
日産自動車は2018年5月、キューブを10年ぶりにフルモデルチェンジして発売した。
新型キューブ(型式名・Z13型)は、2015年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー、テアトロの市販化モデルとなる。ただしテアトロは軽自動車サイズであったのに対し新型キューブは当然のことながら5ナンバーの小型車サイズとなっている。
歴代モデルに受け継がれてきた角と丸が融合した個性的なデザインを受け継ぎつつも、市場環境の変化に伴ってコンセプトが大きく変更され、ライバルのシエンタやフリードへ対抗すべく全高を高め、スライドドアを搭載するなどミニバン要素を強めたのが最大の特徴である。
このために旧型では消滅していた7人乗り・3列シート車のキューブキュービックが復活した。またプロパイロットやe-POWERといった先進技術を多く設定した。
全グレードで2WDガソリン/4WDガソリン/2WD e-POWERの3種類のバリエーションと5人乗り/7人乗りの定員が自由自在に選択可能で、カラーバリエーションもボディカラー/インテリアカラー共に豊富に設定しており、さらにオプションも豊富に設定されているため、自分だけのキューブを自由に作ることが出来るようになっている。
この豊富なバリエーションと先進技術でライバルに対抗し、近年急速に需要を伸ばしつつある小型ワゴン/トールワゴン市場でシエンタやフリード、トールやソリオといったライバルと競い合うことになる。
エクステリアは日産のデザインの象徴である「Vモーション」を採用し統一感を強調した。一方で前述の通りZ11から続くキューブの象徴である角と丸が融合した個性的なデザインはこのモデルでも引き継がれ、フロントウィンドウとサイドウィンドウが一体化したものとなっている。
また一体感のあるワイドフェンダーも引き継がれたものの、左右非対称の窓やヒンジ式のバックドアはミニバンとしての使い勝手の向上のために消滅しており、通常の左右対称の窓で跳ね上げ式のバックドアの構成となる。なおe-POWER搭載車はグリルの一部がブルーとなる。

インテリアは従来通り車離れしたリラックス出来る空間を目指し、流れるような一体感のあるインパネやベンチシートも受け継がれているが、こちらもさらなる利便性向上が図られている。
2列目のシートは量は大きくないもののスライドも可能であり、また1列目のシートも利用してフルフラットにすることも可能である(ただしキューブキュービックは3列目を畳む必要があり)。
また3列目はダイブイン格納方式を採用している。これは足元の空間を広げるべく荷室との間に段差をつけているためで、畳むことで平らな荷室として利用することが出来る。2列シート車の場合は通常の荷室となっているがオプションのパーテーションやラゲッジネットなどを装備できるようフックや穴が設けられている。
エンジンは通常のガソリン車がこれまで通りのHR15DE型だが、e-POWER車は発電用エンジンとしてHR12DE型を搭載している。
プラットフォームはノートやマーチにも使われているVプラットフォームを採用しており軽量化を図った。
日産の先進技術である「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」を採用し、エマージェンシーブレーキは当然のことながら全車標準装備としている。
さらにインテリジェント LIやインテリジェント DA、踏み間違い衝突防止アシストまで設定されている。そして同一車線自動運転技術のプロパイロットをクラス初採用し、さらにシリーズ方式ハイブリッドのe-POWERをX・Gに設定した。

また2019年には追加モデルとしてセレナやデイズなどで好評のハイウェイスターがキューブとしては歴代で初めて設定された。また同時に同車をベースとしたコンプリートモデルのオーテックも追加されている。
エクステリアはダイナミックかつワイルドなフォルムとし、セレナやデイズと同様の迫力あるものとした。フロント・サイド・リア・ルーフのスポイラーはハイウェイスター全車に標準装備となっている。

インテリアは専用のブラックインテリアを採用し、スポーティで落ち着きのあるものとした。
インテリアパネルにはハイウェイスターGを除き黒木目調パネルを採用している。なおハイウェイスターGにはそれ以外のグレードでオプション設定される大理石調パネルを装備している。ハイウェイスター以外の全車に本革巻ステアリング/シフトノブを装備する。
:カラーバリエーション
ボディカラーはモノトーン9色・2トーン8色の合計18色もの豊富なバリエーションが用意され、2トーンカラーはX Vセレクション・Gにメーカーオプションで設定される。
なお*印はハイウェイスターにも設定されるボディーカラーとなる。

ブリリアントホワイトパール(3P/特別塗装色)*

ブリリアントシルバー(M)*

ダイヤモンドブラック(P/特別塗装色)*

スパークリングレッド(M)*

プレミアムオリーブ(M/特別塗装色)

オーシャンブルー(P)

インペリアルアンバー(P/特別塗装色)*

クリスタルベージュ(P/特別塗装色)

ダークメタルグレー(M)

スパークリングレッド(M)× ブリリアントホワイトパール(3P/2トーン/特別塗装色)*

オーシャンブルー(P)× ブリリアントホワイトパール(3P/2トーン/特別塗装色)

プレミアムオリーブ(M)× ブリリアントホワイトパール(3P/2トーン/特別塗装色)

