本日、以前から噂されていた新型ハイエースがトヨタからついに正式発表されました。

プラットフォームから新開発されたこの新型はフィリピンで先行発表され、今後新興国を中心に導入していくそうです。
第一印象は、「顔が何となくヴォクシーみたい…」といったところでしょうか。あくまで個人的な意見ですが。

雑誌などで噂されていた通りにボンネット付きのセミキャブボディへと変化しました。これは衝突安全性の問題を考えると仕方ないと思いますね。現に欧米の自動車メーカーのバンはどれもボンネット付きに切り替わっていますし…
実際欧州のバンに似ているような気がします。トヨタも欧州ではハイエースの販売を辞めてプジョー・シトロエンからOEMを受けるプロエースを販売しています。

これがプロエースです。新型ハイエースのイメージに一番近いのではと言われていましたが、今回の新型は直線的なデザインなのに対しプロエースは曲線的でちょっと違います。
あとフロントドアのドアハンドルがグリップ式に変わってますね。それとボディのプレスラインが現行の200系のイメージを引き継いでいるような気がします。
リアはだいぶ角ばったデザインになってますね…コースターに似ている気もします。

インテリアはだいぶ乗用車的になりましたね…新興国メインということもあってかちょっと安っぽさもありますが商用車だからまあ良しといったところでしょう。ベージュとブラックのコンビネーションの内装はコースターにも少し似ていますが今まで無かった感じで斬新です。17人乗りという日本には無い仕様もある模様。
ただプレスリリースを見て気になった一言が…「
なお、市場環境が異なる日本においては、従来モデルのハイエースを継続していきます。」
これがどう言ったことを意味するのか、非常に気になるところであります…

本当にこれからも200系を販売し続けていくのでしょうか…
登場時はそれまでの商用ワンボックスにあった地味なイメージを一新し、その後も今に至るまで高い人気を誇っていますし、うp主も金があるなら乗りたいものですが、登場から15年経過しておりそろそろ新型も見てみたかったところではあります…ちょうど旧型の100系が15年作っていた訳ですし…
で、新型が出た訳ですがここに来て日本では販売しない可能性があるという…日本において新型のテストカーが走っている姿も目撃されていますし期待はしていたんですけどね…
ただ、5ナンバー・4ナンバーという制約がある日本においてハイエースをボンネット付きにするのは非常に厳しいのも現実です・・・
うp主もそこは危惧していました…
トヨタも過去に
レジアスバンという失敗例がありますし、200系の標準ボディも4ナンバーサイズの限界まで広げてはいますからね…

これがレジアスバン(登場時はハイエースレジアスバン)です。1997年に大型ミニバンのグランビアを5ナンバー化したナローバージョンとしてハイエースレジアスが登場し、それのバン仕様という扱いでした。
ですが積載容量がかなり重要視され、尚且つ4ナンバー規格に収めなければならないワンボックスバンにおいてボンネット付きにするのは厳しいもので、ハイエースクラスとなると基本的には最大クラスとなる訳ですから尚更厳しい訳です。
レジアスバンも助手席を格納出来るようにするなど何とか対策はとっていたようですが、同じビスタ店で売られていた従来の100系ハイエース(99年以降はレジアスエース)からの顧客の移行に失敗しました。
同じ時期には1クラス下のタウンエース・ライトエースのバンもボンネット付きとなり、こちらは旧型が併売されずに完全に移行し、レジアスバンに比べればだいぶマシだったものの、やはりトヨタの販売力をもってしても顧客がボンゴ・バネットなどに移行してしまうケースが見られたようです…
そして同時期にマイナーチェンジしたボンゴの販売マニュアルではボンネット付きになったことによる積載容量低下が徹底的に叩かれていたとか…
乗用のレジアス自体も元となったグランビアやグランドハイエースなどの姉妹車と並んで販売面でエルグランドに対し劣勢であり続けたため、2002年にアルファードに後を託す形で全て絶版となりました。

また他のメーカーではありますが、レジアスバンと同じクラスでは三菱のデリカカーゴ(のロングボディ)も失敗例にあたります。
1994年にデリカスペースギアの商用版として登場し、それまでのデリカバン同様に標準ボディとロングボディがありました。
やはり積載容量が少なくなるため併売されていた旧型のデリカバンから顧客が移行せず、その売れていた旧型が衝突安全基準に適合しなくなり、1999年末をもって三菱は国内向けの普通商用ワンボックスの生産から撤退し、マツダからボンゴシリーズのOEMを受けることになりました。
この際、デリカカーゴは1983年登場のボンゴブローニィのOEMとなったため車名だけ見れば11年も登場年が古くなったことになります。まあバン・トラックの設計も前半分以外ほぼ同じなんですけどね…

この他、日産は1クラス下でC23セレナの商用版であるセレナカーゴを販売していましたが、これも従来のバネットバンから顧客が移行せず失敗しました。
結局、90年代においてワンボックスの安全性強化が求められる中、これまで通り乗用と商用で設計共通化しつつもボンネット付きに変更したところ
全て失敗し、以降どのメーカーも乗用と商用で設計を分けることになる訳です…
当時軽以外の商用ワンボックスを作っていたメーカーの中でマツダのみがキャブオーバー一本を貫き、その頃から基本設計を変えないままボンゴを未だに作っている訳です…
ボンゴも99年に今の4代目になる際、フレンディと共通化してセミキャブオーバーになることも検討されたそうですが結局旧型の設計をキャリーオーバーして今に至ります。

軽ワンボックスの場合は99年に規格変更でフルモデルチェンジを行う際にサンバー以外全てボンネット付きになりましたが、あれは軽のサイズで厳しくなった安全基準をクリアするためには仕方ないと思います…RRだったからとは言えむしろキャブオーバーのままモデルチェンジ出来たサンバーが凄いです…
例としてアクティバンを挙げてみました。ついこの前までモデルチェンジしないで売ってましたね…
その後00年代の終わりにタウンエース・ライトエースがモデルチェンジ、NV200バネットが発売されましたが、どれもキャブオーバーのままのボンゴに対して販売面で劣勢らしいですし…
話がだいぶそれましたが、このような過去があったために日本におけるハイエースをボンネット付きにすることは厳しい状況にある訳です…
そのために海外向けに特化した…ということなのかもしれません…

まあ海外で先行販売して、日本には後から導入…という可能性も無くはないですが…
トラックのダイナ/トヨエースみたいに4ナンバーサイズの制約を受ける標準ボディは旧型のまま、受けないワイドボディは新型…というのもありだとは思いますね…
うp主、商用車の新型というのは乗用車と比べて少ないために、実際に出たら非常に気になる分野ではあります。ハイエースの場合は15年ぶりの新型ですからねぇ…
さて今後国内向けハイエースはどうなるのか、気になるところです…