
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
年始の書き込みは、何か普遍性のあるものをと思い、
人間が何を好んで食べるのかいうことを考えてみました。
人によって食べ物の好みは違います。
幼児の頃に味覚が形成されて嗜好性が決まり、大人になってもその味を好むというような話を良く聞きます。
ラーメンが好きな人や嫌いな人、魚が好きな人や嫌いな人、納豆が好きな人や嫌いな人がいます。
一方で、日本人の味覚という括りの話をすることが多いことも、異論の余地がないと思います。
日本食という名前が付く食事に限定しなくても、日本人が好んで食べる食事の味というのは共通点を見出すことが可能だと思います。
さらに言うと、人間(
Homo sapiens)という種として見ても、食の嗜好に共通する点はありそうです。
「人間はどんな味のものを好んで食べるのか」という問いを勝手に思いつき、生物進化学的観点から私の独断で考察します。
ザクっと切ってしまえば、人間の食嗜好性は以下の2つの分類で説明できます。
1.生存に必要な栄養
生存に必要な栄養を美味しいと感じず、積極的に食べない個体は飢饉で餓死して淘汰され、
栄養を美味しいと感じて積極的に食べる個体は栄養を体に蓄えることもでき、
餓死せずに生き残ってきました。
肥満になりやすい方が飢饉のときに餓死しなかったため、
現代人は肥満になる人が多いと考えられます。
2.食べても安全
食べても安全な食べ物を好ましい香味として感じ取ることができる個体も生存能力が高く、
自然淘汰の中で個体数を増やすことができたと考えられます。
食べたら安全ではない食べ物とは、有害な寄生虫が居たり、病原菌が居る食べ物です。
食べても安全な食べ物とは何か。代表的なものは加熱された食べ物です。
加熱されると病原菌や寄生虫は死滅します。
加熱されていない食べ物を好む個体は、寄生虫に蝕まれたり、病気になったりして、
淘汰されていきました。
1.生存に必要な栄養
・糖
言わずと知れたエネルギー源のアイルトンセナ
甘い食べ物は、おいしいですね。特に子供は大好き。
・でんぷん
米、芋、小麦、トウモロコシなど。
糖が主にα1-4結合で繋がったもの。エネルギー源のアランプロスト
唾液で糖に変換されるため甘味もあるが、でんぷん特有の香りがある。
・脂肪
精製されたものはラード、バター、サラダ油、オリーブオイルなど。
肉や魚や大豆にも豊富に含まれています。エネルギー源のナイジェルマンセル
油の香味ってあまり表現されませんが甘味や香りがあります。
・たんぱく質(肉、魚、含アミノ酸:出汁)
筋肉や体の構造物の源。
うまみと呼ばれることもある。
エネルギー源のミハエルシューマッハ
・塩(塩化ナトリウム、塩化マグネシウム:にがり)
塩味 神経伝達に必要
ミネラル源のティエリーブーツェン
・鉄(赤味肉、魚、血)
肉や魚に独特の血の香味 血液中で酸素を運ぶヘモグロビンに必要
最近話題になった人工肉も、血の香味を付けることでリアルにできたとか。
ミネラル源のエリックパトレーゼ
2.食べても安全
・香ばしい焦げ臭
香ばしい食べ物は、焦げている。
つまり、加熱されて微生物や寄生虫のリスクが低いことを表します。
安全な食べ物のマクラーレンホンダは、香ばしい焦げの香味です。
・エチルアルコール
食品中で酵母が繁殖すると生成されます。つまり、腐敗菌が抑制さていることを示す。
酵母は、殺菌効果のあるエタノールを産生し、食中毒菌の増殖を抑制する。
また、寄生虫や病原菌も殺すことができます。
アルコール香味は、安全な食べ物のウイリアムズルノー。
・酸味
一般に、酸味は腐敗によって生じるので、ネガティブな香味として挙げられることが多い。
しかし、乳酸菌は乳酸を、酢酸菌は酢酸を産生し、雑菌を抑制してくれる。
なので乳酸や酢酸(酢)の香味は、腐敗の酸味と区別して感じ取れるのではないか。
果実の酸味(クエン酸)も好ましいものとして感じ取っているはず。
酸は寄生虫や病原菌も殺すことができます。
腐敗以外によって産生された酸は、安全な食べ物のフェラーリ。
・苦味
苦味は毒の味として挙げられることが多いですが、
焦げによる苦味は、微生物的安全性を示しているので好ましく感じる。たとえばコーヒー。
特定の植物の苦味は、ビタミンやミネラルの源なので好ましく感じる。たとえばサラダ。
苦味は安全な食べ物のベネトンフォード。
1、2両方: 栄養になり安全
・暖かい食べ物
人間は、暖かい(熱い)食べ物を好む傾向があると思います。
暖かい(熱い)ということは、寄生虫や微生物が死滅していて安全ですし、
米、麦、豆は、加熱することで蛋白質吸収を阻害することがなくなり、
栄養摂取の意味でも有利です。
食べ物の暖かさは、美味しさのアイルトンセナ+マクラーレンホンダ。
・柔らかい食べ物
硬い食べ物より柔らかいものを好む傾向があります。
食べ物の柔らかさは、消化・吸収が良いことの表れです。
でんぷんは、加熱されていないと消化・吸収が悪いのです。
専門的に言うと、でんぷんに水を加えて加熱すると、
でんぷん粒が崩れてゼリー状になる。これをα化(糊化)と言います。
α化しているでんぷんは消化・吸収が容易になります。
α化したでんぷんを放置すると、水分が抜けてβ化(老化)して、
再び消化・吸収が困難になってきます。
β化したでんぷんは、冷えてカピカピになったご飯や、冷えて硬くなったパンなどです。
硬いパンやご飯、茹でる前のパスタより、冷えていても柔らかいパンやご飯、
茹でて柔らかくなったパスタが美味しいですよね。
柔らかい食べ物は、美味しさのアランプロスト+ウイリアムズルノー
人間が好んで食べる食べ物の香味とその理由はこんな感じだと思います。
皆、美味しいものは、安全で栄養になるのです。
では、生で食べる食べ物は、危険なのになぜ美味しく感じるのかという問いが生まれるのですが、
それは、人間が火を使う前に食していた食べ物の記憶(生存能力のある遺伝子)の名残だと考えています。
肉や魚は生で食べた方がビタミンや蛋白質の熱変性がなくて栄養になるのです。(エスキモーは今でも生肉を食べているとか)
先進国の生食文化は、人間が知恵を身につけ、生の食べ物を安全に食べる方法を編み出すことによって生まれたものと考えられます。
海水魚に生息している寄生虫や微生物(腸炎ビブリオ)は、真水に晒すことで死滅します。スズキやボラの洗いという料理方法は、知恵の結晶です。
また、寿司やシメといった調理方法も、酸(酢や乳酸)の殺菌効果を利用したものです。
手で握る寿司は、手を酢で殺菌することで食中毒を予防していますし、寄生虫や微生物のリスクが高いネタ(サバ、イワシ、コハダ、サッパなど)は酢でシメてから食べるという方法を採用しています。