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昨夜のらららクラシックが楽しかった。
楽器特集のフルートだったので録画して観たのだが、
フルートの歴史を有田正広教授を呼んで演奏してもらいながら説明するというもの。
フラウトトラベルソの調性による響きの違いなど、素人にも分かりやすく説明してくれました。

トラベルソからベームフルートまでの間のフルートを理解しないと、古典派を深く理解することもできない気がした。

自分はバッハを演奏するのが好きですが、バッハのフルート曲を現代楽器で演奏すると、調性による響きの違いという作曲者の意図を簡単には理解できないということを再確認しました。
トラベルソ（プラスチック製ですが）をもっと練習して、トラベルソでバッハを演奏してその特性を理解した上で現代楽器の演奏をすればもっと良い演奏ができそうな気がしました。

ヴァイオリンやチェロの曲をフルートで演奏するには、現代楽器が適していることだけは確実です。
しかし、番組の中で有田氏がシリンクスを吹くのに使っていたベーム式現代フルートも完全にビンテージ物に見えました。
ルイロットですかね。ストレートリングのＨ足でＧｉｓレバーの外側に１個変なレバーが付いていた。
あれは手動Ｅメカかなぁ、とか想像しながら観ていた。

良い番組でした。

アメリカ　インティアナ州　エルクハートに工房を構える、ジャック・ムーアが気になる。
何が気になるかって、Ｃｉｓトリルのメカニズムである。

普通のＣｉｓトリルキーはＡｉｓレバーの隣にレバーが配置され、専用シャフトで駆動されるが、
ジャック・ムーアのフルートは、Ｇ－Ａトリルキーの位置にレバーが配置され、通常のトリルキーシャフトを３層パイプにして駆動している。

これの何がすごいかというと、見た目がスマートなことだ。
追加シャフト無しでＣｉｓトリルキーが手に入る。

http://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/flute/fewwords09

サンキョウに問い合わせると、特注でこのタイプのＣｉｓトリルキーをオーダーすることが可能だそうだ。
そうすれば、Ｆｉｓメカニズムと共存可能である。
Ｅメカ＋Ｆｉｓメカ＋Ｃｉｓトリルという、第三オクターブのＥ、Ｆｉｓ、Ｇｉｓを全て本来の音色・吹き易さで演奏可能な楽器が手に入るということになる。

今なら、ヤフオクに最低オクターブのＣ－Ｃｉｓトリルが可能な楽器も出品されている。
こちらはドイツ製のリヒャルト・ミュラー

しかもＥメカとＦｉｓメカが付いているようだ。
色々と妄想するもの楽しいものである。

アメリカのフルートにはCisトリルキーが付いていることが多い。
なぜ付いていることが多いのかは分からないが、Cisトリルキーは興味深いオプションキーの一つだ。
・第二第三オクターブのCisを良い響きで出すことができる
・H－Cisトリルを容易化できる
・第三オクターブのG－Aトリルを容易化できる
・第三オクターブのGisを本来の音響学的開穴にして発音を容易化して音色を本来の状態にできる

しかし、上記はCisトリルキーが無いと出来ないわけではない。
・Cisを立派に鳴らすには、本来の運指に加えて左手薬指と右手中指と右手薬指を押すことで可能
・H-Cisトリルは本来の運指で頑張って練習すれば可能
・第三オクターブのG-Aトリルは、楽器による差で適した運指は異なるが、いくつかの替え指で可能
・第三オクターブのGisは、左手親指キーを半閉じにするGisメカを付ける手もあるが、本来の運指に加えて右手中指と右手薬指を押すことで楽に良い音色で発音することが可能

やはりEメカ程の必然性は無いと感じる。
デメリットは、見た目がごちゃごちゃすること。
メーカーによって異なるが、キーの受け（動作制限？）をどこに取るかが問題となる。
インラインキー配置だとピッコロのトリルキーみたいにメインキーパイプに受けを取ることが多く、メカニズムの信頼性に若干の心配がある。
オフセットキーだとオフセットのキーポストに受けを取ることができ、信頼性に問題が出ない。
だから、H足部管が多いアメリカではオフセットリングキーにCisトリルという組み合わせが多いのではないかと思う。

しかし、ブランネンのHPを見ると、オフセットキーポストに受けを取っていないように見える。（タイトル画像参照）
一度、現物を見て確認したいが、楽器屋に行ってもなかなか現物を見ることがない。

先日、三響フルート工房に行って質問したら、OH中のCisトリルキー付き楽器を見せてもらえた。
オフセットリングキーで、オフセットキーポストに受けを取ってあった。

今後もＣｉｓトリルキー付きの楽器を見かけたら観察してみたいと思う。

楽器屋さんから電話が掛かってきて、
「面白い楽器が入ったので、ぜひ吹きに来て下さい」とのことだったので、試奏に行ってきました。
１本目は、ブランネン１５／８５ブローガーフルート。
この楽器は、１８金が１５％、銀が８５％の合金で出来ています。
見た目は、銀色です。
以前からラファンがこの素材で頭部管を作っていて、ブランネンがラファンを作るようになってブランネンが楽器全体をこの素材で作るようになりました。

