
なんだかずいぶんブログアップをサボってしまいました。仕事の忙しさは3月で一段落したはずなんですが・・・
さて、日産の電気自動車・
リーフに乗ってみました。
グレードは二種類あるうちの廉価グレード「X」、ボディカラーはホワイトパールです。Xと上級グレード「G」の違いですが、Gにはソーラーパネル付きルーフスポイラー、クルーズコントロール、バックモニターなどが備わります。
○だった点
・航続距離が長く実用性が高い
リーフの航続距離はJC08モードで200kmと発表されています。試乗当日は気温が10度程度と低いものの晴天の日中で、電気を食う暖房はつけずに済みましたが、100kmほど走行して、まだ残り航続距離が60kmありました。高速道路や山道を飛ばしたりと、電気自動車にとって有利とは言えない状況でこの航続距離なら、十分に実用的と言えますね。
三菱の電気自動車・iMiEVを同様の条件で走行した時には、80km程度でバッテリー残量が怪しくなってきて途中で急速充電したのですが、リーフは充電しようという気になりませんでした。
このぐらいの航続距離であれば、よほどの遠出以外十分実用になりそうです。
・低重心で安定感のある走り
床下全面にバッテリー、インバーター等の重量物の搭載していて重心が低いため、走りに安定感があります。全高が1545mmと高いため一見フラフラ走るのかな〜と思いがちですが、見た目とは裏腹です。
また重量物が分散して搭載されていることも、走りに好影響を与えているように思います。
車重が1520kgと、電気自動車としては標準的だが車格の割には重く、また脚回りのセッティングも柔らかいため、挙動は穏やかですが、脚を固めてタイヤのグリップレベルを上げていけば相当スポーティな車になりそうです。
・高い快適性
電気自動車なので、室内の静粛性が高いのは当然なのですが、インバーターから発せられる「キーン」「ヒューン」という高周波音が少なく、音質の点でも快適です。
プリウスは窓を閉めていても減速時に「キーン」音が室内に聞こえてきて、正直かなり耳障りなのですが、リーフは遮性音が優れているだけでなく、音の発生そのものが少ないです。
・室内空間と機器類スペースの両立
電気自動車と言えば大量のバッテリーを搭載しなければなりませんが、リーフは床下にバッテリーを搭載することにより、室内空間と電気自動車関連機器スペースの両立を図っています。
日産は電気自動車・燃料電池自動車に対しては経験豊富で、1998年には既にステーションワゴン「ルネッサ」をベースとした電気自動車が市販化されていました。ルネッサはガソリン車のボディシェルも電池を搭載することを前提とした高床構造で、これによって室内が狭いなど不評ではあったのですが、こういった先例でノウハウを積み重ねたことによって、リーフでは満足のいく室内空間を確保できています。
もう少し頑張ってほしい点
・あまりかっこ良くない外観
リーフの最大の欠点はここではないかと思います。外観はあくまでも個人的な好みの問題かな~とも思うのですが、それにしてもポコッと飛び出したカエルのようなヘッドライト、角を落としたティーダのようなムラーノに似てるような中途半端なスタイル、全幅がかなり広い(1770㎜)割にドデッと背が高く見えたりと、お世辞にもカッコイイとは言えません。
あまりかっこよくなくても、いかにも未来っぽい・電気自動車っぽいスタイルならまだいいのですが、エンジンが入ってないにもかかわらず普通の大きさのボンネットがあるので、パッと見普通の車と変わらない印象です。
あと余談ですが、充電はボンネット先端のリッドを開けてやるのですが、充電している姿はまるで鼻から点滴チューブを挿されているようですwww もうちょっとなんとかならなかったのでしょうか?
・シートの出来が良くない
シートの出来はごくごく普通の日本のコンパクトカーという感じで、小一時間程度運転しているとなんとなく姿勢がずれてきて、腰やお尻が痛くなってきます。EVとしてはせっかく世界最高レベルの性能を持っていながら、自動車の本質的な部分がおろそかにされているのは残念です。
・仕方ないけど効かない暖房
EVの暖房には大きなエネルギーを消費します。(場合によっては、走行することよりも暖房に要するエネルギーの方が大きい)
リーフは三菱iMiEV同様、電気ヒーターによってクーラントを熱して、それをヒーターコアへ循環させて温風として吹き出すという形式ですが、暖房の効きは良くありません。内燃機関自動車はエンジンで熱せられた冷却水をヒーターコアへ循環させることにより、エンジンの排熱を利用して暖房も行うという非常に効率的な仕組みが確立していますが、リーフやiMiEVは本来であれば電気自動車には必要ないLLCを、わざわざ暖房のためだけに搭載し、それをわざわざ電気を使って熱するという非効率さです。もう少し効率の良い暖房システムが開発されないものでしょうか。
総評
電気自動車には依然として、航続距離の短さや初期コストの高さという問題があります。それはよく出来ているこのリーフとて例外ではありません。普段満タンで900km近く走ることができるスイフトに乗っていると、i-MiEVよりも圧倒的に長くなったとはいえ180km程度の航続距離は不満がありますし、現状では補助金込みでないと極めて高価な価格も、購入に対する心理的な障害になります。
ただ、それらの問題がクリアになる方ならリーフは大いにお勧めできる車です。毎日充電するならば全く不満のない航続距離、ガソリン車やプリウスなどハイブリッド車よりも快適な乗り心地、優れた動力性能等に加え、時代の最先端を行く電気自動車に乗っているという優越感もあります。ハードの出来自体は現時点では文句なしです。
リーフの問題点は車自体のハード面よりも、車を走らせるためのインフラや社会環境にあると言えます。
電気自動車には必須の急速充電器ですが、先日東名高速各SAに設置されることになったというニュースが流れたように、各所に設置される動きが広まってはいるものの現状ではまだまだ十分とは言えませんし、今後電気自動車の普及が進めば、ガソリン車の給油よりも時間がかかるだけに出先で充電しようとしても充電ステーションが混雑しているという恐れもあります。
それから、電気自動車といえば当然電気が必要になりますが、福島第一原発事故によるエネルギー政策の転換で、原発の新設や休止中の原発の運転再開が困難になると思われます。こういった状況は電気を使う電気自動車の普及の足かせになろうことは想像に難くありません。
また、今回のような大地震後のインフラ復旧において、電気は比較的早く復旧するとはいえ、それでも完全に遮断されてしまうこともある中、自動車の動力源まで電気に依存してしまうのはいかがなものかと思います。
現に今回の地震で、家庭のオール電化を進めた挙句、地震による停電で家電が使えないばかりか、都市ガス・プロパンガスを廃止しているがために湯も沸かせない・風呂も入れないということになってしまった家庭が多かったようです。エネルギー源を電気一本に集約してしまうのは、非常時に困るのではないでしょうか。
今回の地震ではガソリンの供給難が大きくクローズアップされたことから、電気自動車が注目されつつありますが、個人的には「ちょっと待てよ!?」という印象です。
ちなみに最近普及が進む家庭用太陽光発電ですが、シャープと京セラに確認したところ、太陽光による自家発電システムは外部電源が停電によって停止すると、「自立運転機能」に切り替えたうえで、別系統の電源プラグによってソーラーによる電力供給ができるようです。
しかし、当然夜間など日射量がない場合は発電ができませんし、発電量が限られている上に不安定なため、電気自動車の充電には向いていないようです。
前途洋々に見えた電気自動車に思わぬところで難題が降りかかってきましたが、限りある化石燃料を有効に利用するためにも電気自動車の普及は今後の世界において必然でしょう。発電手段の多様化を進め、電気の安定供給を進めることが重要になってきますね。
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