が衝突してしまうのでオクターブ移動して演奏されます。
音の強弱が常に一定なチェンバロの方が、和音の美しさではピアノよりも上ですが、
ピアノでは音の強弱はある意味奏者に委ねられる所もあり、そこがセンスと腕の見せ所。
(因みに、クルマで聴くなら断然チェンバロを大音量ですね。ピアノは聴こえないもの...w)
イサカーゼの演奏は、そんなピアノの特徴を最大限生かしたダイナミック且つ繊細な演奏で、
最初のアリアを聴いただけでヤラれた...って感じ...装飾音の付け方がちょっと独特で、
時に歩を早めたり緩めたり...また片足を一歩だけ歩幅を緩めたり....そんな感じです。w
やっぱり、女性の演奏だと繊細さや叙情性が際立つのかな...なんて思いました。
今迄、'00年に出たマレイ・ペライアの演奏が(ピアノでは)一番のお気に入りでしたが、
コレがとって代わりそうなくらい気に入りで、毎日寝る時に聴いてます。w
いろんな演奏家が録音を残しているこの曲。中には奇をてらったようなモノもありますが、
コレは正統的だけど革新的なような...不思議な感覚です。 お薦めですよ。
スタイルは全く違うけど、グールドと比較されるのも、ナルホドと思いました。
あと、DSD録音のハイブリッドSACDで、もの凄く音が良いです。
Posted at 2008/07/22 18:03:45 | |
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