タフトとハスラーについて
本題の前にタフトと言えばハスラーがライバルとされて、あちこちで比較されていることが多いですが、実際は軽SUVでのジャンルは同じでも、設計思想的に方向性が全く違うので、悩まれる人は意外と少ないのではないかなと思います。
極論・誤解を恐れず言うと、長所・短所がはっきりしているタフトと、万能なバランスのとれたハスラーって感じです。乗り味は全く違う感覚なので両方試乗して体感してみると面白いと思います。どちらが自分の感性に合うかでしょう。
先日ハスラーは特別仕様車Jスタイルが出ました。内外装はさらに見栄え良く進化して本当にかっこ良くなりました。色の取り合わせも素敵です。
タフトとスペーシアギアの比較感想
さて本題のスペーシアギア(マツダなのでフレアですがややこしいのでギアと表記しています)とタフトの比較内容は日常使ってみて感じた内容となります。ちなみにどちらも2WDターボエンジンで購入価格もほぼ同じ(同相当グレード)です。ギアはマイナー前のモデル(ACC無し)となります。
[スタイリングについて]
(スペーシアギア)
スペーシアでターボを選ぶとなるとカスタムかギアの2択、メッキパーツの少ないギアを選択しました。SUV風に大きく外観を変えず仕上げるのは流石にスズキは上手いです。漫画の世界から飛び出した様なかっこ可愛い感じは好みが分かれますが、全体的にうまく処理されていてSUVの雰囲気が出ていて有りだと思います。
(タフト)
角々のスタイルが特徴でボンネットラインも水平だし昔風というか無骨に仕上げています。こちらも好みが分かれますが、どちらかと言うと年配の方が好きなタイプかも。単純なようでよく見ると随所に形状が工夫されています。角が多そうですが意外と曲線を多用しており手間ががかかっていてよく練られていてこだわりを感じます。
[エンジン性能について]
①エンジン・変速機
(スペーシアギア)
CVTのギア比がおいしい回転域(3千回転付近)を使い軽快に走ります。出足もモータで補助されるので街中での低・中速域は特に乗りやすいですし、高速域でも若干回転数は高めですが余裕で走ります。停止直前のモータとエンジンの動力切替時にギクシャクするのはちょっと気になります。パワーボタンは通常は使いませんが、オンするとアイドリングストップオフになります。(裏技?)
(タフト)
D-CVTでのギア比は高めで、全域とも回転数を上げず静かに回ります。こちらは低速域での走行は回転数が低すぎてギクシャクしますが、パワーボタンを押すことで改善します。高速域は得意な所でD-CVTとうまくマッチングし低回転でも、ビックリする位トルクフルに走れます。発進時は軽くアクセルを踏んで動き出すまで待ってからアクセル量を調整するとスムーズに走れます。
②エンジンブレーキ
(スペーシアギア)
マイルドハイブリッドで充電するため、エンジンブレーキが結構効きますし、パドルシフトがあるので速度の調整はしやすく、特に街中は乗りやすいです。
(タフト)
エンジンブレーキはあまり効かず滑るように走ります。パドルシフトが無い(欲しいところで残念)のでパワーボタンで1段ギア下げの代用をしてますが基本ブレーキ頼りとなります。
③アイドリングストップ
(スペーシアギア)
モータのみでクリープ走行が出来るのと、エンジンの始動が気付かないほどスムーズでセル音・振動もまったく無いし静かです。マイルドハイブリッドは良いです。
(タフト)
セル始動音や振動が気になりますが、エンジンオフ状態の静けさが好きなのでそのまま使用しています。渋滞など始動停止を繰り返す時はアイドルストップオフにします。
[乗り心地について]
(スペーシアギア)
車高が高くサスは柔らかめなので段差では揺れが大きくなかなか収まらないが、綺麗な舗装道路を走っている時は快適。一般の人はこちらの方が乗り心地が良いと感じると思います。スーパーハイト系の最大の弱点は風に煽られてのふらつきです。特に高速走行中の横風は結構ハンドルが取られる事があります。
