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2020年02月05日

カタログ 日産 エキスパート 後期


今回紹介するカタログは日産のエキスパートの後期型です。
エキスパートは1999年にW10アベニールカーゴの後継として登場しましたが、規制対応が困難になり同時に生産終了したY30セドグロバンの後継も兼ねています。
しかし車名こそ変わったものの前年にフルモデルチェンジしたW11アベニールのライトバン仕様と言えるモデルなので新型アベニールカーゴと言ってもいいものとなっています。なおアベニールカーゴからは9年ぶりのフルモデルチェンジとなりました。
同年には1クラス下のADバンもフルモデルチェンジしており日産のライトバンが一気に世代交代した記念すべき?年でした。
アベニール/エキスパートのプラットフォームはP11プリメーラ/U14ブルーバードと共通のもので同年登場のリバティとも共通です。まあP11プリメーラワゴンの販売店違いの姉妹車的な要素もありましたし…

前述した通りアベニールをベースにしたライトバンですが、この手の商用バンによくありがちな乗用モデルと比べて大きく簡素化されることが無かったのが特徴でした。
リアシートは法規上変更されていたりグレードによってホイールキャップやサイドモールが無かったりと細かい装備の差はあるものの、バンパーも全てカラードバンパーで定番のテールランプの簡素化やピラーのブラックアウト省略もされず、基本的な見た目は乗用モデルのアベニールとほとんど変わらないものとなっていました。
それでも商用バンで重要な最大積載量はADバンよりも大きい500㎏を確保し中型ライトバンの標準的なものとなっていました。このため最大のライバルはトヨタのカルディナバンとなります(というかこれしか無かったけど)。

しかし登場した1999年の時点で既にライトバン市場はワンボックスバンに需要を奪われたことで縮小していた状態であったことから販売も振るいませんでした。同年にはセドグロバン・クラウンバン・カペラカーゴが一気に生産終了していますし…
2002年にはマイナーチェンジを行ってデザインの変更を図るも(今回紹介するカタログもこの時のモデルで、日産のロゴ変更に伴う措置とも言えるが…)販売は好転しませんでした。
ライバルのカルディナバンも2002年にサクシードに移行し、この時に設計をプロボックスと共通化したために積載量が減少して実質同一車種になりましたぐらいですから…
遅れてエキスパートも2006年のADのモデルチェンジでそれに統合されてこのクラスの中型ライトバンというジャンル自体が消滅してしまいました…一応上級仕様のADエキスパートとして名前こそ残り現在に至ります…

中の人もエキスパートはあまり見たことが無いですね…売れなったせいか年式の割に見ない気がします…

今やOEMや姉妹車を除けばライトバン自体がプロボックスとADの実質2車種しかないような状態で、どちらも10年以上前のモデルを未だに作り続けています…
かつてはどのメーカーでもライトバンの設定があり乗用車と並行してモデルチェンジしていましたし、例えば日産の場合でも上から順にセドリックバン・グロリアバン・スカイラインバン・ブルーバードバン・オースターバン・バイオレットバン・サニーバン・パルサーバンという豊富なラインナップがあっただけに寂しいですね…


コンセプトのページです。ブランニューと言ってますけどグリルとエンブレム以外はあまり変わったとは言えないですね…なおこのグリルはアベニールと全く同じです。
ホイールキャップがクルーなどにも使われていた古いタイプのものでエンブレムが現行のものなのに対しホイールキャップが旧ロゴという状態になっています…

コンセプトのページです。ライトバンにありがちなテールランプの省略も無くアベニールと全く同じです。

コックピットのページです。初期のアベニールと同じでP11プリメーラにも類似したインパネですがアベニールはマイナーチェンジでインパネを変更したのに対し、エキスパートは最後までこのインパネのままでした。これはウイングロードとADも似たような状況でADだけ最後まで変わりませんでした。
オーディオは4スピーカー、電格ミラー標準装備とライトバンとしてはかなり充実した装備ですね。

インテリアのページです。リアシートは法規上平らで狭いものになっていますがそれでもヘッドレストを装備していますし、フロントシートに至ってはアベニールと全く同じです。おまけにアームレストコンソールまで装備しているためフロントに関しては商用車とは思えないほど快適な空間を実現しているのではないでしょうか。

積載性のページです。商用バンで重要な最大積載量はADバンよりも大きい500㎏を確保し中型ライトバンの標準的なものとなっていました。ただし4WD車は400㎏となります。

エンジンのページです。直4・1.8LのQG18DE型エンジンと直4・2.2LディーゼルのYD22DD型を設定しています。
QGエンジンは1998年にB15サニーで初搭載し、主に同車から採用されたMSプラットフォーム採用車に使われていました。
しかしルノーと手を組む1年前に登場したエンジンであるため設計共通化の中で後継のHRエンジンに移行していき2008年のY11型ADの生産終了によってこのエンジンも僅か10年程で生産終了してしまいました…HRエンジンは15年以上経過した2020年現在でも未だに日産の小型車の主力エンジンとして使われているのを見ると皮肉ですね…

YDエンジンは1998年にCDエンジンの後継としてプレサージュで初搭載され日産独自の低温予混合燃焼であるMK燃焼を実用化した最初のエンジンとなっています。当初はプレサージュ・サニー・AD・セレナなど多くの車種に搭載されていました。
しかしディーゼル車市場縮小・NOx・PM規制によって廃止されていき2002年をもって国内向けの乗用車での搭載車は無くなりました。その後もADとエキスパート、キャラバンには搭載されていましたがキャラバン以外はこれも2004年をもって生産終了しています。現在では主に海外向けに生産されており国内向けはキャラバンのみとなっています。

メカニズムのページです。トランスミッションは4速ATと5速MTを搭載し、リアサスペンションはトーションビームとなっています。
しかし4WD車では安定性確保のためにまさかのマルチリンク式となっています!!いくら何でもいきなりマルチリンクって格差ありすぎでしょ…

グレード一覧です。わかりやすい3グレード構成となっています。最上級モデルのVX-Gはルーフレールまで装備していますしぱっと見アベニールと区別がつかないくらいですね。アベニールの廉価グレードのような雰囲気です。

主要装備・主要諸元です。

裏表紙です。


ここからはオプションカタログに入ります。このフロントモールはサイドモールとの一体感が出ていてカッコいいですが装着している個体を見たことが無いです…

ピュアトロンやブラインドカーテンといったものまで設定されており商用バンのオプションカタログにしては充実しています。今のADと比べても設定が多いですね。

見開きのページとなっており1枚もののカタログとなっています。サイドタープはまさかのリバティが例として使われています。アベニールはまだしもエキスパートでキャンプする人なんていたのだろうか…他にもユーロホーンやエキゾーストフィニッシャーといった商用バンで装着する人がいなさそうなオプションがいくつか載ってます…
このピットサインというのも気になりますね…どこに装着するのでしょうか。
そしてナビは懐かしのザナヴィです…1DINのナビ単体機というのが時代を感じますね…あとCDプレイヤーのメーカーがパナソニックでは無く松下というのも時代を感じます…

裏表紙です。


価格表です。中型車なだけあってライトバンにしてはちょっとお高めですね。しかし売れなかったので結構値引きしてもらえたのではないでしょうか…
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Posted at 2020/02/05 11:29:01

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