8月は、細(さい=妻)の誕生月なのである。
今年も来たのであるぞ、チンク。
細も大好きなアンティーク屋さん。
誕生日プレゼントを選びに来たのであるから、当然細にはナイショなのである。
選んだのは、これ。
アンティークのバトラー・ベルなのである。
バトラー・ベルとは、昔の人が執事を呼ぶときに鳴らしたベルなのであるな。
" チリンチリン "と、とてもいい音がするのである。
細の誕生日パーティー。
細とわが輩の二人だけのパーティーだから、ささやかなのである。
チンクは、車庫でお留守番。
バトラー・ベルを細はとても喜んでくれたのである。
「いい音ね、そしていい色。バトラー・ベルだから、これを鳴らしたら来てくれるのね?チンちゃんも来てくれるかしら?」
「む・む・む…そ、それは、夫としてのわが輩の沽券にかかわる話であるな、なあ、チンク」
わが輩は、考え方も少しアンティークなのである。
「うふふ…」細は、わかっていてわが輩とチンクをちょっと困らせて微笑んでいるのである。
そのあと、スパークリングワインを飲みながら、わが輩と細は並んでテレビを見ていたのである。
可哀想なワンコの話が流れていたのである。
しばらくすると、" チリンチリン "と、バトラー・ベルが鳴ったのである。
すかさず、わが輩は"しぱっ!"とティッシュを一枚つまんで細に差し出したのである。
細は、可哀想なワンコに同情して、涙を瞳一杯に溜めていたのである。
細は、涙もろいのである。
それはそれは、メチャクチャ涙もろいのである。
だから、いつもわが輩は、細が涙を拭くティッシュを取る係なのである。
あまりにも涙もろすぎて、「えっ?!このレベルで泣く?!」ということが時々起り、ティッシュが間に合わない場合もあるのである。
" チリンチリン " " しぱっ !"
うん、まあこれだったら良いのであるな。
『世界一やさしい女の子と結婚したい』
そう願ったのは、わが輩なのであるから。
Posted at 2022/08/28 23:50:51 | |
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