(タフト)
サスは固めでゴツゴツする感じではあるが、大きな段差でも揺れは瞬時に収束し乗りやすく快適で走りやすい。試乗レベルでは固いなぁと感じる人が多いかも知れません。車高がそこまで無いので、風で煽られてハンドルが取られることは少ないし高速運転も楽々です。意外だと思いますが見た目と違ってどっしり走る高速ツアラータイプです。座った感じの乗り味、高級感はこちらの方があると思います。
[内装・インパネについて]
(スペーシアギア)
プラスチック素材が多いが内装色やデザインが工夫されている。速度計のみのインパネだが、ヘッドアップディスプレイが付いていて速度・タコメータ表示が出来て見やすく便利。室内サーキュレーター(扇風機)は後ろへ風が送れて循環出来るので早く冷・暖房が効きやすい。気に入っていて常時動作してます。
(タフト)
こちらもプラスチック素材だが囲まれ感がうまく演出されている。速度・回転計が並ぶ王道のメータ配置が見やすく高級感があるし始動時に赤いメータ針が動く演出は気分が良いです。ウェルカムアンドアロック(近づいたら鍵が開く)機能とドアロック部タッチセンサ式(ボタンでは無い)は凄く便利です。
[シート・装備について]
(スペーシアギア)
フロントはベンチシートでホールド感が乏しいのとシートが柔らかく長時間運転するとやや疲れやすい。シートポジションが立ち気味で目線が高いので車幅感覚が分かりやすく運転しやすい。頭上スペースが広く、手を上げても天井に届かないほどの空間があり開放感が心地いい。リアシートは通常後ろへスライドさせて使用すれば足下は広大なスペースで、子供やお年寄りでも高さがあるので乗せやすい。ハザードの位置が下の方で押しにくいのと、ヒータがお尻だけなのがちょっと残念。
(タフト)
フロントシートはホールド性の高いバケット風シートで座り心地が良い。ポジションも低めに姿勢が取れて疲れにくい体勢で運転が出来る。ロッキーと同じシート形状の様で意外と大きい。車幅感覚はボンネットが見えず掴みにくい感じ。天井はあまり空間がないけど、ギアとは正反対の囲まれ感がいいと感じられる。黒内装が効果的なのかも。ガラスルーフはシェード付きで開け閉め調整出来るし開放感が最高。リアシートは座れるが近距離用でスライド機構は無いので使い方が制限される。シートヒーターはお尻と背中まで温まり快適。
[クルーズコントロールについて]
(スペーシアギア)
追従では無くクルーズコントロールのみとなるが意外と使い勝手もよく使用すれば運転もずいぶん楽になる。
(タフト)
ACC全車速追従付。追従制御はもう一息の感はあるが、それでもアクセルワークを減らせるので疲れが軽減する。制御不安な所は乗っていると分かるので入切すればスムーズに走れる。全車速はどうでもいいが(停止まで使わない)止まれる安心感はある。
[オートライトについて]
(スペーシアギア)
オートハイビーム付きだがイマイチの動作のため使用していない。ロービームのみで走っているがフォグ含めて非常に明るく見やすい。
(タフト)
ADB付き。部分的に自動ハイビームを調整する優れもので制御もなかなか良く出来ていて明るく安全。また曲がる方向にライトが照らされる機能が視界確保に役立つ。オートライトなので日中晴れ間の高架下の日陰でもライトが点灯(感度調整不可)するのは不満。
[リアドアについて]
(スペーシアギア)
電動スライドドアは一度使ったらやみつき、便利すぎる機能、ボタン押せば自動で開くなんてそんなのいる?って感じだけど使っていると無くてはならないものとなる。
(タフト)
普通のヒンジドアなので強度は確保されている。
[プラットフォームについて]
(スペーシアギア)
スライドドア構造では強度梁が前後に通せない。段差が多いところを走ると若干気になる時があるが、過不足無く十分な剛性感がある。
(タフト)
