
今回紹介するカタログは日産のバネットバンのC22型です。
C22バネットは1985年に登場し、バネットとしては2代目になります。従来のC20型と比べてスタイリッシュで流麗なデザインとなりました。
当初はバンとコーチのみで、ラルゴは1986年、トラックは1988年に遅れてモデルチェンジしています。その後1988年にマイナーチェンジが行われ、今回紹介するカタログはこの時のモデルとなります。
このマイナーチェンジではそれまでチェリーバネット・サニーバネット・ダットサンバネットと販売店ごとに分かれていた車名がバネットに統一されました。
通常のバネットバンのみならず、バネットラルゴをベースにした上級仕様のバンとしてバネットラルゴバンも設定されています。そのためかなりのワイドバリエーションとなっています。
そして1991年にバネットコーチはセレナ(当初はバネットセレナ)にバトンタッチして生産終了しました。
その後1993年にバネットラルゴがラルゴにモデルチェンジして生産終了し、残ったトラック・バンも1994年以降はマツダからボンゴのOEM供給を受けることになり、自社製バネットの系譜は2009年にNV200バネットが登場するまで途切れることになります。
しかしマレーシアでは
C22バネットのトラック・バンが2012年まで生産されていました。
そして実は何と2015年からインドのアショック・レイランドというメーカーでドストという名称でC22バネットトラックが生産され、現在も生産中だったりします!!
これを含めると
C22バネットは2020年時点で35年、トラックだけなら32年続く長寿車となる訳です!実はライバルのボンゴやデリカにも負けない長寿車となる訳なんですよ・・・

コンセプトのページです。このC22バネットからタイヤハウスの無い平床のナイスパックが加わりましたが、ボンゴのワイドローとは異なりただかさ上げしただけとなっています。
画像は廉価グレードのDXで丸目ライトが特徴となっています。なおライトヘゼルの色がバン・コーチ廉価グレードはシルバー、トラックはブラックとなっていました。

コンセプトのページです。VXは最上級グレードで商用バンでありながら乗用のコーチとほとんど同じ見た目となっています。また室内もフルトリムでフルフラットシート装備となっていました。
グレードごとにヘッドライトが違っていて差別化されていたのもC22バネットの特徴で、GL-Lはコーチと同じ異型ライト・GLは角型ライト・DXは丸型ライトとなっていてこれは絶版になるまで一切不変でした。

インテリアのページです。VXにはクロス張りのシートにブロンズガラス、フロアカーペットまで設定されています。VXのフロントシートは中央席があることを除けばコーチとほとんど共通となっています。
またVXもカセットデッキではなくラジオではあるものの、電子チューナー搭載となっています。しかし集中ドアロックがVXのみというのは時代を感じさせますね…今では全車標準装備でしょうし…

積載性のページです。この時代の商用バンではかなり珍しいオートクローザーも上級グレードのVXに装備されています。またパーティションパイプは可倒式となっていて荷室へ移動する時に使えるようになっています。足を乗り上げる以上難しそうですが…
ルーフの高さは標準ルーフ・ミドルルーフ・ハイルーフの3種類と充実しており、また荷台の種類は低床と平床から選べます。
平床はナイスパックの名称となっており、リヤタイヤの膨らみが無い分平らになっていますがそのためにかさ上げされているのが特徴です。かさ上げされた分は収納スペースとなっています。
またこのナイスパックはバネットバンDXのみの設定となります。

ラルゴバンのページです。当時はわざわざラルゴにも商用バン仕様を設けていました。
バネットバンより少し長い程度であるにもかかわらずわざわざ設定するというのが謎ではありますが…いかにもバブルらしい充実したバリエーションではあります…
まあ欧州仕様のバネットバンはこのラルゴバンをベースにしていましたし、そのついでだったのかもしれませんね…
グレードはVX・DXの2種類でこちらもVXは乗用のラルゴとほとんど変わらない見た目となっていました。なおDXは欧州向けバネットバンと同じ角型ライトのフロントデザインとなっていました。

メカニズムのページです。ガソリンエンジンが直4・1200ccのA12型と直4・1500ccのA15型、ディーゼルエンジンが直4・2000ccのLD20型エンジンとなっています。トラックにあった直4・2000ccのZ20型の設定はありません。
いずれも乗用車では当時でも旧世代となる古いエンジンですね…A12型・A15型は初代サニーから始まったA型エンジンで名機と呼ばれるエンジンですが流石に古臭さは隠せなかったでしょうし、特にA12はかなりアンダーパワーが目立っていたのではないでしょうか…
正直この手のワンボックスで1200ccはキツ過ぎると思います…
トランスミッションは4速ATと5速MTが設定されており、4速ATは2WD車のみとなります。4WDはフルタイム化されておらず昔ながらのトランスファーレバーで切り替えるパートタイム4WD式となりますが、切り替えはトランスファーレバーではなくボタンのみで切り替え出来るようになっています。
またラルゴバンの4WD車の場合はスペアタイヤがリアの左側のタイヤハウスの上にあるのは特徴です…ちょっと邪魔ですし特に駐車する時は見えずらそうです…

グレード一覧です。VX・VL・DXの3種類ですがVLは2WDのみの設定となります。VXは最上級グレードで乗用のコーチとほとんど同じ見た目と乗用ユーザーも考量した充実装備が特徴となっています。
GL-Lは乗用のコーチと同じ異型ライトで乗用ユーザーも考慮した充実装備の最上級グレード、GLは分割式ヘッドライトなどやや装備を充実させた角型ライトの中級グレード・DXは丸目ライトのベーシックグレードとなります。

ラルゴバンのグレード一覧と特装車です。VXとDXの2種類でそれぞれに2WDと4WDが設定されていました。
特装車は救急車まで設定されていましたが、正直救急車にするのはちょっと狭そうです…他に保冷車や福祉車両のチェアキャブも設定されていました。
特にチェアキャブと救急車はかなり珍しそうですし、生き残っていたら座間の記念館で保存するべきではないでしょうか…

裏表紙です。カタログは1989年6月現在の物となります。ディーラーの記載がありますが3つともに全て30年以上経った2020年現在も健在のディーラーです。
左の日産サニー東京羽村営業所は合併によって現在は日産プリンス西東京の羽村産業通り店と改称して営業しています。中央の東京日産青梅営業所も健在です。右の日産チェリープリンス青梅というのはチェリー店で多かったサブディーラーと言われる部類の店舗ですが今でもあるようです。