
日産自動車では、マーチを8年ぶりにフルモデルチェンジして5代目となる新型のK14型へ移行する。
この新型マーチではコンセプトが従来型から大きく変更されており、従来のK13型は価格面重視でベーシックなコンパクトカーであったのに対し、新型のK14型では欧州で鍛えられたスポーティな走りや上質なデザインが特徴のプレミアムコンパクトとなっている。
このような大幅なコンセプトの変更には旧型が大幅にコストダウンしたが故に質感の低さが酷評されたことも背景にある。
そのため車格がAセグメントだったK13型と比べて1クラス上のBセグメントとなり、以前の主なライバル車はベーシック志向のパッソやミラージュであったのに対し、新型ではスポーティ志向のスイフトやヴィッツが主なライバル車となっている。
ただし乗り換えを考慮して下級グレードは以前と同様パッソやミラージュと同様の価格帯としている。
日産では価格や走り重視のコンパクトカーとしてマーチを、室内の広さや実用性の高さ重視のコンパクトカーとしてノートをラインナップすることで差別化を図る方針である。

新型マーチは欧州でマイクラとして既に去年に先行発売されているが、フェンダーの設計を変更した日本国内専用のボディを採用しているのが特徴である。
これは欧州でのマイクラをそのまま日本で出した場合、全幅が1740mmで3ナンバーとなってしまうためで、フェンダーの設計を変更して狭めることで1695mmに抑えて5ナンバー規格に収めている。
ただし、コンプリートモデルのNISMOは海外向けと同じボディを採用しており、そのまま3ナンバー規格となる。
プラットフォームは従来型と同じVプラットフォームを採用しているが改良が図られた。エンジンは目玉として1.0LダウンサイジングターボのHR10DDT型を新たに採用。クラストップレベルの低燃費を実現している。
この他に従来型と同様のHR12DE型、NISMO S用のHR16DE型を設定している。
安全装備の充実も特徴で、インテリジェント エマージェンシーブレーキや踏み間違い衝突防止アシストなどを廉価グレードの12S・12Bを除いて標準装備としている。
他にもアラウンドビューモニター(MDO(移動物検知)機能付)や、ディスプレイ付自動防眩式ルームミラー、インテリジェント LI/LDWなどを設定し、上級グレードのX・G・ボレロ・NISMOシリーズに標準装備とした。
またセレナやリーフで採用された自動運転技術のプロパイロットを上級グレードのX・ボレロに設定し、Gに標準装備とした。

インテリアは上質かつスポーティな物となり、質感が大幅に向上した。内装色はブラックのみだが、パネルやシートの組み合わせによって多数のバリエーションが用意されている。
ボレロ、NISMO、NISMO Sはインテリアバリエーションこそ無いが専用インテリアが設定される。

ホワイト&ブラウンコンビネーション

ブラムブラウン

フェザーグレー

ブラック

ボレロ専用インテリア

NISMO専用インテリア
ボディカラーは12B・ボレロ・NISMO・NISMO Sを除いて以下の通りとなる。

:ボディカラーバリエーション一覧表
なお12Bはブリリアントシルバー(M)・スーパーブラック(M)・ホワイトのみとなる。
ボレロはナイトベールパープル(PM)・インペリアルアンバー(P)・ブリリアントホワイトパール(3P)・ブリリアントシルバー(M)・スーパーブラック(M)・ガーネットレッド(PM)・ライトアイボリー(PM)となる。
NISMOはブリリアントシルバー(M)・スーパーブラック(M)・ブリリアントホワイトパール(3P)のみとなる。
グレードは1.0Lターボに3グレード、1.2Lに4グレードが用意され、これらに加えてボレロやNISMOが用意される。
基本的にはB/S/S Vセレクション/X/Gの5グレード構成となる。
・1.0Lターボ HR10DDT


*10X
15インチアルミホイールやアラウンドビューモニター、オートエアコンなどの安全装備を標準装備し、インテリアバリエーションも豊富なグレード

*10G
ナビゲーションシステム、プロパイロットの標準設定(プロパイロットはレス設定も可)などフル装備の最上級グレード

*ボレロ
レトロ調のコンプリートモデル。専用デザインとなっておりシートヒーター付きの本革×ジャガードのシートや14インチアルミホイールなども装備する。
・1.2L HR12DE

*12B
ホイールキャップレス、AM/FMラジオ、単眼メーター装備のビジネスグレード

*12S
ホイールキャップやブラックピラーなどを装備したベーシックグレード

*12S Vセレクション
カラードのミラーやドアハンドルを装備し、エマージェンシーブレーキ・アラウンドビューモニターなどの安全装備やシートリフター・オートエアコンといった快適装備を標準装備としたお買い得グレード

*12X
15インチアルミホイールやアラウンドビューモニター、オートエアコンなどの安全装備を標準装備し、インテリアバリエーションも豊富なグレード
・1.6L HR16DE

*NISMO
コンプリートカーでありながら、CVTを搭載し幅広いユーザーをターゲットとする

*NISMO S
5速MTのみの設定で、走りに徹したコンプリートカー
*2020年 一部改良。
燃費性能を向上させ、チタニウムカーキパールメタリックとピュアブラックパールメタリックの2色が追加された。

*2021年 マイナーチェンジ。
同じクラスのライバルであるヤリスの登場や、同じ日産でのノートのモデルチェンジに伴う商品力低下を防ぐべく前倒しでマイナーチェンジが行われた。
外観では新デザインのメッシュ調グリルの採用とエンブレムでの新CIの採用が大きな変更点で、大きく印象を変えた訳では無いものの、より若々しくシャープなデザインとしている。

内装はホーンパッドのエンブレムへの新CI採用はもちろんのこと、大型アームレストの装備(12S Vセレクション以上)とナビゲーションシステムの変更などが行われている。
なお内装全体のデザインについては変更されていない。
またこのマイナーチェンジでの最大の特徴として新たに1200ccの12S Vセレクション以上と1.0Lターボ車全車に電動パーキングブレーキを標準装備とし、シフトとアクセル操作に連動して、自動で作動または解除もされるようになっている。
さらにインテリジェントパーキングアシストやSOSコールもメーカーオプションで設定している。
グレード構成はマイナーチェンジ前と同一となっている。

*10G

*12X Vセレクション

*10B