旧ブログからの移行記事です。

今回は日産の小型トラック、アトラスのH41型を紹介します。H41型は1991年に登場し、斬新なデザインの丸っこいキャビンと異型ヘッドライトで登場しました。2t~3t系アトラスの2代目となり、日産ディーゼル(UD)向け姉妹車のH41コンドル20・30もあります。翌年には1t系のF23型とウォークスルーバンのアトラスロコが追加されます。
また、コンドルにはファインコンドル(3代目の中型コンドル)のシャシーに本車種のキャブを載せたコンドルSもあるなど、かなり複雑ですので2代目アトラスシリーズを簡単にまとめてみますと、
・積載量1t~1.5tのF23アトラス
・積載量2t~3tのH41アトラス(今回紹介するのはこれ)
・積載量3.5tの日産ディーゼル・アトラス(今回のH41のカタログにもあったが詳細不明)
・F23ベースの1tウォークスルーバン、アトラスロコ100
・H41ベースの2tウォークスルーバン、アトラスロコ200
・積載量1t~1.5tクラスのUD向けOEM車、F23コンドル10
・積載量2t~3tクラスのUD向けOEM車、H41コンドル20・30
・積載量4tクラスのベッドレス車、2代目コンドルS
となります。
ちなみにUD版はOEM車扱いですが、生産はアトラスロコ以外全てUDの上尾工場で行われていましたが(アトラスロコは日産車体京都工場製)、コンドルS以外はUDの工場で作っていながら日産からUDへの委託生産という扱いであり、かなり複雑な関係でした。また、開発も日産とUDの共同開発でした。
H41アトラスは登場時、森脇健二さんをイメージキャラクターに起用し、CM曲に若大将こと加山雄三さんの「夜空の星」を起用したCMが放送されていました。
また、OEM車でありながら姉妹車のH41コンドル20・30もかとうれいこさんを起用したCMを放送し、CM曲には同じくかとうれいこさんの「ステキなことだと思うから」が起用されました。
他にも動画はありませんが、1994年のコンドルSのCMにはバブル期に大ヒットしたアイドル、Winkの相田翔子さんが起用されていました。
姉妹車揃って宣伝に力を入れ、斬新なキャブでセンセーショナルに登場したH41でしたが、1995年に悲劇が訪れます。
日産はバブル期の過大投資が原因でバブル崩壊による経営悪化が深刻化し、車種のリストラやコスト削減を図っていた時期でした。
そこで販売台数が乗用車より少なく利益率も少ない商用車は特にリストラが進められ、前年にセレナカーゴ登場後も生産継続していたC22バネットがボンゴのOEMになり、サニトラが24年目で生産中止になったのに続き、
2tアトラスもH41型登場からわずか4年で5代目エルフのOEMとなってしまい、前身のキャブオールやクリッパー(軽トラの方ではありません)、プリンス・キャブオーバーから続いた歴史はここで途絶えたといってもいいでしょう…
翌年にはアトラスロコの生産も打ち切られ、エルフUTのOEM車、アトラスMAXに替わりました。しかし、1t系のF23は2度のフェイスリフトをしながら生産継続し、2007年に現行のF24にバトンタッチするまで15年も生産されました。
↑追記ですが、当時のPV映像です。様々な特装車の紹介に工場で荷台を架装される様子の映像もあります。
さらに司会者2人の背後には貴重なデザインスケッチもあります。それにしても女性司会者の棒読み感…(仕方ないけど)
そしてドライバンの組み立てのシーンは何故か旧型のH40型ですし…
ペーパークラフト 日産・アトラス H41
↑さらに追記ですがペーパークラフトを扱う別ブログで本車種のペーパークラフトを制作したのでリンク載せておきます。

コンセプトのページです。今回のカタログは1992年に4WD車やワイドキャブが追加された際のカタログになります。
先代型のH40は最後まで丸目を突き通し、角目になったライバルと比べて時代遅れな印象を与えていましたが、同時期のP10プリメーラやK11マーチにも通じる丸みを帯びたスタイリッシュなキャブに生まれ変わりました。
個人的には5代目エルフより良いデザインだと思いますし、エルフのOEMになったことが悔やまれます。また、UDも開発に参加しているためか、同世代のビッグサムやファインコンドルに似た雰囲気がある気がします。コンドル10初期、コンドルS中期はアトラスとは異なる専用のグリルでした。

