
2003年12月、マツダはEセグメント高級セダンのミレーニアを前身のユーノス800登場以来10年ぶりにフルモデルチェンジした。
新型ミレーニアは、設計面ではアテンザをベースに高級化したモデルで、基本コンポーネンツも共通である。プラットフォームは一新されてアテンザ用のマツダ・GGプラットフォームをベースに静粛性の向上やボディサイズの拡大を図ったマツダ・TBプラットフォームとなる。
そのため引き続きこのクラスの国産車としては珍しいFFとなっている。むしろメインターゲットが北米や中国となるため現地におけるライバルであるアバロンやマキシマを強く意識したものとなっている。輸出仕様の名称はマツダ9となり、それまでのミレーニアやクセドス9から変更されている。
また旧型同様に10年経っても色褪せないモデルである「10年基準」をキーワードとした。これはその後の3代目においても継続されている。
フラッグシップとして販売されていたセンティアが絶版となることから代替需要を考慮して高級感の向上やボディサイズの拡大を行いフラッグシップに相応しいものとしている。そのため全長は2代目センティアに迫る4,850㎜となっており広い空間を実現している。エクスクルージブ、ロイヤルクラシックといったグレード名もセンティアで使われていたものである。
しかし基本コンポーネンツをアテンザと共通化したため全幅は同じ1,780mmとなっている。また全高は1,440mmとなっている。
このため、国内においてはこれまでのライバルであったマークⅡ3兄弟やウィンダム、ローレル・セフィーロ→ティアナ、インスパイアのみならず、1クラス上のクラウンやセドグロ、レジェンドも意識したものとなった。そのためボディサイズ(特に全長)はそれらの中間となるように考慮された。
エクステリアは前述の通り重厚感・高級感を出しながらも動きを予感させるものとしながら、「ZOOM-ZOOM」のコンセプトに基づきマツダらしいスポーティなものとした。高級感を演出すべくボディを一周するメッキモールを装備しているのが特徴である。全体的にシャープなアテンザと比べて重厚感溢れるものとなっている。

インテリアも同様に木目調パネルを多用した高級感あるものとした。ナビゲーションシステムはコマンドコントロール方式を採用して操作性の向上を図っている。オーディオシステムにはM以外の全グレードでBOSEサウンドシステムを採用し、3000曲を保存出来るミュージックHDDも装備する。
またナビとオーディオは連動こそするもののスイッチ類は別々となっており、上部でナビやエアコンの操作を、下部でオーディオの設定を行うようになっている。
オーディオ操作スイッチではイコライザー付きとなっており細かい設定も可能となっている。スピーカーは9スピーカーとなっている。廉価グレードのMを除いて電動本革シートを標準装備とした。
エンジンはこれまで通り全てV6だが、従来のクロノス由来のK型から一新されてトリビュートやMPVにも設定されているものと同じフォード製のV6・3.0LのMZIエンジン及び2.5LのGY-DE型を搭載する。
デュラテック30・デュラテック25と呼ばれるエンジンであり、これはフォードにおいてトーラスで1996年に採用されて以来フォードグループの数多くの車種で用いられている信頼性の高いエンジンである。
フラッグシップモデルに相応しいパワフルな走りを実現している。サスペンションは前後共にマルチリンク式となっている。
安全装備も充実し、4輪ABS、電子制御制動力配分システム、トラクションコントロールシステムなどを全車標準装備とする。またマツダレーダークルーズコントロールシステム、マツダプリクラッシュセーフティシステムをM以外に標準装備とする。
グレード
・2.5M…木目調パネルや上級ファブリックシートを装備。
・2.5リミテッド…電動上級ファブリックシートや専用ナビゲーションシステム、BOSEサウンドシステムなどを装備。
・3.0G…木目調パネルや上級ファブリックシート、BOSEサウンドシステムを装備。
・3.0エクスクルージブ…電動上級ファブリックシートや専用ナビゲーションシステム、BOSEサウンドシステムなどを装備。
・3.0エクスクルージブG…電動本革シート、サイドエアバッグシステムなども装備。
2005年、一部改良を受け、リトラクタブルキーをRX-8などで採用されたタイプに変更し、他にも装備の変更を行った。

2006年、マイナーチェンジを受けてフロントデザイン・リアデザインやシート生地などを変更してより高級感あるものとした。
エンジンは全て一新されてV6・3.0Lエンジンに代わって新開発・3.5LのMZIエンジンに変更し、またこれまでのV6・2.5Lエンジンに代わり新開発のマツダ製・直4・L3-VDT型2.3L直噴ガソリンターボエンジン(通称MZR 2.3 DISI TURBO)に変更された。
このMZIエンジンはフォードによって開発されたフォード・サイクロンエンジンのマツダ版である。しかし従来の物とは異なりマツダ流にアレンジされており生産も日本のマツダ本社工場にて行われる。
ナビゲーションシステムには従来のDVDナビゲーションからG-BOOK採用のHDDナビゲーションに変更された。またロイヤルクラシックにはヒーター/ベンチレーション機能付電動本革シート、リアパワーシートやリアシートコントロールパネルなどを採用した。
グレードは3.0Gを廃止して4グレードとなる。
グレード
・2.3M…ベーシックグレード、木目調パネルやファブリックシートを装備。
・2.3リミテッド…電動上級ファブリックシートや専用ナビゲーションシステム、BOSEサウンドシステムなどを装備。
・3.7エクスクルージブ…電動本革シートやBOSEサウンドシステムなどを装備。
・3.7エクスクルージブG…リアパワーシートやリアシートコントロールパネルなども装備。

2009年、ビッグマイナーチェンジを受けた。
登場から6年が経過していることからフロント・リアの大掛かりなデザインの変更を受けデザインは2代目アテンザ・アクセラなどに通ずる「NAGARE」を取り入れた全く新しいデザインとなった。特にリアはこれまでシンプルなものだったが複雑なラインと取り入れた斬新なものとなった。

インテリアも大幅に変更されて新デザインのインパネやシートを採用した。この新デザインのインパネは従来の物と比べてシンプルでスイッチ類の操作しやすい物としている。またオーディオレスの設定を追加した。グレード
エンジンも変更されて直4エンジンは2.5LのL5-VE型となり、V6エンジンは3.7L・MZIエンジンとなった。これらは設計こそこれまでと変わらないが排気量を拡大させてよりパワフルな物としている。
グレード
・2.5M…ベーシックグレード、木目調パネルやファブリックシートを装備。
・2.5リミテッド…電動上級ファブリックシートや専用ナビゲーションシステム、BOSEサウンドシステムなどを装備。
・3.7エクスクルージブ…電動本革シートやBOSEサウンドシステムなどを装備。
・3.7エクスクルージブG…リアパワーシートやリアシートコントロールパネルなども装備。
2011年、一部改良。
標準装備のナビゲーションシステムは廃止されてディーラーオプション設定の物のみとなる。そのためこれまでの2.5Mのみに標準装備だったオーディオレスが全車標準装備となった。またグレードは整理されて2.5Mが廃止された。