ラファン頭部管、ブローガーメカニック、ドローントーンホールです。
この個体は、Ｅメカニズム、Ｈ足部管でした。
何度見ても、ブランネンのメカニックは緻密で綺麗です。
最近のＥメカはアームが無くて根元でリンケージさせるシステムで、スマートです。

肝心の試奏結果ですが。
かなり良いです。
全音域で反応が早い。音色の変化がつけやすい。銀の柔軟性がある。パワーが出せる。高音の音色が柔らか。楽器自体が軽い。
すばらしい楽器です。
軽やかさは日本製の９金や１０金の楽器に若干近いものもありますが、柔軟性が格段に上です。
反応の早さはドローントーンホールのお陰だと思います。



吹いていると、フロア長さんが、「吹いてもらいたい楽器があるんですよ」と。
持って来てくれたのは。
中古のサンキョウ総１８金ソルダードＣ足、頭部管ＲＳ－１
新品だと７００万円を超える楽器ですよ。
見た瞬間。黄色い。
持った瞬間。重い。（Ｃ足なのに激烈に重い）
吹いた瞬間。振動が手に伝わってこない不安感。


重い楽器なので、頭部管は馬力がある低音系ＲＳ－１を選んであるのだと思います。
良い音色で鳴りますが、振り回してる感覚がつかみにくい。
音色も変えられて、色々吹けているのは分かるのですが、なんだかアウェイな感じです。
管を振動させている感が薄い。
１８３ｃｍ７１ｋｇの私でも、何だか体力不足を感じる楽器です。
へなちょこに吹くと、スカスカの下手くそ音色が出ている気がします。
ガッツり吹いてやると、強烈な音圧が出せます。
そして、サンキョウ独特の高音が飛んでいくレーザービーム感。
やりすぎると、波動砲のようなレーザービームを繰り出せます。
これは手ごわい楽器です。やりすぎると、やりすぎた音が出ます。
強烈な音量を出せますし、表現幅が広い楽器なので、プロ好みなのだと思います。
Ｅメカ無しですが、Ｅは楽々出ます。
たぶん、Ｅ以外でも息のスピードを上げて圧力を保って吹いているので、他の音との吹き方の差が少なくて済むせいだと思います。ＦｉｓもＧｉｓも楽々鳴って、違和感のない楽器でした。
世の中にはこんなすごい楽器もあることを知りました。
良い経験をさせてもらえました。

金曜日は仕事で豊科へ行ってきました。
初めて行く場所なので、自腹で宿を取って前日入りして観光しました。

先ず、木曜日の仕事が終わった後に松本へ入りました。
滋賀からは、名古屋経由で特急ながらで２１時過ぎに到着し、チェックイン後に一人飲み。
地方の繁華街で、良い感じに開放的に酔っている人が街に沢山居ました。
この開放感は、大都市にはなかなかありません。
宮崎で飲んだ時のことを思い出しました。
この瞬間から、松本が好きになりました。

金曜日は、朝から松本の街を歩きました。

松本は、楽都と呼ばれる街で、斉藤記念オーケストラ（小沢征爾）、ヴァイオリンのスズキメソード発症の地、そして良いホールがあります。
そして、街中でヴァイオリンを持って歩いている人が半端なく多いです。

そして、松本城に８時頃に到着して、８時半の開門に一番乗り。




天守閣からの眺め：　山に雪が残っていました。
どれが何ていう山なのか分かりませんが、有名な山もあるのでしょう。


写真は多数撮ってますが、紹介するとキリがないので。
小高い丘に建っている姫路城はそびえ立つ感じですが、
平城の松本城は登る高さも低いので見学が楽でした。
でも、天守閣の威厳は全く劣らず、すばらしい城でした。
平日の朝一番乗りだったので、すごくスムーズに見学できました。
以上、国宝松本城でした。


続いて、北松本駅から大糸線で豊科駅へ移動。


アルタスフルートを訪問しました。

事前に電話で問い合わせして、試奏できる楽器があるのか聞いたんですが、無いとのことでした。
でも、見学は可能とのことで、１０時に訪問しました。
他にもう一人見学の方が居たので、一緒に見学しました。

キーの部品や


製造中の頭部管を見せていただいたり


工房はガラス張りで見せるように設計されていました。
向かって右側がロー付け等の管体製造工程


向かって左側がキーの取り付けやタンポ入れや調整・完成させる工程です。

一番安いモデルからハンドメイドやオーダーモデルまで、全てここで作られているそうです。



アルタスユーザーのプロの方のサインが多数並び、


創業者の田中氏とウイリアムベネット氏の写真とサインも飾ってありました。


コーヒーも淹れて頂き、
私が持って行ったアルタスA８０７Eを吹かせてもらいました。
嫁の楽器を里帰りさせてあげられました。

フルートを製造されている場所で、自分の楽器を吹き、
フルート談義をするという、楽しいひとときを過ごさせていただきました。
アルタスフルートの皆様ありがとうございました。
一緒に見学されたSさんもありがとうございます。

午後は、ちゃんと仕事しました。

充実の松本旅行（出張）でした。

松本に住みたくなりました。
しかも、かなり重症のような気がします。