目次のページです。イラスト付きで細かく掲載されています。

エンジンのページです。FD46型を筆頭にFD42型、BD30型となっておりH40型とは異なりターボエンジンの設定が無くなりましたが、
これがトラックドライバーの方々にとっては本当にキツかったそうで、坂道ではかなり苦労したとか……
そんなエピソードがあるみたいで、これが原因でシェア低下…というのもOEMになった原因なのかもしれません…
一応、FD46型はNAディーゼルながら旧型にあったターボエンジンで130馬力のFD35T型よりパワーアップして135馬力にはなったのですが…
またH40型にあったガソリンエンジンの設定も無くなり、1t系のF23型のみに設定される形となりました。

安全性のページです。この頃はABSがまだ全車オプションで、エアバッグを装備することは出来ませんでした。
アトラスは小型トラックでありながら助手席の安全窓が標準装備なのが特徴でしたが、F24からは無くなりました。

走行安定性と積載性のページです。貴重なテストコースでの写真も掲載されています。また荷台の特徴にはタイヤハウス付きの低床荷台まで掲載されています。

4WD車のページです。パートタイム式のため、2WDより車高が高くなります。確か旧型だとF22だけでH40には無かったはずです。

グレードのページその1です。中級グレードのVZです。2代目アトラスは上から順にカスタム/VZ/DX/STDの4グレードが存在しました。VZはマニュアルエアコンやフルトリム、ファブリックシートなど、小型大衆車レベルの装備です。

グレードのページその2です。DXとSTDの紹介です。STDにはフォグランプが装備されません。

グレードのページその3です。最上級グレードのカスタムです。カスタムはモケットシートやフルオートエアコン、カセットデッキが装備されます。H40はカスタムでもエアコンレスでFMラジオが特別装備だったことを考えると大きく進化しています。

車型一覧表のページです。

バリエーション&キャブのページです。4WD車から紹介している小型トラックのカタログは珍しいです。

バリエーションのページその1です。2t積み・標準キャブの車型の紹介です。

バリエーションのページその2です。こちらも2t積み・標準キャブの紹介です。低床荷台はH40の物を流用しています。

バリエーションのページその3です。ワイドキャブ・2tの紹介です。F23に見慣れているせいか、H41にしか無いワイドキャブ車は違和感があります。

バリエーションのページその4です。最も大きいワイドキャブ・3tの紹介です。やっぱり広いキャブと長い荷台は違和感あるなぁ…

バリエーションのページその5です。ダブルキャブ車の紹介です。

ダンプのページその1です。右下の高床強化ダンプの写真には貴重な建設途中のランドマークタワーの姿が写っています。

ダンプのページその2です。バリエーションとダンプ専用の装備について紹介しています。

ダンプのバリエーション&装備のページです。こちらも4WD車から紹介しています。

ダンプのバリエーションのページその1です。

ダンプのバリエーションのページその2です。ダンプにはダブルキャブ車も設定されています。

バンのページその1です。ドライバンと中温冷凍車について紹介しています。右の中温冷凍車の写真はパシフィコ横浜で撮影されているのでカタログ写真のロケ地はみなとみらい周辺だったようです。

バンのページその2です。
バンのページその3です。ドライバン・保冷車・冷凍車が掲載されています。

アトラスロコのページです。旧型のアトラスウォークスルーバンの後継で、「カバ」とも呼ばれた愛嬌あるデザインが特徴でしたが、それが理由なのか法人の運送会社が使うことは多くなく、どちらかというと個人商店などで使われることが多かったですね。またオーテック扱いのキャンピングカーや福祉車両もありました。

特装車のページです。右ページにある日産ディーゼル・アトラスというのが気になります。

主要諸元表その1です。

主要諸元表その2です。

主要諸元表その3です。

主要装備表とカラーリング一覧表です。

裏表紙です。

オプションカタログです。F23と共通になっています。

ドレスアップパーツのページです。メッキパーツが多く設定されていますが、メッキバンパーの設定はありません。ちなみにH40型ではメッキパーツの設定すらありませんでした。

エアロパーツと実用パーツのページです。エアロパーツは何故かH41のみの設定になています。木目調パーツが多く設定されていますが、木目調パネルの設定はありません。

裏表紙です。ダブルキャブのみ空気清浄機のピュアトロンが設定されています。