
欧州の
脱EVの流れが止まりません。メルセデスベンツ、BMW、Audiなどが2035年までの内燃機関車撤廃宣言を相次いで取り下げています。EUの規制緩和の影響も大きいと思いますが、一言でいって「このままEVに進んだら商売あがったり」というのが本音だと思います。AppleもEV事業からの完全撤退を宣言しましたし、一時は
この世の春を謳歌するかに見えたEV事業が
旧失速しています。
脱カーボンという幻想から目が覚めた方も多いと思いますが、そもそもEVは必ずしもエコではありません。クルマそのものはもちろんカーボンを排出しませんが、製造過程や、廃棄過程、またタイヤの早期摩耗やアスファルト路面への攻撃性など、
トータル的に見ると必ずしも従来の内燃機関車よりも「エコ」であるとは限りません。この辺の検証が十分行われないまま、主にハイブリッド技術で抜きんでて居るトヨタを出し抜こうとして欧米が失敗した、というのが現状だと思います。EVの致命的な欠点は
航続距離の短さと
インフラ整備の遅れです。寒冷地ではとりわけこの問題は深刻で、北米でも立ち往生するEVが今冬問題になりました。EV比率の高い北欧でも極めて大きな問題となっています(ボルボなどにとっては死活問題です)。
そもそもEVは現状のリチウムイオン電池の構造上、車重が重くなるという宿命的かつ致命的欠陥があります。重い車重を支えるため、サブフレームや足回りも強化せざるを得ません。こうした補強も車重増に繋がります。重たいので、推進力を得るためには更に大きなモーター、バッテリーを積む必要があり、
悪循環です。重たいので、路面攻撃性も高く、前述の通りタイヤの摩耗も一般的なガソリン車と比べて早い事が知られています。先日ポルシェが発表したタイカンGTのように動力性能的にはガソリン車を超えるところまで来ましたが、
それ以外の弊害が大きすぎます。バッテリーは携帯電話の電池同様、
必ず劣化するので、航続距離が維持できる保証はどこにもありません。こうした不安もあり、リセールが悪いのも逆風です。
こういう状況ですから、EVに興味を持った層にある程度クルマが行き渡った現在、
市場が飽和状態となることはある意味当然です。現在各社のEVストックは
べらぼうな数に膨れ上がっており、メーカーによっては工場が
生産休止にまで追い込まれています。テスラの株価が下落の一途を辿っているのも頷けます。
それではEVは本当にオワコンなのか?私は
否だと思います。今はEVにとってまさに正念場、過渡期だと思います。私は内燃機関車の完全撤廃には反対の立場ですが、EVが無くなるのも反対です。全個体電池などの開発が進み、「軽くて航続距離の長いEV」が登場すれば十分巻き返しは可能だと思います。ただし、それにはまだまだ時間が掛かりそう。当面はHVやPHEVなどが
マーケットの主軸になるのでないでしょうか。
ブログ一覧 |
四方山話 | クルマ
Posted at
2024/03/23 08:30:26