足回りも含め圧倒的に剛性感の感じられるフレーム構造でしっかりしている。普段のちょっとした段差を通った時にもがっちりした感じが体感できて安心できる。
[パワステについて]
(スペーシアギア)
ハンドルは軽めで取り扱いは容易だが、曲がってから直進時に戻る時などハンドルが戻りきらないことがあるのでふらつきやすい。若干の馴れが必要。
(タフト)
低速では軽め、高速では重めになり走行中にハンドルが取られる事が無い。普通車の感覚と変わらず運転が出来る。パワステ制御は良く出来ていると思う。
[静粛性について]
(スペーシアギア)
風の抵抗が多い形状なので、風切り音は若干するがノイズ対策はしっかりされており十分静か。内装Aピラーとかにもシンサレート(吸音材)が取付されておりメーカーも力を入れていると感じられる。
(タフト)
ギアよりももう一段階静かな感じがする。エンジン音、ロードノイズ等静粛性対策とフレーム剛性アップによる制震効果が出ているのでしょう。
[積載性について]
(スペーシアギア)
圧倒的広大な荷室スペースを確保できて自転車もそのまま楽々乗せられる驚きの広さ。積めない物は無いくらい何でも乗せられるから便利。
(タフト)
大きな物を積む用途には適さないが、シート倒せばそれなりに積める。倒さないとミニマムスペースしか無い。
[サイドブレーキについて]
(スペーシアギア)
足踏み式ですが特に不便でも無い。
(タフト)
電動パーキングとホールド機能は便利で魅力。これからの主流となる装備。
[レーンキープについて]
(スペーシアギア)
はみ出し警報のみですが横断歩道とかでの誤動作が多く若干気になります。安全装置類は警報反応が早めです。
(タフト)
はみ出し警報+ハンドル補正付。ほどほどに制御している感じです。安全装置類は警報反応が遅めです。
[燃費について]
(スペーシアギア)
18km/L マイルドハイブリッド効果があるとはいえ、スーパーハイトでこの数値は驚異的。
(タフト)
20km/L まだ慣らし中なので参考値。実際はギアと同じくらいかな、十分。
[価格について]
(スペーシアギア)
売れ筋の車種であり開発コストも十分掛けられていて、何でも付いたフル装備でこの価格はかなり安くお買い得だと思う。
(タフト)
新車種でありダイハツの意気込みは感じられる。新世代の装備が満載でのこの価格はがんばった結果だと思う。
[まとめ]
(スペーシアギア)
スーパーハイトワゴンならではの室内空間の大きさが素晴らしい。4人乗ることが多い又は荷物をたくさん載せたりする機会が多い方は迷わず選ぶべき車です。街中でとても乗りやすいし遠出も楽勝、電動スライドドアまで付いててVIPカー(古)な感じでこれ1台で何でもこなせるスーパー優等生な感じです。
(タフト)
SUVハイトワゴンですが特に高速域での走りの良さが特徴。基本2人乗りでないと使い勝手が悪そうですが、実際はドア4枚あるし(意外だが安全を考え後席Cピラーにもエアバック付)大きな支障は無いように作られていますので、工夫して乗りこなすのも楽しさの一つかなと思います。何でも出来ることが正義の考えだと厳しい評価になります。最初にも書きましたがSUV系の形が良くてオールマイティな使い方が必要であれば、間違いなくハスラーの方が便利で快適だと思います。
2台の比較まとめてみるとそれぞれの特色が出ていて良い車だし面白いと思ったのと、乗っていて不満はほとんど無いんだなぁとあらためて感じました。
ここ数年での技術革新が凄まじく普通車との差が少なくなってきてますし、品質・装備も含め軽自動車だからどうとかではなく、この車が良いから選んだと言える時代になって来た感じがします。シンプル経済性に特化した車や、豪華な装備充実した車など、各々のライフスタイルにあわせて選ぶことが出来る様な車種が増えてきたことも、とてもいいことだなと思います。
もっと短くするつもりでしたが書き始めるとあれもこれもと増えていってしまいました。長くなってしまいましたが、最後までお付き合いありがとうございました。