
最近、加工食品や外食での異物混入報道が盛んである。
私も、数え切れないくらい遭遇したことがある。
しかし、全て個別対応で済ませている。
しかも、常に代替品や返金は断り、原因究明と再発防止のためにメーカーや店へメッセージを送っている。
なぜ個別対応で済ませているかというと、危害を被ったこともなく、企業の対応が比較的しっかりしているからだ。
外食産業は異物混入が起こりやすい
加工食品業界に比べて、外食は異物が入る可能性は高いと思う。
外食は零細であることも多く、大手であっても店員のオペレートという性格上、調理場に高価な機械等が無く、食品工場と比較して緩い服装の人間がオペレートしているからだ。
それでも、家庭の台所と比べれば格段に異物混入率は低いだろう。
しかし、外食で異物混入に逢い本気で怒ったことが一度だけある。
うどんチェーン店でうどんを食ったのだが、汁の中からガラスの破片が複数出てきた件だ。
絶対に自分で混入させた可能性が無く、危害を被る可能性があったから。
店側は、「代金は頂きませんから」とだけ言うので、「混入した物は何なのか、なぜ混入したのか教えろ」と居座った。ガラス片は軟質異物とはワケが違う。
結局バイトでは責任を取れないせいか、一向に報告する気が伺えなかったので、あきらめて金を叩きつけて帰った。二度とそのチェーン店を使わなくなったのは言うまでもない。
食品危害の防止対策は、HACCPが基本
食品安全に関するHACCPという基準・考え方ご存知だろうか。
ハザード(危害)を分析して、防止するための重要管理点を製造工程に設定して、食品危害を防止する考え方である。
危害は、物理的、化学的、生物的に分類される。
それぞれの具体例は、硬質異物、毒物、微生物汚染だ。
硬い異物が混入すれば、歯が折れたり、口や喉を傷つける可能性がある。
毒物が混入すれば、中毒を起こす可能性がある。
微生物汚染されると、食あたりを起こす可能性がある。
この危害を与えられる恐れがある場合は本気で怒こるが、それ以外は個別対応で注意するだけに留めている。
硬質異物は磁石やフィルタや網を通すことで、防ぐことができる。
金属検出器やエックス線選別機で保証することも多い。
毒物は工場内に存在しないようにすれば混入することはない。
軸受けなどの潤滑油なども、仮に混入した場合でも危害を与えない食品産業用油を使う。
微生物汚染は、殺菌工程の管理や、塩分濃度や水分活性の管理、包装資材や密封工程の管理や検査で保証していけるだろう。また、流通時の温度も重要になってくる。
HACCPの考え方では、虫の混入は二の次だ。
先ずは、危害を与えないことが重要であり、次に美味しく食べられるかどうかである。
確かに、人間が食用にしないような虫が入っていたら、美味しく食べられないだろう。
しかし、硬くなく、毒をもたない虫で、十分に殺菌されるだけの加熱処理されていれば、食べる人に危害を与えることはない。
硬質異物はしっかりした製造設備と管理方法を用いれば確実に防ぐことができる。
仮に発生したとしても、製造ロット管理で隔離・出荷停止することができる。
しかし、虫の混入防止対策に関しては、完璧は不可能だろう。
原料に虫が付着している可能性もあり、製品に混入しても機械で検出することができないからだ。
虫の混入をネットやマスコミに流すなどというのは、腹癒せでしかなく、
仮にメーカーの責任ではなかった(消費者の調理の過程で混入したこと)が証明された場合は、高額な損害賠償請求を受ける可能性もあるということを肝に銘じないといけない。
しかし、怪我をしたり、中毒になった場合(もしくはその未遂)は、怒らないといけない(保健所に報告し、被害者数の増加を抑制しないといけない)が、それでもマスコミに垂れ込んで、視聴者に誤認させるような表現をさせる話ではない。
皆さん、現在マスコミで報道されている異物混入案件のうち、メーカーや第三者機関が「製造工程で混入した」と断定した件は、どれなのか挙げられますか?
マスコミが、「○○の話では、食べようとしたら異物が入っていたとのことである」と伝えた場合、消費者が混入させた案件も含まれているだろう。しかし、大多数の視聴者は「製造工程で混入した」と受け取るだろう。
食品産業は異物混入をゼロにすることはできない。ゼロにする努力・挑戦は永遠に続く。
私は、「クレーム対応が悪い企業の製品は、二度と買わない」と決めている。
「向上心の無い人間・組織は、かっこ悪い。」それで十分ではないか。
クレーム対応の悪さをSNSやマスコミに流すことは許されるが、危害を加えられないような異物混入について、何でもかんでも社会的制裁を加えようと思うのは、しっぺ返しを食らう可能性があると考えた方が良い。
少なくとも、消費者が混入させたわけではないことを、お互いに認め合った場合のみ、公にしても良いと考えている。
そして、テレビ局の報道も、テレビCMを大量に行っている企業の不祥事はあまり報道せず、あまりテレビCMを行っていない企業については、容赦なく虚偽になるぎりぎりの表現をしているように感じる。
その辺りの色眼鏡を差っ引いて受け取るように、視聴者も成長しないといけない。
そして、すでに市場に無い商品について、過去の異物混入案件を蒸し返して報道するなど、言語道断の営業妨害である。未だに再発防止策が行われていないで、被害が拡大するような案件ならともかく、「過去にも○○のような案件があった」などと報道するのは何なのか。
過去に1度でも異物混入案件のクレーム情報が発生したら退場であれば、全ての食品企業が廃業となるだろう。
消費者が気付かずに混入させた案件で、メーカーにクレームとして上がってくる案件は大量にあると考えられる。
マスコミがやるべきことは、健康被害が発生するような案件について、できるだけ多くの人に早く周知することであって、キャッチーなタイトルを付けて視聴率を稼ぐことや、不満を持った国民のストレスのはけ口を用意することではない。
Posted at 2015/01/09 20:39:16 | |
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