インペリアルアンバー(P)× クリスタルベージュ(P/2トーン/特別塗装色)*

スパークリングレッド(M)× ダイヤモンドブラック(P/2トーン/特別塗装色)*

ブリリアントホワイトパール(3P)× ダイヤモンドブラック(P/2トーン/特別塗装色)*

クリスタルベージュ(P)× インペリアルアンバー(P/2トーン/特別塗装色)

ブリリアントホワイトパール(3P)× スパークリングレッド(M/2トーン/特別塗装色)

ダークナイトバイオレット(P/ハイウェイスター専用/2トーン/特別塗装色)

ダークナイトバイオレット(P)× ブリリアントホワイトパール(3P/ハイウェイスター専用/2トーン/特別塗装色)

カスピアンブルー(M/オーテック専用/特別塗装色)
またインテリアカラーもこれまで通り豊富に設定され、10色が設定される。なおG、ハイウェイスターGのみメーカーオプションで本革シートを設定する。

サンドベージュ

シルキーグレー

グラファイト

インディゴブルー(シルキーグレー内装/X・X Vセレクション・Gのみ選択可能)

チリ(シルキーグレー内装/X・X Vセレクション・Gのみ選択可能)

グラファイト×ブラウンコンビネーション本革シート(ベージュ内装/Gのみオプション設定)

グラファイト×ブラウンコンビネーション本革シート(グラファイト内装/Gのみオプション設定)

ブラック(ハイウェイスター・ハイウェイスターVに標準)

ブラック本革シート(ハイウェイスターGに標準)

ブルー/ブラックコンビ本革シート(オーテックに標準)
さらに標準車ではS・Xを除きインテリアのアクセントパネルをダークウッドパネル/ブライトウッドパネル/チークウッドパネル/ブラックウッドパネルから自由自在に選択出来る。なおXにはメーカーオプションで設定されている。
またハイウェイスター/ハイウェイスターVは、ダークウッドパネル・ブラックウッドパネルから選択可能でメーカーオプションとして大理石調パネルも設定される。
:グレード
グレードは標準系は基本的にS・X・X Vセレクション・Gの4グレードから成るが、e-POWERの設定や乗車定員の設定などが異なる。またガソリン車は全車に2WD/4WDを設定する。
・15S

廉価グレードで、インテリアパネルレス・オーディオレス・15インチホイールキャップ装備となる。ガソリン車のみの設定となる。5人乗りと7人乗りから選べる。
・15X/e-POWER X

お買い得グレードで、UVカットガラスやマルチアームレストボックスなどを装備する。e-POWER Xのみ15インチアルミホイールを装備する。5人乗りと7人乗りから選べる。
・15X Vセレクション/e-POWER X Vセレクション

上級グレードで、15インチアルミホイール・2トーンカラーの設定・フォグランプ・両側電動スライドドア・本革巻ステアリング/シフトノブなどを装備する。5人乗り・7人乗りから選べる。
・15G/e-POWER G

最上級グレードでインテリジェント ルームミラー・シートヒーター・デュアルエアコン、プレミアムインテリアなども装備する。メーカーオプションで本革シートを設定する。5人乗り・7人乗りから選べる。
*ハイウェイスター/e-POWER ハイウェイスター

専用フロントマスク・フロントスポイラー・サイドスポイラー・リアスポイラー・15インチアルミホイールなどを装備する。
*ハイウェイスターV/e-POWER ハイウェイスターV

上級グレードでインテリジェント ルームミラー・シートヒーター・デュアルエアコン、17インチアルミホイール・本革巻ステアリング/シフトノブなども装備する。5人乗り・7人乗りから選べる。
*ハイウェイスターG/e-POWER ハイウェイスターG

最上級グレードで本革シート・専用イルミネーションシステム・インテリジェント ルームミラー・シートヒーター・デュアルエアコン、プレミアムインテリアなども装備する。5人乗り・7人乗りから選べる。
・コンプリートモデル
*オーテック

オーテック扱いのカスタマイズカーで、専用デザインのダーククロムのグリルや前後に装着されたメタルのプロテクター、専用シグネチャーLED、専用デザインの本革シートなどを装備する。
・福祉車両(ライフケアビークル)
福祉車両は標準系のみの設定となり、ハイウェイスターには設定されない。
*チェアキャブ

車いすのまま後部から乗り降り出来るのが特徴で、バックドアの下部もスロープ用に開閉するようになっている。
ベンチシートタイプとサイドシートタイプの2種類があり、前者は車椅子用装備を使わない場合に5人乗車することが出来るが、後者はリアシートが1人乗りのみとなり隣に車椅子を載せることが前提となっている。そのため使わない場合は3人乗りとなる。
また後述する助手席スライドアップシートをさらに装備した仕様もオプションで設定している。
*助手席スライドアップシート
リモコンまたはシートに備えられたスイッチで助手席が自動で昇降する仕様である。5人乗り・7人乗りから選べる。
・日本市場を放置し続けた結果、売れる車が無くてディーラーが困っているという話はよく聞きますし、キューブで無くても背の高いコンパクトなミニバンやトールワゴンは日産に必要だと思いますね…今回挙げたシエンタやフリード以外にトールやソリオだって売れていますし…